タイプライターのガセビア


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タイプライターに関する嘘八百


パソコンのキーボードってどうしてABC順じゃないの?

カタカタと何気なく使っているキーボード。でも、よく見るとアルファベットが不規則に並んでますよね。これって何か理由があるの? さっそく調べてみると何やらいろんな説がある様子。そこで、雑学王として知られる唐沢俊一さんに、諸説聞いてみました!

「(キーボードの左上から)“QWERTY…”と並んでいるものは、“クワーティー配列”と呼ばれ、200年ほど前に登場したタイプライターが始まりといわれています。当時は、製造会社ごとに様々な配列があったのですが、19世紀末の大不況をきっかけに会社が一つに統合され、資本力を持っていた会社の決定で現在の配列に統一されたようです」

でも、そもそもなぜこんな不規則な配列になったの?

「ひとつには、わざと打ちにくい配列にしてあるという説があります。タイプライターは、キーをたたくとバーが前に飛び出し、活字を一文字ずつ運んで印字するため、あまり早く打つとバーが絡まってしまうんですよ。それを防止するため、よく使う文字をできるだけ離して配列してある、と。しかしよく見ると、英語で多く使われる“er”が並んでいることから、この説は信憑性は薄いといわれています」(唐沢氏)

なるほど~。その他にも、「逆に、打ちやすい配列にしてあるという説もありますよ」というのは、生活総合情報サイト「All About」でノートパソコンのガイドを務める上倉賢さん。

「タイプライターが発明され特許を取ったころには、配列はABC順だったのですが、実用化していくうちに『Iは上にある方が打ちやすいな』などと少しずつ改良して、今の原型が生まれたという説もあります。“FGHJK”が、左からほぼアルファベット順に並んでいるのはその名残では? ともいわれていますね」(上倉氏)

確かに、下からだけど“CDE”とかアルファベット順で近いものが隣りや上下になってる場所がある。

それ以外にも、アルファベットが並ぶ一番上の列には、“typewriter(タイプライター)”という文字がバラバラに配置してあるとか、キーボードの配列には実は結構オモシロイ説が!

長い歴史と企業間の力争いなどを勝ち抜いて、現在も使われているクワーティー配列。そう思って眺めると、キーボードにも愛着がわいてくる!?
(榛村季溶子/short cut)


 上記の唐沢俊一の薀蓄に対する誤りの指摘 By 安岡孝一氏

榛村季溶子の『パソコンのキーボードってどうしてABC順じゃないの?』(R25, 2007年9月7日)を読んだのだが、QWERTY配列に対する新手のガセネタが登場していて、なかなか興味深かった。

“QWERTY…”と並んでいるものは、“クワーティー配列”と呼ばれ、200年ほど前に登場したタイプライターが始まりといわれています。当時は、製造会社ごとに様々な配列があったのですが、19世紀末の大不況をきっかけに会社が一つに統合され、資本力を持っていた会社の決定で現在の配列に統一されたようです

「会社が一つに統合され」ってのが、The Union Typewriter Companyの設立(1893年3月30日)のことを言ってるんだとすると、「19世紀末の大不況」ってのが、いったいどの「大不況」を指しているのか、私にはさっぱりわからない。
たとえば1893年の大不況は、6月27日(火)の株価大暴落に始まったものだから、The Union Typewriter Companyの設立より後のことだ。あるいは1890年の不況は、ロンドンのBaring Brothers破綻(1890年11月8日)が一つのヤマだが、アメリカではそう大きな不況になっているようには思えないし、それがThe Union Typewriter Companyに何らかの影響を与えたとは考えにくい。というか、この文章の筆者は、19世紀末のアメリカにおいて、The Standard Oil Companyを含め、どれほど多くのトラストがどういう経済状況を背景に成立したか、全く理解していないように思える。
そもそもこの文章は、1873年頃に誕生したQWERTY配列を、「200年ほど前に登場したタイプライターが始まり」などと平気で書いていたりするので、19世紀のタイプライターの歴史など全く理解していないのは明らかだ。200年前と言えば1807年だぞ。そんな文章を書く人間が、「19世紀末の大不況」なんて言ったところで、何も考えずに適当なトリビアとやらをデッチ上げてるのは、まあ間違いないのだが。




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