最初に・・・・私はそれでも冬将軍が好き。というわけで士郎鯖信長と言っていた人には最初から断っておきます。


  ――真白の大地。
   勝者なき戦の勝者。
   厳冬の名を持つ将軍は、一人子供のように泣き続けていた――

「恨むなら自分のバッドラックを恨みな、ボォイ。コイツでラストだ」
 カウボーイの手にあった銃という武器は、人の限界をたやすく突破する。
 ゆえに、銃に当てるか、避けるかという選択はない。
 当たるか、当たらないか。人を超えるが故に、それは一方的な死でしかない。
 どうしてそんなに簡単に人を殺せるのか。
 どうしてそんなに簡単に人に死を押し付けるのか。
 その人が俺であるか否かに関わらず、
 俺は、それが、許せなかった。
 だから、彼女がいつ現れたのか、それは覚えていない。
 アサシンのスキルがそれを見せていないのかもしれない。
 ただ、この眼に植えつけられたのは、
 月光に氷の髪と氷のドレスを煌かせた少女が、俺を抱きしめるようにして庇う、その姿だった。
「召還に応じ、アサシンのサーヴァント、参上しました。
 これより私は貴方の城砦となりましょう」

  ――それは罪。
   冬の娘、自然の触覚として生まれた彼女が、
   人の世に関わる、それだけで罪――

「衛宮君、聞いているの!?
 あなたのサーヴァントは英霊なんかじゃない。
 もっと危険な、滅びの属性を持つ精霊なのよ!?」
 遠坂の怒鳴り声が夜に響く。
 ああ、不思議だ。
 こうして怒っている様子をみれば、
 普段の遠坂が猫をかぶっているだけなのが、良く理解できる。
 それでも、遠坂は・・・
「遠坂、おまえって、いい奴だな」
「なっ――っ!」

  ――そう、私は英霊じゃない。
   人として生まれた生き物ですらない。
   人を殺す風、人を殺す雪――

「二人とも、お話はおしまい?
 じゃあ、もう殺してもいいよね。
 どうあがいても、私のサーヴァントには勝てないんだから。
 だって、私のバーサーカーは、世界を滅す運命にある神の化身だもの」
「・・・まさか・・・ヴィシュヌのアヴァタール、カルキ!?」

   ――だから、私は一人だけの将軍。
    だれもいない白い大地で、
    ただ一人泣き暮れる――

「・・・これほどのものとは。
 見事である、アサシンのサーヴァントよ」
「おい、お前! どうしてだよ!
 どうしてその槍を使わないんだ!
 槍を使わないランサーなんて、意味が無いじゃないか!」
「我がマスターよ。騎士には勝利よりも重いものがあるのだ。
 この槍こそ私の罪。
 使ってはならぬ槍を使い、国を荒らした罪。
 その罪を重ねることは、私には出来ない」

   ――ならば、私は。
    三度国を白く染め上げ、
    敵味方無く死においやった私の罪は――

「ひ、引っ付きすぎだ、アサシンっ」
「マスター。こうしないと、私の宝具による気配隠蔽の効果が及びません」
 吐息のくすぐったさと、滑らかな肌に心臓が早鐘になる。
 ええい、くそ。
 気配を潜めるすぐ先では、罪を怖れぬ魔王の名を持つアーチャーと、
 全てを守らんとするセイバーの戦いが始まろうとしている、こんな時だというのに。

   ――それでも、私は罪を重ねる。
    愛する大地を、愛する人を守りたいという罪を。
    聖杯よ。願望器よ。どうか私という災厄を、消してください――

「士郎とやら。
 そちが聖杯を望まぬ?
 先の聖杯戦争のことは、既にわらわは聞き及んでおる。
 さぁ、万能の聖杯に今こそ祈るがいい。
 あの、10年前の災厄を、今こそやりなおせるのじゃ」

   ――ああ、マスター。
    それを望んでください。それを望んでください。
    災厄になど、意味は無いのですから――

「俺は・・・俺は・・・・」