TOUCH ~触れ合った人々の些細な問題~

Panic Life

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匿名ユーザー

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「もう12時だな」
俺は腕時計を見て言った。あくびが出る。
横を見ると、悠太もあくびをしていた。やっぱりこんな時間は眠いものだ。

もう4時間、このフロントにいる。先にメシは食ったから腹は減ってないが、無性に煙草が吸いたい。1時になれば休憩になるので、それまでの我慢だ。
「今日のナイトは誰だっけ」
悠太だ。その辺の資料は俺が持っていたので、シフト表を見る。

ナイトマネージャー:小林 洋一

「小林さんだ」
そう言った後で、ふと思い出した話があった。
「そう言えば、小林さんなんだけど」
「うん?」
悠太が聞き返す。
「そろそろ子供産まれるらしいぜ」
「マジで?」
「女の子だってよ。奥さん綺麗だから、奥さん似だったらいいなぁ」
小林さんの奥さんは、すっごい美人だ。万里江の大学の先輩にあたる。
産まれた女の子を抱いて、満面の笑みを浮かべる小林さんの姿が思い浮かんだ。
俺は「あー、俺も子供ほしーなー」と言って椅子に座った。悠太は立ったまま言った。
「お前、彼女いるじゃん。」
万里江が頭に浮かぶ。
「だってアイツ、子供嫌いだもん。その癖保育士見習いだぜ? 詐欺みてぇなもんだよな」
「はは、お前も大変だな。俺は気楽な独り身だ」
「お前、その発言はジジイだよ」
俺は思った通りのことを言った。
「ジジイでいいよ。俺はもう少し独りでいるよ」
「お前はそれが似合ってるわ」
小便がしたくなった。俺は笑いながら立ち上がる。
「2番行ってくるわ」
「いってら」
俺はフロントを出て、トイレに向かった。

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