―――冬木の中央。そこには常識では考えられない物体が存在していた。
巨大な要塞ともいえる物体と、同じく巨大な天駆ける船。
それらから放たれる無数の弓矢と炎による体当たりは冬木中を蹂躙していた。

ライダーのサーヴァント、ラムセス2世
前回のアーチャーのサーヴァント、安陽王

ライダーはこの冬木自体を破壊し、この地に己の帝国を作り上げるため。
泥に侵された安陽王は己の征服欲のままに冬木を蹂躙する。


それを防ぐために共同戦線をはったセイバーとアーチャーだが、
セイバーは重症。アーチャー……タロスも背後の避難民をガードしているので身動きがとれない。
だが、今や金色の輝きは失せ、体中の到る所……
特にガードしている両腕に罅が入っている。
ライダーの『太光煌く王の神判(アメン・ラー)』を二度もガードし、なおかつ前アーチャーの『一矢千殺(キム=クイ)』 を防御中なのだ。
体を覆う灼熱は衰えないが、ここまでダメージを負ってしまっては、もはや熱線は放てない。
放った瞬間、己の体が自壊をおこしかねないからだ。

「アーチャー!タロスを退かせるんだ!このままじゃタロスが壊れてしまう!」

「だ……だめだよ士郎くん……。ここでタロスを移動させたら……後ろの避難民たちが殺されちゃうよ……。
私を優しく受け入れてくれたこの街のみんなを……殺させるわけにはいかないよ……!!」

「ふん!民などいくらでも湧いてくるというのに……愚かだな!神像の操り手よ!ならば死ね!!」


前のアーチャー安陽王は、さらに己の宝具一矢千殺による無数の矢でタロスやマスターを殺そうとする。
と、アーチャーとタロスの間に何か小さい金属の物体が投げ込まれる。
だが、それは凄まじい勢いで巨大化し、その巨大な剣は無数の矢を全て防御し、全長20mの超大型剣となって大地に突き立てられる。
それは傷を負って消滅寸前のセイバーが投げ込んだ己の剣だった。


「受け取れ!タロス!我が魂を!我が『不尽の巨剣(エッケザックス)』を!!」

本来、エッケザックスは巨人が使用した剣であり、このサイズこそが本来のサイズである。
タロスは、地面に突き立てられたエッケザックスを手に取ると、それを身構える。
タロスの表面を覆う灼熱が、握っている腕を通してエッケザックスへと流れ込み、刃を灼熱させる
だが、巨人が使用した剣であるエッケザックスがその程度で壊れたり溶けたりすることなどありえない。

18mを超える神象であるタロスは、20mを超える超巨大剣『不尽の巨剣』を身構え、そのまま跳躍すると、
体重を乗せた一撃で一気に螺旋を描く九層の城壁結界を切り裂き、『神亀金城(コーロア)』を両断する。

「バ、バカなぁああ!!」

両断されたコーロアは内部の魔力が暴走し、大爆発を起こす。ここに安陽王は消滅した

「フン……。間抜けが。やはり鈍重な亀ごとき使い捨てにもならぬか。
だが、頂点に立つのは常に一人!それは私だ!セイバー!そしてアーチャー!
砕け散れ!《太光煌く王の神判(アメン・ラー)―――!》」

宝具『日輪抱く黄金の翼神(ラー・ホルアクティ)』の必殺走法。
 鷹のような形状の炎をまとい、相手に突進する。


さすがにもう一度アレを食らったら、いかに強靭なタロスといえど粉微塵となるだろう。
だが、回避することもできない。
後ろの避難民たちをあの焔で焼き尽くさせるわけにはいかない。
どうする―――!?
士郎もアーチャーも絶望感に襲われた時、セイバーの声が響き渡る。

「アーチャー!エッケザックスを盾にしろ!!」

セイバーのスキル:『心眼(真)』
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握しその場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が数%でもあるのなら、 その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。

そのスキルが、この場で最善の策を見出したのだ。
エッケザックスはディートリッヒが巨人エッケを倒したときに手に入れた剣。
真名解放と共に巨大な剣に変化し、さらに筋力・耐久を1ランクアップさせる。

巨人の使用した剣の強度は凄まじく、並の宝具ならば十分に盾代わりになる。
だが―――。

ライダーの必殺技、太光煌く王の神判(アメン・ラー)の破壊力はランクA+に匹敵する。
その威力は並などでは到底ありえない。
ぴしり、ぴしりと太陽の船を受け止めている少しづつエッケザックスの表面に細かい罅が入っていく。
その一撃を食い止めるためにさらにセイバーは己の全魔力をエッケザックスにつぎ込む。
どうする?どうすればいい?何もできることはないのか?
……いいや、そんな事はありえない。
衛宮士郎は作り出す者だ。ならば作り出せばいい。作り出すべき手本は―――今そこにあるのだから!

《投影開始(トレース・オン)―――!!》


《基本となる骨子を想定し
     構成された材質を複製し
        蓄積された年月を再現し
           あらゆる工程を凌駕し尽くし──



      ―――ここに幻想を結びて剣となす!!》


凄まじい魔力の奔流がタロスと日輪抱く黄金の翼神との間にあふれ出す。
そこに存在したのは―――士郎が作り出した20mを超える巨剣。
まぎれもなくエッケザックスである。
いかにライダーの宝具が強力であろうと、二本のエッケザックスを突破できはしない。

「くっ……!!」

そのまま空中を飛翔し、大きく距離をとるライダーに対して、
タロスは士郎が投影魔術で作り上げたもう一本のエッケザックスを手にとる。
右腕にはディートリッヒの本来の不尽の巨剣。
左腕には士郎は投影した偽物の不尽の巨剣。
両腕に巨大な剣をもつ威風堂々たる神像の姿。その姿にライダーですら恐怖を抱く。

「くっ、神の化身たる私が恐れを抱くなど……ありえん!ありえぬぞ!!」

士郎が読み取ったディートリッヒの戦闘経験による剣技とそれによって培われた真眼。。
それが士郎のパスを通し、エウロペへと流れ込み、さらにエウロペから自らの宝具であるタロスへと流れこむ。
いまや、タロスは完全にディートリッヒの剣技を再現できるのだ。
二本の両手の不尽を構えながら、タロスはライダーへと突進する。
それを見て、不尽の巨剣に己の全魔力を注ぎ込み。己の体を消滅させながらディートリッヒは叫ぶ。

「古の偶像など、粉砕するまでッ!!
我が刃こそは神を断つ剣なり!」

ディートリッヒの剣技を完全に再現した、タロスは、両腕のエッケザックスを華麗に振い、ライダーに攻撃を仕掛ける。
華麗にして壮絶な連続攻撃。その刃には、いかに太陽の船、日輪抱く黄金の翼神であろうと耐えられるものではない。
日輪抱く黄金の翼神は、巨神の刃に断ち切られ、粉砕されていく。

「バ、バカなああああああああっ!!」

「おおおおおおっ!!我が刃に!」

「断てぬものなし!」

士郎とディートリッヒのその言葉のとおり、神の船である日輪抱く黄金の翼神は粉微塵に打ち砕かれ、爆発した。