マスターV教授(+フラット君)のサーヴァント講座 二時限目


「おはようございますロードエルメロイ二世、次の聖杯戦争講義っていつですか?」
「なに?」

「あっ!ロードエルメロイⅡ教授ぅ。サーヴァントの講義って何時おやりになるんですの?」
「……は?」

「あそこに居るのはマスターV!?次の聖杯戦争必勝講座っていつっスか!?」
「……………」

『拝啓ロードエルメロイ二世様。自分も参加したいので聖杯戦争におけるサーヴァントの講義を是非やってください。やってくれないと暴れ■■、落ち込みます』
「………なんなんだ一体……ファック!」

「フラット、ちょっと来い」「ん?あれ、どうかしたんですか先生?」
「いやな、最近私にサーヴァントの講義をしてくれと言う生徒や講義してくれという嘆願書が私の所に届けられるんだが……
 ……お前、四次アサシンのようにフラットABCDに分裂して裏で何かやってる、なんてことは無いだろうな?」
「先生……いくら流石の俺でも自作自演するほど暇じゃないですよ!」
「………まあ確かにな。お前の場合そんな暇があるならベーオウルフかクーフーリンの聖遺物でも探しに行っているか」
「そうですよ!でもこれが全然見つからなくて……」
「ほう?」
「いえ!なんでもないですハイ!それにしても流石先生って相変わらず人気者ですよね!?」


「クソっしかしなんだって突然……そもそもサーヴァントの講義にしてもフラットにしかしていない───フラットお前他人に喋ったか?」
「はい!他の友達に自慢してやりました!ロードエルメロイ二世の特別授業を受けてき───」
「ベルベット征服パンチ!!」「た───ぎゃ!??い、痛いですよ!何するんですか先生!?」
「何をするんだはこっちの台詞だ!一連の騒ぎの原因はお前のせいかこの馬鹿者!」
「だ、だって普通なら自慢したくなるじゃないですか。先生の講義って元々人気あるし、その内容が聖杯戦争の特別講義ともなると余計に」
「だったらなおさら黙っていろ!おかげで私はな───」
「きゃーーーーー!エルエロイⅡ教授がいる!」「え、嘘本当?マスターV?わぁ本当!素敵……」
「おぉぉっ!!教授、俺たちにもサーヴァントの講義してくださいよ!フラットばっかりズルイですよ!」
「教授、わたしからもお願いします!」「時計塔の名物講師グレートビッグベン☆ロンドンスターの名が泣くぜ教授!!」
「い、いや待てお前たち!私はだな───っ!!」
「「「「マスターV!マスターV!マスターV!マスターV!」」」」
「マスターV!マスターV!マスターV!先生はやっぱり人気者ですね───ぐあ痛いっ!」
「フラットォ後で覚えておけよ!?……判った!判ったからこんな所で騒ぐな!今からやってやるから受ける気がある奴は第三室に来い!」
「うぉおおおおラッキー!」「わたしロードの授業初めて!」「実験は後日やると伝言してくれ!」「流石プロフェッサー・カリスマ話が判る!」


「な……なぜこんなにも集まる────?」
「あの先生。弟子の俺がこう言うのもなんですけど、先生はもうちょっと自分の人気度を理解した方が良いんじゃないかと」
「い、いやだって、今からやるのは別に魔術の講義じゃないんだぞ!?しかも聖杯戦争は私が解体したからもう起こらないんだぞ?」
「いえ”ロードエルメロイ二世が何かの講義をする”ってだけで時計塔の生徒なら集まると思いますよ?講義内容以前の問題で。まず損はしないですし」
「なあフラット。もしかして私は────墓穴を掘ったか?」
「う~ん……墓穴掘っただけじゃなく墓石まで建てちゃったんじゃないですかね?現に今生徒間で凄い勢いで噂が伝播してますよ?」
「は、はは…………ファック!クソ、サーヴァントの講義を始めるぞ!やる気のある者は遠慮しないでいいから退室してくれ!」
「今回やるのは第二次皆鯖のシグルド フィン・マックール パリス ロスタム セミラミス アステリオス 壱与の七体だ。
 これだけ居れば前回の講義を知らない者もいるだろうから簡潔に説明する。我々マスターがサーヴァントに求める三つの要素は───」
「サーヴァントの戦力、サーヴァントの扱い易さ、マスターの負担の少なさ、大きく分けてこの三つです!」
「………そ、その通りだフラット。おほん、今フラットが言った通り”正規のマスター”にとってはこの三点、特に戦力と扱い易さが最重要素だ」
「エルメロイ教授、質問があるのですがよろしくて?」「なんだ?」「正規のマスター、とはどういうことでしょうか?」
「簡単なことだ。”正しい手順で聖杯戦争に参戦した魔術師”が正規のマスターに分類されると言うだけだ。
 稀にだが居るらしいからな。巻き込まれる形で聖杯戦争に参加するマスターや聖杯自身が数合わせで選ぶマスターやそもそも魔術師でないマスターなどがな。
 そういうイレギュラーを不正規マスターに分類している。まあ要するに例外マスターたちの事だな。
 私はその手の例外連中の事は除外しているのだ、そういう手合いは個別で講義した方が手っ取り早い」
「なるほど、わたくし達のような真っ当な魔術師にとっては魔術師モドキの事は関係ない、と言う事ですか」
「そういう事だ。では続ける。まずはセイバー、シグルドだ」


「お前たちも知っている者が多数いると思うが北欧神話最大の英雄なのだが……こいつは解説の必要性はあるのか?」
「「あるに決まってるじゃないですか!」」
「正直こいつは完璧過ぎてあまり分析する部分が無いんだが……まあご覧の通り最強のセイバークラスに相応しい能力値だ」
「うわマジ強ええ……」「俺、なんとなくプロフェッサー・カリスマの言いたい事が判った気がする……」
「まあ皆鯖シグルドにとって能力値などまだまだ序の口だな。それに実際問題として『実物』もこのくらいのステータスはあるだろう」
「そっか作中でのグラムの扱いや知名度、セイバー基本値を考えるとこのくらいはあってもおかしくは無いんだ」
「さてシグルドの中で一際存在感を放っているのがやはりこの二つの宝具だな。まずファフニール竜の流血で得た竜血鋼鱗からいくぞ」
「先生、何度見てもこれ鬼性能です!絶対最強ですって!ヒトラーやナポレオンなんて目じゃないですよ!」
「フラットお前この前は最強な皇帝に会いたいだのとか言ってなかったか?」
「いいえ時代はシグルドです!」
「…………まあ、着眼点自体は間違って無いか。能力値と宝具を見ての通り戦闘でシグルドに勝てる奴は殆ど存在しない。
 何しろAランクの通常攻撃でもまともに損傷にならないからな。よってAランク攻撃+魔力放出スキルなどのプラスアルファが無いとダメージにならない。
 おまけに何の冗談か解放能力まで備わっている。真名を解放した竜血鋼鱗の前では宝具・魔術・呪いなどの攻撃全てが無効化されてしまう」
「あのところでロードエルメロイⅡ教授、正直この魔術や呪いの無効化に意味あるんですか?」
「あまり無い。なにせ対魔力がAランクだ。宝具が無くても魔術、呪術がまともに通用するとは思えん」

「次に魔剣グラムだ。A++ランクと言う最高ランクに加えて余波による無差別攻撃まで付いている。ハハいやエクスカリバーよりも迷惑な魔剣があったものだ」
「あの~先生。真面目な話なんですけど、聖杯戦争でこのシグルドを召喚すれば勝てますか?」
「ん?……ああそうだな……、フラットの言う様に普通に勝てるだろうな」
「おいおいマジ必勝法来たよ!」「ええいシグルドだ!シグルドの聖遺物が無いかお爺様に聞くんだ!」「どうやったらシグルド召喚できますか!?」
「ええい静かにしろ!ステータス、宝具、クラススキルと攻守共に完璧。伝承の通り最強の幻想種たる竜すらも倒した経験値。正直負ける要素を探す方が難しいな」
「プロフェッサー、これぶっちゃけ勝てるサーヴァントって居るんですか?」
「勝てるサーヴァントか?超宝具持ちのギルガメッシュ、グラムと同等かそれ以上の破壊力があるであろうラストファンタズム持ちのアルトリア、ヘラクレス、
王の軍勢の数で攻められるイスカンダル、因果の逆転の槍クーフーリン、多様宝具持ちのエミヤ、あと相性の問題で宝具殺しのディルムッド、とまあ勝てそうなのはこの辺りか?」
「え、たったそれだけ?」
「太陽剣グラムは魔剣のカテゴリの頂点にあり、尚且つ本人は北欧神話最大の英雄。
 この段階でほぼシグルドもヘラクレスやアーサーと同様に最強の一角の一人として君臨していると考えられる。
 よって真っ向からシグルドを打倒したいのならシグルドと同格の英霊じゃないとまず無理だろうな」
「なるほど同格かぁ。だから対抗できる英霊がそんなに沢山はいないのね」
「さて、これだけ無敵臭がするシグルドだが必勝を期すならば戦闘力が低いマスターは戦場に一切出るな。それと背中の弱点の対策を必ずしておけ。
 普通の頭が働くマスターならば確実にこの弱点は狙ってくる。特にハサンのようなアサシンには細心の注意を払うように」
「教授なんかその隠れてるだけって……聖杯戦争に参加してるっぽくないんですが……」
「確実に勝ちたいならば、の戦略だ。自信のある奴は別に戦場に出ても構わん。まあそうだな大抵の敵はグラム一つもあれば十分なんだが、
消耗の激しい竜血鋼鱗の真名の解放とグラムによる周辺の被害には十分に注意をしておけ。グラムはあまり場所を選ばないで使用すると確実に監督役に目を付けられるぞ?
 それから膨大な魔力消費の問題で二つの宝具の同時使用や連発は自殺行為だ、シグルドは勿論の事マスターまで魔力供給で巻き込まれかねんから絶対にするな。
最強の駒で自滅したなんて笑い話にもならんぞ?」



「さてと少しシグルドが長くなったが次はランサー、ディルムッドやクーフーリンと並ぶケルト神話の大英雄フィン・マックールに入る」
「へーいエルメロイ教授質問なんですけど、このフィンを召喚したら本当に爺さんが出てくるんですか?」
「………普通なら全盛期の姿で召喚される為そういう事は無いんだが、このフィンの場合は無いとは言い切れない……」
「うわぁ、俺爺が出てきても全く嬉しくねえ!」
「恐らくマスター次第だろう、若い姿で現れるか老人の姿で現れるかは。まあエーデルフェルトの者がマスターなら間違いなく両方が出てくる。
 で能力値はと、ほぅ流石は魔術を扱うだけあって魔力ステが高いな。クラススキルの対魔力もCランクと十分に高い」
「先生ー!早く宝具行きましょう宝具!」
「では血統の青槍だが宝具系統は解放系で使用者を補助するタイプだな。精神干渉無効化。対魔力がAにアップ。全ステータスがアップか」
「なんか地味ですわね」
「地味さと使えなさを履き違えるな。元々フィンにド派手さは必要無い、素早く堅実且つ確実に敵対者を葬っていくのがランサーだ。
 それにビルガを使用したフィンの能力値は大英雄の名に相応しいものだぞ?これならセイバークラスと張り合っても遜色無い」
「そうか、そう言われれば幸運以外は全てBランクを超えるですよね。確かにこれなら」
「さてフィン・マックールと言ったらやはり知恵の鮭より得た力だな。ふむ超回復に状況打破能力か。いやいやまさにランサーに相応しい堅実に勝ち進むサーヴァントだ。
 宝具を使った高能力値による通常戦闘、魔術、回復能力、状況打破能力とフィンは実に幅広い戦略を可能とする。これこそがフィンの最大の武器だろうな」
「先生~フィンはキャスターみたいな絡め手も出来ますかね?」
「まあ可能だろうな。真っ向から勝負も出来るし裏からも手を回せる。戦力、扱い易さ、負担の少なさが揃っている良いサーヴァントだ」
「ということは?」
「後はフィンとマスターの相性と敵の火力の問題だな。聖杯戦争の組み合わせ次第ならば十分に勝てる筈だ」


「次はっと、アーチャーパリスですね先生」
「ついに出たか神話最大級のトラブルメイカー。経験から言わせて貰えばアーチャーと組んだマスターは多分足並み揃わず空中分解するぞ……」
「うわあ、プロフェッサーカリスマにしては珍しく初っ端から酷評だ…」
「能力値は弓兵クラスらしく宝具一辺倒だな。まあパリスの見所はステータスよりもスキルの方か。特に単独行動がAなのはご愁傷様としか言えん」
「先生、パリスは幸運系のスキル───というよりはなんか幸運系英雄って感じですよね?」
「ラック系英雄か、ふむフラット中々言い得て妙だな。パリスの性能はまさにそんな感じだ、幸運だけじゃなく不運も持ってくる辺りが特に」
「あのロード?神々の加護スキルの神霊レベルの支援とは?」
「神霊レベル……ま考えられそうなのは天変地異や天意辺りか?落雷、地震、津波、火山噴火や天啓、呪い、運命介入なんかも有りそうだな」
「天変地異ってうげ、なんちゅーデタラメなスキルだよパリスの癖に」
「さて宝具の一矢報いし天の光明だが、ふむ実にシンプルな弱点追尾の宝具、まさに必殺の矢だな」
「そういえばこの宝具ってシグルドの天敵になりませんか先生?」
「んー、いやどうだろうな。どこぞの騎士王が投影螺旋剣の真名解放や宝具の弾丸を素で叩き落としてたりしてるからな。
 解放したアポロンの矢は見た感じだと炎や熱線のような無形とは違う形を持った固形の宝具の様だから大英雄クラスなら打ち落とすのは可能か?」
「フルンディングやゲイボルクと違って弾かれた後の再追尾機能もないですしね」
「ではロードやはり作戦を練る等して機を窺わないと難しいですか?」
「格上相手だと真正面からでは成功率はかなり低いな。下手をすれば宝具戦にもならずにパリスが敵に殺られる可能性がある。と言うよりパリスを真正面から戦わせるな」
「あ、やっぱり?」「アーチャーだしな」「つかパリスだもんな」「まパリスだし」「ファッキューパリス!」
「総評だが戦力的にはイマイチ、扱い易さと負担は……神々の加護といいパリスの性格といい少々不確定要素が多いか。だが女のマスターは悪い事は言わない選ぶな」



「えー。ライダー、ロスタムに入るぞ」
「先生!俺この英雄知りません!」「俺もこいつ知らないっス」「教授はご存知なのですか?」
「いや知らん。………お前らなんだその目は?当たり前だろう中東だぞ中東?そもそも西洋とは魔術基盤が違うんだ、むしろやたら詳しい方が変だ」
「まあ中東の民族叙事詩ですもんね。ギリシャ神話やケルト神話ほど有名じゃなくて当然ですよ。所詮はマイナーですマイナー」
「さて、そのマイナー英雄だが。断じて所詮マイナーとは侮れない能力だぞ?日本での知名度を考えると出力が若干落ちるかもしれんがそれでも十分な能力だ」
「おいおい筋力と耐久がAいっちゃってるよ……うわぁおまけにスキルが戦闘続行Aと勇猛Aかい!」
「うむ良い所に目を付けた。このライダーだが宝具も見ての通り真っ向勝負のライダーだ。イスカンダルやメデューサとは若干タイプが違う」
「先生、征服王やメデューサと若干違う、って何がですか?」
「ん?ああ、あの二人も真っ向勝負のライダーではあるが何気に裏からも手を回したり出来たからな。あの馬鹿王は戦略で電柱女は高等魔術でと言った具合にな。
 それに対してロスタムはステータス、スキル、宝具能力的にも真正面から敵と戦って討ち破っていく、むしろセイバーランサーに性質が近い。
 こいつは宝具が少し変わっていて条件付き能力上昇の宝具を持っている。勝てば勝つほど戦力を恒久的に上昇させ有利になれる。よってマスターはガンガン勝ちに行くべきだな」
「それはつまり、小細工無用と?」
「そういうことだ。多分ケイネス師やトオサカやマクレミッツのような強力な戦闘手段を持っているマスターとは噛み合う筈だぞ」
「トオサカ……ゲ!おいトオサカとエーデルフェルトは此処には居ないよな!?」「あワタシなんか帰りたくなって来た……」
「ええい静かにしろ!あの二人はこの間やらかした件の責任を取っている最中だ。話を戻すが竜馬との絆は解放系では無さそうだな」
「ロード教授ーそれって強くないって事ですかー?」
「いや竜種と張れる竜馬の潜在能力的に多分騎英の手綱前のメデューサの天馬や神威の車輪の神牛みたいなのが出て来る筈だ」
「……………弱いとか言ってすいませんでした」
「解放系の能力が無い分マスターの負担は悪く無さそうだな。属性も秩序・善ならまあさほど致命的な事態にはならないだろう」
「はいロードエルメロイ、属性ってなんか関係あるんですか?」
「確証の無い私的な意見で悪いが、方針が秩序のサーヴァントはマスターへの裏切りが殆ど無い忠実な者であるケースが多い。
 アルトリア、クーフーリン、ディルムッド、ハサンなどな。逆に裏切ったのは中立のメディアにエミヤに混沌の英雄王、メデューサやジルも相性が悪ければ危険だな」
「先生メデューサってそんなに危険ですかね?」
「相性の良いマスターとなら文句無しに上手く行くだろうが彼女が気に入らないマスターとならどうなるか判らん。少なくとも誰とでもやっていける奴では無い」
「ではロスタムのまとめに入る。共にゴリ押し出来る攻撃特化のマスターか、サポートに優れた補助特化のマスターが選ぶと良いだろう」


「アサシンのセミラミスか」
「いや~毒婦が来ましたねえ。ところでエルメロイ教授はどのような女性がお好みなのですか?」
「………何故一斉に私に注目するんだ……特に女生徒諸君!」
「そりゃだって先生は時計塔で抱かれたい男№1の称号を持ってますし」
「ファック、下らない事を言ってないでさっさと終わらせて帰らせてくれ。でこのセミラミスだが……ハサンと違い本職では無いな。
 攻撃力的にも真っ向からの暗殺はまず無理か。そしてスキルは神託に一流の魅了か。ふむディルムッドの魔貌と同種の呪いだな」
「先生!ズバリこのアサシンどう使えば良いんですか!俺じゃ全く運営方法が思いつきません!」
「セミラミスは謀略型の暗殺者だ。その性質はキャスター寄り、となればどうすればいいか。フラット答えてみろ」
「え、え~と、うと、権謀術数による、絡め手……とか、ですか?あ、いややっぱり違いますね」
「いや正解だ。セミラミスは絡め手で攻めるのが一番威力を発揮出来る筈だ。むしろ戦闘技術には期待しない位の方がいいだろう」
「しかしロード権謀術数と言ってもキャスターでも無い彼女で何をすればいいんでしょうか?」
「そうだな。とりあえずだが宝具の性能とスキルを有効活用するなら敵マスターの陥落だな。上手くやれば令呪なりで敵サーヴァントも奪える可能性もある」
「「「おおおおーーっ」」」
「だがまあ、そこまでの状況を整える方が大変だ。特にマスターはアサシンの傀儡にされる可能性が非常に高いから注意しろ」
「オ、オレこのアサシンを選ぼうかなぁ?」
「悪いことは言わんから止めておけ。燃費は良さそうだが耐魔能力がよほど高いマスターでないと手駒にするには少々リスクが高いサーヴァントだぞ」


「次はアステリオス、バーサーカーなわけ───」
「先生!ミノタウロスって最強臭くないですか!怪物ですよ怪物!」
「はぁ……フラットまたそれか?」
「うっ、で、ですけど能力値とか凄くないですか?」「あの教授、お言葉ですがフラットの言い分も一理あるかと…」
「一理も二里も無い。運悪くアステリオスを召喚したマスターはご愁傷様。自ら選んだ馬鹿者もご愁傷様、結果は同じだな」
「うう、先生酷い……orz」「ところでロード、こいつはそもそも英霊なんスか?」
「かなり微妙なところだがまあ昔の第四次以前の聖杯戦争ならともかく現在の聖杯戦争なら絶対に有り得ないとは言い切れん」
「まあこういうキワモノは何か怪物のサーヴァントみたいな専用のエクストラクラス辺りで出てきそうな感じですよねー」
「しかし、狂化がAランクなぞもはや冗談としか思えんな。こんなもの一流のマスターでも無い限り制御出来るわけが無いぞ…」
「プロフェッサー質問です。ワタシがこのサーヴァントと契約するとどの程度いけますか?」
「ふ、む………君の魔力量だと……良く持って一週間、まともに戦闘したら三日程度で魔力を枯渇されて死ぬだろうな」
「み、三日……?あの勝てるとか良い所まで行けるとかそういうのも無しですか?」
「あのな、そもそもこいつは理性が完全に無くなっているためマスターを認識しているのかさえ怪しいものだぞ?
 それに過剰の強化はその分キッチリとマスターの負担に直結する。この世は等価交換だ、君の魔力ではどう考えても持たない」
「さて話を戻すぞ。スキルは流石は怪物と言ったところで自己改造に怪力と怪物属性スキルがてんこ盛りだ」
「あのこのスキルって良くないんですか?」
「いや良いか悪いかで言えば十分使えるスキルだが長い目で見ると諸刃の剣だ。この手のスキルは使えば使うほど怪物化が進むからな、つまり…」
「えと。マスターがアステリオスに殺される危険性なども出てくる?」
「ああ。特に宝具が一定条件下で自動発動するバーサーカーのマスターにとって非常に危険なものだ。
 本来なら弱まった魔力の回復の為の宝具なのだろうが……どう考えても消耗の激しい狂戦士クラス向きの宝具では無い。
 最悪、生贄による魔力回復と消費する魔力が拮抗してマスターの苦しみに見合わない回復量になる可能性が否定できないのが怖ろしいな」
「骨折り損のくたびれ儲け、ですか」
「ああ戦力的には良いのだがマスターの持久性に難有りのとにかく危険極まりないサーヴァントだ。これなら安全弁のあるスキュラの方がまだ安全だな」


「そして最後にキャスター壱与だ」
「あー、あー、あーなんて言うか、あー……か、可愛いサーヴァントですね!」
「フラット、下手な慰めは本人だけでなく時に周りをも苦しめるんだ」
「酷い先生!いくらなんでもこのキャスターは全く使えないドハズレサーヴァントだなんて言い過ぎじゃないですか!」
「誰もそこまでは言って無いだろう!!」「でも似たようなことは考えてらっしゃるんですわよね?」
「……まあ確かに私だったらこのキャスターは選ばないだろうな。なにせ勝ち目が薄いどころかマスターの生存率も高くない」
「えと先生、具体的に彼女のどこが良くないんでしょうか?」
「フラット、お前この壱与にまともな戦闘経験があると思うか?」「あー、えー、あー、んー……?」
「つまりそこが最大の弱点だ。敵が戦闘経験超豊富な勇者英傑豪傑軍師揃いの聖杯戦争の中でこれではあまりに心許無い」
「そ、そこはその、マスターがフォローしてあげれば……なんとか?」
「馬鹿を言うな。英雄とも呼ばれる連中の経験値に我々のような人間程度が太刀打ち出来るわけが無いだろう。
 まあ確かに彼女は偶像として祭り上げられた言わば傀儡少女だ。マスターにとって扱い易さはピカイチではあるだろうが……」
「キャスターの経験値不足をカバーして戦い抜ける程のマスターはそうは居ない、と?」
「うん。そこまで戦闘特化な者は封印指定執行者や聖堂教会の代行者や埋葬機関員くらいしか思いつかん」
「それともう一つ難点を挙げるならば、壱与の魔術である鬼道の使い勝手が不確かのなのも少し問題だな」
「不確か?いやそれよりこの鬼道ってなんです?」
「恐らく我々とは基盤が別のニホンの魔術なのだろう。系統的には祈祷の類か?まあともかくだ。
 この鬼道は非戦闘時には色々と便利なのだが、戦闘時に依頼拒否で魔術が発動しない可能性もあるのが少し悩みどころだな」
「ああ、だから不確かと。普通の魔術なら攻撃魔術を使えば魔力が足りる限り発動はできますからね」
「宝具自体は攻防一体の宝具で悪くないんだが、やはり相性的な面を考慮しても不利なのは変わらないな」


「さて以上で個々の解説は終了だ。今から総評に入る。第二次皆鯖の有力なサーヴァントはシグルド、フィン、ロスタムの三名だ」
「セイバー、ランサー、ライダーかあ。前回の一次皆鯖の講義もセイバーランサーが優秀と判を押して貰えてたし流石は三大騎士クラス」
「やはりこの中ではシグルドが群を抜いているな。普通にやればこいつが勝つだろう。ではフラットこの三名の注意点を挙げてみろ」
「えー、シグルドは物語での絡ませ難さ、フィンは外道爺さん時の性格、ロスタムはマイナーゆえの存在感の薄さ、です!」
「はい良く出来たな。出口はあっちだぞフラット?」
「自信あったのに………orz」「なまじ間違ってない分なんとも言えないわね……」
「ふぅ。シグルドの宝具はどちらも魔力消費の激しい。いくら最強と言えど連戦や宝具使用での魔力不足にはマスター共々十分注意しておけ」
「シグルドは魔力不足による自滅に注意、とメモメモ」
「次にフィンは対軍対城宝具との打ち合いには向いてないからそこに注意しろ。
 対人宝具の規模ならば親指での状況打破能力で対応も出来るだろうが広範囲攻撃になるともう状況打破云々の場合ではないからな」
「フィンは対軍対城宝具で消し飛ばされる前に片を付けるべしっと」
「そしてロスタムはセイバーランサーに性質が近い分、キャスターなどの権謀術数には注意しておけ。対魔力が高くない分付け込まれるならまずここだ」
「ロスタムは絡め手に注意しましょう、まるっと。ところでロード?五次や四次聖杯戦争のサーヴァントの解説は?」
「物自体は出来ているんだが数が居る分長くなってな。その内どこかでひっそりと補習でもやるから物好きだけ受けに来い。ではこれで二時限目を終了する」
「「「「ありがとうございました教授」」」」
「次からは二度と私のところに来るなよお前たち!それではな」



 ────後日。

「ところでフラット、シグルドの竜血鋼鱗の解放はAランクより上の宝具とやり合った場合どうなるんだろうな?」
「え?」
「いや、二時限目の講義の最中からずっと思っていたんだが説明内容とランクが全く噛み合って無いからな。
 宝具の説明内容を取るのかパラメータールールを取るのかで悩んだんだ。
 説明内容を重視するならランクはA+なりA++の方が矛盾が少なくて済むなっとな。まあ大した話じゃない」
「まあそんな事より先生とりあえずお疲れ様です!次はいつ第三次皆鯖の講義やるんですか?」
「ロード、次はいつです?」「教授ワタクシにも!」「プロフェッサー次はー?」
「………ファック!私の平穏を返せフラーーット!!」

                                     ~Fin~