創作発表板 ロボット物SS総合スレ まとめ@wiki

第9話 スピリッツ 後

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sousakurobo

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――――戻って、来たのか。さっきまで見えていた白い景色が閉じていく。両手の感覚がハッキリと分かる。電流による痛みは感じない。
体……いや、正確には頭にぼんやりとした奇妙な違和感を感じる。だけど不快ではない。欠けていた物が埋まった様な、そんな充足感を感じる。
電流の痛みに耐えきれず離れていた両手を、再び球体に乗せる。すると俺の脳内に、膨大な情報が流れ込んできた。
ヴィルティックに関する操作方法、戦闘方法、武器の特性、シャッフルシステムetc……。全ての情報が、俺の中で知識として流れ込んで来る。

良く分かったよ、アルフレッド。俺に足りなかった物が。俺に足りなかったのは力じゃない。俺は理解していなかったんだ。
力の意味――――ヴィルティックで戦う意味を。闇雲に感情に任せて、ヴィルティックを振り回していた。メルフィーに頼りきりで。
だけどやっと理解出来た。アルフレッドが俺にした質問――――この力をどうしたい? という質問の意味が。気付くには遅すぎたかもしれない。だけど――――。

「メルフィーを……メルフィーを近くの病院に転送してくれ、ヴィルティック」

俺の声に返事する様に、ヴィルティックの起動音がコックピット内に響いた。ふっと笑みが浮かぶ。俺を認めてくれたのかもしれない。パイロットとして。
亀裂から見えるデストラウを見据える。あの様子だと、オルトロックは俺もメルフィーも死んだと思っているみたいだな。その傲慢さを――――突き崩させて貰う。
浮かべるイメージはただ一つ。デストラウの撃破だ。俺は目を閉じて、ゆっくりと開けながら再度デストラウを見据える。そして――――ヴィルティックに伝える。

「デストラウを撃破する。力を貸して貰うぞ。ヴィルティック」


ヴィルティックが拘束されて既に10分が経っている。電流を停止させたものの、メルフィーはともかく、隆昭からの通信は途絶えたままだ。
先程まで蒼く発光していた、ヴィルティックが起動状態である事を表す各部のラインは、少しづつ灰色に染まり、黒色に変化した。即ち……ヴィルティックは機能を停止したのだ。
オルトロックはその変化をしばらく見続けると、小さく笑いだし、やがて腹の底から高笑いし始めた。その笑い声はまさしく狂喜と言ってもいい。
しばらく数秒間笑い続けて、オルトロックは咳払いをすると再びヴィルティックに視線を向ける。やはりヴィルティックに動きは見られない。

「殺せた……ついに私は鈴木隆昭を殺せたんだ! これで……これで未来は我々、イルミナスの物となる……」

今までの人を食った様な感情の読みとれない口調から一転、オルトロックは喜びに満ちた口調でそう言いきり、再び高笑いした。
ヴィルティックを拘束していた魔方陣が、徐々に回転を止める。オルトロックは緩んでいた口元を閉じ、デストラウを前進させる。表情は笑いを堪え切れないと言った感じだが。
頭部と左腕部を失い、なおかつ機能を停止したヴィルティックに、生気を感じる事は出来ない。デストラウがヴィルティックの真正面に仁王立ちする。

「自害しなかった事が唯一の心残りだが……まぁ何にせよ結果は同じ」


そう言いながらデストラウは、グランファーを頭上高く振り上げた。もしこのまま振り下ろされれば、間違いなくヴィルティックは真っ二つだ。
当り前ではあるが、隆昭もメルフィーも助かる由は無い。オルトロックの両目が邪悪な輝きを見せる。そして――――オルトロックは口元の端々を歪ませて、言った。

「さようなら、鈴木博士、いや――――鈴木隆昭」

デストラウが一歩踏み出し、グランファーが勢い良く振り下ろされる。その動作には一切の迷いが無い。刀身が、ヴィルティックの頭部へと迫る。
ヴィルティックに未だ動きは見えない。オルトロックの両目が見開く。オルトロックの手により、ヴィルティックも、未来を奪われた……。

筈だった。次の瞬間、オルトロックは何が起こったか分からず目を丸くした。沈んだ筈のヴィルティックが、右腕を上げてグランファーの刀身を寸前で掴んだのだ。
まさかまだ生きていたのか? 鈴木隆昭はともかく、メルフィーにあれだけの電流を耐えられるとは思えない。しかしヴィルティックは残った右手でしっかりと、グランファーを掴んでいる。

「馬鹿な……!」
先程の狂喜に満ちた表情から一転、目を吊り上げた憎悪に溢れる表情で、オルトロックは操縦桿を前方へと押しこむ。だが、幾ら押してもグランファーが振り下ろせない。
何故だ? 何故振り下ろせない? ヴィルティックは通常時も、ましてやヴァースト時でさえグランファーを抑え込めるパワーは無い筈だ。こんな馬鹿な事……!
だが――――目の前でヴィルティックは確かに、振り下ろされんとするグランファーの刀身を、右腕の力だけで抑え込んでいる。その内、刀身にピシッと亀裂が入る音がした。
オルトロックは舌打ちをして、操縦桿を後部へと下ろす。デストラウが瞬時に三基の背面スラスターを動かし、ヴィルティックから後退する。

黒色と化していたヴィルティックのラインが、鮮明な蒼色へと戻っていく。
同時に、右肩が駆動音を立てながら展開していく。連動するように、腰部のスカートアーマーとテールスラスターもその姿を変える。
ヴィルティックは拘束されているにも拘らず、ヴァースト状態への変形を始めているのだ。やがて全ての変形機構が作動し、再びヴィルティックはヴァースト状態へと変化した。
しかし偽デストラウでの戦いで見せたヴァースト状態とは、決定的に違う点が二つある。それは頭部と左腕、その他各部装甲が消失している事と――――。

ラインが蒼のまま、変形した事だ。それはまるで、ヴィルティックが本来の姿へと戻っているかの様に見える。

「何だ……何が起こっている?」
目の前で起こった事に、オルトロックは動揺を隠せない。それもそうだろう。ヴァースト状態が二度始まるなど、本来はあり得ない。
しかし、そのあり得ない事が目の前で起きている。それだけは、否定しえない事実だ。

変形を終えたヴィルティックが、右肩のスラスターとテールスラスタ―から蒼く光る粒子を少しづつ噴出させ――――やがて粒子は蒼い光となった。
異変に気付いたバインドが、ヴィルティックを拘束せんと高速で回転する。だが、バインドが幾ら回転しようと光は抑えられず、やがてバインドは眩い光を放ちながら四散した。
バインドを破壊したその光は、翼の様になびいている。ヴィルティックは右の拳を握ると、デストラウに向けて構えの姿勢を取った。
各部のパーツが無いとは思えないほど、バインドを破壊し、空中を飛んでいる今のヴィルティックには、言いしれぬ威圧感を醸し出している。

「……ありえない。私が知らない機能があるなんて、そんな事……」
「どうした? 俺を殺しに来ないのか?」


途端、オルトロックの耳に死んだ筈の人間の声が聞こえた。その声は紛れも無く、電流によって死んだ筈の鈴木隆昭の声だ。
オルトロックはくっと歯ぎしりをし、隆昭に恫喝する様な低い声で問う。

「……ヴィルティックに何を隠している?」
「その声……ヴィルティックに変化に動揺しているようだな」

隆昭の声には、怒りや恐怖、ましてや悲しみといった感情的なブレは見えない。さっきまでの隆昭とは別人かと思うほど、今の隆昭の声は冷静沈着だ。

「どんな小細工を施したかは知らないが……君に勝利は無い。悪あがきは虚しいだけだよ?」
「俺はお前を倒すまで死なない。挑発なら聞き飽きた。掛かって来い、オルトロック」

すると、ヴィルティックの右腕に幾選もの蒼いラインが走りはじめる。そのラインは重なり合うと、やがて太い一本のラインとなった。
そのラインは蒼色の光を放ちながら――――ヴィルティックの腕から手の甲に掛けて、光の刃へと変化した。ヴィルティックは蒼く発光するその鋭い刃を、デストラウに向ける。

「武器の自動生成……!」
ヴィルティックが起した一連の流れに、オルトロックは驚きを隠す事が出来ない。しかしオルトロックには何もかもが想定外なのだ。
再起動はおろか、ヴァースト状態を再発動させ、挙句に見た事も無い武器の生成――――全て、あちら側の世界では全く見た事の無い機能だ。
それにパイロット――――鈴木隆昭の様子もおかしい。さっきまで死にたくないと怯え、感情のままに戦っていた、全てにおいて未熟な人間とは思えない。
ふとオルトロックは気付く。自分の手が若干離れている事に。これは……私が怯えているのか? ヴィルティックに。

「それとも、俺が怖いのか? 弱者に対しての残虐さは、弱い自分を隠す為の矮小な見栄か。救えないな、お前」

隆昭の声が聞こえ、オルトロックは我に返る。これではまるでさっきと立場が逆転しているようだ。
焦る必要は無い……。どちらにしろ戦況は此方が俄然有利だ。ヴィルティックにどれだけ武器があろうと、デストラウには性能差に根本的な開きがある。
ヴァースト状態でやっとヴィルティックはデストラウに互角の性能だ。見た事の無い機能を目の当たりにしたせいで取り乱れたが、冷静になれば状況は何も変わっていない。
恐らく鈴木隆昭が挑発しに来るのはその機体性能にかまけている為だろう。ならば――――潰してやろう。その希望をな。

「……良いだろう。その挑発を聞き入れ」

オルトロックの言葉が止まる。意識をヴィルティックに向けた瞬間、モニター前面にヴィルティックの姿が映り込んだのだ。
操縦桿を握ろうとするが、一気に距離を詰められた為と、ヴィルティックの素早さに対応できず、どうデストラウを動かすべきかの判断が下せない。
だがヴィルティックは攻撃する様子も無く、一回転するとデストラウから距離を取った。

オルトロックは首を捻りながらも、操縦桿のスイッチを切り替え、各部に損傷が無いかのチェックを行う。脚部、背部スラスター、右肩、及び腕部、左……左?
モニターには各部の状態を表示したアイコンが点滅しているが、その中で――――左腕部だけが点滅していない。つまり……。

カメラアイを上空に向けると、飛翔しながらこちらを見下ろすヴィルティックが見えた。その右手には――――デストラウの左腕部が握られている。
あの一瞬で……切断したというのか? 左腕部を……? そんな動作を行えば直ぐに気付ける筈だが、オルトロックは全く反応できなかった。
ヴィルティックは持った左腕部を投げると一閃した。切断された左腕部は、切断面から蒼い粒子を浮かばせながら、消滅していく。


「これでお互いフェアな訳だ。いや、まだ足りないか。まぁ良い。ついてこい、オルトロック。地上じゃ狭くて戦えない」

――――はっきりと理解する。今対峙しているのはヴィルティックではない。ヴィルティックを超えた何かだ。
どう覚醒したかは分からない。だが、追いつめられた事によりその本当の力を発揮したのだろう。ヴィルティックも、鈴木隆昭も。
自然にオルトロックの口元から笑いがこぼれる。殺せなかったのは至極残念だが、その分最高の殺し合いが出来そうだ。

「……その要求を飲んであげるよ。その代わりに私を、失望させるなよ」

そう言ってオルトロックはデストラウの全身のスラスターを噴出させ上昇すると、ヴィルティックへと飛翔する。
それを見、ヴィルティックは踵を返して背を向けると、天空へと各部スラスターを全開させて、高速で飛んでいく。
青き流星と黒き巨星が、高速で豪雨を抜け、灰色の雲の中へと消えていった。


「うわっ、病院に直に飛ばすとか何考えてんのよ、あの子」

モニターを眺めていた「魔女」が、小さく驚きの声を上げた。
ルヴァイアルのモニターには現在、ヴィルティックとデストラウの闘いを映しているモニターとは別に、ヴィルティックの熱源反応を表したブラウザが浮かんでいるのだが……。
背中にあった反応――――つまりメルフィーの反応が消えたのだ。一見これではメルフィーが死んだかの様に感じるが、それは違う。
ある細工により、ヴィルティック内の通信を盗み聞きしている「魔女」には、隆昭が発した言葉が全て聞こえている。

「飛ばすにしてもうちょっと頭の良いやり方があるでしょうに……。メルフィーの正体がばれたらどうすんのよ、全く馬鹿なんだから」
そう愚痴愚痴言いながらも、「魔女」の表情はどこか嬉しそうだ。口元に掌を当てて数秒考えると、魔女はピッと人差し指を立てた。

「スチュアート、私をメルフィーの転送予測地点まで転送して。ルヴァはあの二人の戦いを見守りなさい。それで少しでも戦況が悪くなったら……」
『了解だ。ヴィルティックの戦況不利と判断次第、介入行動に移る』
「魔女」の言葉に、ルヴァイアルのCAS――――スチュアートが返答する。「魔女」は大きく頷いた。

「魔女」の体を上下から複数の赤い円が囲む。その円が上昇と下降を繰り返す度に、「魔女」の体が次第に消失していく。
残すは顔だけになった時、「魔女」は視線だけを後ろに向けて、スチュアートに言った。

「頼んだわよ、スチュアート」
次の瞬間、魔女の姿が完全に消失し、囲っていた赤いリングが全て、大きく広がってぼんやりと薄くなり、やがて消えていった。
「魔女」が消えた事を確認し、ルヴァイアルは自ら頭部を大きく動かすと、遠方で戦っているヴィルティックとデストラウを認識し、飛んでいく。




豪雨により、夕日が姿を見せない薄暗い夜空で――――新たな姿となったヴィルティックと、左腕を失ったデストラウは熾烈な戦いを繰り広げている。両者とも一歩も引かぬのだ
ヴィルティックが宿した刃の威力は伊達では無く、グランファーと衝突しても弾かれる事は無い。グランファーとほぼ同等の攻撃力と耐久力と言ってもいい。
デストラウはヴィルティックの急所を突く為に正確無比な攻撃を与えるが、驚くべき事にそれらに対してヴィルティックは殆ど反応し、的確な回避か防御行動を取る。
亀裂でしか視界を得る事が出来ない筈だが、ヴィルティックは驚くべき事に頭部及び五体満足だった時以上の動きを見せている。

オルトロックは三度驚く。自分が加える攻撃攻撃、全てが回避されるか、防がれるかのどちらかである事に。
完全に姿が見えているこちらに比べ、ヴィルティックが得られる視覚は胴体を斬った時に出来た亀裂だけの筈だ。だが……。
だが、ヴィルティックはどんな方向から攻撃を仕掛けてもそれをかわし、防ぎ、受けながす。――――見違えている。数分前に戦ったヴィルティックとは何もかもが。
初めてオルトロックはヴィルティック――――否、鈴木隆昭に対して敵対心を露わにする。面白い。命を掛けて戦う価値が、今の鈴木隆昭にはある。


全ての感覚を戦闘に集中させる。俺の頭の中で、デストラウが――――オルトロックがどう動くかが手に取る様に分かる。
確かにデストラウは強い。機動性も装甲も、ヴァースト状態のヴィルティックを超えるほどに。だが――――その特性を、自らの武器で殺しているんだ。
あの大剣は威力に富んでいる。コイツの頭部と左腕を丸ごと持って行くほどに。だが、大剣はその威力ゆえにデメリットがある。

刀身の長さと、その振り幅の大きさだ。直感的にどう振ってくるかさえ分かれば、回避行動も防御行動も容易に取れる。
上から来るなら急降下しながら回転、横から来るなら後退しながら回転、下から来るなら急上昇しながら回転。俺の考え通りにヴィルティックは軽快に動いてくれる。

デストラウは強いが、ヴィルティックに絶対に勝てない面がある。それは小回りだ。設計上の違いか、デストラウはヴィルティックの様に一回転出来る程機体が軽くない。
いっそこの機動性で錯乱状態にして、隙が出来た所を叩こうと思ったがオルトロックの攻撃は非常に正確だ。一寸の隙も油断も見えない。
ギリギリまで接近出来れば攻撃の機会が出来るが、そのチャンスが伺えない上に、この刃が何時まで持つか分からない。――――そろそろ使うか。シャッフルシステムを。


「ちょこまかと……うっとうしい!」
決定打を加える事が出来ない事に苛立ちを感じ、オルトロックはデストラウの動きを一旦止めると、グランファーをヴィルティックに向けて突貫する。
だが、ヴィルティックは急上昇しながら一回転し回避すると、攻撃が空ぶった事で背を向けたデストラウに向かい、刃を斜めから振りおろしながら突っ込む。

「甘い!」
デストラウを急旋回させて、オルトロックはグランファーでヴィルティックの刃を受け止めた。対してヴィルティックは光の翼をバーストさせて、刃をぶつけ続ける。
長時間続く戦闘の中で、初めて鍔迫り合いとなる。ぶつかり合う蒼い刃とグランファーは共鳴するように激しい音を立てながら火花を散らし合う。
隆昭とオルトロックは互いの名前を叫ぶ。それはまるで――――互いを倒すべき敵として、認識しあうように。

「オルトロック・ベイスン!」
「鈴木……隆昭!」

やっとここまで持ちこむ事が出来たが……やはり背後を突ける程、オルトロックは甘くない、か。
しかしこれは好機だ。刃をグランファーにぶつける事でデストラウを引きつけたまま、俺はオルトロックに聞かねばならぬ事を問う。
俺は知らねばならない。オルトロックがこの時代に来た理由を、そして奴の背後に潜む、イルミナスと言う連中の事を。

「オルトロック! お前がこの時代に来た理由は何だ!」
「それを知ってどうするんだ? 君自身の胸に聞いてみなよ」
「ならば……質問を変える! お前の背後にいるイルミナスとは何だ! 何故この様な行為を働く!」
「明確かつシンプルな答えさ……間違った人類を導く為だよ。アストライル・ギアを使ってね」

間違った人類だと……? メルフィーの話には、イルミナスはアストライル・ギアを使って世界を戦場にするのが目的と聞いたが。
……もしや戦争でも起こして人類を間引きでもするつもりなのか? それと未来というか時間軸に干渉しようとしている事もその目的の内なのだろうか。
俺はもう一度、オルトロックに問う。

「お前達はイルミナスは、過去や未来に干渉すると聞いた! それも間違った人類を導く為のプロセスか!」
「……それもあくまで計画の内さ。人類を導く為のね。で……君はイルミナスをどうするつもりかね?」
「決まってるだろ! 未来を戦禍に変えたイルミナスを、俺は潰す。徹底的にな!」
「君には……無理だよ! 目の前の人間も救えない……君にはね!」

まずい……! 次第に刃の粒子が空中へと少しづつ浮かんできた。これは刃が削れてきたって事か。
俺は大剣の刀身をなぞる様に刃を滑らし、同時にヴィルティックを後ろへと回転させた。
そしてテールスラスターを逆向きにして、デストラウの方を向きながら距離を取る。あっちの大剣も相当消耗しているのか、刀身の至る所に傷が見える。
正面から対峙しても、デストラウに恐怖は感じない。俺もそれなりに成長したみたいだな……。何にせよ、次の一手で勝負を決めたい。


隆昭の察した通り、デストラウもここまでの戦いで機体、及びグランファーを相当消耗させている。
武器のカードはある事にはあるが、エシュトリームクラッシュを最大出力で撃った事により、デストラウのエネルギー残量は底を尽きそうなほどに枯渇している為に使えないのだ。。
それに左腕を失った事も実に痛い。左腕があれば、不意打ちで武器を召喚したりヴィルティックを掴む事が出来るが、それが出来ない今、グランファーで戦うしかない。
そのグランファーもヴィルティックに攻撃を仕掛けるうちに、次第に刀身が削れてきた。あの刃がグランファー並みに耐久性があるとは思いもしなかった。

特殊なカードも自己再生時に大体使い切った。それに温存していたカード類が、再生時の副作用として全て消滅した。
使う必要が無いと思っていたが、その考えは浅はかだった様だ。実質武器はグランファーのみ。しかしデストラウもグランファーも持久戦には持ち込めない。まさか……。
「まさかこの私が追いつめられるとはね……」

しかしこの高揚感は堪らない。今は本気で命を掛けた殺し合いをしているのだ。その感覚に、オルトロックは性的な興奮すら覚える。
それにヴィルティックの本当の性能と言うのを知る事も出来た。鈴木隆昭の事は心の底から憎んでいるが、やはりあの人は私が手本にする程の天才だった様だ。
だがこの殺し合いももうすぐケリが着く。もう一度鍔迫り合いになれば、グランファーは折れる。確実に。ならば手の内、使わせてもらう。


「惜しいなぁ……だけど悪くは無い」
そう言ってオルトロックは舌で上唇を舐めた。まだオルトロックは勝者の余裕が見て取れる。
それは今までの戦績と、経験の差によるものだ。君が強くなった事は素直に認めよう。だが――――君と私には絶対に埋められない差がある。

「先に行かせてもらうよ」
オルトロックがそう言いながら、グランファーを天へと掲げる。
ヴィルティックは各部スラスターの粒子を溜める様にその場に静止すると、一気にスラスターを吹かし、デストラウに立ち向かう。


――――目を……目を覚まして、祐二! 私が……私が貴方を……。

「泣くなよ……メルフィー……。お前は何も……悪くねぇ……よ」

――――違う! 私が……私が戦争って自覚してなかったから……。

「しょうが……ねえって……。俺達は……大人には……逆らえない……から」

――――祐二? しっかりして、祐二!

「次……は……平和な、世界で……お前……と」

――――祐二……祐二! 起きてよ……祐二! いや……いやぁぁぁぁぁぁぁ!

「祐二!」
そう叫んでメルフィーは起き上がった。ここは……何処だろう? 頭が混乱している。
気付けば自分は大きなベッドで寝かされていた様だ。胸のあたりを探ると、包帯が巻かれている。だけど――――ここは病院じゃない。
周りにはシックなインテリアや観葉植物、それに大きなTVがある。視線を横に映すとドアが閉じられたベランダが見えた。
内装からして、どこかのホテルだろうか? しかし私は何時の間に……と、誰かの気配を感じて、メルフィーはその方向に顔を向けた。

「落ちついたかしら?」

そこには、コーヒーを飲みながら壁に寄り掛かる一人の女性がいた。メルフィーはその女性の顔を見て、ポカンと口を開けて、言った。

「……どうしてマチコさんがここに?」


大剣を頭上に向けたまま、何故かデストラウは動かない。俺が飛び込んだ瞬間に叩き斬るつもりか? いや、オルトロックがそんな単純な事を考えるとは思えない。
まだ何か武器を仕込んでいるのか? だが左腕が無い上に、右手が塞がっている状態で使える武器があるとは考えにくい。其れに遠距離武器は全て避ける自信がある。
熟考したって仕方ない……。決着を付ける! 俺はシャッフルシステムを発動させ……何だと?
大剣の刀身が次々と分離していく……! 分離した刃を繋ぐ様に、大剣の柄には異常に太いロープみたいなのが見える。

「避けられるかなぁ!」
オルトロックの叫び声が聞こえた瞬間――――分離した大剣が、蛇の様に俺の方へとS字に斬りかかって来た。
つっ! ヴィルティックを横回転させながら回避するが――――刃先が俺を追いつめようと迫ってくる。あの大剣……鞭にもなるのか!


隆昭の言う通り、グランファーの特性はバスターソードだけではない。その刀身を分離させる事により、攻撃範囲を格段に広くした鞭へと変化するのだ。
その攻撃は非常に不規則であり、一手一手が予想できない。ヴィルティックは迫りくるグランファーの猛攻に、ただ避ける事しか出来ない。
ヴィルティックは刀身を繋いでいるロープー―――グランドワイアットを斬ろうとするが、縦横無尽に動き回るグランファーは、その隙も油断も与えない。


何て攻撃だ……! 振り幅と刀身の長ささえ分かれば対処できた大剣の時とは違い、この鞭は何処から攻撃が来るか分からない。
右を避けければ左に巻かれた刃が迫ってくる。剣先を避ければ、その剣先は方向転換して追ってくる。まるで生物を相手にしてるみたいだ……!
このまま避けているだけじゃ、全く埒が明かない。どうにか鞭を断ち切る方法は……いや、デストラウの懐に入る方法は無いのか!
その時――――ヴィルティックの動きが、止まった。しまった! 右足を……。


「捕……まえた!」
オルトロックがそう言って口元を歪ませる。グランファーはヴィルティックの右足に巻き付いた。複数の刀身が右足に食い込み、離れない。
続いてグランファーを大剣に戻す為に一気にヴィルティックを引きずり込む。抵抗する間もなく、ヴィルティックは引きずり込まれた。
右足に絡み着いた刀身が離れた瞬間、ヴィルティックの右足がショートを起こしながら爆発する。

グランファーを大剣に戻し、デストラウは急上昇して、ヴィルティックの姿を捉える。右足が破壊されたヴィルティックは、ショックのせいか動きが止まっている。
そしてグランファーを逆手持ちにすると、ヴィルティックに向かって高速で急降下する。
「やっぱり君は甘い! 後悔する暇も無く死になよ!」

オルトロックが狂喜を全開にしてそう叫びながら、ヴィルティックへと急降下してくる。
――――だが、肩部スラスターも、テールスラスタ―も死んではいない。何より、隆昭の目には確かな闘志が燃えあがっている。
じっと片目だけを上げて、そのタイミングを見計らう。……見えた!

「シャッフル! プレイスフィールド! そして――――」
瞬間、右腕の刃が蒼い粒子となって消えさり、代わりに腕を覆う程のシールドがヴィルティックの腕に召喚された。
急降下してくるデストラウに対し、ヴィルティックは急上昇を行う。デストラウとヴィルティックの距離が目と鼻の先まで迫り――――鈍い衝撃音が二つ、夜空に響いた。

グランファーが頭部からヴィルティックを突き刺した。完全に頭部から下半身に掛けて、グランファーが突き刺さっており、正に串刺しの状態だ。
だが、オルトロックの表情に喜びは無い。むしろ――――その表情には、はっきりとした悔しさが浮かんでいる。
感覚が、無い。モニター上のロックオンサイトは確かにヴィルティックを捉えているが、それはあくまでモニター上での結果だ。
精神的に問題があるものの、オルトロックは百戦錬磨のベテランだ。実際に獲物を捉えた時の独特の感覚を知っている。だが――――今はまるで感じない。

モニターを見つめると、串刺しにした筈のヴィルティックの姿が、次第に半透明な緑色の物体へと変化した。
そうか! 目標は外れてはいなかった。完全にあの時、グランファーはヴィルティックを刺していたのだ。
だが――――気付かぬ内に、ロックオンサイトを緑色の物体に変えられていた。本物は――――。

デストラウを振り向かせた瞬間、全てのモニターが停止して、コックピットが暗闇に包まれた。
「く……くそがぁぁぁぁぁぁ!」
オルトロックは叫びながら、モニターを殴打した。殴打音が、空しく木霊する。


ヴィルティックを回転させて、デストラウから距離を取る。どうにか成功したな。
いつ接近戦まで持ちこめるか迷っていたが、まさかオルトロックの方から来てくれるとは。お陰でデコイを使って錯乱出来た上、奴のモニターを潰す事が出来た。
デストラウの頭部には、俺が思いっきり突っ込んだ盾がぶっ刺さっている。全身が強固なデストラウでも、絶対に防げない場所がある。
該当する所はいくつもあるが、その中でも一番デカイのはそう、カメラアイだ。さっきから俺はこの部分を潰したくて堪らなかった。

人間で言えば眼球。ここを潰されれば、どんなに屈強な人間でさえ普通に動く事が出来なくなる。鍛えようが無いしな。
何にせよヴィルティックで奴に取られた左腕と頭部の分の借りは返してやった。言っちゃなんだが、凄くすっきりした。

相当悔しかったのか、デストラウは頭部に刺さったプレイスフィールドを大剣で突き刺し、そのまま叩きつけるようにプレイスフィールドを投げ捨てた。
大した威力だな……。さっきまで紅く光っていたデストラウの目は、今や完全に破壊されていて原形を成しちゃいない。
多分頭部以外にもカメラはあるだろうが、さっきの様な戦い方はもう出来ないだろうな。デストラウも、オルトロックも。

有難う、アルフレッド。貴方のお陰で戦う事に対して迷いも、余計な雑念も消えた。見ていてくれ。この戦いの雌雄を。
「シャッフル。グレイブナックル」

俺は残された1枚のカードを使う。ヴィルティックの右手に、メリケン……というか、薄いボクシンググローブみたいな武器が覆う。
親父、お袋、姉貴、会長、草川、木原さん、それにメルフィー。目を閉じると、守るべき大切な人達の顔が浮かぶ。

――――これで、全て終わらせる。覚悟を決めろ、オルトロック。


「ここまでやられるなんてね……」
そう言うオルトロックの顔には、数時間前に見せていた勝者の余裕も、殺し合いを楽しむ狡猾な笑みも既に無い。
今まで自分がやってきた事を、全て返されたのだ。幻術で惑わす事はおろか、各部を次々と破壊された。一種の屈辱さえ覚える。
メインカメラが潰されたが、胸部に備われたサブカメラはまだ動く。しかしサブカメラが写すのは、あくまで正面のみだ。

「こう言うのは全く性に合わないが……四の五の言ってられないか」
目前のヴィルティックを睨みながら、グランファーを持ち構え、突きの構えを取る。
そしてヴィルティックも、こちらに向かって右腕を構える。どうやら同じ事を考えていたようだ。

時間が止まりそうなほどの静寂の中で――――ほぼ同時に、ヴィルティックとデストラウはスラスターを吹かして、特攻する。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

瞬間、衝突しあったグレイブナックルとグランファーが閃光を放った。空中で輝くそれは、星空も見えない夜空の中を激しく照らす。
隆昭もオルトロックも互いに凄ましい形相を浮かべて死力を尽くし合う。共振するかの如く、ぶつかり合う刃と拳は白と黒の閃光を放ち続ける。
だが、その二人の意思とは関係無しに、グレイブナックルもグランファーの剣先も次第に亀裂が入りはじめている。
しかし隆昭もオルトロックも気づかない。互いのプライドと意地、そして力を掛けてぶつかり合う。この男に勝ちたい――――例え、自らが滅びようと。

「まだだ……まだ持ってくれ、グレイブナックル!」
「この……程度か! グランファー!」

その途端――――事態は意外な方向へと転がった。ほぼ同時に――――グランファーの刃先と、グレイブナックル全体に亀裂が走り、やがて爆発した。

「何!?」
「ちっ! だが……!」

オルトロックはほくそ笑む。完全に潰えたグレイブナックルに対し、こちらはまだ刃先が死んだだけ。刀身は――――生きている!
デストラウを急速にヴィルティックから後退させ、オルトロックはグランファーを再び鞭状態にした。
狙うはもちろん、全ての武器を無くしたヴィルティックだ。分離したグランファーの刃が、今まさにヴィルティックへと振り下ろされる。
オルトロックが高笑いする。勝利を確信した―――――そんな、笑い声だった。

「今度こそさようならだ! 鈴木隆昭!」 


――――最後の最後まで、強い男だった。惜しむらくは――――その、どうしようもなく救い難い性根。もしも道を間違える事が無ければ、俺は恐らく憧れただろう。
グレイブナックル……無理をさせてすまなかった。グランファー、お前も持ち主が違うなら、もっと良い戦いを出来ただろうに。
俺は静かに目を閉じ、全ての意識をヴィルティックへと同化させる。俺は断罪する。この――――悪意と暴力でしか己を保てない、愚かな男を。

『君に全ての力を授ける。守ってくれ、未来を。そして――――メルフィーを頼んだぞ。

 過去の――――私よ」

―――――目を開く。俺はヴィルティックに向かって、世界を変えうる、その力の名を叫んだ。

「ヴィルティック! エクステッド・ヴァースト!」

次の瞬間、ヴィルティックの右腕のラインが再び宿り、刃を成型する。だが、その刃はさっきまでの刃とは比べ物にならない程、蒼き輝きに包まれている。
違うのは輝きだけではない。刃はヴィルティックの腕を遥かに超えるほどに長くなり、なおかつ太くなった。

「な、何だアレは!?」
その姿にオルトロックは驚嘆の声を上げた。ヴィルティックの右腕から、巨大でかつ、異常な長さの――――青い刃が、発現したのだ。
同時にヴィルティックの各部スラスターの光が、ヴィルティックより巨大な翼へと変化する。隆昭はその右腕をデストラウに向けて斬り込む。

「斬り……裂けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
隆昭の叫びに呼応するように、刃が激しく光り輝き――――グランファーはおろか、頭部と右肩ごと斬り裂いた。
デストラウの動きが完全に止まる。オルトロックは驚きのあまり呆然とし、操縦桿を動かす事を忘れている、が、直ぐに我に返り回避行動を取ろうとした途端――――。
ヴィルティックの姿が、ほぼ目前に迫っていた。声さえ出ない。ただただその目は、ヴィルティックを映しているだけだ。

「これで……決める!」
次の瞬間、刃が蒼き粒子となって分解すると、ヴィルティックの拳へと集まる。蒼き光を放ちながら、ヴィルティックの拳がデストラウの腹部へと殴り込まれた。
その拳はデストラウの装甲を物ともせず、中心部まで突き抜ける。デストラウの各部が激しく爆発音を上げながら崩落していく。

「うおおおおおお!?」
モニターが完全に機能を停止して真っ暗になり、凄ましい衝撃がオルトロックを襲う。コックピットから投げだされそうな程の。
デストラウは機能を停止した。背面のスラスターから噴出していた粒子が少しづつ消失し始め、やがて途絶える。
対してヴィルティックのスラスターは先程より勢いを増しており、光の翼を輝かせながら上昇する。


これで終わり……じゃない。この男は生かしておいてはいけない。もし生き残させれば、また弱者がこの男の遊びで殺される事になる。
俺はデストラウの腹部を突き抜けたまま、ヴィルティックを――――大気圏外に向けて急上昇させる。ヴァースト状態ももう長く持たない。
この男の存在自体を消滅させる。ヴィルティックも無事で済まないだろうが――――この男を倒せるなら、それも構わない。

「何をする気だ? まさかこのまま……」
「なぜ焦る? 死は怖くないんだろ?」

あの異常性も残酷性も、全て弱い自分を隠す為の鎧か。底が知れたな。オルトロック。
……いや、違う。笑っている? 自分がこのまま死ぬと言うのにか。訂正する。この男には底なんて無い。どこまでも――――救い難い、暗闇だ。

「大気圏の熱で私を燃やしつくすか。常人の思考じゃないな。確信したよ、やはり君は死神だ。その残虐性で君は必ず人類を滅ぼす」
「……確かに俺は死神かもな。関係の無い人を散々巻き込んで。その咎は甘んじて受ける。生きていく上で」

「だが――――俺は立ち止まらない。未来を救う為なら、死神にでも悪魔にでも――――修羅にでもなってやる」

「自ら人類の天敵になる事を選択するのか? 君の後には屍しか残らない……。所詮君が戦う理由は憎しみと怒りだけだ」
「いや、俺が憎み、怒りで倒すのは、お前で最後だ。オルトロック」

「……本気か? ……貴様は、全ての人類から憎悪される事になるんだぞ。それでも……」
「幾らでも恨まれてやる。世界を――――未来を、変える為ならな」

気付くと俺の前にあった亀裂が少しづつ塞がっていくのが見える。――――自己再生? 口元から変な笑いが出る。
本当の力を発揮したヴィルティックってのはここまで無茶苦茶なんだな。これで五体満足な状態だったらどれだけ強いんだか。
だが――――それでも無いと未来の世界では通用しないんだろう。そうだろ、アルフレッド。いや――――未来の、俺。

モニターは見えないが、状況は大体分かる。コックピットに異常な熱気が立ちこめてくる。
暑さで全身に汗が滲む。だが俺は目を閉じない。最後までこの男の死を見届ける。それが俺の――――この男に対する敬意だ。

「……貴様は……必ず……」
熱で機体が溶け出しているのか、オルトロックの声が途切れ途切れ聞こえてくる。俺は黙ってそれを聞く。

「貴様は必ず……後悔する……未来は……変えられん……絶対にな」
「変えてみせる。悲しみに満ちた未来は、俺の手で断ち斬る」

――――さらばだ、オルトロック。あの世で永遠に懺悔し続けろ。お前が殺めた死者にな。

瞬間、獣の咆哮にもけたたましい機械音にも聞こえる悲鳴が聞こえ、コックピットが激しく揺れた。その揺れの強さに対応できず俺はシートに押し付けられる。
途端視界がグルグルと回りだした。デストラウの爆発に巻き込まれて投げ出されたのか……。

何だかすげー眠い……。緊張状態から解かれたせいか、視界が偉く滲んでいる。
肩にどっと疲れが押しかかってきた。気付けば俺の目は自然に閉じていた。もう体が休めって言ってるのかな。
俺はそれに逆らわず、シートに体を預ける。このまま死んでも、悔いは無いな。……いや、一つだけ、あった。


――――最後に、君ともう一度話したかったな。メルフィー。


「私よ。どうなった? そう……勝ったのね。えぇ、ヴィルティックは後で回収するから良いわ。それより彼は無事?」

「なら、今すぐ彼を乗せて戻ってきなさい」


「メルフィーが、待ってるから」


『ヴィルティック・シャッフル』

第9話 後
スピリッツ


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