量子論II@卒研

量子論の初期のころの流れ、前期量子論についてまとめておこう。

前期量子論

原子の構造を探る

当時有力視されていたのは
ラザフォードの原子模型
であった。
当時、トムソンによって電子が発見した。
また、ミリカンやローレンツなどによって原始の内部に迫る予言や実験がされていた。

ラザフォードの原子模型では
  • プラスの電気を帯びた部分が原始の中心に集中している。
  • その周辺に電子が回っている
というものであった。
これはヘリウムの原子核に関する実験で予言されたものだった。

ところでなぜ原子はつぶれないのか。
電子は原子核にひきつけられて原子はあっという間に消滅してしまう?
これが古典的な物理で導かれた結論。

電子にも離散的な制約がある?

当時、ラザフォードモデルの欠点を論議していたボーアは
量子条件
振動数条件
の二つを盛り込んだ新しいモデルである
ボーアの原子模型
を発表することになる。

その元となったのはバルマー系列というスペクトル分布。
水素原子の線スペクトルの分布に関する関係式をバルマーが見つけた。
これを元にボーアは大胆な仮定の下にボーアの原子モデルと提唱する。

ボーアは都合の悪いことは完全に無視し、次の仮定をたてた。
1.原子は決められた円周軌道上だけを動き、その軌道の半径はとびとびになる
2.この軌道上を回転するとき、電子は電磁波を放出しない
3.別の軌道半径へ移るときに電磁波を放出・吸収する。
また、この決められた軌道を回っている状態を定常状態と呼んだ。
ボーアの関係式から3.のようにエネルギーの差がバルマー系列の差と関係があるとした。

量子条件
2πrmv=nh
として、n=1の軌道半径をボーア半径と呼ぶ。

振動数条件
hν=Eb-Ea
として、二つの軌道の差が、放出される電磁波の振動数に関係があるとした。
これらの仮説からバルマー系列はn=2に遷移するときの光であるということが確かめられた。

前期量子論の流れ

1.究極の小粒子と考えられた原子にも内部構造がある

2.当時はラザフォードの原子模型が有力説とされた

3.ラザフォードの原子模型は原子がつぶれる欠点があり、線スペクトルに関する説明が出来なかった。

4.ボーアは量子条件・定常状態・振動数条件という大胆な仮説の元、ボーアの原子模型を唱えた

5.ボーアの原子模型はラザフォードの原子模型の欠点を補うことに成功した

前期量子論の欠点

  • 定常状態の電子が電磁波を出さない理由
  • 決められた軌道を回る理由
  • 水素原子以外の原子を説明できない
などのものが残っていた。
最終更新:2008年03月26日 12:40