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【Papera】 「丈乃助」  誰もいない薄暗い部屋で、少女が小さく名を呼んだ。 「……?」  訝しげに何処からか気配もなく現れた少年は、無言で少女を見つめる。 「剣道を教えて!」  唐突な願い。それ自体はいつもの事だが、この少女が自ら進んで疲れる行為をするというのは不自然すぎる。  しかし、この少年が少女の行動を訝しがるはずもなく、何の反問もせずに受諾する。 「剣道なら別に難しくない。棒っぽいモノを持って、相手を叩いたり突いたり斬ったりすれば良いだけ」  しばしの沈黙。 「なるほど」  少女は納得して差し出された刀剣を受け取る。 「とりあえず、問答無用で攻撃すれば良いんだね★」  だが、少女にとってその剣は重すぎた。 「うにゃあ」  持ち上げられなかった刃は、コンクリートであるはずの地面を深々と抉るだけ。 「……何で?」 「私が聞きたいよー……」  少女は膨れ面で地面に座り込む。  少年が平然と腰に差していたはずの刀剣なのに、たったの1センチも持ち上げられない。 「んー……剣なんて振り回せば終わりなんだけど……」 「振り回せないもん」 「何で?」 「分かんないけど、持てない」 「んー……」  二人は地面に腰を下ろしたまま唸った。  この二人だけでは、重い物を持つために鍛えるとか、軽い物に変えるという事に意識が向かないのだ。 「あ、そうだ!」  少年は少女を軽々と持ち上げて立ち上がらせ、そしてそのまま後ろから抱き締めるような格好で剣を握らせる。 「こうやって俺が持てば良い」  しばし思案。 「ホントだ! 持てた!」  わーいw と大喜びで振り回そうとする少女に合わせて少年が剣を動かす。 「でも、戦うのには向かないね……」 「それは心配ないよ。沙鳥が何かするより先に、相手は死んでるんだから」 「そっかーじゃあ、問題ないね!」  少女は満足そうに剣を振り回し、少年は黙々と合わせ続ける。  こうして、始終和やかな空気の中、殺人兵器による殺人講習は終わった。
【Papera】 「丈之助」  誰もいない薄暗い部屋で、少女が小さく名を呼んだ。 「……?」  何処からか気配もなく現れた少年は、訝しがりつつも無言で少女を見つめる。 「剣道を教えて!」  唐突な願い。それ自体はいつもの事だが、この少女が自ら進んで疲れる行為をするというのは不自然すぎる。  しかし、この少年が少女の行動を訝しがるはずもなく、何の反問もせずに受諾する。 「剣道なら別に難しくない。棒っぽいモノを持って、相手を叩いたり突いたり斬ったりすれば良いだけ」  しばしの沈黙。 「なるほど」  少女は納得して差し出された刀剣を受け取る。 「とりあえず、問答無用で攻撃すれば良いんだね★」  だが、少女にとってその剣は重すぎた。 「うにゃあ」  持ち上げられなかった刃は、コンクリートであるはずの地面を深々と抉るだけ。 「……何で?」 「私が聞きたいよー……」  少女は膨れ面で地面に座り込む。  少年が平然と腰に差していたはずの刀剣なのに、たったの1センチも持ち上げられない。 「んー……剣なんて振り回せば終わりなんだけど……」 「振り回せないもん」 「何で?」 「分かんないけど、持てない」 「んー……」  二人は地面に腰を下ろしたまま唸った。  この二人だけでは、重い物を持つために鍛えるとか、軽い物に変えるという事に意識が向かないのだ。 「……あ」  少年は少女を軽々と持ち上げて立ち上がらせ、そしてそのまま後ろから抱き締めるような格好で剣を握らせる。 「こうやって俺が持てば良い」  しばし思案。 「ホントだ! 持てた!」  わーいw と大喜びで振り回そうとする少女に合わせて少年が剣を動かす。 「でも、戦うのには向かないね……」 「それは心配ない。沙鳥が何かするより先に、相手は死んでるから」 「そっかーじゃあ、問題ないね!」  少女は満足そうに剣を振り回し、少年は黙々と合わせ続ける。  こうして、始終和やかな空気の中、殺人兵器による殺人講習は終わった。

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