スティル・ライフ


  • 中公文庫
  • 池澤 夏樹 (著)

なるべくものを考えない。意味を追ってはいけない。山の形には何の意味もない。意味のない単なる形だから、ぼくはこういう写真を見るんだ。意味ではなく、形だけ。

この部分、とても写真を見る姿勢として共感した。その後も写真談義がちょっとつづくのだけど、とても興味深いし参考になった。

さらりとして、それでいてとても広い。まるで主人公が希薄で拡大された存在として佐々井を感じたように、この小説にも不思議な広がりを覚えた。

希薄さとは気配が薄れていくことでその人の印象がなくなってしまうのではなく、無限に広がって行き空気のようにそこかしこを占めていくもののようだ。

語り手が「言葉そのもの」となって、意識の奥に浸透されていくようなものだろうか。ロードムービーの過ぎ去るカットみないなもんか・・。 2006-03-05/k.m

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最終更新:2008年04月11日 08:04