暗殺の森

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スパイ活動をしていたある日、目の前で暗殺の現場を目撃した主人公。哲学講師だった彼は、少年期のトラウマから逃げ込むようにファシストへと傾倒した。やがてパリに亡命している恩師を調べる指令をうけ、教授夫婦へ近づく。

ここではファシストという過激な組織へと入るまで追いつめられた困難と、実際の秘密警察としての活動にたいする葛藤とが主人公を苦しめる。そして最後にトラウマの根源と再会、逃げ込んだ存在理由の所在が崩壊するという2重の惨劇が彼を襲い、白昼夢のごとく叫ぶ狂気寸前の状態になる。凄まじいドラマだ。

度重なる困難によって、全てに入り込めない閉じた心のまま生きる姿は、むしろはじめから狂気でもあったように思う。結婚への冷めた考え、朽ち果てる母への侮蔑、思考停止された活動、教会での諦めきった懺悔。どれもへ重く蓋をされたままの息苦しさを感じる。

映像がとても美しく、パリを描くショットにはヌーベルバーグの面影を感じる。ゴダールの影響も色濃く、パゾリーニと詩人としての出会いもあるベルトリッチならではの、詩的で妖艶な映像美は、物語の重々しさに透明感を与えてバランスをとっているようだ。とくに教授の妻とパリで買い物をするシーンや、ダンスパーティーで女性二人で踊るシーンなど、束の間の華やかさとしては、イメージの膨らみが大きすぎるくらいに力の入った描き方だと思う。

それにしてもファシスト政府の描き様は空虚そのもので、うつろで無統制で、虚構で滑稽なくらいだ。そこへ傾倒していく主人公の生き様そのものまでも虚構で覆ってしまうくらいだ。2002.05.03k.m

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最終更新:2013年07月15日 21:40