479 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 16:58:23.19 ID:Kg+QYcGd0
※
「大丈夫、ただの貧血ですね」
('A`)「そっか。よかった……」
保健室。
ビロードの意識も戻り、今はベットで休んでいる。
( ><)「ごめんなさいなんです……迷惑かけちゃって」
('A`)「謝るなよ。それより、今は自分の体を労われって」
( ^ω^)「そうだお。ご飯はちゃんと食べてるのかお?
もしかして、寝坊して朝ごはん食べてないのかお?」
486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:02:14.07 ID:Kg+QYcGd0
( ><)「朝ごはんは……食べてないんです」
('A`)「あー、そりゃ貧血起こすわな」
(´・ω・`)「しっかり食べないと、体に毒だよ」
ビロードは、こくりと頷いた。
( ^Д^) 「朝飯抜きで、この時間までバスケやってりゃ、倒れるのは明白だろーが。
本当に馬鹿だな。それくらいの事もわかんねーのかよ」
奥に座っていたプギャーが、呟いた。
(#><)「プギャーには関係ないんです! これは僕の問題なんですから!」
( ^Д^) 「そんなガムシャラで無茶な練習して、本当に強くなれるとでも?
体が壊れるのが先だな。クールダウンもロクにしてねえんだろ?」
(#><)「く……分かった風な事いわないで下さい! プギャーにはわかんないんです!」
( ^Д^) 「……」
489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:05:45.36 ID:Kg+QYcGd0
沈黙が流れる。
プギャーは、何か考えた後、ふと立ち上がった。
( ^Д^) 「むかつくぜ。お前みたいな、熱血だけで何でも通ると思ってる奴はよ。
……放課後、あの公園に来い。お前がいかに無力か教えてやる」
(#><)「いいですよ! あの時の決着つけてやるんです!!」
(;'A`)「お、おい二人とも」
(´・ω・`)「クールダウンしようぜ! なーんてな」
「ここは保健室よ。元気になったなら、教室に戻りなさい」
俺達は、微妙な空気のまま、教室へと戻った。
(´・ω・`)「クールに落ち込むクールダウン。なんつって……ね」
495 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:08:38.91 ID:Kg+QYcGd0
※
放課後。
ビロード一人じゃ心配なので、俺達も無理を言って決闘場所についていった。
( ><)「手出しは無用なんです!!」
('A`)「ああ、でもやばいと思ったら止めるからな」
(;^ω^)「本当は、喧嘩なんてだめだお。
だから……うーん、僕は反対だお」
( ><)「ブーンさん! これは男と男のけじめなんです!
分かってください!!」
(´・ω・`)「ここまで僕の台詞無し」
ショボンは、最近妙な事ばかりいってる。
でも、今はビロードの事の方が優先だ。すまん、ショボン。
504 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:11:57.60 ID:Kg+QYcGd0
( ^Д^) 「逃げずに来たか」
( ><)「当たり前なんです!!」
プギャーと対立するビロード。
改めて、その体格差に驚く。
(;'A`)(やっぱり、止めた方がよかったかな)
喧嘩なら、圧倒的にビロードが不利だ。
いざという時は、俺ら全員で止めないとな。
( ^Д^) 「お前が一回でも、俺を抜いてシュートできたらお前の勝ちだ」
( ><)「え?」
ファイティングポーズをとっていたビロードに渡されたのは、
( ><)「バスケットボール……?」
507 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:15:13.95 ID:Kg+QYcGd0
( ^Д^) 「殴り合いの方がいいか?」
馬鹿にしたように、プギャーがビロードを見下した。
( ><)「いいんですか? 僕はバスケなら負ける気がしませんよ?」
(´・ω・`)「おおっと、珍しく強気ですねー。解説はショボンです」
( ^ω^)「ショボン自重するお」
(´・ω・`)「ごめん……最近、兄者先生の気持ちがわかるような気がしてきた」
( ^Д^) 「お前みたいなチビが、俺を抜けると思うな。それを、わからせてやるよ」
( ><)「やってやるんです……!!」
それを合図に、ビロードがドリブルを始めた。
小刻みなドリブルと、ステップ。
対し、プギャーは腰を低くし、ディフェンスの体勢に入る。
517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:18:38.21 ID:Kg+QYcGd0
大柄な体格を生かしたディフェンスは、まるで壁のようだった。
ビロードが右にいけど、左にいけど、全てカバーされてしまっている。
(´・ω・`)「シュートうっちゃえばいいんじゃね?」
('A`)「叩き落とされて終わるだろ」
( ^ω^)「じゃあ、やっぱり抜くしかないのかお」
(;><)「くっ……」
( ^Д^) 「どうした? これが全国を目指すレベルかよ。
こんなんじゃ、一回戦突破も無理だぜ」
( ><)「……なめないで下さい!」
ビロードの動きが、速くなる。
522 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:21:05.79 ID:Kg+QYcGd0
( ^Д^) 「見え見えなんだよ!!」
(;><)「うっ!!」
フェイントも、見破られる。
( ><)(この動き……プギャー、経験者なんですね!! それも、かなりの……)
( ><)「でも!」
ビロードは小さな体をめいっぱい動かす。
( ^Д^) 「させるかよ!!」
( ><)「本当の狙いは、こっちなんです!!!」
ビロードが、まるで地を這う様に低い姿勢で、プギャーの隣を抜ける。
529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:23:12.28 ID:Kg+QYcGd0
(;^Д^) (しまった……視線と動きに惑わされて!)
( ><)「僕は、僕は――――!!!」
ビロードが、シュートの体勢に入る。
それを止めるように、プギャーの長い手が伸びる。
( ><)「全国へ、行くんです!!!!」
パシュッ!!!
見事なシュートが、決まった。
それは、ビロードが公園で何度も練習していた、あのシュート。
540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:26:25.58 ID:Kg+QYcGd0
(;^Д^)「俺が、抜かれた……?」
信じられない、といった表情で、プギャーは自分の手を見つめていた。
( ><)「やったんです!! 僕の勝ちなんです!!」
('A`)「ビロード……!」
( ^ω^)「ビロード、やったおー!!」
ビロードは、嬉しそうに笑う。
子供のように、はしゃぎながらブーンとハイタッチをしていた。
(´・ω・`)「いえーい!」
ショボンもハイタッチを求める。
( ^Д^) 「……クソ」
( ><)「プギャー」
その場で膝をつき、息切れをするプギャー。
545 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:29:59.91 ID:Kg+QYcGd0
( ^Д^) 「何だよ……笑いたきゃ笑えよ。
俺は、負けたんだ。散々、偉そうな事言っておきながらな」
( ><)「笑わないんです!!」
ビロードは、力強く言う。
( ^Д^) 「何……?」
( ><)「プギャー、凄くバスケうまかったんです!!
そして、全力で勝負してくれたんです!! だから、笑わないんです!!」
ビロードが、手を差し出した。
( ><)「握手なんです!!」
( ^Д^) 「……握手?」
(;><)「その、いい勝負をしたから……そ、それだけなんですからね!!
別にプギャーのこと、好きになったわけじゃないんです!!」
556 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:33:09.98 ID:Kg+QYcGd0
( ^Д^) 「……」
プギャーは、その手をじっと見つめる。
( ^Д^) 「俺は……バスケが嫌いだ。だから、握手する資格はねえよ」
( ><)「え……?」
プギャーは、ゆっくりとため息をついた。
( ^Д^) 「中学の頃は、好きだったさ。俺は昔から体はでかかったから、一年ですぐにレギュラーになれた」
( ><)「……」
( ^Д^)「だけど、それで調子に乗ったのがいけなかったんだな。
俺は、 『エア』にされちまったんだ」
ビロードは、ただ黙って、プギャーの話を聞き続ける。
566 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:37:22.41 ID:Kg+QYcGd0
( ^Д^) 「『エア』……空気って事さ。試合でも、練習でも、誰も俺を相手にしなくなった。
一緒に全国を目指そうって言ってくれた、親友も……俺を、避けるようになったんだ」
( ><)「……ひどい」
( ^Д^)「バスケなんて、そんな物さ。奇麗事だけじゃ、やっていけないんだ。
それでも続けていたら、今度はバッシュも、ユニフォームも、全てやられたさ。
……はは、ウチは親父がいねえから、また買う金なんてねーのにな」
ビロードが、びくっと体を奮わせた。
鼻を啜って、何かを我慢して、プギャーの次の言葉を待つ。
569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:40:44.47 ID:Kg+QYcGd0
( ^Д^) 「俺は、バスケをやめたよ。
最後に、ウチの家庭を馬鹿にしたキャプテンをぶん殴ってな」
( ><)「プギャー……」
( ^Д^) 「俺はお前を、誰かと重ねて見てたのかもしれねえ。
だから、気に食わなかった。……勝手だな、俺は」
プギャーは、ゆっくりと立ち上がり、背を向ける。
( ^Д^) 「殴ったりして悪かった。お前の技術なら、全国、夢じゃなくて本当に……。
……それじゃあな」
( ><)「待ってください!!」
579 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:43:45.56 ID:Kg+QYcGd0
ビロードが、小さな体を震わせて叫ぶ。
その瞳に溜まった涙を、必死にこらえながら。
( ><)「プギャーは、それでいいんですか!!
バスケ、もうやれなくていいんですか!?」
( ^Д^) 「……」
( ><)「バスケをやってる時、プギャーから楽しいって気持ち伝わってきました!!
本当は、まだバスケが好きなんじゃないんですか!?」
( ^Д^) 「俺は……」
ビロードが、今までで一番大きな声を出して、叫ぶ。
( ><)「僕と一緒に、全国を目指しましょう!!!
僕には、プギャーが必要なんです!!!!!」
589 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:48:22.95 ID:Kg+QYcGd0
背を見せていたプギャーが、振り返る。
夕日を背に、振り返ったプギャーの顔からは涙がこぼれていた。
( ^Д^) 「俺……もう一度、バスケ、出来るかな?」
( ><)「……出来るんです。自分を、信じる事が大切なんです」
( ;Д;) 「チッ……しょうがねえな!! お、お前……俺にバスケをやらせるんなら、
途中で投げ出したりすんなよ!! 最後まで、責任もって付き合えよな!!」
( ><)「もちろんです!!」
プギャーは、差し出されたビロードの手を、握った。
('A`)「……帰るか」
(´・ω・`)「そうだね。もう、大丈夫だ」
それを見て、俺達は静かに公園を出る。
公園からは、ドリブルの音が、また響き始めていた。
595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:50:30.08 ID:Kg+QYcGd0
( ^ω^)「あー、何かすがすがしお!! うわーーーい!!!」
(;'A`)「うおっ!びっくりしたぁ。お前いきなり叫ぶなよ」
(´・ω・`)「まあ、いいじゃないの今日くらい。
青春青春」
('A`)「そうだな。何か恋してーなー」
( ^ω^)「え?」
(´・ω・`)「え?」
(;'A`)「な、何だよお前ら。何引いてんだよ!!」
(´・ω・`)「いや、ねぇ?」
( ^ω^)「まさか、ねえ?」
605 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/27(木) 17:53:29.69 ID:Kg+QYcGd0
(#'A`)「お前らー、そういう態度ダメ! 絶対!」
( ^ω^)「うわっ! ショボン、逃げるお! ドクオくっせぇwwwww」
(´・ω・`)「ドクオくせぇwwww厨房くせぇwwwww」
(#'A`)「許さん!絶対許さーん!!!」
夕日に照らされた道を、俺達は走った。
なんだか、憂鬱だったクラスも、少しずつ変わっているのかもしれない。
もしかしたら、楽しいかも。
俺は、そんな期待を胸に、心を躍らせていた。
('A`)(やっぱ俺くせぇwwww)
最終更新:2007年12月28日 16:48