<建国王ロムルスのトラぶる道中記>
●事件編
 冬木郊外には特殊な森がある。清浄な空気と満ち溢れる魔力に守られた特異な森…
 そう、かの建国王ロムルスがその宝具で形成した大森林である。
 永遠の繁栄を象徴するその森は見るものを圧倒し、いつしか知る人ぞ知る冬木の名所となっていた。
ロムルス「いやまぁ、知る人といってもマスターとサーヴァント連中くらいなんだがな」
 人払いの結界が張られてますからね。神秘の隠匿、これ重要。
 だがしかし、お菓子菓子。その繁栄の森に今、異変が起きていた。
 そう、森の木々が伐採され、切り株と化していたのである・・・!
ロムルス「お・・・俺のローマが・・・ローマの繁栄が・・・いったい誰がこんなこと・・・酷すぎる・・・!
    いくら敵を許し己が民として迎え入れる俺でも、これは許せんぞ!
    マスターかサーヴァントしかここに来れないうえ、この森は仮にも守りの宝具、魔術師風情には破壊できるはずがない・・・
    となれば、犯人はサーヴァントの中にいる!絶対犯人を見つけ出してやる。ローマの名にかけて!」
 余談だが、最近ロムルスは『勝利探偵コナル』というアイルランドを舞台にした探偵マンガ(著:コンラ)を読み、見事ハマった口であった。
ロムルス「確か最近ヴァルハラ温泉とかいうのが湧いたと聞いたな・・・。そういえば、どこかで温泉宿(テルマエ)を造るとかいう話を聞いたような?
    温泉宿といえばこの国では木造建築。さては俺の森で宿を造る気か!?・・・繁栄の木で造った温泉宿とか大繁盛間違いなしだな。
    ともかく、温泉宿を造りそうな連中といえば在る程度絞れてくるか。さっそく聞き込み開始だ」

●推理編(前篇) エリザベート・バートリの証言
バートリ「それで、なぜ妾のところに来たのかしら。妾は風呂に入るの専門よ?」
ロムルス「ああ、その精神の破綻ぶりが我が娘(?)のハーロットそっくり。どうしてあーなっちゃったんだろう。
    俺が育て方を間違えた覚えはないから、アイツが育ち方を間違えたんだろうな。
バートリ「貴方もなかなか良い性格してるわね・・・」
ロムルス「そんな褒めるな。
    それはともかく、風呂好きなら温泉にも興味あるだろう。温泉宿を造りそうな連中について心当たりはないか?
バートリ「そうね。まず建築王のラメセスとかネブカドネザルかしら?でもこの二人は煉瓦で宿を造ると思うわ。ソロモンも石造建築するでしょうね。
    あの三人は温泉そのものには興味ないでしょう?自分の好きな建物を造ることが目的でしょうからね」
ロムルス「なるほど。正直その三人を最初に疑ったんだが、確かにあの連中は温泉自体には目もくれなさそうだ。
    温泉そのものに目を向け、温泉との調和を好むとなれば、むしろ日本のサーヴァントこそが容疑者か」
バートリ「一応、あなたの国も温泉が大好きだったでしょう。古代ローマの連中も容疑者候補に入れていいんじゃないかしら?」
ロムルス「ないな、それはない。我がローマの民が、ローマの繁栄を約束した木を斬るはずがない。
    助言については礼を言うが、その後の寝言は寝てから言うべきだぞ」
バートリ「あら、ローマの木を傷つけたのはローマの民でしょうに。しかも建築工事が原因で
    伝承的には真っ先に疑うべきじゃないかしら?」
ロムルス「・・・我がローマが、同じ過ちを二度も繰り返すとでも?」
バートリ「繰り返すでしょうね、歴史の必然だわ。人間は愚かですもの。ローマも例外ではないわ。
    暴君の代名詞も、ローマの連中が多いですしね」
ロムルス「・・・そうか、そうだな。歴史は繰り返す。我がローマも、過ちを繰り返すのは必定か。
    だが例え事実であろうともな、吸血鬼よ。先の言葉は取り消せ。
    我がローマ、そしてローマの民への侮辱は王として、そしてクィリヌス(民の神)として許しはしない」
バートリ「暴君であろうとも擁護するの?理解できないわね。
    取り消したところで意味はないでしょう。ネロもコンモドゥスもカリギュラも、みんなローマの暴君だったのだから」
ロムルス「後世の評価では、ローマ人は血の気が多いのだそうだが、これはおそらく事実なのだろう。それを今も実感している。
    暴君であろうとも愛すべき民、許すべき民だ。力づくでも、取消させてもらうぞ」
バートリ「ふふ、いいわよ?美少女でこそないけれど、永遠の繁栄を象徴する貴方の血・・・一度浴びてみたかったの」

●推理編(後篇) ハンニバル・バルカの証言
ロムルス「ここがヴァルハラ温泉・・・なるほど。その辺に無造作に転がった丸太は間違いなく俺の木だが・・・
    どうしたことだ。温泉宿が造られようとする形跡が微塵もない」
ハンニバル「来たか、ローマの王よ」
ロムルス「・・・誰かと思えば貴様か。何の用だ、『カルタゴの雷光』」
ハンニバル「ローマの宿敵たる私が、ローマの象徴たるお前に・・・何の用も糞もあるか
     用件など一つしかないに決まっているだろうに」
ロムルス「・・・貴様の生前に、俺(ローマ)と貴様の決着はついただろうが。
    いやまて、それよりも貴様がなぜここにいる?」
ハンニバル「言うまでもないことだ、ロムルス!我が宿敵の王よ!
     ローマの繁栄を約束する木々は宝具、わざわざ手間をかけて伐採する理由を持つサーヴァントなど、一人しかおるまいに!」
ロムルス「いや、多分スパルタクスあたりも喜んで斬りやがりそうな気がするが・・・
    そうか、我が繁栄の木を斬ったのは貴様か、ハンニバル。そして俺がここに来るのも想定済みというわけだ」
ハンニバル「いかにも。
     いや流石はローマを体現する木、我がファルカタでも斬るのには苦労したぞ?運ぶのは像がいるから楽だったがな。
     さて、生前は最終的に私の黒星だったが、今度はどうだろうな?」
ロムルス「幾度やっても同じことだ。ローマは一日にしてならず、逆もまたしかり。
    たかが英霊一人で我がローマも、そしてこの俺も、打倒できると思うなよ」
ハンニバル「それでこそ我が生涯の・・・いや、死後も含めるなら生涯をも超えた永遠の宿敵だ!
     だが忘れてはおるまいな、我が宝具の効果は亡霊の軍勢を使役するものだということを!
     そして貴様の槍はすでに森となり、此処はその森から遠く離れているということを!」
ロムルス「転がっている丸太の枝もないな・・・どうせ斬り落として捨てたか燃やすかしたんだろう。いいさ、ちょうどいいハンデだ
    貴様の『敵将の武具(スポリア・オピーマ)』、偉大なるユピテルに捧げさせてもらおう!」

●解決編
ロムルス「結局のところ、伐採事件に温泉それ自体は関係なかったようだ・・・俺に推理は無理ということか」
コンモドゥス「温泉に罪はない。ということでしょうな」
バートリ「うわ、あの暴君が敬語使ってるところ初めて見た・・・明日は槍でも降るんじゃないかしら?
    あ、そうしたら町中血だらけじゃない、やったー!でも醜男の血も混ざってるじゃない、やだー!」
コンモドゥス「ローマ人である以上、建国王ロムルスには頭があがらん。『第二のロムルス』を自称した余でも、それは変わらん」
ロムルス「なに勝手に俺の名前使ってるの。いくらローマの民でもやめてくれない」
ハーロット「それより、この温泉気持ちいいわねぇ。ここにテルマエ作りましょうよ。周りにハンニバルが運んできた丸太もあるんだし」
ネロ「まてまて、浴場は丸太ではなく黄金で作るべきであろう。そのほうが美しいと余は思うのだが」
スパルタクス「悪趣味だな。そんな浴場を利用するなど、どんな酷い罰ゲームだ。採用」
コンモドゥス「勝手に採用するな、奴隷風情が。
      だが、テルマエを作るのならばコロシアムも併設すべきだな。久方ぶりにヘラクレスの生まれ変わりとしての血が騒ぐ」
ネロ「・・・コンモドゥス、まだそんな世迷言言ってるのか」
ロムルス「なぁ、さっきから思ってたんだけどさ」
ハーロット「なにかしら?」
ロムルス「なんでキワモノばかり集まってるんだ?っていうかバートリ、なぜここにいる」
バートリ「風呂大好きな私が温泉にいちゃいけないの?
    それと、キワモノばかりなのはアレでしょう?類は友を呼ぶって奴」
ロムルス「ちょっと待て、俺はキワモノじゃない。むしろ正当にして真っ当な英雄だろうが!
    くそ、ローマ関係者でまともな英雄はいないのか!!」
ネロ「余はまともな英雄だぞ?」
コンモドゥス「余もまともな英雄ですが?」
ハロ&バト「「それはひょっとして、ギャグで言っているのかしら?」」
ロムルス「くそ、カエサルとかカミルスとかスピキオとか色々いるはずなのに何故作られていないんだ!
    まさか、これもハンニバルの策略か!!おのれハンニバル!アイツだけは許せない!」

ハンニバル「はいはい、もう全部私のせいだよちくしょう」