このタイトルの意味がよく分からなかった。見終わって思うのは、「幽霊→存在しない世界」という、主人公の世の中を見る眼差しを表しているのかも知れないということ。
ビンセント・ギャロ監督の「バッファロー’66」という映画を思い出した。笑えるけど悲しい話だった。二つの映画に共通したものは「郊外」というイメージだ。この場合僕の抱くそれは、どこまでも希薄な付き合いで、しかもそれらが排他的な小さいサークルを作っているということ。そして誰もが先の見えた「おさまり」の中で日常を送り、あきらめだか苛立ちだかわからない、窮屈な人間性を見せてしまっている状態。
どれも一方的でネガティブなイメージばかりで、まるで何かのトラウマのようだ。さらに、そこから逃げ出したい自分は一体どこを目指しているのか分からない。この世界のどうしようもない退屈さを意識していることが、苛立ちを生んでしまうことに腹が立つ(僕は何を言っているの?)。
ところで「リアル」と言うのは、そう評価している人物の意識に沿った内容であって、一般的なモノではない。どちらかと言えば個人的な告白でしかない。そう言った意味でこの映画は「リアル」な青春映画だ。
最後にバスへ乗っていった彼女(イーニド)は、新しい世界への出会いというよりも、彼女自身が幽霊となって消えてしまった。そんな風に感じてしまうのだった。恐ろしいほど「後ろ向きな」映画に聞こえるが、以外と楽しさいっぱいでもある。アイロニカルであることはコミカルでもあるということ。ただ笑いながら遠くを見てしまう自分をそこに認めているのだけど。
それにしてもスティーヴ・ブシェミはいつもシブイ演技するなぁ・・。2003.02.09 k.m
カテゴリー-映画
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