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ヤンヤン/夏の想い出


  • 監督:エドワード・ヤン
  • 出演: ジョナサン・チャン、ケリー・リー、イッセー尾形、ウー・ニエンジェン、エイレン・チン

7年間も病と闘い続け59歳の若さで他界したエドワード・ヤンの遺作となってしまったこの作品。「ヤンヤン/夏の想い出」という邦題の「ゆるさ」のせいばかりではないけれど、今まで見ていなかった。

3時間近い映像を見ながら、もうこの独特な感覚は味わえないのかと思えばなんだか急に寂しい気分になった。その美しい映像と慎重に流れる時間の表現は、見ている間次第にとらわれて行き、どうにも抜け出したくない思いに駆られる。

心を鋭く突くセリフが多く、日常のなかでやり過ごしている時間の中へこそ、こんなふうに忘れがたい風景がしまい込まれているのだと思えた。「映画は人生を映す鏡だ」、そんな若い男のセリフもあった。

だとすればエドワード・ヤンのおかげで確認することの出来た様々な表情は、その数だけ自分のなかへ存在するかもしれない豊かさへ通じるのではないかと希望が持てる。

ある家族のドラマには、全員がそれぞれに生きている人生があって、見ているこちら側はそれぞれの内面へ投影する部分を持っている。それは自分の中へ生じてきた感情の一つ一つを、世代や時間を超越して同時多発的にリフレインさせていくようなものだ。

いくつもの映り込みがあって、そこに夜の街や大きな樹木や悲痛な表情などが重なって行く。さらに次の場面を予感させる音が先に来て、刹那を引き伸ばす独特な時間が現われる。意識の戻らない祖母を鏡のように自身を映す家族たち。

この多重さ、日常の複雑と単純とを感じさせてくれる映画は本当に少ないと思う。2007-08-16/k.m

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カテゴリー-映画