読書について
学生の頃は読書といえばマンガだった。いわゆる活字に対しては拒絶反応は無かったものの自ずから手に取るものでは無かったのに、今では活字が無い生活は考えられず、特に小説を好んで読むようになってきた。
今でもマンガはとても好きだし、日本の大切な文化だと思っている。手塚治虫や水木しげるが作った「大人でも楽しめる世界」はきっとこれからも誰かが受け継いでいくんだろう。
それでも自分が感じた小説の素晴らしさはマンガにはない。
自分の職業柄、「目に見えないモノ」を作り出す時いかにイメージを具体化しかつ文章化・イラスト化することが非常に重要であるが、この能力は誰かに教えられて上達するものではないと考えている。
もし誰かに教えてくれと言われても「自分はこういうステップでイメージを具体化させている」という明確な言葉で表現できない。もちろん、多くの言葉を費やすことでそれなりの事は言えるかもしれない。しかし誰かに正確に伝えることは出来ないだろう。
自分は分かっている、でも他人にはそれを正確に伝えられない。これこそが読書の面白いところだろう。
本を読むと少しずつその世界が心の中に広がっていく。その世界は人によって全く違うものになっているだろう。
世界を広げる力はまさにイメージする力そのものだ。思考という世界には全く限界が無く、どんなものでも作り出すことができるしどんなことでも可能になる。