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Intimita」(2008/12/10 (水) 10:56:21) の最新版変更点

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【Intimita(団欒)】 「そういえば、今日ねー信君に轢かれそうになっちゃってさービックチしたよ。幸成の言った通り、交通事故に注意は大正解だったね!」  夕食中のひとコマ。  丈乃助の首元に、三方向から箸が突きつけられる。 「もう、スズちゃんもシロちゃんもユキちゃんも、食事中なんだからダメよ。後からにしなさい。丈ちゃんも刀に手をかけないの!」 「……ビックリした」  食事は静かに楽しく頂くものだ。  不本意ながらも正論だからと素直に従い、食事に戻る。  沙鳥は気にせず、幸せそうにご飯をかみ締めながら話を続けた。 「やっぱり、幸成の占いは凄いねぇ。毎回当たるもの」 「そうだね。聞き手が逆に笑えるくらい無駄にしちゃってるけど」  藤司朗は柔らかい笑みを浮かべたまま、丈乃助を冷たく睨み付ける。 「そうだ。いっそ、売り物にしちゃえば? かなりの儲けになるんじゃない?」  照れ臭そうに食事を続けていた幸成の表情が、本気で不満気に歪む。 「ユキは極度のメンドくさがりですからね。小物の予約ですら無視しているくらいですし」 「占いの依頼も結構来てるんだけど、嫌がるから一度も受けた事がないのよね」 「そんなに嫌なの?」  沙鳥に問われ、幸成は傷だらけの顔に小さな笑みを浮かべる。 「沙鳥以外どうでも良い」  それゆえの沙鳥専属の占術師。 「それに、占ったとしても結果を伝えるのが大変でしょうね」  幸成は沙鳥の前でしか喋らない。  筆談や手話という方法もあるが、滅多に使わない。  何と話し掛けられても、何と問われても、真っ直ぐ相手を見つめるだけで、身動き一つしない。 「私たちが通訳しても良いけど、正確な診断結果となると難しいわよね」  そこまでの無理を強いるほど、生活が苦しい訳でもない。  沙鳥は箸を置いてため息を吐く。 「皆に幸成の占いを自慢出来たら素敵だなって思ったんだけどな……」  一瞬にして、一同の目つきが変わる。 「じゃあ、ネット上で占うというのはどうでしょう? 別に幸成本人が打たなくても良いですし」 「それだとレア度が減るから勿体無くない? それよりは数量限定とかにして、少しでも多くお金を落としてもらわないと」 「そうね……じゃあ、お店で売るのは? 星占いみたいに何種類かの結果を紙に書いて。それなら、書くのは一枚だけで、後はコピーすれば済むんじゃないかしら?」 「それで、ラッキーアイテムを万具堂の商品にすれば完璧だね」  幸成も「それくらいなら、やってやっても良い」と頷く。 「にゅ?」  いきなり積極的になったメンバーを訝しがる沙鳥の頭を撫ぜて、藤司朗は眩いほどの笑みを浮かべる。 「ありがとう、沙鳥」  ――おかげで、しばらくは楽が出来そうだ。
【Intimita(団欒)】 「そういえば、今日ねー信君に轢かれそうになっちゃってさービックチしたよ。幸成の言った通り、交通事故に注意は大正解だったね!」  夕食中のひとコマ。  丈之助の首元に、三方向から箸が突きつけられる。 「もう、スズちゃんもシロちゃんもユキちゃんも、食事中なんだからダメよ。後からにしなさい。丈ちゃんも刀に手をかけないの!」 「……ビックリした」  食事は静かに楽しく頂くものだ。  不本意ながらも正論だからと素直に従い、食事に戻る。  沙鳥は気にせず、幸せそうにご飯をかみ締めながら話を続けた。 「やっぱり、幸成の占いは凄いねぇ。毎回当たるもの」 「そうだね。聞き手が逆に笑えるくらい無駄にしちゃってるけど」  藤司朗は柔らかい笑みを浮かべたまま、丈之助を冷たく睨み付ける。 「そうだ。いっそ、売り物にしちゃえば? かなりの儲けになるんじゃない?」  照れ臭そうに食事を続けていた幸成の表情が、本気で不満気に歪む。 「ユキは極度のメンドくさがりですからね。小物の予約ですら無視しているくらいですし」 「占いの依頼も結構来てるんだけど、嫌がるから一度も受けた事がないのよね」 「そんなに嫌なの?」  沙鳥に問われ、幸成は傷だらけの顔に小さな笑みを浮かべる。 「沙鳥以外どうでも良い」  それゆえの沙鳥専属の占術師。 「それに、占ったとしても結果を伝えるのが大変でしょうね」  幸成は沙鳥の前でしか喋らない。  筆談や手話という方法もあるが、滅多に使わない。  何と話し掛けられても、何と問われても、真っ直ぐ相手を見つめるだけで、身動き一つしない。 「私たちが通訳しても良いけど、正確な診断結果となると難しいわよね」  そこまでの無理を強いるほど、生活が苦しい訳でもない。  沙鳥は箸を置いてため息を吐く。 「皆に幸成の占いを自慢出来たら素敵だなって思ったんだけどな……」  一瞬にして、一同の目つきが変わる。 「じゃあ、ネット上で占うというのはどうでしょう? 別に幸成本人が打たなくても良いですし」 「それだとレア度が減るから勿体無くない? それよりは数量限定とかにして、少しでも多くお金を落としてもらわないと」 「そうね……じゃあ、お店で売るのは? 星占いみたいに何種類かの結果を紙に書いて。それなら、書くのは一枚だけで、後はコピーすれば済むんじゃないかしら?」 「それで、ラッキーアイテムを万具堂の商品にすれば完璧だね」  幸成も「それくらいなら、やってやっても良い」と頷く。 「にゅ?」  いきなり積極的になったメンバーを訝しがる沙鳥の頭を撫ぜて、藤司朗は眩いほどの笑みを浮かべる。 「ありがとう、沙鳥」  ――おかげで、しばらくは楽が出来そうだ。

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