創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

第三回

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 時のジグパルス 第三回

Aパート
○上空
   無人偵察機の自動航行画面。
   海面を写している。
   海中を移動する物体を追う。


○海面上
   静寂の海面。
   突如、等間隔で巨大な水柱が四回上がる。


○上空・昼
   青空に雲が流れる。
   夏空。


タイトルテロップ『はじまり』


○赤松家・庭
   砂浜が一望できる庭。
   軒下の日陰で涼んでいる犬。
   ぬっと起きる。
   砂浜に向かって吠える。
   尻尾をふっている。


○ハマタ海水浴場
小さな海辺の町の砂浜。
   海岸にはテトラポッド(消波ブロック)。
   蜃気楼のように揺らめく沖の離島。
   立て看板の表示(遊泳禁止 戦時国民管理局)。
   人の姿はない。

   水面に浮かび上がる巨大な影。
   壱型機の手が水面から伸びてテトラポッドを掴む。
   崩れ落ちるテトラポッド。
   壱型機が水面から姿を現す。
   湾内に波が発生する。

   壱型機、怪物の頭部を掴む。
   右手にもった円月輪で手にしている。
   怪物の頭部を縦に切り裂く。
   黄色い液体が溢れ出る。
   壱型機、伸ばした右腕の装甲が解除され、
   浅瀬に落ちる。
   怪物と同じような斑の模様。
   手先は形成されている。

   壱型機、切り裂かれた頭部に腕を差しこむ。
   黄色い液体が体内から漏れる。
   怪物の体内を探る。

   壱型機、操縦席。   
   右手を側頭部に添えるカンナ。
   左腕は操縦桿。
   目は閉じている。
   全周囲モニターに警告表示(Oxygen none)。
   カンナ、そっと目を開く。

   壱型機、一気に右手を引きぬく。
   怪物、浅瀬に崩れ落ちる。
   壱型機、空になった背中のカートリッジが、
   強制的に外れて浅瀬に落ちる。 

   壱型機、足元から崩れる。
   伸ばした右手が砂浜の上に。
   砂が舞う。


○上空
   旋回するオプテリクス(無人偵察機)。
   地上の映像。
   音声なし。
   壱型機、怪物。
   ズームイン。  
   浅瀬にうつ伏せの怪物。  
   機体を前かがみに丸めて動かない壱型機。
   一旦引いて砂浜に再度ズームイン。
   巨大な掌に横たわる少女の姿。
サーモグラフィに切り替わる。
   青色に表示される少女、リノ。


○長崎沖・海上・夕刻
   曇り空。雷鳴轟く上空。
   海上、波が高くなり始める。

   海上、数隻のタグボートで曳航される弐型機。
   機体の周りには、フロートが取り付けられている。
   仰向けになっており胸部にはいくつものシートが
   取り付けられている。


○国道
   白の軽トラックが一台走っている。
   車体横には(民宿もとみや)と記載されている。
   荷台には数個の発泡スチロール箱。
   運転手は短髪の青年。

幸太郎「いやーな天気だな」

   道の先に通行止めのバリケード。
   その前に停車中してあるジープと憲兵が三人。
   停車する軽トラ。
   憲兵が駆け寄ってくる。

憲兵「通行止めですので、戻ってください」

   数十メートル先の道路沿いの崖が崩れている。
   道路上に、穴や瓦礫が散らばっている。
   ガードレールもなくなっている。
   青年、その光景を目にする。

幸太郎「どうしたんです、いったい?」
憲兵「どこにいくんだ?目的地は?」
幸太郎「市場の帰りですよ。ハマタ町の漁師です」
憲兵「(睨みつけるように)引き返しなさい」
幸太郎「だから、ハマタ町の住人なんだけどさ」

   青年、IDカードを差し出すが憲兵は相手にしない。
   笛を吹いて、移動するように促す。
   青年、ため息、諦めた様子。   
   軽トラをUターンさせる。

   後続のバスがやって来て、停車する。
   憲兵、バスに向かう。
   運転手が車外にでてくる。
   バスから夏着姿の少女二人が降りてきて、 
   憲兵に話しかけている。
   通りすぎようとした軽トラが一時停止する。
   青年、車内から声をかける。

幸太郎「君たち、日野さんとこの」

   ナオ子、青年を指さして、 

ナオ子「あ、魚屋さんの人だ」


○赤松家・縁側
   縁側に座っているカンナ。
   俯き加減で目はうつろ。
   雲で覆われゴロゴロと雷鳴が響く空模様。
   パルス・ギア(パイロットスーツ)の対Gスーツは
   脱いで横に上向きに置かれている。
   スーツの上は腰まで下ろされており、
   上半身はスポーツブラのような着衣。
   犬がすぐ側で尻尾を振りながら、伏せをしている。
 廊下の奥からキヨ子老人が姿を見せる。
   手にバスタオルを持っている。

キヨ子「なんだかまあ、ひと雨きそうな天気じゃのう、ほれっ」

   キヨ子、バスタオルを広げてカンナの頭からかぶせる。

キヨ子「今日は海も浜もひどく騒がしいのう、
    なにをやってるんか」

   犬の頭を撫でる、キヨ子。
   カンナ、タオルから頭をだし、少し笑顔を見せる。  

カンナ「ありがとう、おばあちゃん  
キヨ子「さて・・、はと麦茶ばってん入れちゃうかね、カンナ」 

   カンナに笑い返して、キヨ子は室内に戻る。


○海上・輸送ヘリ
   インスーラーに向かって飛ぶ、
   ティルトローター機(米軍らしき塗装表示)。

   機内の様子。
   薄暗い中に生命維持装置のカプセルが積まれている。
   小さい出窓からリノの顔。

   (以下の会話は英語)
通信音声・男A『被験者は仮死状態を維持。
       生命維持装置は問題なく作動している』
通信音声・男B『ジグパルス・ワンのパイロットはどうした?』
通信音声・男A『同乗を求めたが、彼女は要請を拒否して、
       どこかに行ってしまった』
通信音声・男B『了解。そのまま二番デッキに着陸しろ』



○赤松家・庭 
   庭で、シロ(飼い犬)がうろうろしている。
   小雨が降り始める。
   シロ、犬小屋に引っ込む。


○ハマタ海水浴場一帯
   人影もない静かな砂浜が、ものものしい雰囲気になっている。
   防衛軍の兵士が防波堤の上に立ち、付近を警戒している。
   砂浜や海上のボートの上には、白い防護服の人影が多数。
   浅瀬に鎮座する、ジグパルス壱型機。
   タグボートの酸素タンクから、背後の供給ユニットに、
   パイプで直接供給されている。
   黄色っぽいガスを浴びせられ、
   白い巨大なシートを掛けられ、て運びだされている、
   謎の巨大物体。


○ハマタ海水浴場側・桟橋・夕刻

   小雨が降っている。
   砂浜に近い桟橋。
   鎮座している壱型機などが一望できる。
   鉄筋とコンクリで組まれたような桟橋。
   街路灯が付いたり消えたりしている。
   手前に数名の黒服の男が、周りを警戒するように立っている。
   奥にはダ・ダの司令官制服を着た女性。
   小雨で髪や制服が濡れいるが、気にしていない。
   小型高速艇輸送艇が接岸してくる。
   (船は未来的フォルムの形状)
   雨よけの軍用ポンチョを着た、松サトシが傘を
   片手に降りてくる。

松「すいません、首席代表。すこしばかり遅れました」

   松、傘を開いて女性に渡す。
   傘を受け取るリー。

リー「ヴォイド体出現後四十二回目の夏だというのに、
   いまだ人類はこの有様か」
松「参型機は大破、パイロットは意識不明。
  弐番機は胸部中破。壱型機はごらんの通りです」
リー「上陸したヴォイド体の正体はわかったか?」
松「システム異常の余波でオプテリクスでは、
  僅かしか測定できなかった。だが、亜種ではないことは
  確かだ」
リー「新種か・・・。
   おかげで進化加速説の裏付けがとれたということか」
松「俺は、ラマの博士連中言うことを、一々真に受けてはいないが、
  単体で現れたヴォイド体だ。たまたまじゃないのか?」

   船の搭乗ハッチに向かうリー。

リー「縁なき衆生は度し難し。
   素直に忠告として受け入れろ副補佐。
   事態が動いてからでは手遅れだ」
松「ハッ!」

   リーの後ろ姿に敬礼する松。


○交差点
   強い雨が降っている。
   田んぼと山林に囲まれた交差点。
   信号待ちの軽トラック。  
   幸太郎と日野姉妹が乗っている。
   通行する車はなし。

   軽トラック・車内。 
   助手席に姉妹が二人で座っている。
   姉のイズミは窓側、真ん中に妹のナオ子。
   ナオ子は姉にもたれて寝ている。

幸太郎「妹さん、寝ちまったか」
イズミ「疲れたんですよ。二人で長崎に遊びにいったんです。
    夏休みだから」
幸太郎「夏休みかあ・・・、おれ、高校行かずに漁師になったから
    懐かしい響きだわ」
イズミ「夏休みとらないのですか?」
幸太郎「ないない、親父も腰悪くしてるし、母ちゃんの民宿も開店    休業状態だし、休んでる暇ないよ」

   信号変わり、軽トラ走りだす。 

幸太郎「君たち二人。姉妹だけでハマタに越してきて、
    住んでるだろ?」

   イズミ、幸太郎の横顔を見る。

幸太郎「困ったことがあれば言えよ、助けてやるから」
イズミ「ハイ・・・」

Aパートおわり   


    第三回 終了

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