創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

第二回

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時のジグパルス   第二回


○インスーラ地下・格納整備区画・搭乗橋
   狭い通路。
   三型機のコクピットに向かう少女と女性。
   急ぎ足の二人。
   向かいから来る白い防護服を着た整備員が道を譲る。
   少女は対Gスーツの首元のアタッチメントを止めている。

葵「試作品の接合ユニットがうまく噛みあってなかったのよ」
ムツネ「大丈夫なの?」
葵「試作前の部品に戻したから問題ないわよ」

   床に設置されたハッチの前まで来る。
   少女はしゃがんでふともものアタッチメントを止める。

葵「ムツネさん、いける?」
ムツネ「完了。胸元がちょっと苦しいけど」
葵「成長期だからよ。該当部署に伝えておくわ」

   女性が壁のコンソールを操作すると、床のハッチが開く。
   少女、ハッチの中に入っていく。

葵「閉めるわよ」

   降りながら、親指を立てる少女
   床のハッチが閉まる。

葵「(インカムに)ラマよりダダCIC、三型機用意できたわ。
  遅らせてしまってごめんなさい」


○海沿いの国道
   海から巨大な蛇のような化物が這い上がってくる。
   化物には長い手足が生えている。
   運転手、慌ててブレーキを踏む。
   バス車内、後部座席で寝る少女。
   突然、バスが急ブレーキで停止する。
   前のめりになり、起きる少女。


○インスーラ地下・サイト管理区画 

   島の深部にある遺跡【オウロフィル】の管理区画。
   すり鉢状に広がる空間。
   遺跡の直上表面から飛び出している巨人の上半身。
   下半身が遺跡に埋まっているような姿。
   傍目から見るとグロテスクな光景。

   巨人の表面に現れた極彩色の斑模様。
   頭部に目や口のような部位はなくのっぺら。
   手足の先が先細っている。

   巨人の怪物、黒い表面から這い出てくる。

○インスーラ・ダダ・CIC
   相変わらず、慌しい雰囲気。
   松、コンソールの上に海図を広げて、
   電話で協議中。(音声OFF)
   相手は不在の上司。
   隣のブースにいる松を横目でみるノーラ。

ノーラ「ワク、一型機の現在地は?」

ワク「オプテリクスで追尾していますが、
   最高速度でもジグには追いつけませんよ」  
ミツキ「勝手に戦線離脱して、なに考えてるのあの子?」
時子「ラマより三型機機動許可内容の確認、最終です」

   松、ノーラに出撃させろのハンドサイン。

ノーラ「三型機、出撃させて!」


○インスーラ地下・格納整備区画
   三型機が格納スポットから上に競りあがってくる。
   周囲を囲っていた桟橋などが離れていく。


○三型機・操縦席
   全周スクリーンに表示されていく起動シークエンス。
   外部映像に下から切り替わっていく。
   シートに座っているムツネ。
   後ろ髪を結び直す。
   両足にはカバーが降りてくる。
   ムツネ、操縦桿を握る。

   突然、三型機のリフトがガクンと止まる。

ムツネ「あれ?」

   拍子抜けするムツネ。

   区画全体に地震のような揺れが発生しはじめる。
   警報音が鳴り始め、非常灯に切り替わる。

○インスーラ地下・オウロフィルの中央監視制御室

   島内の地下施設の一つ。

   多数の機器が設置された薄暗い室内。
   揺れの中、慌しい研究員たち。
   異変を知らせる各空中投影モニター。

モブ「オウロフィルが活性化している」  
モブ「対象、動き出しました。
   隔壁閉鎖、D型ガス注入します!」

   中心部に置かれた大型の立体レーダー。
   円筒形の物体がホログラムで表示されている。
   多数の色で区別された波形が波打っている。
   それを見つめている男。

ミクニ「対象HOHはユムか?いや、ヤムだな」

○インスーラ・大深度地下・エレベーターシャフト
   上の地下区画に通じる斜行エレベーター。
   注入されたガスにより靄がかっている。
   人形の怪物、這いずりながら上に移動している。


○三型機・操縦席
   外部映像。
   崩れ落ちる桟橋等。
   赤い回転灯。 

ムツネ「地震?もう、こんなときに」


○海沿いの国道
   道路を横断している怪物。 
   地響きが伝わってくる。 

リノ「なんだろう?」

   リノ、席から立ち上がろうとする。
   突如、怪物がバスに体を向けて迫ってくる。
   急バックするバス。
   転倒するリノ。

   怪物の長い腕がフロントガラスに突き刺さる。
   運転席が潰されて血が飛び散る。

リノ「いやっ」

   リノの悲鳴が上がる。
   怪物、バスの天井を殴りつける。
   車内の天井が潰されていく。
   車内に飛び散るガラスの破片。
   座席の間に座り込む少女。
   怪物の手が車内に入ってくる。
   恐怖で声もでない少女の姿。


○インスーラ・大深度地下・エレベーターシャフト
   床を這いずっている巨人の怪物。
   自分の脇腹に手をねじり込ませる。 
   体内から金属状のワッカを取り出す。
   取り出したは円月輪(チャクラム)。

○インスーラ地下・オウロフィルの中央監視制御室
   収まらない揺れ。
   床に書類が落ちている。

モブ「キュリアコ博士、対象はE54区画から動きません」
モブ「D型ガスが効いているのか?」
ミクニ「三型機でオウロフィルまで引き戻すよう促すんだ。
    ラマ・イニシアティブの最重要研究対象、最後の四体目だ。
    ぼくも無駄に刺激を与えようとは考えていないよ」

   立体レーダー近くのコンソール上に置かれた電話機。
   旧式の赤いダイヤル式。
   リリリーンと鳴り響く。
   受話器にガムテープが貼られている。
   ガムテーブにペンで(DADA HOTLINE)と書かれている。

   男、受話器をとる。
   次々と切り替わるホログラムの色。
   男の顔が気味悪く照らされる。
   電話相手の話は聞き流している様子。 

ミクニ「それは、いま重要じゃないよ。
    大丈夫だ、ぼくらに従うんだ」

   男、電話を一方的に切る。  
   コンソールを操作する。
   モニターに共有システム切り離しを表す表示。


○インスーラ地下・格納整備区画
   警報音が鳴り響く。
   揺れが続く。
   地鳴りのような音が響いている。
   エンドレスで流れる合成音声の避難警告。

アナウンス音声「Evacuation warning Evacuation warning 」  

   階上の格納庫内を見渡せる通路。
   手すりに捕まる女性。

葵「(インカムで)三型機、機体を固定させて!」

   突如、揺れと地鳴りが収まる。
   警報が鳴り止む。

葵「収まったの?」  


○海沿いの国道
   海の彼方から向かってくる一筋の光。
   怪物に突き刺さる一型機のナイフ。
   怪物がのたうちまわり、バスを放り投げる。
   空中で回転する車体。
   少女、窓から車外へ放り出される。
   バスの車体はガードレールを飛び越えて海へと落ちる。

   怪物が海に飛び込む。
   赤い光線が頭上から矢のように飛んでくる。
   一型機、怪物に向い急降下し襲いかかる。
   怪物が爆散、派手に水しぶきがあがる。     

○インスーラ・ダダ・CIC
   前方の大型モニターに(reboot)の赤い文字列。

   松、チーフ席のブース席後方から立ち上がる。
   赤い旧式電話を手にしている。

ワク「揺れが止まった?」
松「(受話器にむかって)おい、ミクニ!」
ノーラ「ラボとこちらの共有システムを切り離したんだわ」
松「なに考えてるんだあいつら?」
ノーラ「三型機は?」
ミツキ「島外にはまだ出ていないわ」
ワク「三機とも連絡取れなくなりましたよ!」
時子「リンク24からリンク81に切り替えます」
松「二型機とのリンクを最優先で確保しろ」
ノーラ「松、その海図見せて」
時子「機構軍のデータリンク経由で接続できそうです!」


○インスーラ地下・格納整備区画  
   格納庫の床。
   床の一部が赤く溶解し始める。
   円月輪が回転しながら出てくる。
   溶けた床材を撒き散らす。
   床に穴が開く。
   ガスが吹き出し始める。
   天井のスプリンクラーが作動する。
   斑模様の怪物が押し出るように這い出てくる。


○海沿いの国道  
   一型機、海中から戻ってくる。
   道路の上で倒れている少女。
   血に染まった夏着。
   ピクリとも動かない。


○インスーラ地下・格納整備区画・コントロールルーム  
   階上にあるガラス越しの部屋。
   ガラス越しに見える階下の怪物の姿。
   固唾をのんでいる職員たち。
   首からガスマスクを下げている。

   葵、コンソールに備え付けの電話機に向かって、

葵「ええ、フィジカルウェポンで溶解させたようです」

   ほかの職員からガスマスクを受け取る葵。
   ガラスに顔を近づけて、

葵「(インカムで)三型機、ジグであの生物を取り押さえて」
ムツネの声「なんなのあれ?」
葵「ラボの実験動物よ。
  絶対に無茶な攻撃はしないで」

○三型機・操縦席  
   全周スクリーンに映し出される怪物の姿。
   操縦桿を握りなおすムツネ。

ムツネ「なんなの、あの巨大ナマコ?」  

   三型機、崩れた桟橋を押しのけて移動する。

   床を這いずりながら、うろうろとしている怪物。
   手には円月輪を巻きつけるように持っている。
   後方から近づいて来る三型機。
   飛びかかって覆いかぶさり、床に押さえつける。
   怪物のブヨブヨとした体が潰れる。

ムツネ「いやだこれ、気持ち悪い」
葵の声「サイト管理区画の直通隔壁を開放するから、
    そこに投げこんで!」

   格納庫の一角にある巨大な扉が開き始める。

葵の声「その武器は取り上げて、また壁に穴でも開けられたら
    この施設浸水するわよ」
ムツネ「このワッカ?」

    三型機、円月輪を取り上げようとする。
    怪物の手がしっかりと金属の輪に巻きついてはなれない。

ムツネ「はなしなさいって!」


○インスーラ地下・格納整備区画
    三型機の左の掌から赤い光が漏れ出す。
    怪物が金属の輪を放り投げる。
    回転する金属の輪。
    格納庫の内部を破壊しながら移動。
    三型機の後ろに回りこみ、背中に衝突。
    背中に取り付けられた酸素供給ユニットに直撃。
    ユニットとの摩擦で火花を飛び散らす。
    酸素カートリッジが損傷。引火爆発。
    三型機、衝撃で跳ね飛ばされる。


○三型機・操縦席
ムツネ「わけのわからないおもちゃ使わないでよ」

   スクリーンに機体酸素濃度低下警告の表示。

ムツネ「酸素濃度がっ!」

○インスーラ地下・格納整備区画
   人型の怪物がフワリと浮く。
   空中で直立する。
   斑模様がうごめき輝きだす。

   三型機、左腕をのばす。
   左腕に巻き付いているツタのような付属武器。
   まっすぐに伸びて、怪物に巻きつく。
   引き寄せて立ちあがり、怪物に飛び掛る三型機。

   突如、怪物の内部から緑の球体が発生。
   どんどん膨張していく。
   球体に覆われる二体の巨体。 
   一転、急激に収縮する球体。
   二体を飲み込んで消える。


○一型機・操縦席
   操縦桿から手を離してうつむいているカンナ。
   しばらくそのまま。

   突如、レーダに反応。
   顔を上げる。


○海沿いの国道
   一型機の頭上に出現した緑の球体。
   急激に膨張する。
   三型機と怪物が出現する。
   三型機の機体表面装甲は溶けてボロボロに。

   怪物、三型機を円月輪で叩き落す。
   巻き付いていたものが緩んで外れる。
   一型機の頭上に勢い良く落ちてくる三型機。
   一型機、三型機を支える。
   機体に衝撃が走る。


○海中
 折り重なる一型機と三型機。
   三型機の熱せられた装甲が海水に触れる。
   海面が泡立つ。


○三型機・操縦席
   警告音。
   全周スクリーンがノイズだらけ。
   真っ白になっているセクトも多数。
   激しく咳き込むムツネ。
   口から嘔吐物。

カンナの声「ムツネ、脱出して!」

   シート下の脱出コックに手を伸ばすムツネ。
   緊急脱出装置が作動する。
   全周スクリーンが非表示になる。
   シート周りからエアバッグが放出される。

○海中
   三型機の喉元から射出される球体の操縦席ユニット。
   バルーンが放出されて海面に浮かび上がる。


○海沿いの国道
   怪物、道路に着地して倒れこむ。
   手にした円月輪を重そうに動かして頭部へ。
   頭部を横に切り裂く。
   表面が裏返り、唇のようになる。
   黄色いドロドロとした液体が垂れてくる。

   少女の元に腕を伸ばす怪物。
   道路に倒れた少女。
   先端部で包み込むようにして掴む。
   頭部の裂け目に運び、少女を飲み込む。
   極彩色に輝き、蠢く斑模様。



サブタイトル『第一話 時より這いでし者たち』


                 第二回終了


○夕貴リノ        (13)     ????
○里美カンナ       (18)      ジグパルスパイロット
○シェン・ソウマ      (16)      ジグパルスパイロット
○咲野ムツネ   (15)      ジグパルスパイロット
○松さとし        (中年)    DADA首席補佐官、戦術管理官 
○ノーラ・鈴房      (27)      DADA戦術管理官副補佐
○千葉ミツキ       (25)      DADA CIC管制官
○鶴田ワク         (青年)    DADA CIC管制官
○市川時子        (23)     DADA CIC管制官  
○キュリアコ・ミクニ   (中年)    ラマ・イニシアティブ上席研究員  
○ゼニア・葵        (25)     ラマ・イニシアティブ研究員 

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