2体の英霊が向かい合う

1体は金色の鎧に身を包む黄金の騎士

英雄王ギルガメッシュ

この世の全てを得た王の中の王

対して向かいあうは優れた体格の英雄

第五次聖杯戦争のライダーのクラスに現界したセルビア民話の勇者・ストイシャである

「貴殿が前回の勝者にして聖杯の所有者に相違ないな?」

「誰に口を利いている。聖杯が我の、この世のすべての宝が我の財であることなど今更貴様に問われるまでもない」

英雄王の返答に対し、ストイシャはかすかに笑った

その表情に少しイラつきを覚えた英雄王はスレイシャに問いかけた

「貴様は一体なんのために聖杯を求める?我が財を奪おうとするからにはそれ相応の理由があるんだろうな?」

その問いかけに不敵に笑って返す

「俺が欲するのは聖杯ではない。そんなものはマスターにでもくれてやる。理想、悲願があるとすればそれを得る過程がすべてだ」

「ほう。では、聞いてやる。雑種よ、貴様の理想、悲願とはなんだ?なにを掲げて我の前に立つ」

「俺はな英雄王よ。三匹の竜を倒して酒と飯を得た。そして、帝竜と戦い最高の兄弟を得た。
 そんでもって、三匹の竜の国を攻め落とし、竜に攫われた姉貴たちを取り戻したんだ。」

「なにが言いたい?言うならばはっきり言え」

「俺は戦って、戦って、戦った末に多くを得た。故にこの聖杯戦争にしてもそうだ。より強き者と戦ってこそ得る者は大きい!間違いなく貴殿は最強の英霊。
その上、聖杯の所有者ときている。最強の英雄に勝ち、得られるものは考えうる限り至高の宝、万能の願望器。これが笑わずにいられるか!最高の昂りよ!!」

「戦い得ること……それ自体が貴様の願望か……。ならば、戦いの中で願望を抱きながら……」

英雄王の周りの空間が歪む。その宝具、宝具群『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』こそ英雄王が最強たる所以

一つ一つが必殺の魔弾。くらえばひとたまりもない

「――散れ」

ストイシャは放たれる寸前で『竜王の槌矛』を持ちあげ、放たれた直後に振るう。

魔弾を槌矛を使い撃ち落とし、受け流し、身を素早く動かして回避した。

「随分と芸達者なものだな。その槌矛も本来なら宝具に足る逸品なのだろう。だが……」

それだけのことを行っても、なお魔弾を全て回避することは出来なかった。

「手を尽くそうと、我が財の数を前にすれば手が足りないだろうよ」

肩を魔刃が裂き、背中には聖剣が突き刺さっている。

満身創痍、それが今のストイシャを表すにふさわしい表現だった。

「宝具もなしに我が一撃を防ぎ切ったのだ誇れよ。せめて全身全霊を持って沈めてやる」

勝利を確信した英雄王の背後から現れる宝具群。その数は先ほどとは比較にならず、有に百を超える。

「なぁ、英雄王よ……一つ尋ねていいか?」

「なんだ?今更命が惜しくなったか?」

「貴殿には心を通わした友がいたか?」

途端に英雄王の顔から余裕が消え、表情は真剣そのものになる。

「何がいいたい?」

「俺は一国の国王になったが、貴殿のような財は持っていなかった。だが、それでも俺は満足だった。なんせ、兄弟がいたからな」

「ごちゃごちゃと雑種が……この世界の王たる我に自慢話か……」

「英雄王。俺は友情はどんな財よりも大切な宝だと思う……」

そんなことは英雄王自身も理解している。

唯一無二の盟友を失った時から

「なにを言うかと思えばそんな戯言で……この我の時間を奪うなど万死に値する――失せろ!雑種!!」

冷静さを失った英雄王の背後から百を超える魔弾の雨が放たれる。

満身創痍の勇者に対してあまりにも絶望的な絶対的物量

こうなれば数発避けようが外れようが関係ない

だが、それでも勇者は笑う

「恐ろしい宝具だ。一人でこれを扱うとは……。俺達が倒した軍隊の兵とどちらが多いかな……。なぁ『兄弟』!!」


舞い上がる砂煙……。そこに立つものはいない。あれだけの宝具をくらえば塵一つ残らないだろう。

勝利を確信した英雄王がその場を立ち去ろうとする。だが、

「英雄王よ!まだ戦いは終わってはいない!!」

上空からの声に反応し、見上げるとそこには

竜に跨った勇者と空を飛ぶ竜帝

これこそ、ストイシャがライダーに現界した所以であり友誼を交わした義兄弟『劫炎帝竜(ムラデン)』

宝具でありながら、自由行使が出来ず、危機的状況でなければ召喚に限り応じる。

非常に使用しづらい宝具ではあるが、一度召喚すればこれ程強力な宝具はない。

ムラデンの火炎で王の宝具を焼き尽くし上空へと逃れたのだ。

ストイシャには英雄王ほどの財は無い。

しかし、かつて英雄王に唯一無二の盟友がいたようにストイシャにも頼れる『兄弟』がいた。

「この我を上から見下げるか、蛮行も程が過ぎるぞ雑種!!」

苛立つ英雄王に向けて勇者は帝竜とともに突撃する。

「さぁ、英雄王。第二ラウンドだ!至高の財と最高の友どちらを持った者が勝ち、その果てに何を得るか決そうではないか!!」