出演:粟田麗、ARATA、関口知宏、斎藤陽一郎、光石研]
青山真治の「恋愛映画」。コメディータッチな感じもした。
リカという女が或る男にふられる。コウノという男が存在していた。2人はリカのいたずらに吐き出され、感情をのせた携帯電話を通じて出会う。 もちろんリカの嘆きに反応出来るような、同様のココロの空壁をコウノが持ち合わせていたからだ。
やがて2人は実際にも出会い、ある失われた森を共有する。その森は何かの象徴だ。2人の空壁を癒すものか。或いはたどり着けない外部の世界か。実際はどちらでも良いのではないか。携帯で偶然繋がり、偶然持ち合わせた空壁に惹かれ、自らの位置する世界からお互いを救うために捏造したのが森なのかも知れない。
ただ男女の差はやはり面白い。コウノは自分の存在の希薄さへ耐えられず、しかも社会的存在基盤を捨てられず、そんな宛もないもどかしさへうんざりしたいた。リカは世界の中心であることを疑わず、またそこから引きずり降ろされることを決して受け入れない。男への愛情の執着などではなく、世界との関わりが大切だった。
構造的に違う、そんな2人だから、共有する幻想をもつことが出来たのだ。そしてあたかも世界の外部に存在して居るかのような、「探偵」のナレーションによって、2人の虚構は築かれていった。2001.03.20k.m
カテゴリー-映画
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