ほのぼのした絵(ちょっと手塚風で、ノスタルジックでもある)に緻密なストーリーが思わぬコントラストを持った作品。正直ストーリーはちょっと懲りすぎにも思えたが、あえてそこへ挑む意気込みを感じた。作者自身、草サッカーのチームメイト「キャラ」として登場し、様々なエピソードを展開していく。上記のように壮大な目次。
もともとこのような叙事詩的なテーマはまんがに適しているのではないか。様々なビジュアルと、ナレーション的活字のバランス、ファンタジーの具合など。文体と画風のバランスは難しいが、それゆえに成功すれば印象は強い。この作品はそのバランスがうまくとれていて、まんが独自の同時多発的セリフ展開もほどよい難解さを出し、格調の高い印象すら抱かせる。
ラストで色んな話がつながっていく「ヤマバ」は、映画「ビフォーザレイン」や、「マグノリア」を彷彿させる。こういう込み入った構成というのは、まんがではどのような位置づけなのだろう。映画ではたまに見かけるが、ミステリー小説とは違った高揚感なのではないか。たくさんの作品に触れて行くうちに色んな読みかたが出来そうだ。やはりまんがも面白い。2004-03-11/k.m
カテゴリー-マンガ