戦じゃ!戦じゃ!
今回の議題は『戦闘』です。
注意:この文章は特定のシステム(「ドラゴンアームズ」など)とは非常に相性が悪いので、本文の内容と実際のルールや進行の様子が食い違っていても気にしないでください。
全三章
その一:戦闘とは何か?
戦闘…戦うこと。特に、兵器を用いて敵と戦いを交えること
―――MSN辞書
「敵と戦いを交えること」とすると話がややこしくなるので、普通に「戦うこと」っていう意味で使うことにします。とりあえず、「戦い」って書くより「戦闘」って書いたほうがそれっぽいですよね?(返事不要)
あと、言い争いとか一気飲み勝負とかいうのはここでいう戦闘に含めません。戦闘ルールを使うことを戦闘と考えます。
その二:戦闘の重要性
本日の台風の目です。
これは、人によって明らかに違います。戦闘なんていうものは無いほうが良いという人も居れば、戦闘を抜いたら何が残るんだ!って主張する人も居て、ぶっちゃけシステムに頼った話になってきます。
でも個人的な意見としては『超重要』だと思ってます。
皆さんが大好きなソードワールドは、実は「中世ファンタジー」というイメージで世界観が作られています。中世ヨーロッパ風の世界観に、「魔法」とか「魔物」とか「異種族」とかが混じってますよね。TRPGの起源といわれる(?)D&Dも、ぶっちゃけた話「中世ファンタジー」です。
で、このジャンルには共通していることがあって、それは、「トールキンの指輪物語を元にしている」っていうところです。
だって、ドワーフは「白雪姫」に出て来るドワーフと言うイメージだってあったし、エルフが容姿端麗になったのも指輪物語からだし、増してや神話や伝承にはあまりみられない「小さくて陽気なホビット」なんか絶対ハーフリングとかグラスランナーの元になってるし。(断定)
で、「なぜTRPGの基本はファンタジーなのか?」
そう。よく考えてください。
TRPGが出来た当初、TRPGというのは新しい遊びであったはずです。誰もTRPGとは何かなんて知りませんし、遊び方も、面白さも知らないとします(実際には「ウォーゲーム」等と呼ばれる、D&Dに近いゲームの種類があったらしいですが)。
その時に、なぜ、説明の要る世界観を作ったのでしょう?
ぶっちゃけた話、世界観の説明というのは確かにとても重要ですが、人によっては非常に退屈に感じます。ましてや、TRPGは何たるかを知らず、指輪物語を知らないと想像も出来ないような(最も、D&Dはフィギュアを使っているので想像は結構容易ですし、ルールブックに載ったファンタジー世界の説明も私達より十倍も上手いでしょうが)ファンタジー世界を選んだのでしょう?
答えは簡単。彼らは派手に活躍、特に「激しい戦い」をしたかったからです。
まず、はっきりとした悪がいて、皆はそいつが退治されることを望んでいる。ダンジョンの奥に居る、邪悪な親玉は、農民達の手には負えない。そして邪悪な親玉を倒すために、罠と魔物と親玉が待ち構えるダンジョンに飛び込んでいく!
そして親玉を倒し、成長していく。
まあハック&スラッシュなどと呼ばれることもある、こういったことをやるのに、ファンタジーという舞台が最高だったわけです。
つまり、TRPGは「戦闘」で此処まで上がってきたんじゃないかって思うわけですね。
さて、超重要とデカく書いてしまったので、戦闘を行うことの意義とか、そういうのを書きます。
メリットを挙げます。
1.盛り上がる!
2.PLみんなが頭を働かせるようになる!
3.PCに危機が迫ることでセッションが緊迫する!
4.てか戦闘以外じゃダイス振れないじゃん!
5.『ぐわっはっはっは!わしの新兵器を(以下略)』
デメリットも挙げますか。
1.俺死ぬやーん!
2.時間、時間!
3.サイコロあと20個!
4.ゲハッ!持病の心臓が…(ガクッ)
とりあえずはメリットの説明を軽く設置しておきます。
1は個人差と前に断ったので置いておくとして。まあ要するにスリルを味わうなら身を危険に晒すのが一番で、手っ取り早く且つ理不尽ではないのが戦闘だったのではないでしょうか?
2について。滅多にいないんですが、TRPG中に思考が停止している方と言うのがたまにいらっしゃいまして。特に推理をするわけでもなく、重要NPCに絡むわけでもなく、情報を集めるわけでもなく、シナリオを進展させるわけでもない人なんてのが稀に居るんですが、そんな人でも戦闘になると自分の番にしっかり行動するんです。こんなことは戦闘だけです。
3は、1と被っているかもしれませんが、大きな面のひとつです。やっぱり、キャラクターが死亡する可能性のある戦闘と言うのは、皆必死になります。しかも、死亡する危険の中で一番、解決策が分かりやすいです。
4番は、ソードワールドの話ではありません。ただ単に、大抵のTRPGは戦闘のときの方が多くサイコロを振れることが多いっていう話です。特にどれとはいいませんけどね。
5は、つまりPCの見せ場が増えるということです。なんてったってそこいらの町の人よりPCは強い!(大体のモノでは、ですが)。つまり、町の人には出来なくて(兵士は町の人が動かせないのでノーカウント)、冒険者が出来ることの一つに魔物との戦いがあるわけです。
ま、メリットは挙げずとも分かっているようなことばかりだったのでデメリットの説明をしましょうかね。
1は、一番大きなデメリットです。これは普通のプレイヤーにとっては痛いわけです。キャラクターに情熱を傾けている人なんかは、キャラクターが死ぬといきり立ってモンスターとなりGMに襲い掛かってきます(嘘)。ってか、PCが死ぬとGMのせいになりますしね…。
特に、イベントで死ぬのは格好いい演出も出来、見せ場のひとつとして考えればあんまし苦痛じゃないんですが、「戦闘で死ぬ」というのは大体「戦闘が下手だった」という自分自身の実力に因るものだったりします。
2.戦闘は、卓の一番最後に一回だけと言うのが近頃の流行となっています。(戦闘の回数についての話は後ほど。)で、卓の最後な訳です。そのため、時間が足りない場合、情報収集や推理時間などよりも確実に戦闘の時間が削られます。これは戦闘がいかに軽視されているかということを表して(長くなるので以下略)。
てか、そもそもGM側からの時間調節は余りばれないようにやりましょう。ってのと、PLは「時間が無い」とか騒いでないで黙ってGMに協力しましょう。これでOKです。
3.これもシステムを限った話です。別にサイコロなんて10個を十回振れば100個振ったことになるわけですしどうせ数えるの面倒くさいんですけど、サイコロが卓に5個しか無かったりすると20個振るのも一苦労です。せめて一卓辺り10個は欲しいですね。
ま、莫大な数のサイコロは戦闘以外じゃ使わないよねって話です。
4.上の例えはGURPSで作り上げたものです。つまり、戦闘を好まないキャラクター、戦闘には向いてないキャラクター(まさかパーティーに一人も居ないなんてことは――ありますね。)とかが暇って事です。
具体的に言えばハッカー・詐欺師・セージなんかがそうです。
回復役は違います。回復役ってことは、HP消耗の主な要因である戦闘が無かったらそれこそ出番ない訳です。戦闘があるところでしか活躍できない彼らは立派な戦闘系です。
最も、飢えや渇きによるダメージを回復できるなら戦闘系といえるわけではありませんが
でも戦闘で活躍できないような人たちは戦闘以外で十二分に活躍しているから別にいいと割り切っていいと思います。だってそれを承知の上で自由度の高いキャラ作をやっているわけですから。
むしろファイターの出番奪うな!
その三:戦闘の回数
最近の卓では、よく「戦闘は最後の一回だけ」という展開が多いです。これは、戦闘なんかよりストーリーのドラマ性や謎の推理などに重点を置く人の方が圧倒的に多いからでしょう。プレイヤーの時は戦闘が大好きだった人だって、GMに回った瞬間に『戦闘は一回で十分だ』とか言い出します。
そしてその説明として、「戦闘なんて単調な作業だから繰り返しやるのは苦痛だ」「ルールが面倒くさいじゃないか」「戦闘2回なんて、ただの戦闘シナリオじゃないか」なんて言葉が飛んできます。
ちなみに俺の考えとしては、戦闘は確かに単純作業っぽいけど情報収集はそれ以上に単純作業だと思います。どうせ情報収集といったところで「人に訊く」・「シーフギルド」・「尾行」ぐらいしかしませんし。
まあそんな理由もあって戦闘は一回でいいと言われてしまうんです。でも、最後に一回戦闘を入れるというのは、やっぱりGMもしくはPLが卓の楽しみの一部として戦闘に頼っているということなんじゃないかなと思うわけです。
だったら、ボス戦の前に前座を用意してください!
つまり俺は、戦闘は2~3回あるべきだと思っています。戦闘が一回なら、せめて敵2~3体は欲しいです。
そうすることで、
『ファイター系が活躍する』
『MPの有り難味が分かる』
『PC・PLの強さが大体分かる』
『戦闘ルール・戦闘オプションの確認が出来る』
『戦闘のリスクをPLが把握する・戦闘回避の可能性が出来る』
まあこれも一個ずつ解説しましょう。
『ファイター系が活躍する』
これは戦闘一回でも変わらないじゃないか、という人が居るかもしれませんが、それは間違いです。
基本的に、攻撃魔法という非常に便利で高火力な攻撃が存在する以上、ファイターの役目なんていうのは彼らを守る壁という役目に落ち着いてしまうことが多々あります。技を選べても彼らはMPが低く、相手の魔法にも掛かりやすく、挙句の果てには「通常武器無効」「視線で麻痺・石化」「攻撃すると武器が壊れる」「精神攻撃以外で倒すとスペクターになる」「防護点20」なんて敵が出てくるとお手上げです。
しかも相手の後衛まで攻撃が届かないとか相手が飛行だから攻撃が届かないとか言われて無力化。
そしてしまいには
GM:「こいつはあることをしないと絶対に負けないんだ。」
という設定の被害が直撃します。
そんな彼らですが、彼らの攻撃には少しだけメリットがあります。それは「無限に繰り出せる」事です。ノーリスクに攻撃可能。何も消費せずに攻撃可能。そして、そんなローリスク(ローリターン)アタックが一番強い。それがファイターです。
つまり、魔法使いとの差はMP(残弾数)にあるわけです。
しかし、一回の戦闘では残弾数なんか関係ありません。そして戦闘が一回の場合、誰もMP回復なんてものは考えてません。…ボスが1ターンで死ぬとでも思ってるのかぁPL共!
で、ボス前の前座。魔法使いはおろか、僧侶だってMPを使いたくありません(とっておかないとボスは倒せません…よね?)。そんなとき、ボス戦を気にせずに高い出力で殴れる、そして高い防御力で安心して敵に接近できるのはファイターだけなのです!
『MPの有り難味が分かる』
ま、これも上と同じような感じです。ソードワールドなんかだとそうでもありませんが、一回の戦闘だと、例えばキュアー・ウーンズとか使っている限り、片っ端から使ってもMPが余るとかザラにあるんですよ。
そうじゃなくても、戦闘が一回だと回復させる意味なんてのも無いことだってしばしばあります。PCの戦闘力を把握していなかったために1ターン(ボスの手番が回ってくる前)でボスを殺されたりとかね。
で、此処で前座を用意してそこそこダメージを与えておくと、キュアーウーンズのMPが足りなくなるわけです。なので、重要人物以外に我慢してもらったりとかするわけです。
そうじゃなくてもMP切れたら魔法使い系は暇になるのでMPの使い道を必死に考えることとなります。
とりあえずソードワールドのソーサラー・シャーマンの呪文は卓の前に確認しておきましょう。
そうそう。MPを消費した範囲攻撃なんてものの有り難味が分かるためには、敵を3体出せばいいんです。自分が消費したMPと相手に与えた総ダメージを比べれば、単体攻撃の魔法を使ったときより効率が上がっているはずです。
ご利用は計画的に。使いすぎに注意しましょう。
『PC・PLの強さが良く分かる』
これは主にMPという概念の無いルールに特に有効です。これらのシステムでは、たとえ相手が前座でも割と特技を出し惜しみしません。そのため、複雑怪奇な特技の組み合わせによって導き出される必殺技のダメージ量や命中達成値などはそのまま倍加して(ダブルクロスならタイタスがありますからね)ボスに振ってくると計算できます。
そこで「ボスが弱すぎるな」と感じたらアホみたいに手下をつけるとかHPを2倍にする、などの対策が可能です。変なルールに至っては、「休憩時間」を入れるのを推奨しているので、休憩を取って敵のデータを作り直しましょう。
実を言えばルールブックを読み込んでいれば戦闘を挟まなくてもみんなのキャラクターシートを事前にあらかた見るだけで大体分かります。大体「強い特技」が何かとか読み込んだルールブックからなんとなく頭の中でリストアップされていくものです。
『戦闘ルール・戦闘オプションの確認が出来る』
例えば、ソードワールド・サポート1で追加された「囮攻撃」とか「二回攻撃」、また完全版に載ってる「組み付き」「絡み武器」「部位狙い」とかいったものがオプションです。こんなのは敵の冒険者でも使って良いはずです。
かといって、これらの戦闘オプションを使った場合、PLから「そんなの聞いてねえよ!」なんちゅう批判が来ることうけあいですよね?
だから、ボスが使ってパーティが危機に陥る前に、前座に使わせてみるんです。前座ですから、個々の能力はボスより低いはずなので恐らく大事には至らないでしょう。そこで、相手に思い出させるのです!
あとは忘れられがち&それなりに使える?「スネア」とかの呪文の存在を思い出させても良いですし。。
あと、慣れないルールを使う場合は、説明の一環として序盤に軽い戦闘を入れて確認しておくといいでしょう。新しいシステムだとか、ソードワールドの行動宣言有りでやるとか。
『戦闘のリスクを理解する・戦闘回避が出来る』
悪人なんていつの時代も居ます。そして驚くべきことに、どの時代でもやることなすこと変わりません。
そんな奴等には何を言っても無駄です。さっさとその一撃必殺技で倒しちゃって結構です。
しかし、前座はどうでしょう?
前座は黒幕ではありません。つまり、前座は倒すべき人とは限らないわけです。そして、前座と戦わなかったとしても黒幕が残っています。つまり、前座が悪人とは言い切れない場合、前座とは必ずしも戦わなくて良いのです。
また、黒幕より、それに騙されたり人質を取られたりしている前座の方が強いなんて事だってあるかもしれません。
そんな前座だとしたら、戦うだけ損です。あるいは、前座は黒幕の盲点を知っているかもしれません。
つまり、最終戦闘では無い戦闘は、戦闘そのものを回避できる可能性を含ませることが出来るのです。買収だとか、交渉だとか、脅迫だとか。
戦闘がおこりうる回数が増えるだけで、非戦闘系の見せ場まで増えるのです。これは素晴らしい
ん?そんなの戦闘が一回でも出来るって?
最終戦闘が回避できたら戦闘でのみ活躍する人々が泣きます。
でも相手が前座なら、前座との戦いでHPを消耗するのはファイターの望むところではないはずですし、何より黒幕が居ますから戦闘を回避してもPCは納得するでしょう。
特にGURPSなんかの自然治癒がとても遅いルールなんかだと戦闘そのものにリスクが大きいわけで、出来る限り言いくるめ21Lvや性的魅力+反応修正で23Lvとか嘘発見108Lvとかで戦闘を避けようとします。
回復魔法があったら関係ありませんけどね。大治癒とか。
まとめ。
「戦闘は2回以上」「敵は計2体以上」
これでOKです。
これさえ守れば俺のTRPG戦闘ライフは完成です。
戦闘はルールの記述の中で一番アツイ(厚い・熱い)部分ですから、あんまり減らさないでっていいたかっただけです。
別にこれは個人の感覚なので割と読んでもらっても意味がない気がしましたが、今更そんなことをいってもしょうがないので言わないことにします。
TRPGにおける
『戦闘』というものを
どう考えていますか?