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 人知れぬ森の中を歩く少女――いや容姿から考えると幼女と呼ぶべきだろう――、地味子はとぼとぼと行く当てもなくさ迷っていた。
「はぁ……ボク、どうしたらいいんだろ」
 諦めの表情というよりは殆ど涙目という感じだ。

 それもそのはず、彼女はあまりに地味すぎるが故に支給品を渡されるのを忘れられていたからである。
 お陰で戦うどころかどんな参加者がいるのか名前すら分かりゃしない。とは言え……
「ボクなんて、きっとすぐにズガンされちゃんだろうなぁ……」
 筋骨隆々の化け物みたいな人間や、自分のスタイルなんぞとは比較にならないほどのナイスバディなおねーさまとか、ちらっと見ただけでもそれはもう個性に満ち溢れた人間がたくさんいた。それに比べて自分は……

「よりによって、なんでこの制服かなぁ……」
 彼女も一葉鍵板の書き手だから分かるのだが、制服はCLANNADのもの。可愛いと言えば可愛いが、どうせなら口調にあわせて月宮あゆのものにしてもらいたかった。いや彼女の場合は制服じゃなくてダッフルコートと羽リュックなのだが。

 身体的にも特徴らしき特徴もない。例えるならキミキスの星乃結美を黒髪にしたバージョンみたいな容姿なのだが、加えて胸がボリュームダウン、身長もボリュームダウンだった。付け加えるなら奇跡の力とかそういう特殊な力もない、ごくありふれた一般人だ。
 こういう人間がロワに参加した場合の末路は決まっている。空気うぜえと言われて序盤でズガンだ。それもそうだろう、こんな人間がいても戦闘で役にも立たない、ましてや彼女は存在感すら薄いのだ。たぶん大規模な戦闘に巻き込まれていつの間にか死んでましたというのがオチだろう。

「イヤ……誰にも気付かれずに死んでいくのは……イヤだよ」
 そもそも、自分が執筆している葉鍵3のルートは殆ど話題にされることもない。カオスなルートを書いているあの人ならきっと嬉々としてこんな状況でも活躍できるのだろうけど自分を助けてくれるとは思えない。いや、それよりも一番怖いのは……存在すら認知されずに一人で死んでいくことだ。
 死んでからも話題にされない、死者スレでも出番がない。それは文字通りの『消滅』を意味する。その様子を想像しただけでも、地味子は泣き出しそうになる。

 それとも、これは天罰なのだろうか。あっさりサックリキャラたちを殺してきた罪なのだろうか。
「そうか……うん、きっとそうなんだ」
 大体独自ルートなんて我がままをやってきた自分だ。リレーSS書きとしてはとっくの昔に失格だったのかもしれない。むしろ高見広春のように台詞もないまま死んでいくよりは、はるかに幸福に違いない。

 そう考え始めると、地味子の頭から急に死への恐怖が薄れ始める。リレーをしなくなった人間など死んでしまえ。
 自分など、リレーもされずに死んでしまえ。
 死のう。

 そう思い立つと、地味子は近くにあった悠に10メートルはある大木に登り始める。支給品もない以上、手軽な自殺方法として飛び降りがベストだ。
 自殺方法まで地味なんだなあと地味子は自嘲せずにいられなかったが、まあそれが自分に相応しい最後なんだろうな、と思った。
 時間をかけて、手ごろな枝の一つに立つ。会場の風景が一望できるかとも思ったが目の前に広がるのは森ばかりで海や空、市街地なども見えなかった。
 綺麗な風景描写すらさせてくれないらしい。
 だけどもういい。後は飛び降りるだけだ。

 地味子は目を閉じ、大きく深呼吸する。
「……あ」
 息を大きく吸った瞬間、地味子はたった一つの地味な特技を思い出した。そう、木登りだ。木登りだったら、どんな高さも登っていける自信がある。
「あは、あははは……なんで、どうして今思い出しちゃうんだろ……いまさら、いまさら……」
 ぽろぽろと大きな瞳から涙が溢れて地面に落ちる。最後に言おうと思った台詞、「取り合えずネタもないから死んどくか」が出てこない。口は震えるばかりでまともな言葉にならない。
 だから、心の中で、叫んだ。

 いまさら……もう遅いよっ!

 前のめりになりながら、地味子は枝から……飛んだ。

「おぉーっとォ! 危ないですよお嬢さん!」
 ……はずだった。

「いやぁ、脅かせてしまったみたいで誠にすみませェん。いえ、こんな真夜中の人気の無い森に独りで居られるうら若き 
乙女を見かけたものの、それを見捨ててゆくような紳士として有るまじき行動を取るなど私の中のシヴァルリィが許しませんので、 
お声をかけさせて頂きました。なお、シヴァルリィというのは騎士道精神のことで、忠義と礼節を重んじ、か弱きものをお助けする、 
といった内容のものでしたが、ご存知でしたか?ああ、これは失敬。話が逸れましたね。それよりもお独りで木に登られるなんて 
危険極まりないですよ。その小さなお体で、まずはご自分の状況を確かめようという冷静な思考力をお持ちなのかも知れませんが、
その精神だけを糧に渡り行くにはこの世界はあまりに過酷。そして何よりこの異常な状況下では、貴方のように可憐でいたいけな女性は真っ先に狙われ、
悪者の毒牙に狙われるというのは、悲しいかな、世界の必定。しかしご安心ください、そんな非常な世界においても、
そこには必ず熱き魂を内に秘めた正義の使者が舞い降りるものなのです。そう、それこそが私! It’s me ! I am the HERO !! 
そして貴方は言わばこの世界に舞い降りた一輪の薔薇の花!! さあお嬢さん、私と共に、この世界を駆け抜けませんか!?
……って、これは私の書いた作品からのコピペ改変なんですがね」 

 地味子を抱きかかえていたのはどっかのアニメで見たことがあるようなすっっっっっっっっっっっごい早口のイカしたサングラスの兄ちゃんだった。
 どうやら落ちる寸前に助けてくれたらしいが……
 目の前の状況を飲み込めない地味子はひたすら喋り続ける兄ちゃんを、ぽかんと口を開いたまま見つめていた。

「おや? お嬢さん泣いているじゃあありませんか? どうなさったのですか、もしや落ちた瞬間貴方の頭の中を走馬灯がよぎって敬愛すべき父母のお姿が見え、
二度と会えぬかもしれないとの痛切な想いが涙を流させたのですか? それは美しいと呼ぶに相応しい純粋で綺麗な感情かもしれないですが、
お嬢さんのような見目麗しい……そう、一言で言い表すなら美・少・女・! には甚だ似合わないものと」

「う……」
「う?」
「うわああああぁぁああぁぁんっ!」
 いきなり大声を上げて兄ちゃん――フリクリ署長――の胸で泣きじゃくる地味子に、流石の署長も戸惑いを隠しきれない。だが、すぐに地味子の身体を抱いてやり、髪を優しく撫でる。
「……失礼。今は、こうしておいた方が良さそうですね」
 怖かった。寂しかった。そして何より……誰かの存在の中にあることが、嬉しかった。
 緊張が切れた地味子の嗚咽は、しばらく、続いた。


【深夜】【C-9 森】
【地味子@葉鍵3】 
【装備:なし】 
【所持品:なし】 
【状態:健康】 
【思考・行動】 
1:緊張が切れて大泣き。

※CLANNADの制服を着用
※その他の設定は後続に任せます


【フリクリ署長@アニロワ1st】 
【装備:不明】 
【所持品:支給品一式、サングラス(クーガー仕様)】 
【状態:健康】 
【思考・行動】 
1:騎士道精神に準じて行動(要するにか弱い女性を助ける)
2:地味子を抱きかかえている

※容姿はサングラスをかけていること以外お任せ
※声もお任せ

004:体は鉄槌でできている。 投下順に読む 006:そうあれかしと叫んで斬れば
004:体は鉄槌でできている。 時系列順に読む 006:そうあれかしと叫んで斬れば
地味子 051:タチムカウ
フリクリ署長 051:タチムカウ



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