氷の青年

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氷の青年」(2008/04/06 (日) 13:35:36) の最新版変更点

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「おい、気付いてるか」 「うむ。我々をも飲み込もうとする強烈な敵意……何処から来たのやら」 ファミレスへと向かっていたミスターマダオと神行太保のDIE/SOUL。 その後ろから、強烈な殺意の塊が背中へと突き刺さっていた。 振り返らずとも分かる。だから、DIE/SOULは背中を向けたまま声を掛けた。 「やろうってんなら付き合うぜ」 「……悪い事は言わん。そのまま立ち去れ」 おかしな事を言う。と、マダオは思った。 これだけの殺気を放っておきながら、立ち去れなどと言うだろうか。 まさか後ろから襲い掛かるのかとも考えたが、恐らく違う。 では、背後の男は何を思って先の言葉を放ったのか。 興味が湧いたマダオは、一体どんな輩か興味を持って振り返る。 同じように、振り返ったDIE/SOULは、訝しげな表情でその男を睨みつけた。 「テメェは……」 そこに立っていたのは、壁にもたれかかり腕を組む青髪の青年。 外見はヴェイグ・リュングベル。テイルズオブリバースの主人公だ。 そしてこの男こそ、テイルズロワを制した戦士でもある。 だが、なぜテイルズの人間がここにいるのか。 マダオは頭の中で名簿の名前を全部思い出す。 該当する名前は無い。テイルズロワに共通する読み方である『ななし』と言う呼び名が。 ならば、この参加者はどのロワの書き手なのか。 (いや、これは恐らく……) 前提が違う。参加者の中から選別していては該当者など出ない。 なぜなら、この男は参加者の外から来たのだから。 「ジョーカと言う事か」 「お察し頂けて助かります。俺の名はナナシ。テイルズロワの書き手です」 マダオの答えに、ナナシは簡潔に答える。 一切感情の篭っていないような。 そう、例えるなら自分すら他人事のような空気を、彼は纏っていた。 「はッ、主催側も相当あせてるみてぇだな。こんな早期にジョーカー寄越すなんてよ」 「そうですね。確かに俺もそう思います」 竜殺しを肩に構え、既に戦闘態勢のDIE/SOUL。 だが、ナナシの方は依然腕を組んだまま沈黙を守り続けていた。 この様子に、DIE/SOULは怒りの表情を浮かべる。 「手ぇ出すなマダオ。こいつは俺が殺す」 「好きにしろ。燃え展ならタイマンは華だからな。邪魔などせん」 それだけ答えると、マダオは二人から一瞬にして離れる。 どうやら、本当に手を出すつもりは無いらしい。 「あんだけ大口叩いたんだ。さっさと、その腰に下げた剣を抜きやがれ」 「……」 「どうした?いまさら泣いて詫びても許しはしねぇぞ」 「……ハンデです」 「あ?」 DIE/SOULのこめかみがピクリと動く。 ギッと歯を噛み締め、最後の一線を踏みとどめる。 「……悪いな。俺の耳までテメェの声が届かなかったみてーだわ」 「ハンデだと言ったんです。貴方ほどなら5秒あれば俺を殺せます」 「!!」 怒りの頂点に達したDIE/SOULは、全身のバネを利用して前に飛び出す。 目指すは腕を組んで目を瞑るナナシの首。 一撃で決めるべく、竜殺しは轟音を鳴らしながら横一直線に風を薙ぐ。 だが、ナナシは首の皮に竜殺しの切っ先がが届くまで動こうとはしなかった。 そして、竜殺しがナナシの首に当たった所で異変は起きた。 「なン、だっ――」 竜殺しを握るDIE/SOULの腕が、足が、身体が、氷と言う名の悪魔に締め付けられていた。 突然現れたこの氷こそ、ヴェイグの身体を有したナナシの力の一つ。 『氷のフォース』と呼ばれる力。暴走すれば周囲を凍りつかせてしまうほどの威力を誇る。 この力がDIE/SOULから自由を奪い、轟音を鳴らす竜殺しすら停止させた。 それでも、竜殺しはナナシの首の皮一枚を切り裂き、僅かながら傷を負わせていた。 だが、ナナシは首筋から流れる血を気にもせず、依然同じ姿のまま動こうとしない。 「あとコンマ4秒早ければ、きっと俺を殺せてました」 「ふざ、けんな!こん、な、氷な、んぞ、ぶち、やぶ、って!」 「無理はしない方がいい。下手をすれば体がバラバラになってしまいますよ」 「ぐぬ、ぬぅぅぅうううあああああ!」 「そのまま凍り付くのを待った方が貴方の為です。もがけばもがくほど、苦しみは大きくなる」 「ぬお、おおおお、おおおおおおおお、おおおおおおおおおおおおおおお!!」 メキメキと氷が剥がれていく。 凍っていく身体に纏わり付いた氷をDIE/SOULは己が発する熱で溶かそうとしているのだ。 氷がDIE/SOULを覆うより早く、全身から発せられる熱気が氷の侵攻を押し返す。 さすがのナナシも、この行為に少しばかり驚く。 そして、悲しそうな瞳をDIE/SOULに見せると、その場からゆっくり下がる。 「下手に希望を残すべきじゃありませんでしたね」 「ぐお、おおおおおお、ぬおおおおお!」 「いいでしょう。希望を見つけてしまうなら、それすら途絶える世界を見せればいい」 10メートルほど離れると、ナナシは淡々とした口調で呪文を口ずさむ。 避けることすら許されない、絶対を誇るその呪文を。 ――― 天光満つる所に我はあり    ――― 黄泉の門開く所に汝あり          ――― 出でよ神の雷 「いかん!避けよDIE/SOUL!」 先に危険に気付いたのは、傍観していたマダオだった。 この殺し合いで一度も挙げなかった驚きの声が漏れたのも気付かない。 それほどまでに、DIE/SOULの頭上に集まる力は危険なのだ。 邪魔するつもりは無かったが、あんな所で無駄死にさせるつもりは無い。 意を決すると、マダオは一気にDIE/SOULへと距離を詰める。 そのすぐ後に、ナナシは唱えていた言葉を紡ぎ終えた。 「これで終わりです……インディグネイション!」 この瞬間。光りが地上へと落ちた。 まるでDIE/SOULの周囲を囲うように、全ての存在が光に包まれていく。 全ての音さえ遮り、全ての色さえかき消される。 幾重も降り注ぐのは、うねりをあげて暴れまわる雷の魔物。 これに喰われれば、壁が。道路が。窓が。全てが塵も残さず飲み込まれていく。 無論、それはDIE/SOULとて例外ではない。 「――!!」 痛みの限界を超えた咆哮すら、神の雷の前では声にならない。 全身を焼き尽くしていく圧倒的なまでの力が、DIE/SOULの希望を霧散させていく。 体中から堪えきれなくなった血管が、皮膚を破き外へ剥き出しになる。 眼球は水分を失い、また同じように乾いていく皮膚は皹が入ったように割れる。 意識が消えるのが先か、それとも命が尽きるのが先か。 最後に見えた光景は、光のカーテンの向こう側で目を閉じるナナシの姿だった。 ◇◇ 「くっ」 「おお、目を覚ましたか」 意識を取り戻したDIE/SOULが最初に見たのは、どこか焦げ臭いマダオの姿だった。 一体どれくらい意識を手放していたのか。 「おま、ぐッ」 「ああ無理するな。その身体では生きていたほうが不思議なの酷さなのだからな」 「アイツは?」 「こちらの戦線離脱さ。その状態では仕方なかろう?」 身体を起して自分を体を見てみると、確かにマダオの言うとおり不思議な状態だった。 足や手からは焦げた匂いと黒ずんだ跡、水脹れと言うには大きすぎる膨らみ。 極めつけは、指先が完全に炭となった右手。 「痛みは無いか?」 「痛てぇに決まってんだろ」 「良ければ吸血鬼にしてやれるが」 「断る」 それだけ言うと、DIE/SOULは再び床へ身体を戻す。 この時、DIE/SOULの目に飛び込んでのは、右半分が焼け爛れたマダオの姿だった。 髪は焦げ、皮膚に至っては殆どめくれている。 「お前まさか――」 「危機を救うと言うのも燃え展の一つだ。ま、今回は流石にマズかったがな」 愉快そうに笑うマダオに、DIE/SOULはカチンと来た。 この女は、身の危険だと言うのに何を考えていたのだろうか。 「ふざけんじゃねぇ!それで二人ともお陀仏したらどうすんだよ!」 「なに、その時はその時さ。それにな」 今にも噛み付かんとするDIE/SOULの頭を撫で、マダオは真面目な顔で口を開く。 DIE/SOULを見るその瞳は、冗談を言うような色をしていなかった。 「仲間だからな。マーダーなんぞに殺させはせんさ」 あまりにも王道な答えに、DIE/SOULはどう答えていいか視線を彷徨わせる。 数秒間の沈黙の後、我慢できなくなったのかマダオから目を逸らす。 よくよく考えてみれば、アーカードとは言え今のマダオは女だ。 それなのに礼もいえなければ、男として恥ずかしい。 「ありがとよ」 本当に小さな声で呟く。 耳のいいマダオは、その言葉を聞いて満足気に頷いた。 「人間積み重ねが大事だからな」 お前は人間じゃないだろうと言う突っ込みは、何処からも飛んでこなかった。 【昼】【F-5 路地裏】 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:重症(回復中)、額に切り傷、右半分が大火傷(回復中)、強い決意、強い仲間意識 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数100%、ロケットランチャー:残り10発) 【道具】:支給品一式、未定支給品×1~2(本人確認済み) 【思考】:  基本:対主催! 殺し合いには乗らないが、マーダーは犬の餌。しかし……?  1:まずは休憩だな。  2:ウッカリデス達の所には、それから戻ろう  3:友情! もっと仲間を探すぞ!  4:努力! 首輪をどうにかするぞ!  5:勝利! 見ていろよ主催者!  ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです  ※押し倒したウッカリデスを気に入りました  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 【神行太保のDIE/SOUL@アニロワ1st】 【状態】:疲労(中)、胸部にダメージ、全身火傷(処置済み)、右指炭化(処置済み)、全身に打ち身 【装備】:竜殺し@ベルセルク、ガッツの装備一式@ベルセルク 【道具】:支給品一式、拡声器 【思考】  基本:アーカード(地図氏、マダオ)は殺す。しかし……?  1:今は休む  2:あのナナシとは必ず決着をつける。  3:仲間を集めて『孤城の主』を実現させ地図氏を打倒する  4:それまではマダオと協力関係を結ぶ  5:地図氏を始末した後はマダオを始末する……つもりだ  ※容姿はガッツ@ベルセルクです。  ※神行太保・戴宗の神行法(高速移動)が使えます。  ※ラディカルグッドスピード腕部限定は、腕だけが速く動きます。  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 逃げていった二人を追うことはせず、ナナシはゆっくりと移動を続けていた。 自分に課せられたのはジョーカーという主催側の駒。 だが、その役目は出来る限りしたいとは思っていない。 理由は不明だが、ナナシはこの殺し合いには消極的な姿勢を構えていた。 それでも、向かってくる書き手には容赦はしないだろう。 だから、ナナシは祈り続けていた。 『これ以上、乗り気の書き手と会わないように』と。 【昼】【D-6 道路】 【ナナシ@テイルズロワ】 【状態】:健康。消極的態度。 【装備】:剣(詳細不明)@テイルズロワ 【道具】:荷物一式、不明支給品×1(未確認) 【思考】 基本:ジョーカを担う 1:ジョーカーだが、出来る限り殺したくない 2:逃げるなら追わない。来るなら殺す 【備考】 外見、声はヴェイグ・リュングベル@テイルズオブリバース。 ※インディグネイションの威力は書き手にお任せします。 |163:[[混ぜるな自然]]|投下順に読む|165:[[√re:birth]]| |163:[[混ぜるな自然]]|時系列順に読む|166:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |144:[[キバヤシ考察はパロロワの華]]|ミスターマダオ|166:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |144:[[キバヤシ考察はパロロワの華]]|神行太保のDIE/SOUL|166:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |141:[[黄昏、来まくって]]|ナナシ|176:[[自重の意味を知るRPG]]| ----
「おい、気付いてるか」 「うむ。我々をも飲み込もうとする強烈な敵意……何処から来たのやら」 ファミレスへと向かっていたミスターマダオと神行太保のDIE/SOUL。 その後ろから、強烈な殺意の塊が背中へと突き刺さっていた。 振り返らずとも分かる。だから、DIE/SOULは背中を向けたまま声を掛けた。 「やろうってんなら付き合うぜ」 「……悪い事は言わん。そのまま立ち去れ」 おかしな事を言う。と、マダオは思った。 これだけの殺気を放っておきながら、立ち去れなどと言うだろうか。 まさか後ろから襲い掛かるのかとも考えたが、恐らく違う。 では、背後の男は何を思って先の言葉を放ったのか。 興味が湧いたマダオは、一体どんな輩か興味を持って振り返る。 同じように、振り返ったDIE/SOULは、訝しげな表情でその男を睨みつけた。 「テメェは……」 そこに立っていたのは、壁にもたれかかり腕を組む青髪の青年。 外見はヴェイグ・リュングベル。テイルズオブリバースの主人公だ。 そしてこの男こそ、テイルズロワを制した戦士でもある。 だが、なぜテイルズの人間がここにいるのか。 マダオは頭の中で名簿の名前を全部思い出す。 該当する名前は無い。テイルズロワに共通する読み方である『ななし』と言う呼び名が。 ならば、この参加者はどのロワの書き手なのか。 (いや、これは恐らく……) 前提が違う。参加者の中から選別していては該当者など出ない。 なぜなら、この男は参加者の外から来たのだから。 「ジョーカと言う事か」 「お察し頂けて助かります。俺の名はナナシ。テイルズロワの書き手です」 マダオの答えに、ナナシは簡潔に答える。 一切感情の篭っていないような。 そう、例えるなら自分すら他人事のような空気を、彼は纏っていた。 「はッ、主催側も相当あせてるみてぇだな。こんな早期にジョーカー寄越すなんてよ」 「そうですね。確かに俺もそう思います」 竜殺しを肩に構え、既に戦闘態勢のDIE/SOUL。 だが、ナナシの方は依然腕を組んだまま沈黙を守り続けていた。 この様子に、DIE/SOULは怒りの表情を浮かべる。 「手ぇ出すなマダオ。こいつは俺が殺す」 「好きにしろ。燃え展ならタイマンは華だからな。邪魔などせん」 それだけ答えると、マダオは二人から一瞬にして離れる。 どうやら、本当に手を出すつもりは無いらしい。 「あんだけ大口叩いたんだ。さっさと、その腰に下げた剣を抜きやがれ」 「……」 「どうした?いまさら泣いて詫びても許しはしねぇぞ」 「……ハンデです」 「あ?」 DIE/SOULのこめかみがピクリと動く。 ギッと歯を噛み締め、最後の一線を踏みとどめる。 「……悪いな。俺の耳までテメェの声が届かなかったみてーだわ」 「ハンデだと言ったんです。貴方ほどなら5秒あれば俺を殺せます」 「!!」 怒りの頂点に達したDIE/SOULは、全身のバネを利用して前に飛び出す。 目指すは腕を組んで目を瞑るナナシの首。 一撃で決めるべく、竜殺しは轟音を鳴らしながら横一直線に風を薙ぐ。 だが、ナナシは首の皮に竜殺しの切っ先がが届くまで動こうとはしなかった。 そして、竜殺しがナナシの首に当たった所で異変は起きた。 「なン、だっ――」 竜殺しを握るDIE/SOULの腕が、足が、身体が、氷と言う名の悪魔に締め付けられていた。 突然現れたこの氷こそ、ヴェイグの身体を有したナナシの力の一つ。 『氷のフォース』と呼ばれる力。暴走すれば周囲を凍りつかせてしまうほどの威力を誇る。 この力がDIE/SOULから自由を奪い、轟音を鳴らす竜殺しすら停止させた。 それでも、竜殺しはナナシの首の皮一枚を切り裂き、僅かながら傷を負わせていた。 だが、ナナシは首筋から流れる血を気にもせず、依然同じ姿のまま動こうとしない。 「あとコンマ4秒早ければ、きっと俺を殺せてました」 「ふざ、けんな!こん、な、氷な、んぞ、ぶち、やぶ、って!」 「無理はしない方がいい。下手をすれば体がバラバラになってしまいますよ」 「ぐぬ、ぬぅぅぅうううあああああ!」 「そのまま凍り付くのを待った方が貴方の為です。もがけばもがくほど、苦しみは大きくなる」 「ぬお、おおおお、おおおおおおおお、おおおおおおおおおおおおおおお!!」 メキメキと氷が剥がれていく。 凍っていく身体に纏わり付いた氷をDIE/SOULは己が発する熱で溶かそうとしているのだ。 氷がDIE/SOULを覆うより早く、全身から発せられる熱気が氷の侵攻を押し返す。 さすがのナナシも、この行為に少しばかり驚く。 そして、悲しそうな瞳をDIE/SOULに見せると、その場からゆっくり下がる。 「下手に希望を残すべきじゃありませんでしたね」 「ぐお、おおおおおお、ぬおおおおお!」 「いいでしょう。希望を見つけてしまうなら、それすら途絶える世界を見せればいい」 10メートルほど離れると、ナナシは淡々とした口調で呪文を口ずさむ。 避けることすら許されない、絶対を誇るその呪文を。 ――― 天光満つる所に我はあり    ――― 黄泉の門開く所に汝あり          ――― 出でよ神の雷 「いかん!避けよDIE/SOUL!」 先に危険に気付いたのは、傍観していたマダオだった。 この殺し合いで一度も挙げなかった驚きの声が漏れたのも気付かない。 それほどまでに、DIE/SOULの頭上に集まる力は危険なのだ。 邪魔するつもりは無かったが、あんな所で無駄死にさせるつもりは無い。 意を決すると、マダオは一気にDIE/SOULへと距離を詰める。 そのすぐ後に、ナナシは唱えていた言葉を紡ぎ終えた。 「これで終わりです……インディグネイション!」 この瞬間。光りが地上へと落ちた。 まるでDIE/SOULの周囲を囲うように、全ての存在が光に包まれていく。 全ての音さえ遮り、全ての色さえかき消される。 幾重も降り注ぐのは、うねりをあげて暴れまわる雷の魔物。 これに喰われれば、壁が。道路が。窓が。全てが塵も残さず飲み込まれていく。 無論、それはDIE/SOULとて例外ではない。 「――!!」 痛みの限界を超えた咆哮すら、神の雷の前では声にならない。 全身を焼き尽くしていく圧倒的なまでの力が、DIE/SOULの希望を霧散させていく。 体中から堪えきれなくなった血管が、皮膚を破き外へ剥き出しになる。 眼球は水分を失い、また同じように乾いていく皮膚は皹が入ったように割れる。 意識が消えるのが先か、それとも命が尽きるのが先か。 最後に見えた光景は、光のカーテンの向こう側で目を閉じるナナシの姿だった。 ◇◇ 「くっ」 「おお、目を覚ましたか」 意識を取り戻したDIE/SOULが最初に見たのは、どこか焦げ臭いマダオの姿だった。 一体どれくらい意識を手放していたのか。 「おま、ぐッ」 「ああ無理するな。その身体では生きていたほうが不思議なの酷さなのだからな」 「アイツは?」 「こちらの戦線離脱さ。その状態では仕方なかろう?」 身体を起して自分を体を見てみると、確かにマダオの言うとおり不思議な状態だった。 足や手からは焦げた匂いと黒ずんだ跡、水脹れと言うには大きすぎる膨らみ。 極めつけは、指先が完全に炭となった右手。 「痛みは無いか?」 「痛てぇに決まってんだろ」 「良ければ吸血鬼にしてやれるが」 「断る」 それだけ言うと、DIE/SOULは再び床へ身体を戻す。 この時、DIE/SOULの目に飛び込んでのは、右半分が焼け爛れたマダオの姿だった。 髪は焦げ、皮膚に至っては殆どめくれている。 「お前まさか――」 「危機を救うと言うのも燃え展の一つだ。ま、今回は流石にマズかったがな」 愉快そうに笑うマダオに、DIE/SOULはカチンと来た。 この女は、身の危険だと言うのに何を考えていたのだろうか。 「ふざけんじゃねぇ!それで二人ともお陀仏したらどうすんだよ!」 「なに、その時はその時さ。それにな」 今にも噛み付かんとするDIE/SOULの頭を撫で、マダオは真面目な顔で口を開く。 DIE/SOULを見るその瞳は、冗談を言うような色をしていなかった。 「仲間だからな。マーダーなんぞに殺させはせんさ」 あまりにも王道な答えに、DIE/SOULはどう答えていいか視線を彷徨わせる。 数秒間の沈黙の後、我慢できなくなったのかマダオから目を逸らす。 よくよく考えてみれば、アーカードとは言え今のマダオは女だ。 それなのに礼もいえなければ、男として恥ずかしい。 「ありがとよ」 本当に小さな声で呟く。 耳のいいマダオは、その言葉を聞いて満足気に頷いた。 「人間積み重ねが大事だからな」 お前は人間じゃないだろうと言う突っ込みは、何処からも飛んでこなかった。 【昼】【F-5 路地裏】 【ミスターマダオ@漫画ロワ】 【状態】:重症(回復中)、額に切り傷、右半分が大火傷(回復中)、強い決意、強い仲間意識 【装備】:パニッシャー@トライガン(機関銃:残り弾数100%、ロケットランチャー:残り10発) 【道具】:支給品一式、未定支給品×1~2(本人確認済み) 【思考】:  基本:対主催! 殺し合いには乗らないが、マーダーは犬の餌。しかし……?  1:まずは休憩だな。  2:ウッカリデス達の所には、それから戻ろう  3:友情! もっと仲間を探すぞ!  4:努力! 首輪をどうにかするぞ!  5:勝利! 見ていろよ主催者!  ※容姿はアーカード(ロリ状態)@ヘルシングです  ※押し倒したウッカリデスを気に入りました  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 【神行太保のDIE/SOUL@アニロワ1st】 【状態】:疲労(中)、胸部にダメージ、全身火傷(処置済み)、右指炭化(処置済み)、全身に打ち身 【装備】:竜殺し@ベルセルク、ガッツの装備一式@ベルセルク 【道具】:支給品一式、拡声器 【思考】  基本:アーカード(地図氏、マダオ)は殺す。しかし……?  1:今は休む  2:あのナナシとは必ず決着をつける。  3:仲間を集めて『孤城の主』を実現させ地図氏を打倒する  4:それまではマダオと協力関係を結ぶ  5:地図氏を始末した後はマダオを始末する……つもりだ  ※容姿はガッツ@ベルセルクです。  ※神行太保・戴宗の神行法(高速移動)が使えます。  ※ラディカルグッドスピード腕部限定は、腕だけが速く動きます。  ※地図氏(地球破壊爆弾No.V-7)がジョーカーではないかと思っています。  ※自分が本物の書き手なのか疑問が生まれました。他の書き手を殺すのにわずかな躊躇いが生まれました。 逃げていった二人を追うことはせず、ナナシはゆっくりと移動を続けていた。 自分に課せられたのはジョーカーという主催側の駒。 だが、その役目は出来る限りしたいとは思っていない。 理由は不明だが、ナナシはこの殺し合いには消極的な姿勢を構えていた。 それでも、向かってくる書き手には容赦はしないだろう。 だから、ナナシは祈り続けていた。 『これ以上、乗り気の書き手と会わないように』と。 【昼】【D-6 道路】 【ナナシ@テイルズロワ】 【状態】:健康。消極的態度。 【装備】:剣(詳細不明)@テイルズロワ 【道具】:荷物一式、不明支給品×1(未確認) 【思考】 基本:ジョーカを担う 1:ジョーカーだが、出来る限り殺したくない 2:逃げるなら追わない。来るなら殺す 【備考】 外見、声はヴェイグ・リュングベル@テイルズオブリバース。 ※インディグネイションの威力は書き手にお任せします。 |164:[[混ぜるな自然]]|投下順に読む|166:[[√re:birth]]| |164:[[混ぜるな自然]]|時系列順に読む|167:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |145:[[キバヤシ考察はパロロワの華]]|ミスターマダオ|167:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |145:[[キバヤシ考察はパロロワの華]]|神行太保のDIE/SOUL|167:[[ロリカードさんの超密集激戦区F-6ガイド]]| |142:[[黄昏、来まくって]]|ナナシ|177:[[自重の意味を知るRPG]]| ----

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