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早良のわくわく潜入日記~篭森珠月のお茶会編~」(2009/05/11 (月) 03:06:10) の最新版変更点

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 赤レンガの洋館。屋根には風見鶏が踊り、塀には蔦が奔る。不気味で怪しげな建物であることは否定の仕様がない。旧世紀の推理モノの小説や漫画の類であれば殺人事件の一つや二つ、平気で起こるに違いない。  しかし、ここで起きるのはお茶会なのである。いつもとはいささか変わっているかもしれないが……  イーストヤード、虞骸館。  【イノセントカルバニア(純白髑髏)】篭森珠月の住まい。  今、この建物では大仰に言えば人死にが出かねないピリピリとした空気が漂っていた。  「“か”、かぁ。『かばね(屍)』」  「珠月のおねえちゃん、怖いですねぇ。『ねずみ』」「どっかの上司だね」「あぁぁぁぁクソネズミを思い出してしまったのです、不覚」  「“み”は難しいよ。蜜柑もみりんもミシンも駄目、どうしよう……『みみず』」「ねぇ濁点とっていい?」「ダメ」「くっ……」「冷泉先輩頑張ってください」  「ゆきちゃんに応援されたら頑張んなきゃ。『ずけい(図形)』」  「い、い、い~『いくら』。“ら”ですよ、篭森先輩」  おわかりだろうか。今ここでは珠月を含めて、【ラヴレス(愛を注ぐ者)】空多川契、【スコーレ(暇人の学問)】矯邑繍、【アルヴィース(賢きもの)】冷泉神無、【ドクターグルメ(美食治療)】村崎ゆき子というトップランカー五人による「三文字しりとり」という名の死闘が行われているのだ。まぁいつもの面子ではあるが。  一体いつからどんな流れで始めたかもわからないが敗者が出た時点で罰ゲームを決めることになってしまったため、もう誰もが引けなくなってしまっていた。  しかしこの後で異変が起きる。  「あ、これはいいパスだね。『ランプ』」  「ぷ!? ぷ、ぷ、ぷ、ぷなのです?。プリンはダメですし、うーうー……『プラン』!!」「「「「あ……」」」」「うあー待って、待って欲しいのです。おねえちゃんにチャンスをください」  「仕方ないなぁ、今回だけだよ? “ぷ”から始めるよ、『プール』」  「繍ちゃん甘いなぁ、『ルンバ』」  「人に優しくすると気持ちがいいですもんね、『バッジ』」「『ジルバ』」  「そうだよ、優しくするのは自分のためになるね。また“ば”か。『バトル』」  「でもおねえちゃんは厳しくしてもらったりもしたいのです、『ルンバ』」「「「「「え? えー!?」」」」」「何なのです?」「いや、契ちゃん。ルンバはもう言ったよ?」「え、え、陰謀なのです? まさかの苦手分野なのです? ハメられたー」「誰もハメてないから」「もう一度、もう一度チャンス欲しいのです」  「これで最後だからね? “ば”から、ね……『バンド』」「『どぐう(土偶)』」  「ほんと甘いなぁ……『うるし(漆)』。それにしても土偶って私向きだね」「『しろう(屍蝋)』」  「篭森先輩、また怖い単語言ってますね? 『うがい』」「『いかだ』」「ん?」「あれ?」  「『誰だ』!!! 何者だ」  異変。それは空多川契の意外な苦手分野が露見した話ではない。旧知の仲である五人の輪の中に誰か一人多く紛れ込んでいることであった。  その招いてもいない来訪者は実ににこやかに現れた。いや既にいたのだけれど。  「いやいやいやぁ、面白そうだったんでねぃ。ついつい」  「んー、野郎のくせして紛れ込むかのようにおねえちゃんのおねえちゃんたちに近づくなんて……DEAD OR DEIなのです?」  「契ちゃん、待って。この人、うちのお客さんだから。ね? 早良さん」  「冷さん、かたじけない。単純にしりとりしたくってねぃ。まぁ冗句だけども」  「それで? 何の用かな? 危害を加えに、ってわけじゃなさそうだけど」  「ぼかぁ面白いことが好きなんでさ。知り合っとけば色々と面白そうな篭さん達に顔売りに来たっちゅうわけですな。ま、しりとりも楽しそうだったし」  「んー、あ。思い出した。もしかしてアルシアの友達の【ジャック・ザ・リバー(闊歩する自由)】、」「崇道院早良、っちゅうもんです。変わり者だから記憶に残ってましたかい?」「あぁ、うん。面白そうだったから。お茶飲んでく?」  「光栄ですねぃ、是非是非お邪魔いたしましょう」「篭森のおねえちゃんと冷泉のおねえちゃんに免じて許すのですよ」  「さぁどうぞこちらへお掛けください」「まさか早良さんここに来るとはなぁ」「冷ちゃん、いつ知り合ったの?」  早良は大きな賭けに成功した。すなわち友達同士の水入らずに割って入って、珠月に顔を売り、面白いことを求めるという賭けだ。  下手をしなくても命の危機はあった。しかしながら、それは問題ではない。彼が見据えていたのはより面白いこと、より自分の自由に近づくことだから。  崇道院早良は今日も行く。わくわくわくわくしながら潜入を続けていくのだった。  おや?しりとり再開の気配が。  「『誰だ』で終わったから“だ”だね。止めた私から再開しよう、『だいく(大工)』!!!」  「呼びましたか? でも大工じゃないですよ、似て非なるものです。多分」  「あぁミヒャエル、新しい客人にお茶会の支度を」  「それと『くさり(鎖)』も欲しいのですよー」  「な、何する気ですかい!?」  ‐『了』‐
 赤レンガの洋館。屋根には風見鶏が踊り、塀には蔦が奔る。不気味で怪しげな建物であることは否定の仕様がない。旧世紀の推理モノの小説や漫画の類であれば殺人事件の一つや二つ、平気で起こるに違いない。  しかし、ここで起きるのはお茶会なのである。いつもとはいささか変わっているかもしれないが……  イーストヤード、虞骸館。  【イノセントカルバニア(純白髑髏)】篭森珠月の住まい。  今、この建物では大仰に言えば人死にが出かねないピリピリとした空気が漂っていた。  「“か”、かぁ。『かばね(屍)』」  「珠月のおねえちゃん、怖いですねぇ。『ねずみ』」「どっかの上司だね」「あぁぁぁぁクソネズミを思い出してしまったのです、不覚」  「“み”は難しいよ。蜜柑もみりんもミシンも駄目、どうしよう……『みみず』」「ねぇ濁点とっていい?」「ダメ」「くっ……」「冷泉先輩頑張ってください」  「ゆきちゃんに応援されたら頑張んなきゃ。『ずけい(図形)』」  「い、い、い~『いくら』。“ら”ですよ、篭森先輩」  おわかりだろうか。今ここでは珠月を含めて、【ラヴレス(愛を注ぐ者)】空多川契、【スコーレ(暇人の学問)】矯邑繍、【アルヴィース(賢きもの)】冷泉神無、【ドクターグルメ(美食治療)】村崎ゆき子というトップランカー五人による「三文字しりとり」という名の死闘が行われているのだ。まぁいつもの面子ではあるが。  一体いつからどんな流れで始めたかもわからないが敗者が出た時点で罰ゲームを決めることになってしまったため、もう誰もが引けなくなってしまっていた。  しかしこの後で異変が起きる。  「あ、これはいいパスだね。『ランプ』」  「ぷ!? ぷ、ぷ、ぷ、ぷなのです?。プリンはダメですし、うーうー……『プラン』!!」「「「「あ……」」」」「うあー待って、待って欲しいのです。おねえちゃんにチャンスをください」  「仕方ないなぁ、今回だけだよ? “ぷ”から始めるよ、『プール』」  「繍ちゃん甘いなぁ、『ルンバ』」  「人に優しくすると気持ちがいいですもんね、『バッジ』」「『ジルバ』」  「そうだよ、優しくするのは自分のためになるね。また“ば”か。『バトル』」  「でもおねえちゃんは厳しくしてもらったりもしたいのです、『ルンバ』」「「「「「え? えー!?」」」」」「何なのです?」「いや、契ちゃん。ルンバはもう言ったよ?」「え、え、陰謀なのです? まさかの苦手分野なのです? ハメられたー」「誰もハメてないから」「もう一度、もう一度チャンス欲しいのです」  「これで最後だからね? “ば”から、ね……『バンド』」「『どぐう(土偶)』」  「ほんと甘いなぁ……『うるし(漆)』。それにしても土偶って私向きだね」「『しろう(屍蝋)』」  「篭森先輩、また怖い単語言ってますね? 『うがい』」「『いかだ』」「ん?」「あれ?」  「『誰だ』!!! 何者だ」  異変。それは空多川契の意外な苦手分野が露見した話ではない。旧知の仲である五人の輪の中に誰か一人多く紛れ込んでいることであった。  その招いてもいない来訪者は実ににこやかに現れた。いや既にいたのだけれど。  「いやいやいやぁ、面白そうだったんでねぃ。ついつい」  「んー、野郎のくせして紛れ込むかのようにおねえちゃんのおねえちゃんたちに近づくなんて……DEAD OR DEIなのです?」  「契ちゃん、待って。この人、うちのお客さんだから。ね? 早良さん」  「冷さん、かたじけない。単純にしりとりしたくってねぃ。まぁ冗句だけども」  「それで? 何の用かな? 危害を加えに、ってわけじゃなさそうだけど」  「ぼかぁ面白いことが好きなんでさ。知り合っとけば色々と面白そうな篭さん達に顔売りに来たっちゅうわけですな。ま、しりとりも楽しそうだったし」  「んー、あ。思い出した。もしかしてアルシアの友達の【ジャック・ザ・リバー(闊歩する自由)】、」「崇道院早良、っちゅうもんです。変わり者だから記憶に残ってましたかい?」「あぁ、うん。面白そうだったから。お茶飲んでく?」  「光栄ですねぃ、是非是非お邪魔いたしましょう」「篭森のおねえちゃんと冷泉のおねえちゃんに免じて許すのですよ」  「さぁどうぞこちらへお掛けください」「まさか早良さんここに来るとはなぁ」「冷ちゃん、いつ知り合ったの?」  早良は大きな賭けに成功した。すなわち友達同士の水入らずに割って入って、珠月たちに顔を売り、面白いことを求めるという賭けだ。  下手をしなくても命の危機はあった。しかしながら、それは問題ではない。彼が見据えていたのはより面白いこと、より自分の自由に近づくことだから。  崇道院早良は今日も行く。わくわくわくわくしながら潜入を続けていくのだった。  おや?しりとり再開の気配が。  「『誰だ』で終わったから“だ”だね。止めた私から再開しよう、『だいく(大工)』!!!」  「呼びましたか? でも大工じゃないですよ、似て非なるものです。多分」  「あぁミヒャエル、新しい客人にお茶会の支度を」  「それと『くさり(鎖)』も欲しいのですよー」  「な、何する気ですかい!?」  ‐『了』‐

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