ポンプ

ポンプの性能表示としては、時間流量が何百リットルというものがよく使われるが、この数値は水の抵抗がまったく無い場合の数値でしかないので、ヘッドでの圧力損失があり、配管のチューブも抵抗になる水冷PCに組み込んだ場合に実際どれだけの流量になるかという面ではほとんどアテにならない。
水冷PCで使う上で重視すべきなのは、むしろ揚程。揚程のあるポンプは圧力損失に負けずにしっかり水を流せるので、多数のヘッドで水冷を極める場合、取り回し重視で細めのチューブを使う場合などは、特に重要になる。
最終的には、X軸に流量、Y軸に揚程をとった2次元性能グラフで評価することになる。
また、いくら揚程・流量のあるポンプでも、轟音だと水冷にする意味が薄くなってしまう。もし静音を求めて水冷を始めるなら、ポンプ選びは慎重に。

一般的にはACポンプがパワフルと言えるが、住んでいる地域によって50Hz型・60Hz型を選ぶ必要があり、PCとの連動をしたい場合には、サービスコンセントやリレーキットの使用が必要になる点にも注意。選択肢は多い。
日本製・日本仕様ポンプなら心配ないが、個人輸入の場合は230V仕様など日本でそのまま使えないポンプのこともありうるので情報収集を慎重に。

DCポンプは、PCのATX電源をそのまま使えて連動に気を使わなくていい反面、外部ユニット化しようとすると逆に不便か。入力する電圧を調整することで出力を簡単に変えられるポンプも少なくない。世界共通仕様なのも心強い。


3R System社製

WCL-02 PUMP

WCL-02 90Cu/120Cuでセット販売されている、リザーブタンク水没型DCポンプの単品販売分。電源はATX電源の4pinコネクタから取るが、ポンプ回転数をファンコン・M/B等に伝えるための3pin端子もついている。
一般的なポンプの性能表示がされていないが、「CPU/VGA/Chipsetの3ヘッドをつけて72L/h流せる」と謳っているので、実用的な揚程はありそう。


aqua computer社製

aquastream Pumpe 12V

EHEIM 1046をベースに、3.5"ベイサイズのDC-ACインバータ基板を組み合わせてATX電源の12Vで使用可能にしたセット。基板上に、エア抜き用の間欠運転をさせるジャンパもある。電圧調整での出力調整はできず、12V専用仕様のようだ。
防音ケースなどの純正オプションも豊富。


Aquariumsystems社製

その名のとおり、熱帯魚用システムメーカー。

Maxi Jet MJ-1000

値ごろな水陸両用ACポンプ。性能は、50Hz版で1000L/h:1.45m、60Hz版で1040L/h:1.70mと水冷PCには十分すぎるほど。振動が多少あるとのこと。吐出側は標準で1/2"チューブサイズだが、吸込側が水冷にはあわないので、カップリング取り付け等の改造が必要。水冷に使うには、CoolingLabでG1/4"仕様のものを購入すると手間がかからず楽かも。


C-systems社製

CSP-750 Mark II

5cm角と非常に小型なDCポンプ。しかも安価。G1/4"に任意のフィッティングをチョイス。
10V~14Vでの使用が想定されているが、調整の意味があるほどの幅がないので、12Vで使うことになろう。オープンインペラーでこのサイズながら、450L/h:1.8mの性能がある。電源はファンと同じ3pin端子から取るようになっているが、1.7W消費するのでM/B上の端子に接続するのはおそらく危険。4pin→3pin変換ケーブルで電源に直結するのが安全であろう。

CSP-Mag

5cm角と非常に小型なDCポンプでCSP-750 Mark IIの改良型。耐久性・静音性が増している。性能は450L/h:1.8m。CoolingLabかオリオスペックで購入可能。


Danger Den社製

DD12V-D5 Pump

Laing社OEMの強力なDCポンプ。DD12V-D4の後継。1/2"チューブサイズフィッティング。7V~21Vでの使用を想定。クローズドインペラー採用で揚程が稼げ、公式の性能では1800L/h:3.0mとなっている(この際の駆動電圧は不明)。
しかし、大流量指向のDanger Denらしいその強力な性能と引き換えに、12V以上では騒音・振動がかなりあるとのこと。古いD4に比べるとD5はより静かになった。


EHEIM社製

熱帯魚用ポンプで実績のあるEHEIM社製のポンプは、水冷PC用にも定番化している。耐久性にも折り紙つき。ただし動作温度は35℃以下が想定されているので、それを超える水温で使用するとインペラー軸の異常摩耗など不具合が発生しやすい。水冷パーツメーカーによるオプションや保守部品の入手が容易なのもよい。オープンインペラーなので、揚程はそこそこ。

EHEIM 1046

水陸両用ACポンプ。カタログ流量は300L/hと一見少ないが、揚程が1.2mほどあるので、実際に組み込んだ場合にはヘッド2~3個までなら、必要な流量は確保できる。
比較的静音なポンプで入手性もいいので、昔から水冷PCでの定番ポンプ。水冷パーツメーカーが手を加えた派生型も多い。直結タイプの小型リザーバなど、オプションも豊富。
熱帯魚用の標準セットでは水冷用チューブとサイズが合わない場合もあるので、その場合は水冷パーツメーカーが用意しているG1/4"への変換のフィッティング等で対応を。

EHEIM 1048

EHEIM 1046より強力な水陸両用ACポンプ。流量600L/h、揚程1.5m。ヘッドを多数使う場合などの定番。それなりに静かだが、ポンプの設置方法や置き場所によっては、振動が気になる場合もあるかも。直結タイプの小型リザーバなど、オプションも豊富。
フィッティングについては、1046と同様の点に注意。

EHEIM 1250

さらに強力な水陸両用ACポンプ。流量1200L/h、揚程2.0m。しかし、実際に水冷PCに組み込んだ場合には、流量は増加するものの冷却能力向上は頭打ちになってしまうことも多いようだ。騒音・振動も気になってくるらしい。
フィッティングについては、1046と同様の点に注意。

EHEIM Compact300

水没専用ACポンプ。流量300L/h。日本での市販を見つけるのはかなり困難かも。Reserator-1に内蔵されているポンプとして有名。

EHEIM Compact600

水没専用ACポンプ。小型ながら、流量600L/h、揚程1.3mある。単体では1/2"チューブサイズの吐出口。
CoolingLabで購入可能なAGB-EHEIM 600 Stationは、Alphacool扱いのリザーブタンク入りCompact600のセット。G1/4"に任意のフィッティングを組み合わせることになる。

EHEIM Compact1000

水没専用ACポンプ。流量1000L/h、揚程2.0m。単体では内径16ミリホース用の吐出口。
CoolingLabで購入可能なAGB-EHEIM 1000 Stationは、Alphacool扱いのリザーブタンク入りCompact1000のセット。G1/4"に任意のフィッティングを組み合わせることになる。ライティングも可能らしい。


innovatek社製

HPPS-Pumpe 12V

EHEIM 1046をベースに、独自インペラ交換と直付けDC-ACインバータ基板を追加して、ATX電源の12Vで直接稼動し、出力もアップさせた独自モデル。揚程1.65mと1048以上としたのが売り。水没不可、12V専用。
直結の小型リザーバなどの純正オプションも豊富。
なお、DC-ACインバータ基板部分の故障が数例報告されている。


KOOLANCE社製

PMP-450

Laing社製D-5をベースとした製品。
ID1/2(内径13mm)ホースバーブ型のチューブ取り付けアタッチメントが初期装備。
G1/4フィッティングを使用するには別売りのPump Nozzle Base for PMP-450を別途購入する必要がある。
Pump Nozzle Base for PMP-450は商品名は変わらず旧型のCOV-PMP02Pと新型のCOV-PMP450Aが存在するが性能や構造に変化は無く、D-5にも取り付け可能。
ただしこのアタッチメントを取り付けると自立不可になるので
台座を自分で作るか壁に穴を開けて取り付ける必要がある。
※Koolance製の場合、フィッティングだけでなくポンプも錆びる可能性もある。錆びると水漏れの危険性が非常に高い。


Laing社製

ドイツで温水暖房ポンプ等を製造しているLaing社のポンプが、水冷用に登場している。クローズドインペラーで揚程が強力、高水温でも使用できるのが特長。その反面、ゴミやスラッジの混入には非常に弱く、また部品交換して直して使うという想定もされていない。分解すると無保証となることも要注意。

DDC-1

420L/h:3.7mと非常に水冷向きの性能を持った小型DCポンプ。
動作音も静かで、3.5"ベイにネジ止めしたり、ケース底面にベルクロ(マジックテープ)で固定するだけで静かに使用できる。
フィッティングに関して、日本国内で購入できる物はR1/4雄ねじとなっており別途、PCF10-02等を購入しないといけない。
詳細に関しては、国内販売店のHP等で確認する必要がある。
但し、Alphacool等からのオプション品でG1/4フィッティングを取り付けられるアクリルカバーや、直結小型リザーバなども用意されている。
(ただし、これらは分解を伴うので無保証となる)

DDC-1 Plus RT

DDC-1の強化タイプで、性能は600L/h:4.7m。特徴はDDC-1と共通。国内で販売されているPC水冷用ポンプではスペック上最も性能がよく
これ以上を望む場合は、デュアルポンプ化や水冷の系統を増やすかKOOLANCEのDC24V対応DCポンプを購入する必要がある。
但し、KOOLANCEのDC24V対応DCポンプは、商品型番から判別する事が難しいらしく、スレでもポンプ内部で変圧される・されない等
不透明な部分がある。

D-5

D-4ポンプの改良型で、流量・揚程性能を強化しつつ、騒音振動を減らしたモデル。電圧調整回路をポンプ背面に備えており、入力電圧はDC12Vのまま、背面のダイアル操作で8V~33Vの間で調整できる(高電圧にする場合は、入力電圧を15V等に上げる必要あり)。
1/2"フィッティングモデルと3/8"フィッティングモデルがあるほか、オプションでG1/4も選択可能。
また、ポンプのみで固定ステーやATX電源へのコネクタが付属していない素のポンプでの販売と、固定ステー・電源コネクタ付属タイプでの販売とがあるので、用途に合わせて選ぶ必要がある。


OASE社製

噴水用ポンプメーカーのOASE社製ポンプのうち、小型のDCポンプが水冷PC用にもOEMされている。条件が過酷な噴水使用を前提としたオープンインペラーなので、流量数値が大きい割に揚程はかなり小さい傾向にある。ただし動作温度は35℃以下が想定されているので、それを超える水温で使用するとインペラー軸の異常摩耗など不具合が発生しやすい。
現在では国内販売が終了してしまった。

AP700

Alphacoolから発売されているDCポンプ。小型静音なのと、12V~24Vで使用できるのが特徴。性能的には、12V時は720L/h:0.65mと心もとないが、24V時は1200L/h:1.9m。15~18Vぐらいで使うのが美味しいところか。
日本には入ってきていないが、aqua computerでもTimmer Coolpump Typ 700 12V DCとして取り扱いがある。

AP900

Alphacoolから発売されているDCポンプ。以前XiceがPCP25として販売していたものとまったく同じもの。EHEIM 1048並みのパワーでEHEIM 1046並みの静かさが売り。12V~24Vで使用できる。性能的には、12V時は900L/h:1.2m、24V時は1500L/h:3.0m。24Vもかけると、さすがに騒音振動がかなり目立ってきて、静かという本来のメリットが消えてしまう。
なお、AP700,AP900を12V以外で使用する場合は、Alphacool製のDC-DC昇圧アダプターを使う場合が多いと思われるが、このアダプターは多数の製品で「じ~~~~~~」という基板上の部品が振動しているらしい耳障りな音が確認されている。普通の空冷PCなら埋もれてしまう程度の音だが、水冷によってPCが静かになった場合には気になることもある。


Swiftech社製

アメリカの水冷パーツメーカーで、ハイフロー重視。

Swiftech MCP655 Pump with speed controller

Laing社製D-5のOEMモデル。
そのままで使用可能だが太いチューブが必要となるため、ハウジングと使用すると良い。


Thermaltake社製

P500 PUMP CL-W0132

Big Water 760i及びAqua Bay M5に付属しているポンプ、単体販売もしている。G1/4"フィッティングが使用できる。静音性をアピールしており、駆動音は静かであるが、震動は若干多い。
主な仕様は、流量500L/h、揚程1.8m、消費電力7.2W


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  • D-5ポンプは入力電圧MAXの場合、普通の12Vペリフェラル4ピン電源ケーブルの運用では電圧が足りないので壊れるのでしょうか? -- (あべ) 2011-09-09 16:16:36
  • GIGABYTE GH-WIU01 のポンプはJINGWAY製のDP-600らしい。この製品を日本で売っているところを知りたい。 -- yasuo (2008-05-03 12:22:10)

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最終更新:2011年02月14日 01:15