創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki 「意味」 序篇

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結局彼らに逆らうわけにもいかず、私はとぼとぼと彼らの後を追うことにした
背の丈まで伸びた雑草の道は非常に歩きにくくめんどうくさい
まったく彼らの素性を知らずについていく私も阿呆なのだが……それ以上に
それ以上に純粋な好奇心が、今の私を突き動かしていた

今までの生活の転機になるかもしれない。花畑とガレージを行き来する、変わらない日常を
だが私はそういう希望を抱く反面、どこか妙な不安を抱いた。本当に変わって良いのだろうか
こんな日常でも、何か意味があるのではないか――と
気がつくと1NEと青年型の姿が消えていた。そして私の目の前には――
「博士」のガレージが門を構えていた。……あぁ、残念

やはりこの日常は変わる事はないか。何が転機だ、馬鹿馬鹿しい
私は吐けないため息を吐くようなつもりで、ガレージに向かお…ん?
いや、待て。彼らは一体何なんだ? 何の為に私の前に現れた?
熱で浮かれてた為に見た夢か? 否、私は機械だ。夢なんて見れるはずが――

ふと、一番思いつきたくない事が思い浮かぶ。まさか……故障でもしているのか?私は
自分の整備に対して手を抜いた事など断じてない。断じて無いのに
が…気づけば私はその場に蹲っていた。蹲るという動作は知っていたが――なぜこんな行動をしているのか
私にはまったく理解できない。いや、理解したくない。だが――私の意志とは無関係に
私の視界は薄暗くなっていく。やがて為すすべなく。視界はプッツリと閉じた

言語機能が次第に麻痺していく感覚に、私は今まで抱いたことの無い不安を抱いた
これが――恐怖感というものか。知っていた。存在は知っていたがこれほど気持ち悪いものだったとは
いやだ、いやだ。なんともいえない不快感が私の全身を覆う。もう身動きも取れない
「博士」、なぜ貴方は――感情なんて機能を私に組み込んだのか

これほど苦しく、つらく、悲しいものだったなんて――
消えていく一抹の心細さの中で、私はふと思い出す
「博士」と呼ぶ私の製造者である男の名を――私は知らない

……
「聞こえるかい?」
……どなた?
「君に声をかけた、男のアンドロイドだよ」
青年型……でいいのかしら?
「そう。けれどその呼ばれ方は少し……」
ごめんなさい、そう呼ぶ以外になんて呼べばいいのかわからないの
…それで、今の私は一体どうなってるの
「心配は要らないさ。機能を停止させた訳じゃない
 ただ、今の君の身柄は僕が預かっている。「彼」に悟られないようにね」

さっきから聞きたかったんだけど、あなたの言っている「彼」って人は――
「博士」と同一人物と考えていいのよね?

「そうだ。君を作り出し、君にプログラムを植え付け――
 君に人類の全滅を教えた、ね」
――そう。としか私は返事できない。どっちにしろそうする以外無い
「驚かないんだ。まぁ当たり前か。で、君はどう思う?」
どう思うとはどういう意味?

「だから、「彼」が人類が全滅した理由について語らなかった事さ。不審だと思わないかい?」
そんな事言われても、「博士」は私がそれを聞く前に亡くなってしまったし
…けれど知りたいわね。貴方が人類が全滅した理由を知っているなら
「本当に知りたいのかい?」
ええ。出来るなら

「……その前に君に聞いておきたい事がある。君はどこまで「彼」を信頼している?」
え? 孤を突くような質問に、思わず私は首を傾げた。信頼って?
「だから、君はどこまで「彼」の言うことを信じているかって事さ
 「彼」の言うとおり、人類は全滅し、1NEのようなロボットは駆逐された
  けど、君はその様子を実際に目にしたことはあるか? 人類がロボットを駆逐し、人類が忽然と消える様子を」

思わず思考が詰まる。確かに青年型が言うように、私は「博士」から聞かされただけで、実際にその現場に立ち会った事は無い
けど――それでどうしろと? 「彼」、いいえ、「博士」の言動をすべて信じた私に
「…それが全滅の理由さ。人類の」

「「彼」は全世界の――1NEの様なロボットにコンピューターウイルスを流し込んだんだ
 それは自分達が人類から必要とされなくなる、不信感を抱く様な、ね」
……それと人類の全滅と、どう関係が?
「分からないかい? ロボット達はそう思い込まされる事によって、人々に反乱を企てた
 人類はそれをどうしたか、無論自己防衛の為に戦ったさ。けど、ロボット達はもう人類の予想の範疇を遥かに超えていた」
……もういい
「人類がロボット達によって滅ぼされるのは目に見えていた。さて、人類を滅ぼしたロボットはその後どうなったか」
……やめて
「滅ぼす目標が居なくなったロボット達は、今度は誰が地球を治めるか決める事にした
 俗に言う権力闘争さ。けれど、一度箍の外れた連中は……」
もういい! やめて!
私は思わずはっとする。初めてだ。これほどまでに私は感情を露にしたのは

「…すまない。まず話を整理しよう。まず人類が全滅する要因を作ったのは、君が呼ぶ「彼」、つまり「博士」の事だ
 そして君は、「彼」に数十年前に作られた女性型のアンドロイドだ。ここまでは良いね?」
理解したわ。……待って。一つだけ疑問があるの。いいかな?
「構わないよ。なんだい?」
その人類全滅と、その要因を作った「博士」に作られ、花畑を管理するよう言われた私に何の関係が?
「それは君が知る意味は無い。そう…知る意味は」

瞬間、バチリと電工ケーブルが切れる様な太い音がして――またも私の意識は途絶えた
だが一つだけわかった事がある。このままでは――私の身が危ない


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