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Happy birthday 遡羅様

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kisaku

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【Happy birthday 遡羅様】

今日から6月!…といっても何ら変わりない仕事の内容に肩を落とす牙裂紅。解りやすいにもほどがある。桐ヶ谷桜花は変わるわけ無いだろうと言ってから独り言のように呟いた。
「今日は望月さんの誕生日だっけな」
「えぇ!?『あの』望月さんのお誕生日なんですか!?」
「あのって言うのは失礼だぞ。」
「すみません…。師匠は物知りですよね」
「僕は何でも知ってるよ」
「そうなんですか!?」
『あの』とつけるくらいだ、そうとう気になっていたのだろう。桐ヶ谷は驚いている牙裂紅に答えず届け物を見遣る。
「そこの終わった奴、ちょうど届け先が西区だから。」
そこまで言うと桐ヶ谷の思ったとおりに牙裂紅が手を上げた
「師匠、私行ってきます!」
「当たり前だろう。早く帰ってくるように」
「う……頑張ります」
届け物を片手に元気に出て行ったかと思うと、またすぐに戻ってきて地図を持っていった。
また迷子にでもなるんじゃなかろうか…。

「迷子かもしれない…」
早速迷ったかも知れない自分に嫌気が差す。
左手に持った地図も、これでは役に立たないではないか。
「とりあえず、お届け物は無事済んだんだし、もと来た道戻れば誰かにあえるかな…?」
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戻ってみるとそれほど迷子になっていなかったと気付き、一安心したが、
肝心の本当の用事(本当の用事はお届け物です。)の序列31位【ファンタズマゴリアバディ(幻想具現化)】望月遡羅をお祝いするということがまだだったと思い出し、あわてて探し始める牙裂紅。
「も、望月さーん!」
「はい?」
名前を呼んで現れるなんてことがないだろうと思って声を上げたのだが、真後ろから返事が返ってきた。
「望月さん!? こんにちは。」
「こんにちは」
 やっぱり噂通りのきれいな人なんだなぁ…
「…私の顔に何か付いていますか?」
相手の顔をまじまじと見つめてしまっていたらしく遡羅が怪訝そうな顔をする。
牙裂紅は反射的に謝ってから、本題を切り出した。
「すみません、私巫牙裂紅って言います。はじめまして。
うわぁ、尊敬してる望月さんを生で見ることが出来るなんて、私幸せ者です!」 
「はぁ、ありがとうございます。」
「今日が望月さんのお誕生日だとし…ある方から聞いたので、それで、お祝いに来ました。
 おめでとうございます!」
「それは、ありがとうございます」 
見ず知らずのローランカーに行き成り自分の誕生日を祝われれば、誰だって不審に思うだろう。
ある方が誰かもわからないままでも、遡羅は感謝の言葉を返した。
牙裂紅はそれを聞くと少しだけ困ったような申し訳ないような、そんな笑顔を浮かべて、ごそごそと何やら帯らへんを探り、
「それから、プレゼントなんですが…」
と言って、遠慮がちに木の箱を取り出して遡羅に渡す。少し吃驚したような表情になった遡羅だったが、
“せっかく祝ってもらっているんですし”と手に取った。
「色々悩んだ末、その…鎌になってしまったのですが…。要らないようなら私が処理するのでッ、返してくださいね…?」
木の箱を開けると、手軽にもてるような小さめの鎌が入っていた。しばらく開けたまま固まっていた
遡羅は、牙裂紅の返してくれても構わないという発言で、やっと我に返り箱の蓋を閉めた。
「そんなことありませんよ。私、鎌って好きなんです。尊敬しているといってくれている方から鎌を貰うなんて幸せ物ですよ私は。」
そういって微笑みを向けた遡羅の表情を確認して、牙裂紅はようやく安心したように少しぎこちないが普通に笑った。頬に赤みがさしていたのは気のせいだろう。
「そう仰って頂けると嬉しいです。 
あ、それと、もう一つ仕掛けがあるので…室内で、探してみてくださいね」
「あ、はい。解りました。」
「それでは、良い一日を過ごせることをお祈りしております。」
最後にそれだけ言い残して、一例をしてから彼女はもと来た道を走っていった。


 「仕掛けってなんだろう。」
 後に遡羅は木箱の下の厚みに気付き、さらにその下にピンク色の薔薇を模したお菓子が入っているのにも気付き、あぁなるほどこれが仕掛けか.と納得したらしい…










◆◇◆◇◆
毎度素敵な絵を描いてくださる遡羅さんにお誕生日のお祝いです。
(あ、ピンクの薔薇の花言葉は『温かい心』だそうです。)
遡羅さんのキャラクターが良くわかっていなくて、口調が大変なことになってしまいましたごめんなさい。(そして、お誕生日に刃物なんて物騒ですよね…)
 最近なにかとお忙しいようで、病気や怪我をしないか・無理をして倒れてしまわないかがとても心配です…。本当に無理なさらないでくださいね。

※目を使ったあとは、目を休めるか、目薬を差すかしてくださいね
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