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真っ暗な部屋。 申し訳ないほど小さな窓から月光のみが入ってくる、そんな空間。 パタンとドアが開いて、少女を抱いた一人の真っ黒な服の人間が入ってきた。 「大丈夫か、サイモン。」 少女は抱かれながら顔をふるふると振った。 黒い人間は一言「そうか」と言ってサイモンと呼ばれた少女を質素なベッドにゆっくりと下ろす。 「すまない、無茶をさせて。」 「・・・・そんなこと・・・ない。私の・・・力不足・・・だ。」 サイモンは力の篭っていない声で黒い服の人間に語りかけた。 黒い服の人間は、ひとまず真っ黒なコートを脱ぐ。 「さて、これからどうするか・・・・・。」 コートを脱いでもなお服が真っ黒なその人間は、一人呟くのであった。 月光だけが入る、真っ暗な部屋の中で。 『そうか、逃がしてしまったか。』 「すみません、何者かに邪魔されてしまいました。」 『良い、そのうちまた出て来るであろう。大体目星はついている。』 「どうゆうことですか?」 『実はな・・・』 クラシックやジャズが流れるバーの中で、キールは携帯片手に色々今の事情を話していた。 「そういえば、ますたぁの能力って何なんだ?普通じゃないだろ。」 ゼロ達もゼロ達で、色々話していた。 「ああ、ますたぁは『炭素』だよ。」 シロタカが説明を開始する。 「ほら、炭素って圧縮するとダイヤモンドみたいになるだろ?逆に圧縮しないと触るだけで壊れたり。」 「なるほど、イヴシリウムを炭素に変えるのか。で、動く方法は?」 「それは簡単、炭素と炭素の間にイヴシリウムを埋め込んで、それをまた炭素にしていく。」 「それで一部分を膨張させて、動いてるように見せる・・・ってワケ?」 「そーゆーこと。」 その他にも色々話していると、キールから声がかかった。 どうやら一通り喋り終わったらしい。 「皆さん、各自家に帰っていいそうです。」 「え、このまま帰るのか?」 「勿論です。もうあの少女と黒い服の人は襲ってこないと思いますが、一様護衛をつけます。」 ゼロはシロタカに肩を叩かれた。 どうやらシロタカが送ってくれるらしい。 「あと、ますたぁさん・・・・元情報員総長殿は私と一緒に来てください。」 「あら、ばれてたのね。」 ますたぁがクスクスと笑う。 その時、ゼロはシロタカはびくりと震えたように見えたが、よくは分からなかった。 「じゃあ、僕達は先に行っています。」 「え、もう行くのか?」 「早めの方が良いだろ?」 ゼロはもう少し話したかったが、仕方なく帰ることにした。 学生鞄をひょいと手に取り、腰を上げる。 「じゃあ、また今度ね。施設に入ったのならまた会うハズよ。」 帰り際に耳元でますたぁが囁く。 どうゆう意味か聞こうとしたが、今はやめておいた。 「じゃあ、任務に移ります。」 「私はシャオスを呼びます、車は使って良いですよ。」 キールが携帯を操作しながら言った。 「了解、行こうゼロ。」 シロタカはゼロを呼んだ。 ゼロは頷き、出口へと向かった。 ゼロの後姿をますたぁは愉しそうに眺めている。 それは「何か知ってる」目に見えた。 キールは不振に思ったが、まぁ心配はいらないだろうと割り切った。 一方通行の細い道を車が一台ゆっくりと走っていた。 灰色で、目立つとは言えない色をしている。 「あー疲れた。」 ゼロはその車の助手席でぐったりしている。 「アハハ、まぁいきなりアレだからね。」 シロタカは運転しながら呟く。 「そうだ。よって行きたい所があるんだけど、いいかな?」 ゼロは親指を立てて答える。 シロタカは満足気な笑顔で、運転する。 それは夕方、カラスの声が時折聞こえる頃だった。
真っ暗な部屋。 申し訳ないほど小さな窓から月光のみが入ってくる、そんな空間。 パタンとドアが開いて、少女を抱いた一人の真っ黒な服の人間が入ってきた。 「大丈夫か、サイモン。」 少女は抱かれながら顔をふるふると振った。 黒い人間は一言「そうか」と言ってサイモンと呼ばれた少女を質素なベッドにゆっくりと下ろす。 「すまない、無茶をさせて。」 「・・・・そんなこと・・・ない。私の・・・力不足・・・だ。」 サイモンは力の篭っていない声で黒い服の人間に語りかけた。 黒い服の人間は、ひとまず真っ黒なコートを脱ぐ。 「さて、これからどうするか・・・・・。」 コートを脱いでもなお服が真っ黒なその人間は、一人呟くのであった。 月光だけが入る、真っ暗な部屋の中で。 『そうか、逃がしてしまったか。』 「すみません、何者かに邪魔されてしまいました。」 『良い、そのうちまた出て来るであろう。大体目星はついている。』 「どうゆうことですか?」 『実はな・・・』 クラシックやジャズが流れるバーの中で、キールは携帯片手に色々今の事情を話していた。 「そういえば、ますたぁの能力って何なんだ?普通じゃないだろ。」 ゼロ達もゼロ達で、色々話していた。 「ああ、ますたぁは『炭素』だよ。」 シロタカが説明を開始する。 「ほら、炭素って圧縮するとダイヤモンドみたいになるだろ?逆に圧縮しないと触るだけで壊れたり。」 「なるほど、イヴシリウムを炭素に変えるのか。で、動く方法は?」 「それは簡単、炭素と炭素の間にイヴシリウムを埋め込んで、それをまた炭素にしていく。」 「それで一部分を膨張させて、動いてるように見せる・・・ってワケ?」 「そーゆーこと。」 その他にも色々話していると、キールから声がかかった。 どうやら一通り喋り終わったらしい。 「皆さん、各自家に帰っていいそうです。」 「え、このまま帰るのか?」 「勿論です。もうあの少女と黒い服の人は襲ってこないと思いますが、一様護衛をつけます。」 ゼロはシロタカに肩を叩かれた。 どうやらシロタカが送ってくれるらしい。 「あと、ますたぁさん・・・・元情報員総長殿は私と一緒に来てください。」 「あら、ばれてたのね。」 ますたぁがクスクスと笑う。 その時、ゼロはシロタカはびくりと震えたように見えたが、よくは分からなかった。 「じゃあ、僕達は先に行っています。」 「え、もう行くのか?」 「早めの方が良いだろ?」 ゼロはもう少し話したかったが、仕方なく帰ることにした。 学生鞄をひょいと手に取り、腰を上げる。 「じゃあ、また今度ね。施設に入ったのならまた会うハズよ。」 帰り際に耳元でますたぁが囁く。 どうゆう意味か聞こうとしたが、今はやめておいた。 「じゃあ、任務に移ります。」 「私はシャオスを呼びます、車は使って良いですよ。」 キールが携帯を操作しながら言った。 「了解、行こうゼロ。」 シロタカはゼロを呼んだ。 ゼロは頷き、出口へと向かった。 ゼロの後姿をますたぁは愉しそうに眺めている。 それは「何か知ってる」目に見えた。 キールは不振に思ったが、まぁ心配はいらないだろうと割り切った。 一方通行の細い道を車が一台ゆっくりと走っていた。 灰色で、目立つとは言えない色をしている。 「あー疲れた。」 ゼロはその車の助手席でぐったりしている。 「アハハ、まぁいきなりアレだからね。」 シロタカは運転しながら呟く。 「そうだ。よって行きたい所があるんだけど、いいかな?」 ゼロは親指を立てて答える。 シロタカは満足気な笑顔で、運転する。 それは夕方、カラスの声が時折聞こえる頃だった。 [[次ページ>http://www13.atwiki.jp/master/pages/45.html]]

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