MELTY BLOOD Familiar of Zero

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フーケの構築した土ゴーレムの巨大な拳が迫る。 もはや間に合わない。 為す術なく轢殺されるであろう刹那、ルイズが思い浮かべたのは使い魔のことだった。 (最後まで、ご主人様らしいこと何もしてあげられなかったわね……) 自分が死んでしまえば、あの娘もカタチを成せなくなってしまうかもしれない。そのことだけが気にかかった。 そう思っていながら、使い魔とケンカしてでも、フーケ討伐なんていう身の丈に合わない真似をしたのは、それもまた使い魔のせい。 あの娘に、自分を認めてほしかった。 だからこそ、こんな無茶をしたけど、結局ダメだった。 そんな不甲斐無い自分を、あの娘はどう思うだろう? 最期に、ただ一言詫びる。 「ごめんなさい、レン」 そんな、ルイズの命と共に消し潰される筈の言葉に、 「フン。あやまるんなら、最初っからこんな無茶しないでよね」 返ってくる筈の無い、どこまでもぶっきらぼうを装った返事が返ってきた。 「――――え?」 有り得ない。あの娘は、私とケンカして、『アナタなんか知らない!』って言って、学院に残ったはずじゃあ―――― それでも、眼前に立つのは、紛れも無い彼女の使い魔。 その後ろでは、30メイルに達するゴーレムの拳が、地面から伸びた氷に絡めとられ、完全に動きを封じられている。 そんな、スクウェアメイジでもできないようなことができるのは、あの可愛くなくて、生意気で、高慢な、私の使い魔に他ならない。 「レン!あ、アンタ何でここにいるのよ!」 「別に。暇だったから、ちょっと気が向いただけよ。べ、別にアナタが心配で追いかけてきたワケじゃないわ!勘違いしないでよね!」 ルイズの問いに対して、純白の少女は、ルイズからも、ゴーレムからすらも目を逸らして、 そう早口でまくし立てた。 その魔白い顔には、僅か朱が注していた。 それは、怒っているからではなく、「照れている」からであることは、誰の目にも間違いなく見て取れる。 「大体、謝るくらいならこんなバカな真似しないでほしいわ。アナタが死んじゃったら、ホラ、一応、私も、困るわけだし?その……」 そう、強がりにもならない強がりをしながら、レンがごにょごにょと文句を言ってくる。 「う、うるさいわね!私だってバカな真似だって思うわよ!  でも、仕方ないじゃない。私は、アナタみたいに強い魔法も使えないし、認めてもらうには」 「だから、言いたいヤツには好きに言わせておけばいいじゃない」 「違うの!私は、アナタに認めてほしかったのよ!  私は、アナタの、ちゃんとしたご主人様だって……」 「ッーーーー!」 ルイズの言葉を聞くと、レンは完全にルイズから目を逸らして、あさっての方向を向いてしまう。 心なしか、肩も震えているように見える。 もう、完全にあきれられちゃったかしら、とルイズが落ち込んでいると、背中越しにレンの鈴のような声が聞こえてくる。 「べ、別に?私は、アナタが一生懸命あがいてる姿は、嫌いじゃあ、ない、わ。」 それは、単純に美しかったから。 夢に逃げる《生きる》のではない。どんなに苦しくても、どんなに思い通りにいかなくても、現の中であがき続けるルイズの姿は、 腹が立つし、イライラするし、本っ当に惨めったらしくて、バカみたいだけど、 その姿は、美しいと感じたから。 だから、ソレを自分以外の誰かが侵すなんて認めない。 後ろでは、ルイズが何事か言おうとしていたが、無視してゴーレムに向き直る。 「随分と、好き勝手してくれたじゃない?アナタ」 その声は、ルイズにかけた時とは真逆。一遍の慈悲も無く、どこまでも冷たい響きだった。 比喩でなく、真実辺りを凍りつかせる怒気を隠しもしないで、皎々たる夢魔は目前にそびえる木偶人形に宣言する。 「アナタは要らない。カケラも残さず、粉々に砕きつくしてあげるわ……!」 「MELTY BLOOD Act Cadenza」より『白レン』召喚 ----

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