02.残光


それを見て
レンゲと呼ばれた女の子が納刀しながらぼやく

「あの子達の主人なのに・・挨拶もできないのかな・・あの人」
「言えないのよ・・キット」
「言えない?誰でもできることじゃない・・・あの人はそんなこともできないの??私だって出来るよ?」

レンゲが素直に捕らえたことを姉に伝える
姉はその言葉を聞いて説教を交えて答える

「レンゲ、第一印象でその人を決め付ける事は良くない事、
私はあの人はただ不器用なだけだと思う。
現に傍にいる子達を見ればわかるでしょ?
もしレンゲが言うとおりの人だったらあの子達は居ないと思うわ」
「・・・」
「それに・・今の彼は本当の彼ではない・・・キットね」
「まあ・・姉さんが言うならわからない事も無いけど・・」

レンゲは姉の話を聞いて理解し難い顔を浮かべる
それを見て姉は支度をしながら声をかけた

「レンゲもいつかわかるわ。準備したらいくわよ」
「・・は~い」

彼女達はオルビスの塔へ再び戻っていった


去っていく彼女達にふと青年は目をやる

「・・・姉妹か」
「??どうしたの??マスター?」
「・・いや・・・・」
「????」

なにかを思い出しているのだろうか・・
空を見上げると先ほどまで雪が舞っていたが今は月が輝いている
月光に照らされたエルナスの街を見て一歩ずつ静かに向かう
青年がその場を去ると同時に
光の矢が天へと昇っていった
最終更新:2009年08月01日 01:20