「幕間『孤城の外で』」

「「幕間『孤城の外で』」」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

「幕間『孤城の外で』」」(2008/04/27 (日) 23:09:25) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 今宵は満月だ。  美しい月。流れる雲。限りなく黒い藍色に染まる闇。本当にいい夜だ。  こんないい夜には、そりゃあ人も殺したくなるさ。だが――、 「ラピュタは本当にあったんだ……か」  私が見上げた夜空に浮かぶ満月、そこに大きな影がかぶさっていた。  吸血鬼の目でよく見ると、それは誰でも一度は視聴した経験があるであろう、有名な宮崎アニメ出展の天空の城と見て間違いない。  いびつな形に欠けた満月は、その姿どおりの歪んだ光と影のコントラストを地上に注ぎ続けている。  月下を走る。私は走る。  体が軽い。どこまでも飛んでいけそうなほど。  もう一人の自分である転の死体から血を吸うことで、ここまでのパワーアップを果たせるとはうれしい誤算だった。  だがそれでもあの地図氏にはかなうまいが。  あれは規格外の怪物だ。  このロワにおいて書き手たちは一部の例外を除いて、自分の作品に縁のある姿や能力をもっている。  私自身が複数回書いているDIOやアーカード、もう一人の私が同じく何度も書いた冥王といった風にだ。  そのことに照らし合わせてみれば、アニロワで質量ともに五本の指に入る書き手である奴の能力も推して知るべし。  何より――三大ロワ以降、長らく「完結しない尻すぼみ企画」と言われたパロロワを完結させたという実績は他の追随を許さない。  闇の書、キングゲイナー、黄緑さん、地球破壊爆弾エトセトラエトセトラ。  よくもまあ、カオス極まりない風呂敷を見事にたたみきったものだ。  だがここで疑問が生じる。  なぜ地図氏は――いや、私たちはパロロワキャラクターの能力が使えるのか。  私たち書き手自身が書いた物語を現実のものにできるならば、ドラゴンボールの作者は全宇宙の支配者だ。  明らかにおかしい。そして私を含めてそれをなぜ疑わないのかもおかしい。  だが手がかりは、たった今手に入った。  私は転の血を吸った。  その他にも病院で零号開放を行い、今は元の姿に戻っているが、その際にその場にあった死体を新たに死の河に飲み込んでいた。  ロリスキーを喰った仮面ライダー書き手と、謎の凶刃に倒れたウッカリデスの死体を、だ。  ちなみに私の死体を喰って記憶を読む能力、これはおそらくだが我々Wアーカード共通の能力ではない。  正確に言えば原作のアーカードにもできるかどうかわかっていなかったというのが正しい。  原作ヘルシングでセラスの血を吸ったにもかかわらず、彼女の過去をアーカードは知らなかった。  吸血すれば自動的に読めるというわけではないらしい。  また、トバルカインなど吸血鬼ではあっても動いて活動しているものからは記憶を読み取ってはいるが、完全に活動を停止した(死んだ?)者を喰って 記憶を読み取れるかどうかは不明なのだ。  少なくとも漫画ロワや、ましてやアニロワが始まった時点では。  普通はこういったネタは後から矛盾が発生するかもしれないリスク等を考えて自重するべきとされている。  だが漫画ロワでは――それが通ってしまった。そしてその話を書いたのは私。はい、ごめんなさい。  とにかく漫画ロワのアーカードである私は確実に死体を喰って記憶を読む能力が使える。    その三人の記憶から掘り出した、ある単語――『なりきり』。    これにより、ある程度の疑問が氷解する。  まず第一放送直後、DIE/SOULが同じアニロワ1stの主力中の主力、美形元帥の死についてほとんど何も反応しなかったこと。  同じくアニロワ1stを終わらせた同胞であるはずの地図氏を倒すことしか眼中になかったこと。  また、私も漫画ロワ書き手が大量に死んだにもかかわらず、大量のマーダーが残っているであろうと闘争を期待し、歓喜していたこと。  ガッツの化け物への憎しみと利己的な一面、アーカードの好戦的な性格を考えれば自然な反応だ。  だが私たちはガッツでもアーカードでもない。  蝕にすべてを奪われた復讐の剣士でもなければ、500年の時を生きた伝説の怪物でもないはずなのだ。  そこで、『なりきり』。つまり私たちはキャラクターを演じている。  さらにいえば原作どおりでなくパロロワに参加したキャラクターとして。それも無意識のうちに。  おまけに最速などはフラグがどうとか、まるで自分たちの命を考えていないような言動。  このロワはパロロワだと、そしてそれを盛り上げ、楽しむといわんばかりの価値観。  そのなりきりを除けば私たちは実にパロロワ書き手らしいが、自分の命をいささか軽く見るあたりは、本人だと言えるかというと、どうも疑わしい。  以前、第一放送直後にDIE/SOULにも言ったが、同鳥のもう一人の私がこのロワに参戦していた。  そんなことは普通ありえない。わかりきったことだ。  だがなりきりゆえか、ロリスキーたちも誰一人そこに突っ込まなかった。  そしてもう一人の私は実体をともなって確かに存在していた。  マダオと名づけられた私とはまったく別のキャラとして、このバトルロワイアルに参戦し、そして生き延び、殺して、殺された。  私たちは同一人物だというのに、漫画ロワの他にスパロワで書いた記憶は確かにあるのに、だ。  そもそもパロロワに関する記憶はあるのに、その他のことになるとまるで思い出せない。これもおかしな話だ。  私はリアルでは男なのか、女なのか、学生なのか、社会人なのか、いやそれよりも重要なことがある。    私の、本名は?  私はいったい誰なのか。  パロロワキャラでもなく書き手でもない。  私は――私であって、私ではないのか?  それを踏まえて思い返すと地図氏、いや地球破壊爆弾の言動にも引っかかる点がある。 『ドSみたいな愛情なんて』  ドSとはアニ2のマスク・ザ・ドSか。すでに死亡しているが。  あそこで何の関係もない名前を出すわけもない。おそらく爆弾とマスク・ザ・ドSは同一人物だ。  支援イラストのタッチで大方の予想はつくが、おまけに地図まで作れる人間などなかなかいない。  ではこの2名が同一人物だとして、あの言葉通りにやはり能力や容姿、性格は違うのだろうか。  それは私と同じく、地図氏という書き手本人のペルソナ(個性)を二つに割ったということか。  いや、書き手が書いたSSがこのロワの参加者をキャラ付けするとするなら、アニ1の爆弾とアニ2のドSに地図氏の書いたSSの中身を割り振ったと。  ――そういうことになるのだろうか。  どうすればそんなことができるかなどと今更考えるのはナンセンスだ。  すでにこのロワにおいて不思議なことなど何もない。  私が私であるかすら分からないのに、何が真で何が間違っているかなど分かるはずもないのだし。  いっそこれは夢なんだと現実逃避の発狂マーダーになるのも悪くはないが……いや本当に夢ならそれでいいのだがな。  万が一、現実に影響が出るかもしれないと考えると迂闊に行動に踏み切れない。そんな私。  まー、黒幕が本当に存在するとして、なんでこんなことをやるのかが謎だ。  孔明や地図氏、感電氏はロワを終わらせることが最優先で、そのためには書き手を殺すことにもためらいがないようだ。  そんな自分たちを『危険な対主催』だと孔明はライダー書き手にそう言った。    ――例え優勝エンドでもロワを終わらせることが対主催になるだと?    孔明や地図氏たちが参加しているアニロワ2ndは、私の記憶が正しければこのロワが始まった時点で未だに未完だ。  いくら彼らが実力ある書き手だとしても、自分たちだけが生き残って完結させられるとは考えていないだろう。  アニ1を完結させた彼らが2ndの完結を放棄するとも考えにくい。  まだまだ完結には他の書き手の力が必要なはずであり、少なくともアニロワ2ndの書き手陣は生かしておきたいはずなのではないか。    ――なのにそうまでしてこのロワの完結を望む理由はなんだ?  そしてその疑問に対して、私はひとつの仮説を思いついた。  これは私の荒唐無稽な妄想だ。  だがこれなら地図氏たちが参加者を殺してまで完結を目指す説明がつく。  ひょっとしたら、このロワの参加者たちが死亡しても書き手自身が死ぬわけではないのかもしれない。  もしそうなら私たちは書き手の名を冠したキャラクターに過ぎないということになる。  しかしそれだけでは彼らが介入してまでロワを終わらせようとする理由にはならない。  別に速く終わらせようとしなくてもいいではないか。  スパロワなんて下手したら三年目に突入しそうな勢いだぞ?  ……正直さすがにそれは避けたい。誰か書きに来てください。  なるべく私も書きますんで。っと、脱線した。  終わらせなければならない理由……転はこのロワが終わらなければここから出られないと推測した。  生きている参加者からすれば、それは当たり前だろう。  では死んだ参加者はどうなるのか。  まず一つ目の仮定。  死んで消滅して終わり。そして書き手も死ぬ。  これは彼らが自分たちを対主催と称して書き手を殺して回っていることから考えると、多分ない。  二つ目の仮定。  参加者が死んでも書き手は死なない。  これだけでは彼らがわざわざロワを完結させるために無理に介入する理由がない。  そして三つ目。  参加者が死んでも書き手は死なないが、ロワが終わらない限り解放されない。  私たちが書き手ではないとして、では我々参加者がこのロワから解放されたければ自殺すればいいのではないか。私はそう考える。  だがもしだ、このロワに死者スレがあったとしたら?  死んでもそこに閉じ込められるだけで、解放されるわけではない。  本当に解放されるのはロワが完結した後……。  ◆  ◆  ◆  崩壊した病院はすでに目前だ。  ライダー書き手の記憶に基いた私の推測が正解ならば、孔明たちのしていることは正しい。  ならば私は――――どうすればいい?  ロワ完結のために私もマーダーになるのか?  しかし転の記憶のおかげで今の私は首輪を解除できる。  自分の首輪は外すまでもなく引きちぎった。  アーカードの弱点である心臓にも爆弾が仕掛けられているかどうかは自分でわかる。    自分の心臓に、爆弾は、ない。  そしてウッカリデスの記憶を引っ張り出すまでもなく主催者の居場所もすでに判明している。  あとは主催者を倒して脱出すればいい。    ――なあんだ。マーダーになる必要なんかないじゃないか。  なあ、ロリスキー。  お前は生きているはずだ。ライダー書き手に喰われたのなら、その死体を喰った私にお前の記憶があるはずだ。  おそらくライダー書き手が失くした右腕、そこにおまえはいるんだろう?  だからあと少しだけ待っていろ。  吸血姫で不死者のお前だ。滅多なことで死ぬわけもあるまいが、なあに多分なんとかなるさ。  だからお前の気持ちは分かっているが、一段落ついたらどうかウッカリデスのために泣いてやってくれ。  私たちは書き手ではないかもしれない。現実の存在でないかもしれない。  でも一人一人がパロロワキャラクターとして確かに存在しているのだから。  だからどうか、だからどうかその死を悼んでやってくれ。あいつは本当にお前が好きだったんだ。  DIE/SOUL。  まだ生きてるか?お前は私に借りがあるはずだ。  ジョーカー戦で助けたこと、核鉄を貸して治療してやったこと。  孤城の主が実現したからって勝手に死んでもらっちゃあ困るんだよ。  まだやることがあるだろう。まだテイルズのジョーカーにリベンジだってしてないだろう。  考えてみれば、このバトルロワイアルじゃあ貴重なケースだと思わないか?  愛じゃない。安らぎでもない。ましてや信じあうなんて生易しいもんじゃない。  たった一瞬の隙で命を落とすあの怪物との戦いで、私とお前は背中を預けあって共に戦った。  ――絶対的な機能としての信頼感。  大詰めの終盤ロワでリレーしあうってのは、ひょっとしたらこんな感じかもしれないって思う。  ま、お前ほどの書き手に私なんかが相棒って言うのは恐れ多いんだろうけど、な。  地図氏。  あえて爆弾じゃなくてこう呼ぶぞ、今更だし。  あの時、お前は言うたじゃないか。ロリスキーに『いっちゃやだ』と。  愛などないといいながら、悲痛な声で叫んだじゃないか。  あのときのお前は誰よりも、私たちにアーカードの狂喜を見せ付けたときよりも、  何十倍も、何百倍も、何千倍も美しかったというのに。  それがなんて様だ。  そんなにロワ完結が大事か?  いや確かに大事だろうさ!けどな、もっと大切なものがあるだろう!  私たちはパロロワを義務でやってるわけじゃない。楽しいからやってるんだろ?  どうせマーダーやるなら自分の気持ちでやりやがれ!  ノルマだとか、役割だとか、そーゆーのはなぁ、『つまらない』んだよっ!  黒猫。  ありがとう、礼を言おう。  私は元々対主催として熱血展開ができればそれでよかった。  いつ死んでも別によかったが、どうしてもやらなきゃならない目標ができたよ。  ウッカリデスを殺したのもお前。ライダー書き手を誘導したのもお前。  私たちはお前にまんまと嵌められたわけだ。  私は別に書きたくてしょうがないとか、書かずにはいられないとかそんなキャラじゃない。  基本的に繋ぎメインで山場を書きたい人がいれば譲る。  面白い作品を書くあの書き手さんには負けたくないって燃えるタイプでもない。  書き手になったのだって自ロワが過疎ったのを見かねたからだ。  私は自ロワがうまく回っているなら、それで充分なんだ。  だけど舐められるのだけは許さない。それだけは許さない。  私は必ずお前を殺す。借りは充分に利子をつけて、のしをつけてお返ししよう。  覚悟しろ。お前は必ず――殺してばらして並べて揃えて晒して砕いて喰らってやるよ。      「――さあ、望みどおりだ地図氏!孔明!感電氏!」  暗い大地をありったけの力で蹴って飛ぶ。  私は再び孤城へと舞い戻る。  「終わらせてやるぞ!ジョーカーも黒幕もぶっ倒して熱血脱出エンドでな!!」 【G-8/病院のそば:夜中】 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:体力全快、強い決意、強い仲間意識 、首輪解除 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数100%、ロケットランチャー:残り5発)、運動服(ブルマ)、腕時計型麻酔銃(残弾0/1)@漫画ロワ 【道具】:支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み) 【思考】  基本:対主催!目指せ熱血脱出エンド!  0:急いで病院に戻る。  1:地図氏を力ずくでも説得して脱出エンドに協力させる。 なりきりについて詳しいことを問いただす。  2:DIE/SOULやロリスキーを探して守る。  3:黒猫(666)は必ず殺す。  4:仲間をもっと集めて対主催。  ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです  ※転と仮面ライダー書き手とウッカリデスを喰らって記憶を受け継ぎました。  ※自分が本物の書き手ではないと思っています。  ※転の血を吸ってパワーアップしました。新たな力が使えるかもしれません。  ※孔明と地図氏と感電氏が『危険な対主催』だということを知りました。  ※転の記憶を使って首輪解除ができるようになりました。  ※ライダー書き手の記憶で携帯電話のwikiの存在を知りました。 【世界(スタンド)】  世界を使用でき、時止めも可能です(3秒まで)。  制限は漫画ロワに準拠――『体力の消耗』『時止めの再使用には10秒必要』『スタンドは見れるし触れる』 |255:[[それぞれの愛ゆえに]]|投下順に読む|[[]]| |255:[[それぞれの愛ゆえに]]|時系列順に読む|[[]]| |253:[[ようこそルナティックパーティー(後編)]]|ミスターマダオ||
 今宵は満月だ。  美しい月。流れる雲。限りなく黒い藍色に染まる闇。本当にいい夜だ。  こんないい夜には、そりゃあ人も殺したくなるさ。だが――、 「ラピュタは本当にあったんだ……か」  私が見上げた夜空に浮かぶ満月、そこに大きな影がかぶさっていた。  吸血鬼の目でよく見ると、それは誰でも一度は視聴した経験があるであろう、有名な宮崎アニメ出展の天空の城と見て間違いない。  いびつな形に欠けた満月は、その姿どおりの歪んだ光と影のコントラストを地上に注ぎ続けている。  月下を走る。私は走る。  体が軽い。どこまでも飛んでいけそうなほど。  もう一人の自分である転の死体から血を吸うことで、ここまでのパワーアップを果たせるとはうれしい誤算だった。  だがそれでもあの地図氏にはかなうまいが。  あれは規格外の怪物だ。  このロワにおいて書き手たちは一部の例外を除いて、自分の作品に縁のある姿や能力をもっている。  私自身が複数回書いているDIOやアーカード、もう一人の私が同じく何度も書いた冥王といった風にだ。  そのことに照らし合わせてみれば、アニロワで質量ともに五本の指に入る書き手である奴の能力も推して知るべし。  何より――三大ロワ以降、長らく「完結しない尻すぼみ企画」と言われたパロロワを完結させたという実績は他の追随を許さない。  闇の書、キングゲイナー、黄緑さん、地球破壊爆弾エトセトラエトセトラ。  よくもまあ、カオス極まりない風呂敷を見事にたたみきったものだ。  だがここで疑問が生じる。  なぜ地図氏は――いや、私たちはパロロワキャラクターの能力が使えるのか。  私たち書き手自身が書いた物語を現実のものにできるならば、ドラゴンボールの作者は全宇宙の支配者だ。  明らかにおかしい。そして私を含めてそれをなぜ疑わないのかもおかしい。  だが手がかりは、たった今手に入った。  私は転の血を吸った。  その他にも病院で零号開放を行い、今は元の姿に戻っているが、その際にその場にあった死体を新たに死の河に飲み込んでいた。  ロリスキーを喰った仮面ライダー書き手と、謎の凶刃に倒れたウッカリデスの死体を、だ。  ちなみに私の死体を喰って記憶を読む能力、これはおそらくだが我々Wアーカード共通の能力ではない。  正確に言えば原作のアーカードにもできるかどうかわかっていなかったというのが正しい。  原作ヘルシングでセラスの血を吸ったにもかかわらず、彼女の過去をアーカードは知らなかった。  吸血すれば自動的に読めるというわけではないらしい。  また、トバルカインなど吸血鬼ではあっても動いて活動しているものからは記憶を読み取ってはいるが、完全に活動を停止した(死んだ?)者を喰って 記憶を読み取れるかどうかは不明なのだ。  少なくとも漫画ロワや、ましてやアニロワが始まった時点では。  普通はこういったネタは後から矛盾が発生するかもしれないリスク等を考えて自重するべきとされている。  だが漫画ロワでは――それが通ってしまった。そしてその話を書いたのは私。はい、ごめんなさい。  とにかく漫画ロワのアーカードである私は確実に死体を喰って記憶を読む能力が使える。    その三人の記憶から掘り出した、ある単語――『なりきり』。    これにより、ある程度の疑問が氷解する。  まず第一放送直後、DIE/SOULが同じアニロワ1stの主力中の主力、美形元帥の死についてほとんど何も反応しなかったこと。  同じくアニロワ1stを終わらせた同胞であるはずの地図氏を倒すことしか眼中になかったこと。  また、私も漫画ロワ書き手が大量に死んだにもかかわらず、大量のマーダーが残っているであろうと闘争を期待し、歓喜していたこと。  ガッツの化け物への憎しみと利己的な一面、アーカードの好戦的な性格を考えれば自然な反応だ。  だが私たちはガッツでもアーカードでもない。  蝕にすべてを奪われた復讐の剣士でもなければ、500年の時を生きた伝説の怪物でもないはずなのだ。  そこで、『なりきり』。つまり私たちはキャラクターを演じている。  さらにいえば原作どおりでなくパロロワに参加したキャラクターとして。それも無意識のうちに。  おまけに最速などはフラグがどうとか、まるで自分たちの命を考えていないような言動。  このロワはパロロワだと、そしてそれを盛り上げ、楽しむといわんばかりの価値観。  そのなりきりを除けば私たちは実にパロロワ書き手らしいが、自分の命をいささか軽く見るあたりは、本人だと言えるかというと、どうも疑わしい。  以前、第一放送直後にDIE/SOULにも言ったが、同鳥のもう一人の私がこのロワに参戦していた。  そんなことは普通ありえない。わかりきったことだ。  だがなりきりゆえか、ロリスキーたちも誰一人そこに突っ込まなかった。  そしてもう一人の私は実体をともなって確かに存在していた。  マダオと名づけられた私とはまったく別のキャラとして、このバトルロワイアルに参戦し、そして生き延び、殺して、殺された。  私たちは同一人物だというのに、漫画ロワの他にスパロワで書いた記憶は確かにあるのに、だ。  そもそもパロロワに関する記憶はあるのに、その他のことになるとまるで思い出せない。これもおかしな話だ。  私はリアルでは男なのか、女なのか、学生なのか、社会人なのか、いやそれよりも重要なことがある。    私の、本名は?  私はいったい誰なのか。  パロロワキャラでもなく書き手でもない。  私は――私であって、私ではないのか?  それを踏まえて思い返すと地図氏、いや地球破壊爆弾の言動にも引っかかる点がある。 『ドSみたいな愛情なんて』  ドSとはアニ2のマスク・ザ・ドSか。すでに死亡しているが。  あそこで何の関係もない名前を出すわけもない。おそらく爆弾とマスク・ザ・ドSは同一人物だ。  支援イラストのタッチで大方の予想はつくが、おまけに地図まで作れる人間などなかなかいない。  ではこの2名が同一人物だとして、あの言葉通りにやはり能力や容姿、性格は違うのだろうか。  それは私と同じく、地図氏という書き手本人のペルソナ(個性)を二つに割ったということか。  いや、書き手が書いたSSがこのロワの参加者をキャラ付けするとするなら、アニ1の爆弾とアニ2のドSに地図氏の書いたSSの中身を割り振ったと。  ――そういうことになるのだろうか。  どうすればそんなことができるかなどと今更考えるのはナンセンスだ。  すでにこのロワにおいて不思議なことなど何もない。  私が私であるかすら分からないのに、何が真で何が間違っているかなど分かるはずもないのだし。  いっそこれは夢なんだと現実逃避の発狂マーダーになるのも悪くはないが……いや本当に夢ならそれでいいのだがな。  万が一、現実に影響が出るかもしれないと考えると迂闊に行動に踏み切れない。そんな私。  まー、黒幕が本当に存在するとして、なんでこんなことをやるのかが謎だ。  孔明や地図氏、感電氏はロワを終わらせることが最優先で、そのためには書き手を殺すことにもためらいがないようだ。  そんな自分たちを『危険な対主催』だと孔明はライダー書き手にそう言った。    ――例え優勝エンドでもロワを終わらせることが対主催になるだと?    孔明や地図氏たちが参加しているアニロワ2ndは、私の記憶が正しければこのロワが始まった時点で未だに未完だ。  いくら彼らが実力ある書き手だとしても、自分たちだけが生き残って完結させられるとは考えていないだろう。  アニ1を完結させた彼らが2ndの完結を放棄するとも考えにくい。  まだまだ完結には他の書き手の力が必要なはずであり、少なくともアニロワ2ndの書き手陣は生かしておきたいはずなのではないか。    ――なのにそうまでしてこのロワの完結を望む理由はなんだ?  そしてその疑問に対して、私はひとつの仮説を思いついた。  これは私の荒唐無稽な妄想だ。  だがこれなら地図氏たちが参加者を殺してまで完結を目指す説明がつく。  ひょっとしたら、このロワの参加者たちが死亡しても書き手自身が死ぬわけではないのかもしれない。  もしそうなら私たちは書き手の名を冠したキャラクターに過ぎないということになる。  しかしそれだけでは彼らが介入してまでロワを終わらせようとする理由にはならない。  別に速く終わらせようとしなくてもいいではないか。  スパロワなんて下手したら三年目に突入しそうな勢いだぞ?  ……正直さすがにそれは避けたい。誰か書きに来てください。  なるべく私も書きますんで。っと、脱線した。  終わらせなければならない理由……転はこのロワが終わらなければここから出られないと推測した。  生きている参加者からすれば、それは当たり前だろう。  では死んだ参加者はどうなるのか。  まず一つ目の仮定。  死んで消滅して終わり。そして書き手も死ぬ。  これは彼らが自分たちを対主催と称して書き手を殺して回っていることから考えると、多分ない。  二つ目の仮定。  参加者が死んでも書き手は死なない。  これだけでは彼らがわざわざロワを完結させるために無理に介入する理由がない。  そして三つ目。  参加者が死んでも書き手は死なないが、ロワが終わらない限り解放されない。  私たちが書き手ではないとして、では我々参加者がこのロワから解放されたければ自殺すればいいのではないか。私はそう考える。  だがもしだ、このロワに死者スレがあったとしたら?  死んでもそこに閉じ込められるだけで、解放されるわけではない。  本当に解放されるのはロワが完結した後……。  ◆  ◆  ◆  崩壊した病院はすでに目前だ。  ライダー書き手の記憶に基いた私の推測が正解ならば、孔明たちのしていることは正しい。  ならば私は――――どうすればいい?  ロワ完結のために私もマーダーになるのか?  しかし転の記憶のおかげで今の私は首輪を解除できる。  自分の首輪は外すまでもなく引きちぎった。  アーカードの弱点である心臓にも爆弾が仕掛けられているかどうかは自分でわかる。    自分の心臓に、爆弾は、ない。  そしてウッカリデスの記憶を引っ張り出すまでもなく主催者の居場所もすでに判明している。  あとは主催者を倒して脱出すればいい。    ――なあんだ。マーダーになる必要なんかないじゃないか。  なあ、ロリスキー。  お前は生きているはずだ。ライダー書き手に喰われたのなら、その死体を喰った私にお前の記憶があるはずだ。  おそらくライダー書き手が失くした右腕、そこにおまえはいるんだろう?  だからあと少しだけ待っていろ。  吸血姫で不死者のお前だ。滅多なことで死ぬわけもあるまいが、なあに多分なんとかなるさ。  だからお前の気持ちは分かっているが、一段落ついたらどうかウッカリデスのために泣いてやってくれ。  私たちは書き手ではないかもしれない。現実の存在でないかもしれない。  でも一人一人がパロロワキャラクターとして確かに存在しているのだから。  だからどうか、だからどうかその死を悼んでやってくれ。あいつは本当にお前が好きだったんだ。  DIE/SOUL。  まだ生きてるか?お前は私に借りがあるはずだ。  ジョーカー戦で助けたこと、核鉄を貸して治療してやったこと。  孤城の主が実現したからって勝手に死んでもらっちゃあ困るんだよ。  まだやることがあるだろう。まだテイルズのジョーカーにリベンジだってしてないだろう。  考えてみれば、このバトルロワイアルじゃあ貴重なケースだと思わないか?  愛じゃない。安らぎでもない。ましてや信じあうなんて生易しいもんじゃない。  たった一瞬の隙で命を落とすあの怪物との戦いで、私とお前は背中を預けあって共に戦った。  ――絶対的な機能としての信頼感。  大詰めの終盤ロワでリレーしあうってのは、ひょっとしたらこんな感じかもしれないって思う。  ま、お前ほどの書き手に私なんかが相棒って言うのは恐れ多いんだろうけど、な。  地図氏。  あえて爆弾じゃなくてこう呼ぶぞ、今更だし。  あの時、お前は言うたじゃないか。ロリスキーに『いっちゃやだ』と。  愛などないといいながら、悲痛な声で叫んだじゃないか。  あのときのお前は誰よりも、私たちにアーカードの狂喜を見せ付けたときよりも、  何十倍も、何百倍も、何千倍も美しかったというのに。  それがなんて様だ。  そんなにロワ完結が大事か?  いや確かに大事だろうさ!けどな、もっと大切なものがあるだろう!  私たちはパロロワを義務でやってるわけじゃない。楽しいからやってるんだろ?  どうせマーダーやるなら自分の気持ちでやりやがれ!  ノルマだとか、役割だとか、そーゆーのはなぁ、『つまらない』んだよっ!  黒猫。  ありがとう、礼を言おう。  私は元々対主催として熱血展開ができればそれでよかった。  いつ死んでも別によかったが、どうしてもやらなきゃならない目標ができたよ。  ウッカリデスを殺したのもお前。ライダー書き手を誘導したのもお前。  私たちはお前にまんまと嵌められたわけだ。  私は別に書きたくてしょうがないとか、書かずにはいられないとかそんなキャラじゃない。  基本的に繋ぎメインで山場を書きたい人がいれば譲る。  面白い作品を書くあの書き手さんには負けたくないって燃えるタイプでもない。  書き手になったのだって自ロワが過疎ったのを見かねたからだ。  私は自ロワがうまく回っているなら、それで充分なんだ。  だけど舐められるのだけは許さない。それだけは許さない。  私は必ずお前を殺す。借りは充分に利子をつけて、のしをつけてお返ししよう。  覚悟しろ。お前は必ず――殺してばらして並べて揃えて晒して砕いて喰らってやるよ。      「――さあ、望みどおりだ地図氏!孔明!感電氏!」  暗い大地をありったけの力で蹴って飛ぶ。  私は再び孤城へと舞い戻る。  「終わらせてやるぞ!ジョーカーも黒幕もぶっ倒して熱血脱出エンドでな!!」 【G-8/病院のそば:夜中】 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:体力全快、強い決意、強い仲間意識 、首輪解除 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数100%、ロケットランチャー:残り5発)、運動服(ブルマ)、腕時計型麻酔銃(残弾0/1)@漫画ロワ 【道具】:支給品一式、未定支給品×1(本人確認済み) 【思考】  基本:対主催!目指せ熱血脱出エンド!  0:急いで病院に戻る。  1:地図氏を力ずくでも説得して脱出エンドに協力させる。 なりきりについて詳しいことを問いただす。  2:DIE/SOULやロリスキーを探して守る。  3:黒猫(666)は必ず殺す。  4:仲間をもっと集めて対主催。  ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです  ※転と仮面ライダー書き手とウッカリデスを喰らって記憶を受け継ぎました。  ※自分が本物の書き手ではないと思っています。  ※転の血を吸ってパワーアップしました。新たな力が使えるかもしれません。  ※孔明と地図氏と感電氏が『危険な対主催』だということを知りました。  ※転の記憶を使って首輪解除ができるようになりました。  ※ライダー書き手の記憶で携帯電話のwikiの存在を知りました。 【世界(スタンド)】  世界を使用でき、時止めも可能です(3秒まで)。  制限は漫画ロワに準拠――『体力の消耗』『時止めの再使用には10秒必要』『スタンドは見れるし触れる』 |255:[[それぞれの愛ゆえに]]|投下順に読む|257:[[最後の刺客 ]]| |255:[[それぞれの愛ゆえに]]|時系列順に読む|257:[[最後の刺客 ]]| |253:[[ようこそルナティックパーティー(後編)]]|ミスターマダオ|259:[[メタ思考の彼方に(前編)]]|

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示:
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。