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【Mitragliare(質問ラッシュ)】  万具堂の書斎にはレトロな黒板がある。  藤司朗は時々、そこでレイヴンズの子供たち向けにお勉強会を開いていた。 「……という訳で、ここまでで何か分からない所とかあった?」  真っ先に上がる手。  藤司朗があえて視界に入れないようにしていたソレへと子供たちの視線が向かう。  藤司朗は額を押さえつつ、渋々ソレを指す。 「……はい、丈」  何故か子供たちに混ざって体育座りで説明を聞いていた丈之助は、手を上げたまま口を開く。 「ジェイソンってどれ?」  ただ今の授業は、「日本の昔の地理」である。 「西暦1900年頃の日本にジェイソンという地名はなかったとされているけど、俺自身が生きていた訳じゃないから絶対にないとは言い切れないかな? はい、他に質問は?」  笑顔で答えるが、再び手を上げたのは丈之助のみ。 「ジェイソンって場所?」 「一般的には人名の部類に入るんだろうけど、お菓子とか料理名とかでもあるかもしれないね。星とか。はい、次」  再び手を上げる丈之助。 「チェーンソーとマスクと大男は?」  これ以上は流すのにも限界がある。  藤司朗は嫌々ながらも逆に問い返す。 「……何で突然ジェイソンが出てきたの」 「沙鳥がジェイソンの日って」 「……なるほど」  想像通りの回答。  ここまで大事になると、子供たちの意識は完全に地理ではなく「ジェイソン」へと移る。 「シロ兄ちゃん! ジェイソンの日って何ー?」 「おれ知ってるよ! ジェイソンって大昔の殺人鬼の事でしょー?」 「不死コンビとどっちが強いー?」  怒涛の勢いで繰り出される質問。  藤司朗はどんな美姫にも劣らぬ完璧な笑みでもって子供たちを黙らせる。 「……一分だ」  眼鏡を上げる。その瞳は丈之助だけを冷ややかに睨み付けていた。 「一分で説明するから理解しろ。それ以上は答えない」  ……怒ってる。  丈之助と子供たちは思わず息を呑んだ。  藤司朗はそんな反応を完全に無視して説明を始める。 「ジェイソンの日というのは、そもそもジェイソン・ボーヒーズという男が主人公の映画「13日の金曜日」から来ている。今では『普通』程度だけれど、昔にしては残忍な殺戮を幾度となく繰り返し、大勢を殺した殺人鬼の話。1946年6月13日木曜日生まれの米人。先天的な病気によって顔が奇形となっていて、11歳の頃に参加したキャンプで、同年代の子供によって顔に布袋を被せられたまま湖へと突き落とされてしまう。そのまま消息不明に。大人の事情で事件はもみ消されたけれど、母親はショックで気が狂ってしまい、キャンプ指導員や観光客を殺して回るようになる。そして、13日の金曜日に女を襲うが、反撃されて首を鉈で切断されてしまう。実は生きていたジェイソンは偶然にもその現場を目撃してしまい、2ヵ月後に彼女をアイスピックで惨殺。これが元で、13日の金曜日は「ジェイソンの日」と呼ばれるようになったというわけ。その後もジェイソンの殺戮は続いていたが、被害者の少年が顔面に鉈を叩き込んで死亡。のはずが、10年後に雷が落ちて復活。以降は不死身の身体になって、倒されては復活。倒されては復活。の繰り返し。バラバラになって心臓だけになったり、その状態で人に寄生したり、操られたり大変だったらしいけど、科学者に冷凍保存されてしばらくお休みなさい。最終的に宇宙船に乗ってサイボーグになって、大気圏に突き落とされて消息不明。今も宇宙を漂っているかもね。ちなみに、チェーンソーを好んでるとよく言われているけど、実際に作中で使ったことはなく、多いのは鉈。他には怪力とか。自分の醜い容姿を気にしていて、湖に落とされた後はしばらく布袋を、それ以降も他の人から奪ったホッケーマスクとかを被っていたけれど、人を脅かすために外した事もあるくらいだから、心の傷になるほど気にしてた訳じゃないんじゃない? それと、母親に仕草とか口調が似てる人は襲わないらしい。究極のマザコンだよね。殺された時のトラウマで子供も狙わないらしいよ。不死コンビとどっちが強いかは戦ったことがないから何とも言えない。以上」  子供たちが混乱により頭をグルグルさせている中、丈之助は藤司朗の言葉をゆっくりと反芻する。  24時間以内であれば、得た情報は丈之助の中に完璧に蓄積されている。  じぇいそん・ぼーひーず さつじんき きけい かおにぬのぶくろ ははおやもひとごろし なた あいすぴっく ふじみ ばらばら きせい あやつられてる うちゅうせん さいぼーぐ かいりき みにくい ほっけーますく まざこん こどもにとらうま  がいとうしゃ:ふめい 「つまり、どれ?」 「質問は却下」
【Mitragliare(質問ラッシュ)】  万具堂の書斎にはレトロな黒板がある。  藤司朗は時々、そこでレイヴンズの子供たち向けにお勉強会を開いていた。 「……という訳で、ここまでで何か分からない所とかあった?」  真っ先に上がる手。  藤司朗があえて視界に入れないようにしていたソレへと子供たちの視線が向かう。  藤司朗は額を押さえつつ、渋々ソレを指す。 「……はい、丈」  何故か子供たちに混ざって体育座りで説明を聞いていた丈之助は、手を上げたまま口を開く。 「ジェイソンってどれ?」  ただ今の授業は、「日本の昔の地理」である。 「西暦1900年頃の日本にジェイソンという地名はなかったとされているけど、俺自身が生きていた訳じゃないから絶対にないとは言い切れないかな? はい、他に質問は?」  笑顔で答えるが、再び手を上げたのは丈之助のみ。 「ジェイソンって場所?」 「一般的には人名の部類に入るんだろうけど、お菓子とか料理名とかでもあるかもしれないね。星とか。はい、次」  再び手を上げる丈之助。 「チェーンソーとマスクと大男は?」  これ以上は流すのにも限界がある。  藤司朗は嫌々ながらも逆に問い返す。 「……何で突然ジェイソンが出てきたの」 「沙鳥がジェイソンの日って」 「……なるほど」  想像通りの回答。  ここまで大事になると、子供たちの意識は完全に地理ではなく「ジェイソン」へと移る。 「シロ兄ちゃん! ジェイソンの日って何ー?」 「おれ知ってるよ! ジェイソンって大昔の殺人鬼の事でしょー?」 「不死コンビとどっちが強いー?」  怒涛の勢いで繰り出される質問。  藤司朗はどんな美姫にも劣らぬ完璧な笑みでもって子供たちを黙らせる。 「……一分だ」  眼鏡を上げる。その瞳は丈之助だけを冷ややかに睨み付けていた。 「一分で説明するから理解しろ。それ以上は答えない」  ……怒ってらっしゃる。  丈之助と子供たちは思わず息を呑んだ。  藤司朗はそんな反応を完全に無視して説明を始める。 「ジェイソンの日というのは、ジェイソン・ボーヒーズという男が主人公の映画「13日の金曜日」から来ている。今では『普通』程度だけれど、昔にしては残忍な殺戮を幾度となく繰り返し、大勢を殺した殺人鬼の話。1946年6月13日木曜日生まれの米人。先天的な病気によって顔が奇形となっていて、11歳の頃に参加したキャンプで、同年代の子供によって顔に布袋を被せられたまま湖へと突き落とされてしまう。そのまま消息不明に。大人の事情で事件はもみ消されたけれど、母親はショックで気が狂ってしまい、キャンプ指導員や観光客を殺して回るようになる。そして、13日の金曜日に女を襲うが、反撃されて首を鉈で切断されてしまう。これが元で、13日の金曜日は「ジェイソンの日」と呼ばれるようになったというわけ。実は生きていたジェイソンは偶然にもその現場を目撃してしまい、2ヵ月後に彼女をアイスピックで惨殺。その後もジェイソンの殺戮は続いていたが、被害者の少年によって顔面に鉈を叩き込まれて死亡。のはずが、10年後に雷が落ちて復活。以降は不死身の身体になって、倒されては復活。倒されては復活。の繰り返し。バラバラになって心臓だけになったり、その状態で人に寄生したり、操られたり大変だったらしいけど、科学者に冷凍保存されてしばらくお休みなさい。最終的に宇宙船に乗ってサイボーグになって、大気圏に突き落とされて消息不明。今も宇宙を漂っているかもね。ちなみに、チェーンソーを好んでるとよく言われているけど、実際に作中で使ったことはなく、多いのは鉈。他には怪力とか。自分の醜い容姿を気にしていて、湖に落とされた後はしばらく布袋を、それ以降も他の人から奪ったホッケーマスクとかを被っていたけれど、人を脅かすために外した事もあるくらいだから、心の傷になるほど気にしてた訳じゃないんじゃない? それと、母親に仕草とか口調が似てる人は襲わないらしい。究極のマザコンだよね。殺された時のトラウマで子供も狙わないらしいよ。不死原や不死川とどっちが強いかは戦ったことがないから何とも言えない。以上」  子供たちが混乱により頭をグルグルさせている中、丈之助は藤司朗の言葉をゆっくりと反芻する。  24時間以内であれば、得た情報は丈之助の中に完璧に蓄積されている。  じぇいそん・ぼーひーず さつじんき きけい かおにぬのぶくろ ははおやもひとごろし なた あいすぴっく ふじみ ばらばら きせい あやつられてる れいとうほぞん うちゅうせん さいぼーぐ たいきけん かいりき みにくい ほっけーますく まざこん こどもにとらうま  がいとうしゃ:ふめい 「つまり、どれ?」 「質問は却下」

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