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Alternative

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Alternative


たった一つの願いに殉ずる愚者と、
自身の使命を望みと偽った勇者の物語。
15人の異端なる魔術師《魔族(アクチノイド)》の脅威に怯える世界――リゾーマタを舞台に駈け廻る四人の男女。
それぞれが目的のために、《魔族(アクチノイド)》との戦いに身を置いていた。
勇者クローム、魔術師プラナ、銃使いガンマ、闘士セシウ。彼らを翻弄するように、世界は混迷へとひた走る。

――それはきっと、穢れた追想と追憶。


Xen Qurle fi Lur Arkhe.(私は万物の根源へと還る)





Synopsis

読んでいて気分爽快になる物語というものがあります。
どんな強敵であろうと主人公は最終的に勝利して、ムカつく敵もやられたり改心したりして、目的も結果的に達成できるような感じのあれです。
主人公はいつでも正しく、そんな彼を信頼して仲間は付いて来る。力を合わせれば、どんな敵にだって勝てるし、苦難も乗り越えられる。
フィクションだからこそ成り立つ、友情・努力・勝利の三つを信念にした、とても夢のある物語。ある意味ネヴァーエンディングストーリー。

Alternativeはその勇者の物語を葉月火熾が書いた物語と言えます。
当然、物語は先述のような読んでいて気分が爽快とするものには成り得ず、読み進めるほどに気分が暗澹となるものです。
勇者の戦いは読者の精神に、真逆のベクトルで作用を引き起こすモノ。

正しさは微塵もなく、
誤謬だらけだからこそ無謬と成った舞台で、
愚者がただ、欲望にかられるままに争う。

Alternativeはそういう物語であるということを踏まえて上で読んで頂きたい作品です。
読後――快哉は叫べず、叫べるとすれば悲嘆のみ。そんな結末しか用意されていない――否、そんな結末が用意された物語だと理解した上で、この物語を見て頂きたい。

本来、この手の“救われない物語”というものは結末を明かさないからこそ意味があります。
最後まで、読者に希望を持たせ、期待を与え、その先に全てを打ち壊すからこそ、読者は落胆し、衝撃を受け、読後感に浸ることができるものです。
敢えて、この小説の結末は決して救われない――という、この物語における最大の隠し玉を最初に明かしたのは、結末を知ってなお見てほしい彼らの姿があるから。
絶望しかないこの物語の中で、希望を見出そうと足掻き、もがき、抗う彼らの姿を知ってほしい――そうやって絶望色のこの物語の中に、読者の皆様それぞれの希望を見出してほしいからです。

言葉で示すには陳腐で、それでも尚尊い希望を、物語全体の中から感じ取ってほしいです。




Character


Actinoid
キュリー
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