TRPG冬の時代

≪ T R P G ・ 冬 の 時 代 ≫

                 関由応次(石油王子)

 それは1990年代後半のこと…。突如としてTRPG業界に恐怖の大王が降臨したのだ…。それはかの有名なノストラダムスの予言した1999年恐怖の大王降臨節を暗示するかのようにTRPGプレイヤー達に重圧と静寂を与えていった。彼らは迫りくる大寒波に恐れ、慄き、戦慄し、そして神の言葉を叫んだ…。

        「世界に…光あれ!」

 

 どうもこんにちは。石油王子です。もうそろそろお馴染みになってきた方も多いでしょう。さて、それでは今回のテーマは、OBの皆様はこれをくぐり抜けて来た事と思われますが、TRPG史上最大の修羅場、「TRPG冬の時代」についてのお話です。まあ、その時代にTRPGプレイヤーとして生きた訳でもなく、まだまだ素人の若造が戯言を並べ立てるだけになりますが、何卒ご容赦ください。

 

1章 「冬」以前のTRPG

 まず、TRPGが日本に渡ってきたのが1970年代です。それからどんどんTRPGのメディア進出が進み、遂には「漂流伝説クリスタニア」が角川映画として劇場版放映されました。文庫版ルールブックの大量発売により、学生層にも人気が出始めたTRPG。その勢いでさらにその知名度、勢力を増していくはずだったのですが…。1990年代後半、事件は起こったのです。

 

 

2章 「冬」到来!

 「TRPG冬の時代」、その時期について。一般に、その始まりは1990年代後半と考えられています。一方で、この時代の終わりははっきりと分かっている訳ではありません。2000年代に入ってから「冬」は終わったとも、2003年になってやっと抜けたとも言われています。また、一説によると、「日本のTRPG業界は未だに冬の時代を脱却することが出来ていない」との声も上がっているそうです。このように、定義上、「冬の時代」の期間は明確に定まっている訳ではありません。もっとも、我が部の「冬の時代」は去年、つまり新入部員が入らなかった時期を指すのでしょうが。 

 1990年代後半から、TRPG関連の書籍・出版物の出版数が激減し、それに伴ってTRPGをプレイする人口も減少の一路を辿っています。各メディア雑誌からTRPG関連の記事が一掃され、TRPG専門誌も休刊続き、もしくはTRPGに成り替わる新世代メディア(カードゲームやコンピュータゲーム)専門の雑誌に変わってしまうという悲惨な状態が続きました。また、文庫版主体(主にマギウス)からボックス主体に逆戻りしたため、それまで書店でしかTRPGに触れてこなかった若者世代がTRPGに触れづらくなり、さらにルールの単一化(というか彩りの無さ)に飽きて多くのTRPGプレイヤーがTRPGから離れていったようです。これにより、次世代への引き継ぎがなされなかった→プレイ人口の減少という図式が成り立ってしまったと見られています。

 

 

3章 長い「冬」は続く

 そして、「冬」は続きます。見る見るうちに出版数は減少し続け、プレイ人口は激減、さらにはゲームもスタンダードな物しかなくなり、低質化していきました。このままではまずいのではないかと多くのTRPGプレイヤー達は危機感を感じたようですが、時すでに遅し。そのままTRPGは時代の波に呑まれ、世間からの認知度は低下、マイナーな部類の一部のマニアなものとしてしか、いや、そうとすらも認知されなくなっていったのです。

 

 

4章 春の兆し(?)

 しかし、春の兆しは見えてくるのでした。2000年代に入ると、新版「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の翻訳や「天羅万象」の発売、そして、井上純一が「アルシャード」の発表に伴って「新世紀スタンダード」、つまり「冬」の終了宣言をする、などと同時に、低迷していたプレイ人口の回復(といっても微々たるもの)や雑誌の復活、出版件数の増加など、TRPG復活の雄叫びが叫ばれ始めます。そしてそのまま徐々にではありますが勢いを盛り返し、2003年にはグループSNE代表の安田均が「RPG復活宣言」を大々的に行います。グループSNEやF....社が中心となり、TRPG業界を奮起させ、引っ張って行きました。ここ近年でのTRPGのメディア進出の例として有名なものを挙げるならば、まず初めにF....社のTRPGシステム「ナイトウィザード」のアニメ化という、一部の人々を震撼させ、大きな衝撃を与えた事象が挙がります。TRPG業界は再加速を続け、そして現在に至ります。

 

 

5章 そして、未来へ・・・

 現在、TRPG業界は発展を続けています。少ない需要でありながらも出版社側がTRPGプレイヤーに商品を楽に提供することになったことで、よりTRPGというものに触れ易い世の中へと変化してきていると考えてもよいでしょう。出版点数、プレイ人口ともに「冬」に比べて明らかに増加しており、このまま発展を続けていけばTRPGは再び世間に大きく認知される状態となるでしょう。僕は、そのような状態はTRPG業界にとってとても好ましいものであると考えています。

しかし、現在打ち出されているデータが必ずしも良いデータばかりという訳ではありません。例えば、コミックマーケットに参加を申し込んだサークルの数が著しく減少していることなどが挙げられます。コミックマーケットの参加サークル数はむしろ「冬」のころをも下回ってしまっています。これは良い兆候とは言えないでしょう。

このような時代の中、我々のようなTRPGプレイヤーがTRPGの炎を絶やさぬこと、それが重要視されてきます。我々一人一人がこの「TRPG」という素晴らしい文化を存続させ、そして後世へ伝え残して繋いでいく事が出来れば、TRPG業界全体はこれからの未来へと力強く羽ばたいて行く事が出来るでしょう。

とはいっても、僕自身はまだ「冬」が完全に終わったとは思っていません。未だTRPGは世間にとって小さな存在、世の中で認識すらまともにされていません。これからどういった進歩を遂げていくかということが重要なのです。TRPGはまだまだ加速し、勢力を拡大していくことと思います。そこで、TRPGプレイヤーがこの現状を考え直し、そして行動に繋げていく事が大切であるのではないでしょうか。

この文章が「TRPGの在り方」について考える機会となったならば幸いです。それでは…

 

 

TRPGに栄光あれ!

 

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最終更新:2009年01月19日 18:49
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