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短編32

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 僕はいつも走っていた。
 いつから走り始めたのか分からない。
 いつまで走り続けるのか分からない。
 でも、僕は、走り始め、走り続けていた、いつか走り終わる時が来るのだろう。

 不思議な感覚だ。
 人間にとって一日は24時間のはずだが僕はそれ以上にずっと走り続けているような気がする。
 いや…考えてみれば、生まれてこの方ずっと走っている気がする…
 おかしいな、僕だって赤ん坊の頃は赤ん坊なりに寝返りだって満足に
うてなかったはずだし歩けるようになるにはそれなりの訓練を要したはずであるのに。
 しかし考えてみれば誰でも幼い子供の頃の記憶なんて覚えていない。
 物心つくのは小学生か、せいぜい幼稚園の頃だろう。
 だから、幼少期に走っていない記憶がないのは仕方がない。
 それと、そうだな、眠っている時は人間記憶なんて残っていないわけだから
寝ている時のことなんて覚えていないだろう。
 そうか、いつだって走り続けなければいけないんだ…

 そう、僕は走り続けて30年になる。
 回り道もした。
 辛い思いをしたことだって一度ではない。
 全く面白いこともないまま、ただ、走り続けてきた。
 何も関心が持てない。
 自分以外の存在が何であるのか、僕には分からない。
 僕は小さい。
 僕より大きいものは何であろうか。
 僕より小さいものは何であろうか。
 僕と同じ大きさのものは…人間なんだろうか。
 彼らは走り続けなくていいのだろうか?

 僕より大きいものは力が強いから、走らなくてもいいみたいだ。
 僕と同じ大きさのものは僕より頭がいいから走らなくていいみたいだ。
 なぜ君たちは走ろうとしないんだ?

 僕は…僕より小さなものが嫌いだ。
 僕より弱い存在が嫌いだ。
 僕を殺せない、生き物が嫌いだ。