マイナールールから学ぶTRPG

製作時期は06年とかです。

マイナールールから学ぶTRPG
             
 
 前書
 世の中には、いままでに出たものすべてを合計すると、死ぬほどのルールがあった。それは忽然と現れ、忽然と消えていった。
 では何故消えたのか?
 はっきりとした理由は全くもって知らないが、多分、いわゆる「市場原理」とか「神の見えざる手」といったもので消えるものもあっただろう。しかし、そうでないものもあるかもしれないし、悪いものであっても一部分だけは非常によいものだったりすることがある。逆に、いまソードワールドやアルシャードやダブルクロスが主流だが、そのシステム自体が良く出来ているものなのかどうかはわからない。(売れている以上は多少なりとも良いルールであるわけだが)
 そんなわけで、日の当たらないところに居るルールの、面白いルールの部分にスポットを当ててみることにする。恐らくこれらを元にオリジナルRPGを作って売り出さない限りはマスタリングなどの参考資料に使っても大丈夫であろう。
 多分、ね。
 
 
     ブルーローズ 
昔、何代目かの会計が「これ面白そうじゃね」とかいって掘り起こしたがために今年の文化祭部誌のルールブック紹介に載ってしまったルール。
 
その壱 段階処理
4~-4までのマス目(要するに九マス)を使い、カーチェイスなどを行うルール。よく現代~未来のアクション映画などで見られる「車で逃げる相手をキャラクター①が運転する車に乗って追いかけ、相手が車から発砲してくるシーン」なんかを再現できるらしい。他にもマス目を抽象化して、「古代生物兵器の生き残りA氏(NPC)が、洗脳に負けて世界を滅ぼすか洗脳に勝って意思を取り戻すか」なんて(-4にいったら世界崩壊、+4にいったら意思回復)ことも処理できるのである。
 慣れていないGMは、よく行動判定のロールを一回で済ませてしまうが、カーチェイスなんかはこの段階処理を使って何回も判定したり行動をするほうがよりリアル(?)にシーンを演出できるというわけだそうだ。(GM経験はあるが実利は不明だった)
欠点を挙げるとすれば、マスを一歩進むための判定が固定されやすいため、アクションシーン(例:大岩ゴロゴロから逃げ切るシーン)だと行き詰る人が出てきやすい(特に頭脳派PC・魔法使いPCなど)ところにある。これは、自分のPCの能力にあった解決方法を探さなければいけないので、非常に辛いであろう。
てか大岩ゴロゴロに頭脳で対処する方法ってあるのか?
 
その弐 運試し
 八枚のカード(太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星・羅喉)があって、それぞれに番号がついていて、「運試し判定」といわれたらよくシャッフルして一枚カードを引き、そのカード(もしくは数字)に対応して結果がきまる、というルール。
 たとえば車を狙って銃を撃った場合、回避判定に失敗したら(つまり弾が命中したら)運試しをして、どこに当たったか決めるのだ。また、何かイベントを起こそうかなと思ったときには、一枚引かせて、その星座に対応したイベントを起こすと良いとルールブックに書いてある(注意:腕またはセンスが要る)。わざわざ付録にカードついてくるのはこのゲームぐらいではなかろうか?
 でも特筆することでは無いような気もしてきた・・・。
 
 
② ゲイシャガール・ウィズ・カタナ 
  (システム全体)
   これは完全なネタゲー(つまり一発ネタでしかないゲーム)ではあるが、非常に興味深いところが有る。それは、ズバリ判定方法だ。
   判定方法は、簡潔に言うと、3D6を振り、二つがゾロ目になった時に残りの1Dの出目を値とする」(例外有り)という意味不明な方法なのだ。(ちなみに、日本人の旅に必要不可欠とされる『どんぶり』の外にサイコロをこぼすと致命的失敗となる)
 一見ただのネタでしかないが、この意味不明な判定方法は、このルールの超デタラメな世界観の雰囲気をばっちり高めているという点や、独創性が強いという点ではとても凄い。…確率はどうだか知らないが。
 まあ、雰囲気は重要なんだよ。
 
 
     特命転攻生
このシステムでいいと思うのは(むしろそれ以外でもこのルールを悪いっていったら殺されそうな気もするが)EPPというゲージシステムである。これはいわゆるテンションみたいなもので、技を使うと減少し(疲れるんですね)、サイコロで一の目が出る(逆境って燃えますよね…?)、キャラクターの出身毎の規定された行動を取る(信念を貫くと上がるわけです)などで上がっていく。
 まず、サイコロで一の目(つまり最低値)を出してもただの損ではなく少し得するわけで、不幸な人は少し救われるルールである。更にダブルクロスなどと違い、技を使ったら減少するので技はバンバン撃てないようになっていて、おまけにEPPを上げすぎると「暴走」して強くなりはするが歯止めが利きにくくなる(コントロール不能になる可能性がある)ことまであるのだ。
 この微妙なさじ加減が面白い。最も、狙って調節するのは大変だけど…
 
 
     スクラップド・プリンセスRPG
表紙の痛さや原作付(まんま「スクラップド・プリンセス」シリーズ)RPGという欠点を差し引いても、中のルールが真新しいので購入した。(860円自腹)
で、何が新しいか。それは、なんといっても『論争戦闘ルール』である。
   いや別にシステムだけを見ても一般の戦闘ルールと使う技能が違うとかレーティングを使わないだとか些細な違いだが、そもそも「論争」を特殊ルールによって処理するというのが新しい発想といえる。
今までは、交渉能力でダイスを振るか、ロールプレイで説得するかの両極端(システム的で簡素な処理とシステムで保障していない(=データが無い)処理)が多かったが、これではまず「キーワード」(論争する上で有利・不利になるワード)の提示によって相手の論争基準値(=論争の強さ)を決め、それから論争をあたかも(ソードの?)戦闘のように処理するのである。
   あと、この世界では魔法が強すぎて、制限をかけないと普通に半径五メートル以内のあらゆるものが消滅したり(抵抗に成功した相手にはソードの50レーティングを使用してダメージを決めます)、それなのに回復魔法が無かったり、挙句の果てにはファンタジーっぽいのに魔物その他の現実に居ないような生き物達が原則いないという凄い世界である(世界観説明は本文にはありませんが)。そのため、通常のRPGと比べて戦闘の機会は非常に少なくなるので、戦闘好きには向いていないルールといえる。
 
 
     Aの魔法陣
そもそも此処にあるルール全てが新しくてしょうがないのだが、ほんの一部分を取り上げると、シナリオ関連についてのルール。
 
まず、これは制限時間を決めなければいけない。ちゃんとルールにもそう書いてあるのだ。しかもそれは、3日とかいうゲーム内の話だけではなく、6ターン(3日間)といった感じに具体的なものも表さなければいけない。
これは、多分多くのGMが無意識にやっていることだとは思うが、これを明文化したのは多分このゲームだけである。こうすることで、意味の無いグダグダな行動をさけることが出来るわけだ。
さらにAの魔法陣は、シナリオ開始時から「総難易度」を決めていなければいけない。この「総難易度」こそが今回の文の目玉!
つまり、どんなにシナリオが分岐しようとも、最終的な難易度は変わらないように出来ているのである。選択肢AとBは、どっちを選んでも最善で、最適な答えは無いのだ。
 
これは、要するにダンジョンに入ろうがダンジョンを埋めようがダンジョンに煙を送ろうが、最終的な難易度はかわらないのである。A君に賄賂を送ろうが脅迫しようが言いくるめようが最終的な難易度は変わらないのである。
 
じゃあ何を選ぶか?
 
それはAの魔法陣のキャラクターの仕組みのせいで、「PCにとって得意なこと」で一番活躍できるようになっているので、上手く自分の長所にあったやり方で対処しなければいけない。(それ以外では通常、成功しないようになっている)
 
ちなみにダンジョンを埋めるなら、戦闘用に作られたキャラクターは「土木作業」に向く成功要素(現代にそんなの持った人は居ないんじゃあ?)が必要であり、なおかつ制限時間を守りにくい、煙を送るなら薪を調達するのに向く成功要素が必要であり、なおかつ森で迷うかも分からないといった処理をして、辻褄(総難易度)を合わせることになる。
 
 
 
後書
ま、最後の『Aの魔法陣』が書きたかっただけです。
あとは実践して経験を積むこと。これがマスタリングに上達する方法です。とは言っても、部内で屈指のGM経験の無さを誇る私が言うことではありませんね。
 
ではまた、どこかで。
最終更新:2008年04月05日 19:02
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