√re:birth

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 ――時はサプライズパーティーが拘束を解く少し前に遡る。  丁度、クレイジーダイヤモンドの拳が振り上げられた時だっただろうか。  閃光。フラッシュバック。目の前が突然白くなったのを、サプライズパーティーは自分が遺言を残す時間だと勘違いした。  あの拳が振り下ろされれば、自分は死ぬ。頭を粉微塵に潰され、脳漿を撒き散らしながら。  嗚呼、糞、嫌だ嫌だ!  突然連れてこられ、突然殺されるのは嫌だ。どうして自分がこんな惨めな目に遭わなくてはならないのか。  だが。  考えてみれば当然のことなのではないか?  登場からしてステルス鬼畜のついでみたいな登場だったし、ロクに活躍もできてないし、チート能力もないし。  仮にこの一撃を耐え凌いだところで更なる苦痛が、筆舌に尽くしがたい絶望が待っているはずだ。  ならいっそのこと、ここで楽になってはどうか。  死んでしまえばもう何も心配することはない。書き手を困らせることもないだろう。あれ、何言ってんだ俺?  ともかく、もう鬱だ死のうと己の生を諦め目をじっと閉じていたサプライズパーティーだったが、いつまで経ってもクレイジーダイヤモンドの拳が振り下ろされることはなかった。代わりにどこからか懐かしい声が聞こえてくる。 『目を覚ませ。お前さんはそれでも葉鍵の書き手か』  誰だ? もううんざりなんだよ。空気になっていくのも、惨めになっていくのも。 『この駄々っ子め、マンモーニめ。仕方ないなぁ、俺様が叩き起こしてやんよ!』  は? 叩き起こすってひでぶ!  あたたたたたたたたたたたたた、とか言う声と共にサプライズパーティーの頬が盛大に張られる。  どうしてだか痛くはなかったのだが首がぶわんぶわん首が左右に振られ、脳みそが回転する。ぴよぴよ。 「き、貴様何を……」 『よっ、おはようさん』  とうとう耐えかねてサプライズパーティが目を開くと、その前には意外な人物があぐらをかいて座っていた。  知っている。サプライズパーティが唯一にして絶対の尊敬を抱く、葉鍵の書き手を。 「か、カオス神……!? なぜ貴様が、いやそれ以前にここはどこだ!?」  見れば、周りはなんかぐにゃぐにゃとしていて全ての境界線が曖昧だ。色々な風景が混ざり合っていて何がどれか分からない。  ただ一つ言えるのは、これは現実ではない、ということだ。 『決まっているだろう』  仰々しく、目の前のカオス神ことThe god of chaos が口を開く。 『ワープだ』 「まじめにやれ!」 『あいて! ……もぅ、U-1展開は俺様の十八番だってあんたも分かってんでしょ?』 「それとこれとは関係ないだろう!」  サプライズパーティに殴られた頭をさすりながらぶつぶつ文句を言うカオス神を苛立たしげに見つめる。 「どうしてここに連れてきた」 『んあ?』 「どうしてあのまま殺させてくれなかった。どうせこのまま覚醒しましたって展開にしたいのだろうが、俺ごときが覚醒したところでチート能力が身につくわけがない。精々ムティカパに変身したりルミラ様になれるくらいだろうが……そんなもの付け焼刃に過ぎないだろう」 『……』 「大体、俺はあんたに比べてあまりにも無力すぎる。敵う訳がないだろ? あんな盛況ロワの連中に、俺のような過疎の中でひっそりとやっているような人間が……」 『お前、なぁんか勘違いしてないかい?』  失望とも嘲りとも言えないような、なんでそんなに悩んでんの? とでも言いたいようにカオス神は首を傾げる。  サプライズパーティは何か反論しようとしたのだが、言葉が出てこなかった。 『お前さ、どうして書こうと思ったの? 今のB-4をさ』 「どうして……?」 『俺様は』  一瞬で答えられなかったサプライズパーティに、子供に言い聞かせるようにゆっくりと言葉を紡ぐ。 『やりたいことをやろうとしただけ。面白そうなネタを面白おかしく書いていっただけさ。だって楽しいからねぇ。ああ、本当に楽しかったよ。毎日が超展開だった』 「あんた、まさか」  カオス神の語尾が過去形になっていることに、サプライズパーティは気付いた。死んだというのか? あの絶対的な力を誇る神が。 『そっ、死んだよ。でも良かったさ、半分くらいやりたいことはやれたし、何より楽しかったしさ。まるでD-5の世界に入っていったような気分だった』 「……」 『さて、もう一度聞こうか。なんでキミはB-4を書こうと思ったの? 義務? 責任? 意地?』 「……違う」  カオス神が死んだと分かったとき、サプライズパーティはさらに生を諦めようと思った。  だが満足そうな顔、本当に楽しそうな顔を見て忘れかけていた、最初に投下したときの熱い思いがふつふつとこみ上げているのを、彼は感じていた。  故に、かれは違う言葉を、違うルートを刻む。 「俺は愛していたんだ。葉鍵というジャンルを、その登場人物たちを。だから、あのナイトライター勢がやってきたとき、俺は決めたんだ」  どんな乱入も許す。全てのキャラを書ききってみせる。たとえ、数年という時間がかかろうとも。 「好きなんだ。書くのが。葉鍵のキャラたちが、物語を刻んでいくのがな。出てはいけないキャラがいるなんて、ありえない」 『そう……お前さんのキャラにかける愛は俺様達葉鍵の書き手の中でも一番だ。俺様すら超えるくらいにな』 「当たり前だ。神のあんたでも負ける気はしない。それに……限られたキャラしか書いていないあの連中にも」  今度は怒りが、サプライズパーティの中に灯る。  どうしてあいつらはキャラを増やすのを拒むのか。意思持ち支給品の存在を疎むのか。あいつらは、今か今かと出番を待っているというのに。 『お前のルートの特徴はなんだ』 「キャラが際限なく出られること……そして今までのルートの記憶を引き継いでいること」 『ならその主たるお前が力を使いこなせない訳がない。吹っ切れてみろ。お前は力を出すのを畏れているだけだ』 「……もう」  世界に、罅が入っていく。光が漏れ出す。そこにあるのは彼の望んだ新しいルート。 「吹っ切れているさ!」  ぱりん、と。  音を立てて、彼の殻が割れた。      +     +     + 「なぁ、影。お前、キャラの……外部からの乱入を許したことはあるか? 葉鍵3の、岸田さんのように」  崩れ落ちた学校。コンクリート片の散らばる廃墟で、サプライズパーティは静かに問う。  は、とバカにしたような表情でステルス鬼畜は返す。 「そんなものが許されるわけがないだろう。そんなものを許してたらいつまでたってもロワが完結しないじゃねーか。批判だってある」 「なら、意思持ち支給品は? 明らかに人間の言葉を発しなくてもいい。ポテトやムティカパのような」 「あのなぁ……いいか、俺達ギャルゲは投票で作品を選出し、投票で出るキャラを決めてる。  その厳しい障害を乗り越えて出られるのがギャルゲロワのキャラたちなんだよ。  投票もなくいきなり乱入やら支給品やらで出てきてみろ。  住人から、いや書き手からも不満が爆発するのは目に見えてるだろうが」  は、と。  今度はサプライズパーティが嗤う。 「そうだろうな。そうだろうとも。そうやってキャラを使い捨てにしている貴様らには分からんだろうな」 「……何だと」  こめかみに青筋を立てるステルス鬼畜を、サプライズパーティは無視して言葉を続ける。 「投票という名目でキャラを選り好みし、制限という名目で登場を許さない。  リレーという建前で打ち捨て、物語からはじき出されたキャラの気持ちなど分かるものか」 「ふざけるな……俺だって書き手の端くれだ! キャラを使い捨てにしているなどと」 「違うとでも言うのか!? ならどうして『うたわれるもの』のクロウは出られない!?  スオンカスは? オリカカンは? ヌワンギは? ドリィグラァは? あれだけ作品自体が何回と出ているのに、何故一度として出られない!?  人気がないからか? 書きにくいからか? ネタがないからか?  本当に投票で『選出』した作品が好きならどうしてその作品から全部出そうと考えない?  活躍の場を与えてやろうと考えない? 無残に殺してやろうと考えない? ネタキャラにしてやろうと思わない!?  そうやって貴様らは、数あるキャラの夢を奪ってきたのではないのか!」  今までとは質の違う、狂気さえ孕んだサプライズパーティの迫力にステルス鬼畜は言葉を失う。 「だが俺は違う。俺はどんなキャラの乱入だって許すことが出来る。それが理由で完結しなくともな。  どんな理由であろうとも、そいつらは殺されるかもしれないということを承知の上で乗り込んできたんだ……  なら惨たらしく殺してやろう、ズガンでも構わないから殺してやろうとは考えもしないのか? NGという言葉一つでその存在を闇に葬るのか?  結局貴様らは『面倒だから』、『不満が出るから』、『完結しないから』などとグダグダ言い訳して妥協しているだけではないのか?  そんな奴らがキャラを愛しているなどと言うな。思うな。反吐が出る」 「……世迷い事だ」  静かに、ステルス鬼畜は言った。そんなものは我が侭に過ぎない。 「ただの自分勝手じゃないか……出したいから出す、完結なんて度外視、ルールを破る……あんたは書き手として失格だ!  ルールがあるからこそスポーツもゲームも面白いものだろう!  いやそれだけじゃない、読み手も他の書き手も無視したその言い分は絶対に許されるものか!  だからお前は一人じゃないのか!? だから独自ルートで、一人で書き続けるしかなくなったのではないのか!」 「ああ、そうだ」 「な……」  あっさり認めたサプライズパーティーに、ステルス鬼畜は絶句する。  開き直りか? こいつ、どこまで腐った書き手なんだ……  だが、次にサプライズパーティーが口に出した言葉は、予想とは違うものだった。 「分かっているさ。俺がパロロワ書き手として最悪な奴だということくらいな」 「……」 「くくく、俺は全てを受け入れられる。だからお前の言い分も正しいと分かる」 「なら、なら……どうして」 「愛しているからさ」  大きく手を広げて、サプライズパーティーは空を仰ぎ見る。先程までの狂気は、その言葉からは微塵も感じられない。  聖母マリアのような、慈愛に満ちた優しい音色だった。 「俺は葉鍵というジャンルを愛している。だから出てはいけないキャラがいる、なんて考えたくもない。  どんな書き手が、どんな思惑でキャラを乱入させたのだとしても、それは誰かが望んで、期待して投下したものだ。  俺は見捨てられなかった。物語に乗り込んできたキャラ達を見放したくはなかった。  俺は書き手よりもルールよりも何よりもキャラを優先した、それだけのことだ」  ステルス鬼畜は気付く。彼は、まったく自分達と同じ、ごく普通の書き手だ。ただ少し、ほんの少しだけ他の書き手と違ったのだ。  キャラを愛するがあまり、見捨てられないがあまり、彼は他の書き手から離れ、いつしか一人になってしまったのだ。  なんてサプライズ。 「貴様らは他の書き手と読み手と共に在ることを優先した。俺は葉鍵のキャラと共に在ることを優先した。それだけだ。でもそれでいい。  俺はそれを望んだ。俺はキャラへの愛と共に在る。そう、犯してしまいたいくらいにな。だが……白黒はつけさせてもらう。  俺は一人でもいい。しかし俺のキャラへの愛が見下されるのは我慢ならないんでな」  サプライズパーティーは、永遠神剣『冥加』を地面に突き刺す。それはカオス神と会話することで得た、新たなる彼の力。 「固有結界……『サプライズ・パーティー』」  それは『うたわれるもの』と同じく幾度となく様々なロワに選出されながらも未だ出られぬキャラが数多くいる作品の能力。  それはあらゆるキャラが無差別に跋扈する異界。  世界はグレーに包まれ、色は姿を失う。白と黒のモノクロが彩り、色彩を残すのはサプライズパーティー、ステルス鬼畜、そしてまだ縄で締め上げられている幻夜・フォン・ボーツスレーのみ。 「おいお前! それは我の世界の専売特許だぞ! 我の出番を返せ!」 「構わんだろうが。オリ能力だし」  キーキーうるさい幻夜の言葉は無視して、サプライズパーティーが言葉を続ける。 「貴様に岸田の名を名乗る資格はない……年齢などという下らない理由で『鎖』を締め出した貴様にはな。  だが貴様らギャルゲの書き手の実力は認めている。文章力やキャラ造形では敵わん。だから、俺のルートのキャラの能力は通じないだろう」 「何を言い出すかと思えば……そうやって油断を誘うつもりだろうが、そうはいくかバカめ。お前の境遇は分かった……  分かったからこそ、俺は全力でお前を叩き潰す。鬱死させてやろうと思っていたがやめたよ。  全力のお前を一瞬で叩き潰すことが、本気とやらを出したお前にとっては最大の『鬱』だろうからな!」  『冥加』は地面に突き刺さったまま。好機だと判断したステルス鬼畜がクレイジー・ダイヤモンドを突進させる。ラッシュで一思いに殴り殺してやる。  しかし。 「――行け」  その前に、突如として人影が現れる。その人物は『冥加』を素早く引き抜くと既に一発目の拳を放っていたクレイジー・ダイヤモンドの拳に向かって切りつける。  凄まじい拳の応酬。だがその人物はそのどれもを打ち払い、一撃としてそれを通すことはなかった。人間では到底不可能な絶技。 「だから、偉大なるハカロワの先人に力を貸してもらうことにしたよ」  ファサ、と。  白い翼が、高貴な単が揺れる。滑らかな黒髪は地面につくほど長く、しかし一糸も乱れぬ。 「ま、さか」  クレイジー・ダイヤモンドの後ろにいるステルス鬼畜が、目を見開く。初代ハカロワのラスボスにして、絶大な力を誇る翼人―― 「俺の固有結界は……ハカロワの名を持つのであれば、どんな人物でも俺の盾になる」  ――神奈備命が、永遠神剣『冥加』を持ち、クレイジー・ダイヤモンドの攻撃を受け止めていた。  ファサ、と。  翼が揺らめく。その存在を、誇示するように。 「さぁ……パーティの開幕だ」 【午前】【E-5 学校跡地、固有結界内】 【ステルス鬼畜@ギャルゲロワ】 【装備品】エニグマの紙×3(「漫画キャラバトルロワイアルwiki管理人」「愉快型魔術礼装カレイドステッキ」「クレイジーダイヤモンドのDISC」) 【道具】共通支給品一式 【状態】満腹、心に鬼畜の炎 【思考・行動】 基本:俺こそが最強の岸田さんだっ! 1:ステルス鬼畜の名のとおり、参加者を欝死に追い込む 2:もう一人の俺にゃ負けん。ここでサプライズパーティーは殺す 3:ちなみに俺はロリ巨乳が好みです ※容姿は鎖の岸田洋一。 【サプライズパーティー@葉鍵ロワ3】 【装備品】永遠神剣第六位『冥加』 【道具】共通支給品一式 【状態】満腹、強い怒り 【思考・行動】 基本:俺こそが最強の岸田さんだっ! 1:岸田の誇りを胸に、キャラへの愛を胸に 2:もう一人の俺にゃ負けん。ここでステルス鬼畜を殺す 3:ちなみに俺は人妻が好みです ※ステルス鬼畜をギャルゲロワの書き手と知りました 容姿は鎖の岸田洋一。 ※固有結界『サプライズ・パーティー』が使えるようになりました。 あらゆるハカロワの登場人物を乱入させることが可能です。ただし呼び出されたキャラが死んでしまうと二度と呼び出すことはできません 【午前】【E-5 学校跡地】 【幻夜・フォン・ボーツスレー@アニロワ2nd】 【状態】疲労大、ところどころ出血中・左肩に直径5cmの貫通傷・内臓に痛み(全て処置済み)、     エロ師匠と仮面ライダー書き手に対して強い怒り 【装備】巳六@舞-HiME、黄金の鎧@Fate 【道具】支給品一式×2、未定支給品×1(本人確認済み)、未定支給品×2(未確認)、ゲドー・ザ・マジシャンの首輪 【思考】 基本:このバトロワの破壊。または脱出。 0:拘束を外す方法を考える。つか我空気?やばくね? 1:放送後、あの二人組(エロ師匠と仮面ライダー書き手)を探し出して殺す。 2:協力者を探す。 3:首輪の解析。 4:放火魔を見つけたら殺す。 ※容姿はギルガメッシュ@Fateです。 |164:[[氷の青年]]|投下順に読む|166:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |161:[[岸田洋一の誇り]]|時系列順に読む|170:[[【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた]]| |161:[[岸田洋一の誇り]]|ステルス鬼畜|178:[[それぞれの意地ゆえに]]| |161:[[岸田洋一の誇り]]|サプライズパーティー|178:[[それぞれの意地ゆえに]]| |161:[[岸田洋一の誇り]]|幻夜・フォン・ボーツスレー|178:[[それぞれの意地ゆえに]]| ----
 ――時はサプライズパーティーが拘束を解く少し前に遡る。  丁度、クレイジーダイヤモンドの拳が振り上げられた時だっただろうか。  閃光。フラッシュバック。目の前が突然白くなったのを、サプライズパーティーは自分が遺言を残す時間だと勘違いした。  あの拳が振り下ろされれば、自分は死ぬ。頭を粉微塵に潰され、脳漿を撒き散らしながら。  嗚呼、糞、嫌だ嫌だ!  突然連れてこられ、突然殺されるのは嫌だ。どうして自分がこんな惨めな目に遭わなくてはならないのか。  だが。  考えてみれば当然のことなのではないか?  登場からしてステルス鬼畜のついでみたいな登場だったし、ロクに活躍もできてないし、チート能力もないし。  仮にこの一撃を耐え凌いだところで更なる苦痛が、筆舌に尽くしがたい絶望が待っているはずだ。  ならいっそのこと、ここで楽になってはどうか。  死んでしまえばもう何も心配することはない。書き手を困らせることもないだろう。あれ、何言ってんだ俺?  ともかく、もう鬱だ死のうと己の生を諦め目をじっと閉じていたサプライズパーティーだったが、いつまで経ってもクレイジーダイヤモンドの拳が振り下ろされることはなかった。代わりにどこからか懐かしい声が聞こえてくる。 『目を覚ませ。お前さんはそれでも葉鍵の書き手か』  誰だ? もううんざりなんだよ。空気になっていくのも、惨めになっていくのも。 『この駄々っ子め、マンモーニめ。仕方ないなぁ、俺様が叩き起こしてやんよ!』  は? 叩き起こすってひでぶ!  あたたたたたたたたたたたたた、とか言う声と共にサプライズパーティーの頬が盛大に張られる。  どうしてだか痛くはなかったのだが首がぶわんぶわん首が左右に振られ、脳みそが回転する。ぴよぴよ。 「き、貴様何を……」 『よっ、おはようさん』  とうとう耐えかねてサプライズパーティが目を開くと、その前には意外な人物があぐらをかいて座っていた。  知っている。サプライズパーティが唯一にして絶対の尊敬を抱く、葉鍵の書き手を。 「か、カオス神……!? なぜ貴様が、いやそれ以前にここはどこだ!?」  見れば、周りはなんかぐにゃぐにゃとしていて全ての境界線が曖昧だ。色々な風景が混ざり合っていて何がどれか分からない。  ただ一つ言えるのは、これは現実ではない、ということだ。 『決まっているだろう』  仰々しく、目の前のカオス神ことThe god of chaos が口を開く。 『ワープだ』 「まじめにやれ!」 『あいて! ……もぅ、U-1展開は俺様の十八番だってあんたも分かってんでしょ?』 「それとこれとは関係ないだろう!」  サプライズパーティに殴られた頭をさすりながらぶつぶつ文句を言うカオス神を苛立たしげに見つめる。 「どうしてここに連れてきた」 『んあ?』 「どうしてあのまま殺させてくれなかった。どうせこのまま覚醒しましたって展開にしたいのだろうが、俺ごときが覚醒したところでチート能力が身につくわけがない。精々ムティカパに変身したりルミラ様になれるくらいだろうが……そんなもの付け焼刃に過ぎないだろう」 『……』 「大体、俺はあんたに比べてあまりにも無力すぎる。敵う訳がないだろ? あんな盛況ロワの連中に、俺のような過疎の中でひっそりとやっているような人間が……」 『お前、なぁんか勘違いしてないかい?』  失望とも嘲りとも言えないような、なんでそんなに悩んでんの? とでも言いたいようにカオス神は首を傾げる。  サプライズパーティは何か反論しようとしたのだが、言葉が出てこなかった。 『お前さ、どうして書こうと思ったの? 今のB-4をさ』 「どうして……?」 『俺様は』  一瞬で答えられなかったサプライズパーティに、子供に言い聞かせるようにゆっくりと言葉を紡ぐ。 『やりたいことをやろうとしただけ。面白そうなネタを面白おかしく書いていっただけさ。だって楽しいからねぇ。ああ、本当に楽しかったよ。毎日が超展開だった』 「あんた、まさか」  カオス神の語尾が過去形になっていることに、サプライズパーティは気付いた。死んだというのか? あの絶対的な力を誇る神が。 『そっ、死んだよ。でも良かったさ、半分くらいやりたいことはやれたし、何より楽しかったしさ。まるでD-5の世界に入っていったような気分だった』 「……」 『さて、もう一度聞こうか。なんでキミはB-4を書こうと思ったの? 義務? 責任? 意地?』 「……違う」  カオス神が死んだと分かったとき、サプライズパーティはさらに生を諦めようと思った。  だが満足そうな顔、本当に楽しそうな顔を見て忘れかけていた、最初に投下したときの熱い思いがふつふつとこみ上げているのを、彼は感じていた。  故に、かれは違う言葉を、違うルートを刻む。 「俺は愛していたんだ。葉鍵というジャンルを、その登場人物たちを。だから、あのナイトライター勢がやってきたとき、俺は決めたんだ」  どんな乱入も許す。全てのキャラを書ききってみせる。たとえ、数年という時間がかかろうとも。 「好きなんだ。書くのが。葉鍵のキャラたちが、物語を刻んでいくのがな。出てはいけないキャラがいるなんて、ありえない」 『そう……お前さんのキャラにかける愛は俺様達葉鍵の書き手の中でも一番だ。俺様すら超えるくらいにな』 「当たり前だ。神のあんたでも負ける気はしない。それに……限られたキャラしか書いていないあの連中にも」  今度は怒りが、サプライズパーティの中に灯る。  どうしてあいつらはキャラを増やすのを拒むのか。意思持ち支給品の存在を疎むのか。あいつらは、今か今かと出番を待っているというのに。 『お前のルートの特徴はなんだ』 「キャラが際限なく出られること……そして今までのルートの記憶を引き継いでいること」 『ならその主たるお前が力を使いこなせない訳がない。吹っ切れてみろ。お前は力を出すのを畏れているだけだ』 「……もう」  世界に、罅が入っていく。光が漏れ出す。そこにあるのは彼の望んだ新しいルート。 「吹っ切れているさ!」  ぱりん、と。  音を立てて、彼の殻が割れた。      +     +     + 「なぁ、影。お前、キャラの……外部からの乱入を許したことはあるか? 葉鍵3の、岸田さんのように」  崩れ落ちた学校。コンクリート片の散らばる廃墟で、サプライズパーティは静かに問う。  は、とバカにしたような表情でステルス鬼畜は返す。 「そんなものが許されるわけがないだろう。そんなものを許してたらいつまでたってもロワが完結しないじゃねーか。批判だってある」 「なら、意思持ち支給品は? 明らかに人間の言葉を発しなくてもいい。ポテトやムティカパのような」 「あのなぁ……いいか、俺達ギャルゲは投票で作品を選出し、投票で出るキャラを決めてる。  その厳しい障害を乗り越えて出られるのがギャルゲロワのキャラたちなんだよ。  投票もなくいきなり乱入やら支給品やらで出てきてみろ。  住人から、いや書き手からも不満が爆発するのは目に見えてるだろうが」  は、と。  今度はサプライズパーティが嗤う。 「そうだろうな。そうだろうとも。そうやってキャラを使い捨てにしている貴様らには分からんだろうな」 「……何だと」  こめかみに青筋を立てるステルス鬼畜を、サプライズパーティは無視して言葉を続ける。 「投票という名目でキャラを選り好みし、制限という名目で登場を許さない。  リレーという建前で打ち捨て、物語からはじき出されたキャラの気持ちなど分かるものか」 「ふざけるな……俺だって書き手の端くれだ! キャラを使い捨てにしているなどと」 「違うとでも言うのか!? ならどうして『うたわれるもの』のクロウは出られない!?  スオンカスは? オリカカンは? ヌワンギは? ドリィグラァは? あれだけ作品自体が何回と出ているのに、何故一度として出られない!?  人気がないからか? 書きにくいからか? ネタがないからか?  本当に投票で『選出』した作品が好きならどうしてその作品から全部出そうと考えない?  活躍の場を与えてやろうと考えない? 無残に殺してやろうと考えない? ネタキャラにしてやろうと思わない!?  そうやって貴様らは、数あるキャラの夢を奪ってきたのではないのか!」  今までとは質の違う、狂気さえ孕んだサプライズパーティの迫力にステルス鬼畜は言葉を失う。 「だが俺は違う。俺はどんなキャラの乱入だって許すことが出来る。それが理由で完結しなくともな。  どんな理由であろうとも、そいつらは殺されるかもしれないということを承知の上で乗り込んできたんだ……  なら惨たらしく殺してやろう、ズガンでも構わないから殺してやろうとは考えもしないのか? NGという言葉一つでその存在を闇に葬るのか?  結局貴様らは『面倒だから』、『不満が出るから』、『完結しないから』などとグダグダ言い訳して妥協しているだけではないのか?  そんな奴らがキャラを愛しているなどと言うな。思うな。反吐が出る」 「……世迷い事だ」  静かに、ステルス鬼畜は言った。そんなものは我が侭に過ぎない。 「ただの自分勝手じゃないか……出したいから出す、完結なんて度外視、ルールを破る……あんたは書き手として失格だ!  ルールがあるからこそスポーツもゲームも面白いものだろう!  いやそれだけじゃない、読み手も他の書き手も無視したその言い分は絶対に許されるものか!  だからお前は一人じゃないのか!? だから独自ルートで、一人で書き続けるしかなくなったのではないのか!」 「ああ、そうだ」 「な……」  あっさり認めたサプライズパーティーに、ステルス鬼畜は絶句する。  開き直りか? こいつ、どこまで腐った書き手なんだ……  だが、次にサプライズパーティーが口に出した言葉は、予想とは違うものだった。 「分かっているさ。俺がパロロワ書き手として最悪な奴だということくらいな」 「……」 「くくく、俺は全てを受け入れられる。だからお前の言い分も正しいと分かる」 「なら、なら……どうして」 「愛しているからさ」  大きく手を広げて、サプライズパーティーは空を仰ぎ見る。先程までの狂気は、その言葉からは微塵も感じられない。  聖母マリアのような、慈愛に満ちた優しい音色だった。 「俺は葉鍵というジャンルを愛している。だから出てはいけないキャラがいる、なんて考えたくもない。  どんな書き手が、どんな思惑でキャラを乱入させたのだとしても、それは誰かが望んで、期待して投下したものだ。  俺は見捨てられなかった。物語に乗り込んできたキャラ達を見放したくはなかった。  俺は書き手よりもルールよりも何よりもキャラを優先した、それだけのことだ」  ステルス鬼畜は気付く。彼は、まったく自分達と同じ、ごく普通の書き手だ。ただ少し、ほんの少しだけ他の書き手と違ったのだ。  キャラを愛するがあまり、見捨てられないがあまり、彼は他の書き手から離れ、いつしか一人になってしまったのだ。  なんてサプライズ。 「貴様らは他の書き手と読み手と共に在ることを優先した。俺は葉鍵のキャラと共に在ることを優先した。それだけだ。でもそれでいい。  俺はそれを望んだ。俺はキャラへの愛と共に在る。そう、犯してしまいたいくらいにな。だが……白黒はつけさせてもらう。  俺は一人でもいい。しかし俺のキャラへの愛が見下されるのは我慢ならないんでな」  サプライズパーティーは、永遠神剣『冥加』を地面に突き刺す。それはカオス神と会話することで得た、新たなる彼の力。 「固有結界……『サプライズ・パーティー』」  それは『うたわれるもの』と同じく幾度となく様々なロワに選出されながらも未だ出られぬキャラが数多くいる作品の能力。  それはあらゆるキャラが無差別に跋扈する異界。  世界はグレーに包まれ、色は姿を失う。白と黒のモノクロが彩り、色彩を残すのはサプライズパーティー、ステルス鬼畜、そしてまだ縄で締め上げられている幻夜・フォン・ボーツスレーのみ。 「おいお前! それは我の世界の専売特許だぞ! 我の出番を返せ!」 「構わんだろうが。オリ能力だし」  キーキーうるさい幻夜の言葉は無視して、サプライズパーティーが言葉を続ける。 「貴様に岸田の名を名乗る資格はない……年齢などという下らない理由で『鎖』を締め出した貴様にはな。  だが貴様らギャルゲの書き手の実力は認めている。文章力やキャラ造形では敵わん。だから、俺のルートのキャラの能力は通じないだろう」 「何を言い出すかと思えば……そうやって油断を誘うつもりだろうが、そうはいくかバカめ。お前の境遇は分かった……  分かったからこそ、俺は全力でお前を叩き潰す。鬱死させてやろうと思っていたがやめたよ。  全力のお前を一瞬で叩き潰すことが、本気とやらを出したお前にとっては最大の『鬱』だろうからな!」  『冥加』は地面に突き刺さったまま。好機だと判断したステルス鬼畜がクレイジー・ダイヤモンドを突進させる。ラッシュで一思いに殴り殺してやる。  しかし。 「――行け」  その前に、突如として人影が現れる。その人物は『冥加』を素早く引き抜くと既に一発目の拳を放っていたクレイジー・ダイヤモンドの拳に向かって切りつける。  凄まじい拳の応酬。だがその人物はそのどれもを打ち払い、一撃としてそれを通すことはなかった。人間では到底不可能な絶技。 「だから、偉大なるハカロワの先人に力を貸してもらうことにしたよ」  ファサ、と。  白い翼が、高貴な単が揺れる。滑らかな黒髪は地面につくほど長く、しかし一糸も乱れぬ。 「ま、さか」  クレイジー・ダイヤモンドの後ろにいるステルス鬼畜が、目を見開く。初代ハカロワのラスボスにして、絶大な力を誇る翼人―― 「俺の固有結界は……ハカロワの名を持つのであれば、どんな人物でも俺の盾になる」  ――神奈備命が、永遠神剣『冥加』を持ち、クレイジー・ダイヤモンドの攻撃を受け止めていた。  ファサ、と。  翼が揺らめく。その存在を、誇示するように。 「さぁ……パーティの開幕だ」 【午前】【E-5 学校跡地、固有結界内】 【ステルス鬼畜@ギャルゲロワ】 【装備品】エニグマの紙×3(「漫画キャラバトルロワイアルwiki管理人」「愉快型魔術礼装カレイドステッキ」「クレイジーダイヤモンドのDISC」) 【道具】共通支給品一式 【状態】満腹、心に鬼畜の炎 【思考・行動】 基本:俺こそが最強の岸田さんだっ! 1:ステルス鬼畜の名のとおり、参加者を欝死に追い込む 2:もう一人の俺にゃ負けん。ここでサプライズパーティーは殺す 3:ちなみに俺はロリ巨乳が好みです ※容姿は鎖の岸田洋一。 【サプライズパーティー@葉鍵ロワ3】 【装備品】永遠神剣第六位『冥加』 【道具】共通支給品一式 【状態】満腹、強い怒り 【思考・行動】 基本:俺こそが最強の岸田さんだっ! 1:岸田の誇りを胸に、キャラへの愛を胸に 2:もう一人の俺にゃ負けん。ここでステルス鬼畜を殺す 3:ちなみに俺は人妻が好みです ※ステルス鬼畜をギャルゲロワの書き手と知りました 容姿は鎖の岸田洋一。 ※固有結界『サプライズ・パーティー』が使えるようになりました。 あらゆるハカロワの登場人物を乱入させることが可能です。ただし呼び出されたキャラが死んでしまうと二度と呼び出すことはできません 【午前】【E-5 学校跡地】 【幻夜・フォン・ボーツスレー@アニロワ2nd】 【状態】疲労大、ところどころ出血中・左肩に直径5cmの貫通傷・内臓に痛み(全て処置済み)、     エロ師匠と仮面ライダー書き手に対して強い怒り 【装備】巳六@舞-HiME、黄金の鎧@Fate 【道具】支給品一式×2、未定支給品×1(本人確認済み)、未定支給品×2(未確認)、ゲドー・ザ・マジシャンの首輪 【思考】 基本:このバトロワの破壊。または脱出。 0:拘束を外す方法を考える。つか我空気?やばくね? 1:放送後、あの二人組(エロ師匠と仮面ライダー書き手)を探し出して殺す。 2:協力者を探す。 3:首輪の解析。 4:放火魔を見つけたら殺す。 ※容姿はギルガメッシュ@Fateです。 |165:[[氷の青年]]|投下順に読む|167:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |162:[[岸田洋一の誇り]]|時系列順に読む|171:[[【書き手ロワ2nd】地図氏を暗殺しにいってみた]]| |162:[[岸田洋一の誇り]]|ステルス鬼畜|179:[[それぞれの意地ゆえに]]| |162:[[岸田洋一の誇り]]|サプライズパーティー|179:[[それぞれの意地ゆえに]]| |162:[[岸田洋一の誇り]]|幻夜・フォン・ボーツスレー|179:[[それぞれの意地ゆえに]]| ----

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