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-ダイナソアオーガン会長室

静かにファンの音が唸り、宿彌の持つ小型ノートPCのウィンドウは淡い光を放っている。

その画面をのぞき込むのは二人。

いつものように椅子に座る宿彌と。

いつものように机に座る篭森。

「てぃらの」
「…てぃらのってさ、宿彌。 あまりにもまんまだと思うの、私。 ほら、みんなにバレてるじゃない」
「バレたら不味いものなのかい?」
「不味いものではないけど…バレても良いなら本名でいいじゃん」
「んー、でも、こういうものらしいよ。 バレても、いやいやまさかって対応をとるものらしいんだ」
「誰から聞いたの?」
「夜」
「だと思った。 だめだよ、素直過ぎるってのも。 宿彌は絡め手じゃ夜厳にはかなわないんだから、いつか騙されるよ」
「別に構わないよ、騙されることで何か損をしたとしても、僕の仲間を傷つけないなら」

 篭森の目が宿彌の目をまっすぐに見据える。

「仲間…ね」
「仲間は大切にしなくちゃ、逆がそう言ってた。 仲間を大切にしてたら僕は人間になれるんだよ。 歪な化け物から、人間に」
「化け物でも良いじゃない」
「化け物はダメだよ」
「良いんだよ、宿彌はそこの所分かってない。 人でも化け物でも、宿彌でしょ。 この時代、この学園においては化け物のほうが多いじゃない、別にあなたが特別じゃないわ。 むしろ化け物になりたい人間だっているの」
「心を殺して、力を手に入れて、そこにあるのは虚しさだけだよ」

 宿彌は目を自らの槍に向ける。 心を喰らう神槍ブリューナクに。

「それでも、力を求めるんだよ。 そうならなければいけないから。 手にはいるなら、私は喜んで化け物になるわ、そうしたら宿彌は私を嫌いになる? 化け物だから。 人じゃないから」
「嫌いにならないよ」
「そうでしょ、皆そうなの、その人が人か化け物かなんて、ラベルでしかないの。 気にするだけ損よ」
「そうかな」
「そうだよ」
「僕は化け物で良いんだね」

 篭森は宿彌の手をそっと握る。

「一人で化け物でいるのが寂しいなら、まってて? いつか私も化け物になってあげるから」
「ありがとう」
「うん」
「ふ、何でこんな話題になったんだっけ」
「宿彌のHNがてぃらのだからよ」
「変えた方がいいかな」
「良いんじゃないかな、よく見ると可愛いよ」
「そっか」
「そうだよ」

 僅かに宿彌の心に熱がはいる。

 その時の笑顔は作りものなんかじゃあなくて、確かに、心ある笑顔。

 おしまい