シロウが使い魔-11


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第11章 接触

 一行がアルビオン大陸の名も知られていない小さな港町に着いたのは、夕暮れ間近の頃であった。

 すう勢は貴族側に傾いているので、貴族側の兵士が港の出入りを見張ってはいるが、
 あまりにも国外脱出の人数が多いので、とてもチェックしきれないでいた。
 その隙間をつくように、町にもぐりこめた一行である。

 「ええと、これからどうしよう。シ、シェロ?」
 呼びなれていない名前に噛んでしまうルイズ。
 「ん~、情報集めかな?でも、あんまり派手に動くと貴族軍に目を付けられそうだしなぁ」

 「この手の会話も聞かれないように気をつけたほうがいいね。
  情報集めの方は私が一人でしておこう」
 自分の活躍の場を見つけたワルド。
 もちろん『レコン・キスタ』として情報を味方から集めるつもりである。

 「え?伯爵一人で情報を集めに行くなんて危険よ!せめて、一人くらい一緒に……」
 事情を知らないルイズは止めようとする。
 「大丈夫だよ、僕のルイズ。こういうことは一人で動いた方が安全だし、
  情報も入りやすいんだ。君達は、宿と馬の手配の方をたのむよ」

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 「で、我が軍の密偵からの情報では、トリステインの使節が我が領内に入り込んだというのだな?」
 「はい。ニューカッスルを目指すそうです。いかがいたしましょうか?」
 「ふむ……。うまく泳がせてニューカッスルに潜り込めるようにしてやろう。
  王か皇太子の命でも盗れれば、あの城の陥落もぐんと早まるだろう……」

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 とある酒場の片隅に一向は集まっていた。

 「どこの宿も国外脱出の人達であふれていて、一部屋しか借りることができなかったわ……」
 ルイズはワルドにがっかりした様子で報告をする。
 「今の時期は仕方ない。泊まれる場所があることに感謝しよう」
 さして気にしないワルドである。
 「情報収集はうまくいったよ。この付近に王族側の兵士が潜伏しているとの情報を掴んだ。
  一時期貴族軍に捕まっていたが隙を見て逃げ出したということだ。
  その兵士と接触できれば、ニューカッスル城へ入ることができるはず」

 おぉ~、と一同が感嘆の声を漏らす。思わずどや顔になってしまうワルド。

 「じゃあ、宿屋の部屋でこれからの手順を確認しましょう」ルイズが言う。
 「その前に食事にしましょ。お腹がすいては闘うこともできないわよ」
 キュルケの提案にタバサがコクコクと頷く。
 「しようがないわねぇ。ねえ、なんか適当に料理や飲み物注文してきてよ」
 ルイズが士郎に言う。名前を呼ぶのはなるべく避けることにしたようだ。
 「あいよ」

 カウンターへ向かう士郎を見ながら、ワルドはルイズとの婚約話をいつ切り出せばいいか
 考えていた。

 ………

 宿屋で話し合う一行。

 「ここの港のはずれに、彼ら(王族軍兵士)が潜伏しているようだ。
  この情報は貴族側はまだ掴んでないらしいが、時間の問題だろう」
 「それじゃあ、急がないといけないわねぇ~」キュルケが意見を述べる。
 「うむ、明朝出発するつもりだ。準備は今夜中にしておいてくれ」
 「(わかったわ)(了~解)(コク)(任せておいてくれ)(はい)」
 五者五様といった感じで、応じる一行。



 「あ~、それとルイズとシェロ君に話したいことがあるんだがいいかね?」
 「え?なに?」
 「ちょっと3人だけで話したいのだが……」 他のメンバーに目配せするワルド。
 (ふ~ん)となにやらにやけた顔のキュルケ。
 「わかったわ」と、タバサとギーシュを連れてさっさと部屋を後にする。

 他の人間がいなくなったのを見計らい、ワルドはルイズに話しかける。

 「……率直に聞こう。シェロ君はルイズの恋人なのかい?」

 「え?……え─────っ!?」一瞬何を言われたか解らず、反応が遅れるルイズ。

 「そっ、そんなわけないでしょっ!! シ、シロ、シェロはわた、わたしの従者なだけよ!」
 顔を真っ赤にして反論する。

 「そうか、それを聞いて少し安心したよ。かなり永い間会わなかったから、
  僕のルイズが他の人のものになってしまってたらどうしようとそればかり考えてた」
 「お、大げさなのよ。ワルド様は…」

 「で、従者のキミは本当にただの従者ってことでいいのかな?」
 「えぇ、俺は単なるルイズのサーヴァントですから」
 微妙なニュアンスが含まれているのだが、それはルイズと士郎にしか読み取れなかった。

 ワルドは切り出すのは今だとばかりに、
 「ルイズ……。この旅が終わったら、僕と結婚式を挙げて欲しい。」



 「けっ、けけけっ、決行式!?」
 「ああ、結婚式だ」 ルイズの言い間違いはもちろんスルー。
 「そんな、無理よ。私、そんな……」
 「僕は本気だよ。旅が終わったら返事を聞かせてもらえればいい。それまで考えてくれないか?」

 「…………、うん。考えてみるわ」
 「従者君、この事をしばらく、皆に内緒にしておいてくれるかな?」
 「え?あ、そうですね。考えておきます…」
 目の前の突然の成り行きに、目が点の士郎。ワルドがプロポーズするとは思わなかった。

 場の流れは完全にワルドペースになった。

 「そういえば、ルイズ。会わない間に魔法の方は使えるようになったかい?」
 「!!!」 ルイズは士郎に、眼で助けを求めてしまう。
 「あ~、ルイズは魔法使えますよ…」
 「!! なに! それは本当かっ!!」ワルドが慌てて問いただす。

 「そ、そうよ。か、彼は、私の魔法の先生でもあるの」
 「僕に(魔法を)見せてもらえないか? 君の成長をぜひこの眼で確かめたい」

 「機会があったらということで。 今は、明日の準備を先に済ませましょう」
 士郎がそう言って話を引き取る。

 「う、うむ。そうだな。 ……ちなみに、ルイズの系統はなんだったのかい?」
 「『火』よ!」「『風』です」 ルイズと士郎が同時に答える。
 互いに眼を合わせるルイズと士郎。
 「『風』よ!」「『火』でした」 また同時に答えるルイズと士郎。

 「………」 三人の間に訪れる沈黙。

 ワルドは、
 「まぁ、実際見ればわかるから、それまで楽しみにしておこう」
 と、部屋を出て行った。


 5分ほどしてワルドが扉から顔を出し、皆に手招きをする。
 素早く、そして用心深く一項は小屋へ入る。

 はたして、そこには一人の軍人らしき人物がいた。

 「紹介しよう。彼は王軍側の兵士で、名はエイブ。 こっちが我々の仲間だ」
 ワルドは互いに紹介をする。
 「よろしく。俺はエイブ。 正当なアルビオン軍人だ。
  最近まで貴族軍に身柄をされていてね、なんとか逃げ出してこれから王族軍に戻るつもりだ」

 ワルドが後を引き取る。
 「そこで我々が彼に協力する。ついでに王族軍へ接触するという算段だ」

 手順は単純。船を一隻借り上げて、出航するだけ。
 後は、アルビオンの下あたりを貴族側に見つからないように飛行していれば
 向こうから接触してくるだろうということだった。

 「なんだ、簡単じゃぁないか」 ギーシュが意見を述べる。
 「ねぇ、その船ってどうやって借りるつもりなの? クルーは?」 ルイズが尋ねる。

 「まぁ普通に金を払って1隻借りれれば一番問題はないんだが」
 ワルドはにやりと笑い、
 「それが無理だとしても大丈夫だ。こう見えて私はかなり腕は立つ……」

 力ずくも辞さないようだ。

 と言っても、キュルケもタバサも荒事に対しては特に抵抗感はないようなので、
 嫌な顔をしたのはルイズとギーシュ位だった。
 (士郎は最初から諦めている)





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