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英雄騎兵ミッドナイト プロローグ

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sousakurobo

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 通学中に自転車で勢いよく角を曲がったら何故か空を飛んでいた。
 現役高校生影宮健二が今現在置かれている状況を一言で現すとこんな感じである。

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁっ!?」

 風圧で顔を歪めながら、とっても大きな声で叫ぶ健二少年。ちなみに、飛んでいるとはいっても「横に」ではなく「下に」である。要するに彼は今絶賛落下中なのだ。

(何だ、何がいけなかったんだ……今朝はしっかり早起きして洗濯物も干したし、家族の分の朝ご飯もちゃんと作った。妹が学校で集めると言っていた雑巾も夜なべしてチクチクしたし、犬のポチへの餌も忘れなかった。……完璧だ、何の不備もない)

 己の所行を振り返る健二。当然、何一つこんな状況へ陥った理由を見いだすことは出来なかった。

「……短い人生だった」

 そして健二は考えるのを止めた。ついでに生きる望みも捨てた。

(あばよ、みんな。父よ、母よ……俺が居なくてもちゃんとご飯は作れよ。コンビニ弁当で済ませちゃ駄目だからな。そして月子……お兄ちゃんの手製の雑巾、『縫い目が細かくて綺麗だよ』ってちゃんと学校で自慢するんだぞ……)

 家族への最期の言葉も済ませ、さて辞世の句でも考えようと健二は頭を捻り始める。大丈夫、地面に激突するまで後20秒くらいはあるはずだ。一句くらいは詠めるだろう。
 ……などと考えていたら、突然健二はブレザーの襟首を何者かにふん掴まれた。

「ぐぇ」

 蛙が潰れたようなうめき声を上げる健二。とりあえず何事かと視線を上へ向けてみる。

「……」

 そこにはやけにメカニカルな杖に乗った魔法少女がいた。
 年は十代後半であろうか? 真っ黒い三角帽子に真っ黒いローブ、真っ黒いミニスカのまっ黒くろ助な服装。水色の長い髪の毛を後ろで纏め、瞳の色も髪の毛と同じ水色。更にあるのかないのか分からない貧相なバストなど、まごう事なき魔法少女がそこにいた。
大事な事なので二回言いました。
 魔法少女は健二が自分を見つめている事に気付くと、健二を掴んでいない方の手をヒラヒラさせながら笑顔で口を開いた。

「どもー。ゴメンね、いきなりこんな超体験をさせちゃって」
「……はぁ」

 とりあえず生返事。

「私はアリス。アリス・ブランシュネージュ。君は?」
「……影宮健二」

 今現在このアリスと名乗った少女に文字通り命を握られている以上、下手に逆らえば命はないと判断した健二は素直に自己紹介をした。

「ケンジ、ね。よろしく」

 朗らかに挨拶をしてくるアリスを見て、健二は今の自分の状況について何か知っているであろうこの少女に直球で質問をする事にした。

「や、挨拶は良いけどさ……俺は何だってスカイダイビングをさせられたんだ? あんた理由知ってるだろ」

 その言葉に、アリスはコクコクと頷く。

「うん。私が君を召還したんだよ。この世界を君に守ってもらうためにね」

 えへんとない胸を張るアリスの姿に、健二は自分が何やら笑えない事態に巻き込まれたのを確信するのだった。



英雄騎兵ミッドナイト、そのうち本編へ続く……ように頑張ります

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