―――――限りなく遠く、限りなく近い未来で―――――
人は新たなる資源によって、無限なる進化を遂げた。だが……その進化は果たして正しかったのか?
何時の世になろうと人は争いを繰り返す。それはDNAの遺伝の様に。この進化は果たして――――正しい事なのか?
何時の世になろうと人は争いを繰り返す。それはDNAの遺伝の様に。この進化は果たして――――正しい事なのか?
その答えは――――私が導き出す。
灰色の雲が支配す、光差さぬ暗き空を静謐な灰色を纏いその艦――――プレスディアは潜行する。「敵」から知られぬ様に。
時同じく、戦火渦巻く瓦礫の街に向かって、白き影が落下する。弱き者を――――救うために。
<ハクタカ、ポイント100524を確認>
<こっちでも確認したわ。重力制御システムの使用を許可する。存分に暴れなさい>
白き影の存在に気付きだす、獰猛な野獣を彷彿とさせる「敵」。だが、白き影は臆さない。
白き影は手元の銃を地上に向け、引き金を引く。銃口より放たれし蒼き銃弾が、「敵」を破壊する。
白き影は手元の銃を地上に向け、引き金を引く。銃口より放たれし蒼き銃弾が、「敵」を破壊する。
同時に地上へと降り立ち、町を蹂躙する、操り人形を彷彿とさせる「敵」。白き影は落下しながら拳銃を真下に向ける。そして再び引かれる引き金。
地上を回転する黒き魔方陣より現れいずる、漆黒の機神―――――オウガ。オウガは白き影――――ハクタカへと、意思を示す。
『戦闘承認。我が主よ、命令を』
「断罪を――――開始する」
Beyond the Progres
ヴィルティック・シャッフル2
『確認数は8体。被害拡大を抑える為、接近戦を提案』
遥かなる宙より舞い降りてくる操り人形。凄ましい物量は、灰色の空を覆い尽くす。
地上を焼き尽くす無数のレーザー。無慈悲なるその攻撃に、生きとし生けるものは成す術も無く滅されていく。
地上を焼き尽くす無数のレーザー。無慈悲なるその攻撃に、生きとし生けるものは成す術も無く滅されていく。
―――イルミナスが人類に対する宣戦布告をしてから、全てが変わるまで大して時間は掛からなかったわ。
抵抗しなかった訳じゃない。出来なかったの。あまりにも戦力差があり過ぎてね。イルミナスにとっては赤子の手を捻るよりも容易だったわ。
抵抗しなかった訳じゃない。出来なかったの。あまりにも戦力差があり過ぎてね。イルミナスにとっては赤子の手を捻るよりも容易だったわ。
対抗すべく現れる、武骨な形状をした緑色一色のアストライル・ギア達。抱えた兵器の引き金を引き絞り、空より舞い降りる操り人形へと射撃する。
しかし操り人形は、その攻撃を軽やかに回避し、一斉にレーザーの雨を降らす。いとも簡単に貫かれていくアストライル・ギア達。
ほんの数分で、地上は再び、残酷な静寂を取り戻す――――が。
しかし操り人形は、その攻撃を軽やかに回避し、一斉にレーザーの雨を降らす。いとも簡単に貫かれていくアストライル・ギア達。
ほんの数分で、地上は再び、残酷な静寂を取り戻す――――が。
――――イルミナスは私達が抵抗している間にも、着々に計画を進めている。アイルニトルを使い、時空を掌握せんとね。
もしこれが成功すれば、イルミナスによって人類の歴史そのものが支配されるでしょう。こちらの戦力は絶望的。あまりにもね。
もしこれが成功すれば、イルミナスによって人類の歴史そのものが支配されるでしょう。こちらの戦力は絶望的。あまりにもね。
突如として空を覆う操り人形の前に現れし、オウガ。両手より召喚し、蒼き両刃の剣で次々と操り人形の胴体を次々と両断していく。
どれだけ操り人形が群ろうと、黒き魔神の機動力に追いつけない。自在に空を動き回り、操り人形の胴体部をその刃にて無に還す。
どれだけ操り人形が群ろうと、黒き魔神の機動力に追いつけない。自在に空を動き回り、操り人形の胴体部をその刃にて無に還す。
――――でも、全ての希望が潰えた訳じゃない。ハクタカ――――それはこの世界に光を灯す、一筋の流星。
私達はどれだけ困難な状況下でも、彼の行く道を開けなくてはならない。それがイルミナスに対する、唯一の対抗策。
私達はどれだけ困難な状況下でも、彼の行く道を開けなくてはならない。それがイルミナスに対する、唯一の対抗策。
その時、オウガに鋭利なる白き刃を研ぎ澄ました紅き機体が斬りかかる。
蒼き刃と白き刃――――つばぜり合う二体の刃は、操り人形達を損壊させながら、灰色の雲を強烈な閃光で照らす。
蒼き刃と白き刃――――つばぜり合う二体の刃は、操り人形達を損壊させながら、灰色の雲を強烈な閃光で照らす。
「貴様がハクタカか……」
「――――何者だ?」
「――――何者だ?」
「俺の名はザッシュ。一度貴様と戦ってみたかった。虚無なる英雄よ、俺の力――――受け止めてみろ……!」
「ハッハ―!数だけは多いぜクソッタレェェェェェ!」
曲線と直線が入り混じった、独特なツートンカラーの機体に乗り、その男――――リジェット・トライガムは野獣の如き咆哮を上げる。
機体の両腕に付けられた二基のガトリングは、周囲を囲む操り人形達を鉄クズへと変えていく。ガトリングの銃口より湧き出る硝煙。
が、リジェットの調子と裏腹に、ガトリングは数秒後、激しい回転を止める。
機体の両腕に付けられた二基のガトリングは、周囲を囲む操り人形達を鉄クズへと変えていく。ガトリングの銃口より湧き出る硝煙。
が、リジェットの調子と裏腹に、ガトリングは数秒後、激しい回転を止める。
「ちっ! もうイっちまいやがった!」
「だからそういう戦い方はするなって言っただろ。ただでさえカツカツなんだぞ」
「だからそういう戦い方はするなって言っただろ。ただでさえカツカツなんだぞ」
リジェット機を飛び越え、頭部に角が付けられた機体が襲いかかる操り人形に弾丸のシャワーを浴びせる。動きが止まり連鎖爆発。
搭乗者である、眼鏡を掛けた男――――深山宗明が呆れた口調でリジェットに言う。深山は機体が持っている大きなライフルを連射し、正確に操り人形に穴を開けていく。
搭乗者である、眼鏡を掛けた男――――深山宗明が呆れた口調でリジェットに言う。深山は機体が持っている大きなライフルを連射し、正確に操り人形に穴を開けていく。
「あぁ!? こんな時に金の話すんな! 醒めちまうだろうが!」
「単純馬鹿が……」
「単純馬鹿が……」
その二機をサポートする様に、後方から極太のビームが、操り人形を蒸発させていく。
専用のヘッドギアを脱ぎ、鮮やかな青髪をなびかせ――――エストラ・ロシャンは整った口元に、凶悪な笑みを浮かべた。
専用のヘッドギアを脱ぎ、鮮やかな青髪をなびかせ――――エストラ・ロシャンは整った口元に、凶悪な笑みを浮かべた。
「ま、闘いの真骨頂は肉弾戦だからな!」
二基のガトリングを投げ捨て、鮫の歯の如く尖った大型ナイフを召喚し、リジェットは豪快に笑った。
二基のガトリングを投げ捨て、鮫の歯の如く尖った大型ナイフを召喚し、リジェットは豪快に笑った。
「っと……お客様だ」
宗明がそう言うと、リジェットとエストラはカメラアイを空中へと向ける。
宗明がそう言うと、リジェットとエストラはカメラアイを空中へと向ける。
雲を突き抜け、超高速で飛んでくる一体の機体。その姿は巨大な戦闘機にも見えるが、違う。
明らかに異色なそのフォルムは、巨大な鷲を思わせる。鷲はきりもみ回転しながら、三人に向かって急降下してくる。
そう――――アストライル・ギアだ。鷲の機体色は毒々しさを思わせる紫色に、帰り血の様な赤が点々としており実に不気味だ。
明らかに異色なそのフォルムは、巨大な鷲を思わせる。鷲はきりもみ回転しながら、三人に向かって急降下してくる。
そう――――アストライル・ギアだ。鷲の機体色は毒々しさを思わせる紫色に、帰り血の様な赤が点々としており実に不気味だ。
「おいおい、変形機体かよ……!」
リジェットがそう呟いた瞬間、鷲は宙で回転しながら、本来の姿へと形を変える。
「お前らだな? イルミナスに仇名すカス共は……!」
鷲から一人の男の声が響く。男の音色には、殺し合いを心から楽しむといった残虐性が浮き出ている。
「自分から挨拶とは丁寧だな。何者だ?」
宗明の質問に、男は答える。
「これから殺すカス共に教える名はねえな! さぁ……殺し合いだ! 楽しませろよぉ!」
――――これより我々は大気圏外へと昇り、イルミナスの本拠地へと突入する。現在、ハクタカが航路を開ける為に単身、大気圏外で戦闘を行っている。
その間、我々は地上で出来る限りの抵抗を行う。貴官らの命を……我々に預けてほしい。
その間、我々は地上で出来る限りの抵抗を行う。貴官らの命を……我々に預けてほしい。
地上から宇宙へと、オウガは操り人形を蹴散らしながら急上昇する。オウガの行く先に「敵」は―――――いる。
「ちぃ!」
オウガを捉える様に、大量の植物の種の様な形状のポッドがレーザーを射出しながら縦横無尽に飛び回る。
オウガはロッドを回転させレーザーを防ぎながら、ポッドを操る「敵」へと接近する。
「敵」である、白き機体は、白百合の様な優雅な姿に反し、ポッドを使いオウガに鮮烈な攻撃を繰り返す。やがて、その内の一基が、オウガの背中を捉えた。
オウガはロッドを回転させレーザーを防ぎながら、ポッドを操る「敵」へと接近する。
「敵」である、白き機体は、白百合の様な優雅な姿に反し、ポッドを使いオウガに鮮烈な攻撃を繰り返す。やがて、その内の一基が、オウガの背中を捉えた。
「だが……!」
オウガはロッドの回転を止めた、瞬間。ロッドをレーザーが一瞬にして焼き切る。が、オウガは既にそこに居らず――――。
白き機体の頭部を鷲掴みした。ミシミシと音を立てて、白き機体のカメラアイが割れる。
白き機体の頭部を鷲掴みした。ミシミシと音を立てて、白き機体のカメラアイが割れる。
「ここは通して貰う……」
「やっと会えたな。ハクタカ」
「何?」
コックピット内で、黒き短髪と、赤い眼の少女―――――ナナは、憎悪に満ちた目で、ハクタカへと叫んだ。
「……お前が、お前がいるから……争いは止まらないんだ! 私がお前を殺す! ハクタカァ!」
「この声……まさか、お前は……!」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!」
「隆昭さん!」
ハクタカの蒼きラインが黒く変色し、ハクタカが悲痛な叫び声を上げた。ハクタカの中の男の顔を、青筋が走る。
「マチコさん……隆昭さんは……隆昭さんは救えないんですか……?」
「それは……無理よ。彼を救えるのは……彼しかいないわ」
「敵機が……え? 100……200機以上が降下して来ます!」
巨大なモニター上に映される光景。それは、正に地獄。
空には空は無く、操り人形達が大量の群を成して降りてくる。地上に太陽など、無い。
それでも――――三人は戦う。生き残るために、
空には空は無く、操り人形達が大量の群を成して降りてくる。地上に太陽など、無い。
それでも――――三人は戦う。生き残るために、
「ハクタカが戻ってくるまで、絶対に死なねえぞ!」
「俺達には、守るべきモノがある……お前達には奪わせない、機械ども……!」
「ここで死んでも、悔いは無いわ。お前達と一緒ならね」
「俺達には、守るべきモノがある……お前達には奪わせない、機械ども……!」
「ここで死んでも、悔いは無いわ。お前達と一緒ならね」
「どうして……」
「どうしてそんな目をするんだよ……」
「私は、私は人を沢山殺したんだぞ! この手はもう、どうしようもないくらいに……どうしようもないくらいに汚れちゃったんだ。だから……」
「君の罪は、俺が拭い去る……だから、もう戦うな。サナ」
「何故だ……なぜそこまでして、お前は戦える?」
「簡単な答えだ……。俺は背中に……人類を背負ってるからな」
「素晴らしい……! これが、人間の進化、最終形態だ!」
強固な鎧に身を包んだ、全ての黒幕――――ネクサス。そして―――――。
「戻りなさい、ハクタカ! これ以上戦えば、貴方はアイルニトルに取り込まれるわ!」
「やめて……もう止めて、隆昭!」
「俺は……俺は……!」
「俺は……全てを救う!この身が……滅び去ろうと!」
――――もし……もし、全てが終わったら……
――――ん?
――――もし、この戦争が終わったら、二人で静かに暮らしたいです。苦労するかもしれないけど、貴方となら
――――きっとなれるさ、平和な世界に。
――――信じてます。私、貴方なら必ず出来るって。
「アストライル・ギアを司る要素は何だと思う? 性能? 違うね。
パイロットさ。それが欠けたアストライル・ギアは屑でしかない。そして私は思うのさ。あの機体の強さは―――――そこじゃないかとね」
「―――――シャッフル」
「俺は救ってみせる。この掌で、救える者を全て」
オウガ―――――ハクタカ
「殺せるだけ殺す。無用な者なら味方でも」
ユレイナ――――ナナ
「立ちはばかる者は全て壊す。それが何であろうとな」
ユニティ―ス――――ザッシュ・ロストマン
「要するに弱肉強食の理、だ。弱い奴は食われんだよ。強い奴にな」
メイディクス――――ウェル・ラ―・クィス
「始めよう。人類の新たなる進化を」
プログレス――――ネクサス
「本当にイルミナスの目的が支配だけだと思うか?」
「何?―――――何だ、この反応は?」
「……来た」
Beyond the Progres
ヴィルティック・シャッフル2
「お前が……イルミナスの首脳か」
「如何にも。そして……」
「な……何だと? どうして……どうしてお前が」
「オルト……ロック!」
「全ては計画通りだ。そう、貴様の死、もな」
『戦闘終了。プログレスの勝利を確認』
『任務の完了を確認。乙』
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