薔薇乙女寿史料館

真・ひいらぎレールジャーナル山陽九州編2章

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healagi

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前回のあらすじ
早朝から雪で遅れつつもなんとか岡山から特急やくもに乗り、新見までたどり着いたひいらぎ。しかし次の列車までは2時間待ち。「もう1本後の列車に乗ってもよかった」とか思いつつも雪に覆われた新見市を満喫し、芸備線のホームへ。そこで出会ったものとは・・・。


新見→備後落合~典型的ローカル線への入り口~


さて、いよいよ芸備線の列車が入ってくる時間が近づいてきました。

ちょっと駅の時刻表でも見てみましょうか。


一日当たり平日7本、休日6本、しかも半分くらいは途中の東城までで、備後落合まで行く列車は1日3本のみしかありません。

かつて芸備線を全線走破し、広島と新見を結ぶ急行たいしゃくという列車がありましたが、備後落合~新見は普通列車としての運転であり、この区間の末端さぶりがうかがえます。


芸備線の列車は全て1番線から発車です。

ふと気付いたんですけど、新見駅の放送では○番線と言っています。JR西日本のほとんどの駅では○番のりばと案内しているので珍しいですね。


待ってる間に上りの岡山行きやくもが到着。やくもは4両編成もあるのですね。

そしてしばらく待っているとようやく乗る列車が1番線に入ってきました。


昼からはかなり晴れてきて、光がうまく絞れてない・・・


新見12時47分発の普通 備後落合行き ワンマン列車です。

この列車に使用されているのは名をキハ120形と言います。
バスの部品を流用した軽快気動車と呼ばれるディーゼルカーで、ローカル線の期待の星としてJR西日本管内の非電化ローカル線に配備されており、自分も過去何度かこのディーゼルカーのお世話になっています。


備後落合行きワンマン列車は定刻通りに新見を発車。

運転系統上は全列車新見発着ですが、実は途中の備中神代(びっちゅうこうじろ)までは伯備線を走ります。
備中神代を過ぎてから芸備線としての本領発揮ですね。


軽快気動車と呼ばれるとおりキハ120は軽快に走ってくれます。

備中神代から東城までは国道182号線、そして中国自動車道が併走しています。
高速道路相手ではスピード面で完全に不利な芸備線。しかし「負けるつもりで走るつもりはない!」と言わんばかりに全力を出して力走してくれます。



東城を過ぎると高速道路とは別れ、より山深いエリアに入っていきます。景色はご覧の通りまたもや!!

さて、備後落合に近づくにつれてだんだん多くなってくるものがあります。
それがこれ・・・


やけにスピードが遅くなっていますが、別に雪がすごいから速度を落としてるわけじゃないですよ。

この辺りにはこの標識がとても多いのです。


ちょっとワイパーで見えにくいですが、制限25km/hの表示がされています。
ところによっては制限20km/h制限15km/hまで速度を落としています。
あんまり徐行ばかりしてると燃費が悪くなりそうですね。

この極端な徐行区間はJR西日本のローカル線ではよく見られるもので、あまりに整備が行きとどかない末端区間ではお客様の安全を確保するためやむを得ず速度を落としてるのだとか。
要は保守がめんどいってことですね。

そんなゆっくりと進みながらも列車は終点、備後落合に・・・・

着く前に一つ前の道後山で運転士さんが客室内に入ってきて、こんなことを言いました。

道後山駅は御覧の通りぱっと見で駅なのがわからないくらい雪で埋もれてました。

「この先、木次線がタクシー代行輸送ですけど、備後落合から乗り換えられる方はいらっしゃいませんか。」

備後落合駅では芸備線の他に木次線というローカル線が乗り入れてますが、今日は終日運休だそうで備後落合からはタクシーによって振り替え輸送が実施されていました。
運転士さんは木次線に乗り換える乗客の数を確認すると、電話をかけタクシーを予約していました。

備後落合駅も乗るところ以外は雪に埋もれてました。一緒に乗ってた女の子たちがはしゃいでました。

そして、ようやく備後落合に到着。

備後落合→三次~ローカル線はまだまだ続く~



備後落合に着くと、合わせるかのように芸備線の乗り継ぎ列車が到着してきました。
備後落合14時36分発の普通 三次行き ワンマン列車です。

今度も同じくキハ120ですが色が違いますね。
それはともかく、発車まで20分あるので寒いホームで待たずに済んでよかったというものです。

そしてこれまで乗ってきたディーゼルカーは割とすぐ折り返して新見へ帰っていった・・・

乗る人が全然いないので車内を撮影してみました。ボックスシートもありますが大半がこのようなロングシートとなっています。

え、音だけ・・・?

本当に発車するまで乗客がなく、車内で悠々自適に過ごしていた自分。新見の猪ラーメンも朝兼用だったので小腹が空いてきた。

ということで密かに岡山で買っておいた駅弁でも食べるとしましょうか。

瀬戸内名物あなごめし

カバンにずっと入ってたせいかちょっと寄ってますがこのようにご飯にあなごがぎっしり!

やわらかなあなごの身が美味しいです。あと漬物のショウガが絶妙にマッチングしてます。



そんなこんなで食べ終わってしばらくしてからようやく列車は発車。
発車時点での乗客は自分を含めて3人でした。

運休のせいで列車が通らない木次線の線路は完全に雪に埋まってました。


発車後、木次線と別れますがやはりまだまだこの辺は雪深いですね。そして必殺徐行区間もまだしばらく続きます。

備後落合の次の駅、比婆山。屋根がまっしろけ

でも徐々に

雪はなくなってきました。

備後西城駅、駅名票が倒れそう・・・


途中の備後庄原で今日初めての列車交換。

てか、新見から備後落合の間では一切列車交換してないんですよね。ということはあの区間はあの列車1本ですべて賄っていることに・・・


あれからちらほらと乗客は増えたものの、結局は両の手で数えられるほどの乗客を乗せて列車は終点三次に到着です。

三次→広島~ローカル線から大都市近郊路線へ~


三次駅では乗り換え時間がたった3分しかありません。
降りた同じホームの向かい側に止まってる列車に急いで乗り換えます。


三次16時2分発の快速みよしライナー 広島行きです。

かつて広島~三次には急行みよしが走っていましたが、2007年に廃止され、この快速に置き換わったのです。
車両はキハ120ではなく、国鉄時代から使われてるキハ47形です。車体中央に寄った両開きドアが特徴です。

乗り込むとすぐに発車したみよしライナー。三次市に入ってまたもや雪がちらほら目につくようになりました。

何やら大量に土管が置いてあるけどそこにも雪がちょっと積もってますね

さすがは元急行列車のスジを受け継いだ列車。停車駅もそこそこに順調に快走していきます。最大で25分間、無停車運転をする区間もありますが、最近の快速ではなかなかないですね。

三次発車後はしばらくワンマン列車でしたが、気が付いたらいつの間にか車掌さんが乗務してました。

反対側に停まってるのは当駅始発の普通列車広島行き

列車は下深川(しもふかわ)に到着しました。
この駅から終点の広島までは各駅に停車しますが、車内の様子も激変します。

今までローカル線然とした閑散とした車内が徐々に混み始めてきたのです。
下深川の次、玖村(くむら)では大量の学生さんが乗ってきて混み具合が顕著になってきます。
それまで自分一人で独占状態だったボックスシートも一気に4人全員分が埋まりました。


JR西日本広島支社は関西地区のアーバンネットワークに対抗して(?)広島シティネットワークを展開おり、芸備線の広島近郊区間もそれに含まれているのです。
そのためそれまで1日数本しかなかった本数も下深川以南では毎時2~3本を確保してます。


そんな完全なラッシュ状態の中、みよしライナーは終点広島の8番のりばに到着。


とうとうたどり着いたぜ広島ぁあああ!!

この時、岡山から既に9時間が経とうとしていたのでした。


おまけ、広島の電車たち



ファンの間ではよく國鐡廣島などと揶揄される広島地区。

そのゆえんは、在来線の列車でJR化後に造られた車両が1両もないことにあります。
ちょっと見上げれば新幹線で最新車両がビュンビュン走ってるのにこの差はなんなの・・・
※じつは1日数本だけ広島駅に入線してくるJR車両はあります。新見と備後落合から乗ったキハ120が稀に広島駅に入ってくるのです。

そんな広島、実は地方都市でいち早く「シティ電車」の概念を取り入れた地域です。

シティ電車とは要するに、パターンダイヤを取り入れ、高い頻度の運転本数を確保した列車で、今じゃどこでも見られるものです。

それまではやたら長い列車が不規則かつ長い感覚でやってきた地方都市。
広島ではそんな列車を短くする代わりに大幅に本数を増やし、かつ等間隔で走らせることで利便性を高めるということを実施。これが見事に成功して全国にシティ電車が波及したわけです。

そんな先進的なエリアだった広島。
時代を先取りした結果、その後30年ほど車両が変わらないということに・・・

どうしてこうなった!


今このように末期色が熱い広島。でもそれだけじゃありません。


数は少ないですがこんなかぼちゃ色の電車もまだ残ってます。正確には湘南色と言います。


入線時にご当地ソングが流れる岡山駅に対し、広島はオリジナルのメロディを入れてきます

このクリーム色に濃紺の帯を巻いたのは瀬戸内色と呼ばれています。


これはいつも誰からも思われている事なのですが、広島の電車ってなぜか前面の幕が白くてぱっと見何線のどこ行きかわかんないんですよね。

時刻表と案内表示からかぼちゃ色は呉線 普通 広行き
瀬戸内色は山陽本線 普通 西条行きだそうです。

せめて何線なのか出してくれるとありがたいですよね。


こちらはカメラの性能のせいで見えてないですがちゃんと幕を使ってます。可部線の緑井行きだそうです。

この電車、105系と言いますが、この顔は愛知県にいるこの電車と良く似ています。


そう、飯田線で走ってる119系です。
両者はほぼ同時期にデビューした双子の兄弟みたいなもんですね。同じ顔だけど用途に合わせてこのように区分されました。


1番のりばからは山陽本線 普通 岩国行きが発車です。
さきほどの末期色瀬戸内色とはまた違うこの塗装は広島色と言います。いわばこれが広島のスタンダードカラーということですね。

ちなみにこれらの車両、115系と呼ばれており、山陽地区以外にも新潟地区や信州などでも活躍しています。

ただし、この動画のように、片側2ドアのタイプは山陽エリアでしか走っていません。

さらに言うと、見た目は色以外30年変わってないものの、大幅なリフォームを受けており、昔の直角のボックスシートだった車内は今や関西の新快速並みの転換座席に変わってます。

古い車両を大切に末長く使いましょう
という計画のもと、JR西日本が本気を出した結果でした。


現在、山陽本線は昼間には快速がありませんが(2010年まではあった)、夕方になると快速通勤ライナーが走ります。

でも、見た目ではやっぱり違いがわかりませんね(笑)

それにしても絶賛末期色化プロジェクトが進行中のはずの広島。
しかし、実際に広島駅で会った末期色は1本だけ。他はまだ塗り替えられてません。

聞いた話によれば・・・末期色に塗り変わった車両は優先的に広島以外の地域に回されてるので広島以外の方が末期色を見やすいのだとか・・・

本当はイヤなの・・・・?

第二章終わり



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