そこには悲惨な惨状が残っているだけだった。
半壊した建物、辺りに散りばめられている赤い血、どれもここで起きた戦闘の爪痕だ。
そしてその大半は自分のせいだ、と感電はしみじみ思う。
もう一人の自分――焦ったドラえもんの身体を乗っ取っての殺戮劇。
無論その後にもここで戦闘は行われたが、最も温泉を血で染めたのは紛れもなく感電だった。
その事実は否定しようがない。
真の対主催。
その一員としての行動。
それ故の結果。
全ては覚悟していた事だった。
事実、感電は後悔していない。
あるのはただ一度の懺悔のみ。
「すまないな。俺達の我儘に巻き込まれて……
いくらなりきりシステムによるコピーだからって許されていい事じゃないな」
クローン技術を流用させて「書き手というキャラ」になるべくして作られた参加者達。
改造されたダイダルゲートを通じてリアルタイムで更新される記憶。
それはまさに書き手ロワを運営するために用意された駒と言えるだろう。
しかし、だからと言って、その存在を無為にしていい道理など存在しない。
生まれはどうあれ、確固たる意志を持っている彼らは既に歴とした存在だ。
それに軽いも重いもない。
だからこそ後には引けない。
「俺は止まらない。俺達の目的を果たすまでは!」
実は既に彼ら真の対主催の目的の一つは潰えていた。
それは書き手ロワをラジオまでに完結させる事。
だが今となっては、それはもう叶わぬ願いになってしまった。
でも別に感電はラジオに間に合わせる事には然して重点を置いていなかった。
温泉での一件の時もそう言っている。
むしろ感電はもう一つの目的の方に気を向けていた。
「さて、放送に行くか」
そう言う感電の手の中には『闇を貫く雷神の槍、夜を切り裂く閃光の戦斧』と謳われたバルディッシュの改造デバイスであるバルディッシュ・アサルト・ブラックカスタムがあった。
そもそも感電が温泉に立ち寄ったのは思わぬ誤算があったからだ。
デンコーセッカの能力を使って移動した感電だったが、ここで嬉しい誤算が発生した。
あまりの速さに放送まで時間が余ってしまったのだ。
適当に時間を潰すという案もあったが、それより感電にはこの地で訪れておきたい場所があった。
それが会場南東部に位置する温泉だった。
当事者として、やはり一度は訪れておいた方がいいと思っての事だった。
バルディッシュはその途上で様子を見に行ったG-7にあった墓に供えてあったところを貰わせてもらった。
覚醒した自分にはこれ以上もないほど好都合な武器だった。
供え物を持っていくのは気が引けたが、さらなる覚醒のために持って行く事にした。
そして静かに黙祷を済ませると、感電はデンコーセッカの力で走り去って行った。
後には白い灰が風に吹かれて散っていた。
元はシルベストリの所持品であった白手ぬぐいと覆面とマント。
感電の雷撃によって灰となったそれを遺灰のように散らしていったのだ。
さすがに死体にこれ以上手を付ける気はしなかった。
本来の趣旨とは異なる事を知りながらも、それは感電のせめてもの手向けだった。
▼
「行こうか、クーちゃん」
「もういいの?」
「あんまり長い事いるとChain-情くんも喜ばないから。それに時間に余裕もないしね、急ごうか」
「うん。ああ、そうだ。はいこれ」
「これは、スタンドのディスク?」
「マジシャンズレッドのDISC。私はスーパーかがみんのおかげでそれ使えるし、ちぃちゃん使ってよ。
レヴァンティンと相性よさそうだしね」
「ありがとうクーちゃん。じゃあ私もお返しに……」
「後でいいわよ。それより急ぎましょ」
静かなる~Chain-情~の埋葬を終え、暫し黙祷を捧げた地球破壊爆弾No.V-7とクールなロリスキー。
死者への労いをし終えると、二人はダイソウ達と合流すべく移動しようとしたのだが――
「退いてくれぇぇぇぇぇえええええ!?!?!?!?!?」
どこからか絶叫が聞こえるや否や、凄まじい激突音を響かせながら近くの建物に何かが突っ込んで入った。
その瞬間突っ込んだ建物から電撃が走って、辺りは一瞬真昼のような明るさになった。
「えーと、大丈夫ですか……って、感電ちゃん?」
「ははは、やあ地図氏」
爆音の正体は感電だった。
自身の手にかかったフラグビルドにも何らかの手向けをしようと来たのだが、少々不味かった。
デンコーセッカで時間短縮しようとしたまでは良かったが、いきなり目の前に人影が見えたので慌てて方向転換。
結果、近くの建物に突っ込む事になった。
その際に発した電撃は衝撃のダメージを相殺しようとして感電が放出したものだった。
「なんで感電ちゃんがここに? 放送しに行ったはずじゃ」
「あー実は計算違いで時間が若干余って。で、その時間を利用してちょっとここに立ち寄ってみたんだ。
一度ぐらい挨拶はしておきたかったからな」
「そっか……あ、フラグビルドちゃんの墓はあそこ、Chain-情くんも一緒に眠っているよ」
感電は爆弾から場所を教えられると、二人がしたように静かに黙祷を捧げた。
閑散とした市街地に佇む3人を建物から覗く光が寂しく照らす。
「ところでその手に持っているのって、バルディッシュじゃないの」
「え、ああ、その、墓に供えてあるのを借りてきた」
ロリスキーの詰問に言葉を濁して答える感電。
自ら埋葬した同ロワ書き手の供え物だけにロリスキーの声にも険が混じる。
「ま、待ってくれ。終わったらきちんと戻すから」
「本当でしょうね」
「ああ(てか、俺って主催者側にいる事になっているよな。なんで押されているんだ?)」
「まあまあ、クーちゃんもその辺で。感電ちゃんも今度からは気をつけてね。
それと、放送が終わったら話を聞かせてね」
「分かっているよ(何に気をつけたらいいんだ?)」
少し納得のいかない感電だが、気づけば本当にそろそろ放送の時間だ。
用事も済ませたので今度こそ移動……の前に感電は爆弾に近づくと、ロリスキーには聞こえないように囁いた。
「なあ地図氏。まだ最後のアレ、いざとなったらやる気なのか」
「私の考えは変わらないよ――って言いたいところだけど、どうだろう。
使わずに私達の目的が達成されるなら、そうしたいな。私がそんな事したら、クーちゃん悲しむだろうから。
――私、弱くなったのかな」
「それは違うな。誰が言ったかは忘れたが、誰かのためにっていう考えはいいものだ。
それに、元々俺は地図氏にそんな事をさせるのは少し賛成しかねていたからな。
だから地図氏が考えを改めてくれて、少しほっとしているよ」
そう言い終えると、感電はデンコーセッカの力で一足早く放送の場所に向かって行った。
(自己犠牲とか、なりきりのキャラでもしてほしくないしな。
さて、真の対主催として頑張りますか。と、その前に初めての現地放送か。気合い入れるか!)
爆弾もダイソウ達と合流すべくロリスキーと連れ立ってみんなの元へ向かって行った。
(……でも、どうしようもなくなったら『地球破壊爆弾』使うしかないのかな。
――みんなのためにも、私は……)
ロリスキーは爆弾の隣に付きながら、その微妙な雰囲気に気付いていた。
(ちぃちゃん、また一人で抱え込んで。無茶するんじゃないわよ。
しっかり支えよう。さっきのプレゼントもその一歩。
でも物じゃなくて、もっとちぃちゃんの心の負担を軽くしてあげたいな)
三者三様の決意。
その決意は夜の向こうに。
間もなく放送の時間。
書き手ロワ2ndの長い1日がもうすぐ終わりを告げようとしていた。
【1日目 真夜中】【F-7 市街地】
【感電@書き手ロワ2nd】
【状態】:健康
【装備】:バルディッシュ・アサルトBC
【道具】:基本支給品一式、それ以外は不明
【思考】:
基本:真なる対主催として行動。
0:さて、前代未聞の現地放送だ!
1:地図氏や魔王とは、また放送後に改めて話し合う。
2:wiki管理人に強い疑心。
3:さらなる覚醒イベントを発生させてパワーアップ。
※見た目はアリーナ@DQ4です。
※スタンド「レッド・ホット・チリ・ペッパー(画鋲型)」が使える。
※周囲を防音する事ができるらしい。
※覚醒により、ロワにゆかりがある電撃・雷系の技が全て使えます。
ある程度こじつけも可能です(デンコーセッカの超高速移動、雷電の蘊蓄など)
【地球破壊爆弾No.V-7@アニロワ1st】
【状態】:疲労(小)、泉こなたの姿、強い決意
【装備】:激戦@漫画ロワ、レヴァンティン@アニロワ1st、マジシャンズレッドのDISC、巫女服(鷹宮神社)@らき☆すた
【道具】:支給品一式、着替え用の衣装(複数)、アダルトグッズ(大量)、泉こなたのスクール水着@漫画ロワ
【思考】:
基本:クールなロリスキーと共にある。
1:DIE/SOULたちと合流。
2:放送後に感電ちゃんから話を聞く。
3:もう迷わない。
4:いざとなったら『地球破壊爆弾』使うしかないのかな。
※基本的に中身はアーカードで、CVは平野綾です。
※変化する姿に7つのバリエーションがあるらしいです。
【1:地球破壊爆弾】【2:アーカード】【3:長門有希】【4:泉こなた】
【5:銃撃女ラジカル・レヴィさん】【6:キングゲイナー】【7:1~6とか目じゃないよ?びびるよ、まじで】
※クーガーの早口台詞が言えます!
※鎖鎌、鳳凰寺風の剣、ソード・カトラス、ノートPCの投影が可能です。
【スーパーキョンタイム】
地図氏以外の者はゆっくりとしか動けなくなります。一度使うとそれなりの時間使用不可能です。
【地図氏の地図】
参加者の位置、生死を含めた地図を投影できます(※長門有希の状態でのみ可能)
使いすぎるとアレなので、毎晩0時にのみ使う事にします。
【クールなロリスキー@漫画ロワ】
【状態】:不死者、吸血姫、スーパーかがみんと融合、疲労(小)、強い決意
【装備】:巫女服(鷹宮神社)@らき☆すた
【道具】:支給品一式、カードデッキ(龍騎)、AK-74(残り28発)、未定支給品×?(ロリスキー確認済み)、
着替え用の衣装(複数)、『村雨健二』の衣装、キュートなシルク仕様の裸エプロン、日焼け止めクリーム(大量)、GL本
【思考】:
基本:地球破壊爆弾No.V-7と共にある。
1:DIE/SOULたちと合流。
2:もう迷わない。
3:ちぃちゃんの支えになる。
※容姿は柊かがみ@らき☆すたです(翼と尾が任意で顕現します)
柊かがみの髪の色をしたドラゴンにもなれます。
ヴァルセーレの剣の刃でできた羽を三対六翼持っています。尻尾はマリンデビモンの触手が変化して8つです。
※何故か不死身です。
※スーパーかがみんと融合し、彼女の記憶と能力を継承しました。
柊かがみがその時点で使った事のあるあらゆる力、アイテムを使用できます。
※地球破壊爆弾No.V-7の血を吸い、独立した吸血姫となりました。
※ミスターマダオの血肉を食らった事で、吸血姫としてランク・身体能力が上昇しました。
最終更新:2008年07月03日 19:57