パーソナルコンストラクト理論とは

臨床心理学者のジョージ・A・ケリーが1955年に提唱した理論である。
「人間は経験を通じてコンストラクトシステムと呼ばれる各人固有の認知構造を作り上げ、その認知構造によって環境およびそこでの様々な出来事を理解し、また、その結果を予測しようと努める」

コンストラクトシステムとは

人間が五感で知覚した環境を、意味のある世界として理解するための認知の単位であり、「窓が大きいー小さい」、「室内が明るいー暗い」といった形容詞的性格を持つ一対(コンストラクトーコントラスト)の対立概念の束がピラミッドのように構造化されたものである。
人間は、自分のいる世界を五感によって観察される物事や体験する出来事の積み重ねによって、類似性と差異性を築きあげている。
そして、築きあげるために最低限3つの要素(フレーズ)、2つの要素の類似性とそれに対する1つの要素の対称性から構築している。
ケリーはこれらを、コンストラクト(類似性)とコントラスト(対称性)と呼んだ。

コンストラクトシステムは個人の経験を通じて獲得され、修正、強化されることによってしだいに形成されてくる。
したがって、個人が持つコンストラクトシステムは異なる。
しかし、同一社会に住む人間は共通性をもつので、個人固有のものであるコンストラクトシステムの中にも個人を超えて共有される部分が存在する。
したがって、その共通性の情報を探り、利用することは可能である。

ケリーはこのコンストラクト理論の考えから、レパートリーグリッド法を考え付いた。
さらに、このレパートリーグリッド法を讃井潤一郎が発展させ、評価グリッド法を考え付いた。

参考文献

「現在のエスプリ -印象の工学-」p142~p170 高橋史朗(著)、1997
最終更新:2009年03月30日 02:13