いたいふたり


監督/脚本:斎藤久志 プロデューサー:鈴木ゆたか 撮影:平野勝之 出演: 西島秀俊、唯野未歩子、鈴木卓爾、原一男、川越美和、廣木隆一、田中要次、高野志穂 日本/2001年/112分/カラー


ビデオ(で見たので)画質のチープさがちょっと寂しい。けれど二人の住む家がぽつんと建っている感じとか、夜の公園で女子高校生と弟役の二人がからむシーンなどは趣がある。「痛みを共有するふたり」という映画なので、二人の閉じた世界が中心なのかと思えば、むしろ周辺に登場するキャラクターとのからみが面白い。

途中で登場するホームレスが実は民俗学者で、痛みの共有としてアフリカの事例などをあげるのだけど、正直そんな説話などには興味持てなかった。共有する痛みによって引き起こされる様々な出来事も広がりがない。

やはりこの映画は周辺人物だ。唯野未歩子の同僚として演じる鈴木卓爾など素晴らしい。告白の場面での挙動不審さや、唯野の妊娠を知らされた時の励ましなど、「いい人」が度を超して「変な人」になっていく様を見事に演じている。また、塾講師の西島秀俊へ片思いを抱く女子高校生のストーカーぶりや、その若さゆえの無鉄砲な焦りは切実だった。

なによりも主人公の二人自身、周辺人物とのからみのほうが活き活きしている。むしろこの映画は、ある奇妙な二人を語り手にした、おかしな群像劇としてみれば面白い。変にプロットを踏むよりも、もっと色んな「変な人」ばかり描けばすごい映画になったのではないか。2004-06-06/k.m

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最終更新:2008年04月11日 07:59