小児性愛者の化学去勢

Convicted pedophiles should be chemically castrated. 
有罪宣告を受けた小児性愛者は化学的去勢を処せられるべきだ。

1 現状分析

 近年、性犯罪への社会的注目が強まっているため、男性性犯罪者に対し男性器の切除等の去勢を行う「宮刑」を刑罰に科すことを求める声が出ている。現在では刑罰あるいは犯罪予防措置として強制的に実施している国はないようであるが、アメリカ合衆国の一部の州において、犯罪者の希望により、あるいは懲役刑との自由選択の形で、去勢刑が行われている。実施方法は、多くは薬物注射で睾丸を萎縮させる「化学的去勢」といわれる方法を取るが、テキサス州においては、手術による睾丸摘出が実施されており、1997年と2007年の執行例がある。 2008年現在で化学的去勢を実施しているのは米国の8つの州およびスウェーデン、デンマーク、韓国、ポーランドなどである。化学的去勢は刑事罰というよりも異常な性的衝動を持つ性的倒錯者に対する治療という面が強く押し出されており、身体刑であるとはあまり考えられていない。性犯罪の高い韓国では化学的去勢を行う専用施設が整備され、今のところ100人前後を収容できるが、韓国司法省は300人規模の施設の建設を目指している。

 性犯罪者の再犯率は一般刑法犯に比べ高いとの誤解があるが、性犯罪者が再び性犯罪を犯す確率は他の刑法犯と比べて低いとの調査結果が出始めている(情報ソース:Jurist No1361)。日本に限らず、欧米でも広く誤解されていたが、近年見直されつつある。このような一部グループによる誤解を招く情報を欧米の学者は「性犯罪者の悪魔化」と呼ぶ(Amand Matravers,Setting Some Bounaries:rethinking responses to sex offenders,A.matravers(ed.),Sex Offenders in the Community,2003)。

 平成11年から12年の出所者・保護観察者等等に対する平成15年までの警察庁の追跡調査では、性犯罪者は「集団強姦」「単独強姦」「わいせつ」「小児強姦」「小児わいせつ」の5つの類型に分類され各々、同一罪状と他の罪状についての再犯率が調べられた。その結果、同一罪状の再犯では、強姦・わいせつ共に、成人対象の性犯罪より小児対象の性犯罪の再犯率が高く、「集団強姦」は再犯率が低かった。他の罪状の再犯率については、「わいせつ」の再犯率が高くその他類型の再犯率はほぼ同程度であった。ただ、前述したように、他の刑法と比べて、性犯罪者が性犯罪を再び犯す確率(全体の平均値)は低いものとなっている。性犯罪者の再犯率が高いというマスコミの情報が根拠に乏しいものであることが裏付けられた格好となる。

 ----

2 メリット・デメリットとそれに関する情報

●メリット
 -小児性犯罪の再犯防止
 -治安向上
 -受刑者の刑期短縮

●デメリット
 -再犯防止の可能性(他の犯罪に走らないか)
 -受刑者の過大な心理負担
 -回復不可能な身体的損害

●関連情報

 ●性的加害者のケアについて

 児童性的虐待加害者は子供を誘拐し、傷つけ、殺す事さえ辞さないというステレオタイプがあると言われるが、Pamera D.Schultz(2005)によると実際には多くの場合は暴力的な攻撃はないという。Lisakらの無作為抽出調査(1996)でも加害者の3分の2は身体的虐待は加えていないと出ている。むしろ一見すると子供に選択肢を与えるようにしながら、無言の脅迫や甘美な言葉を用いて行為に参加させる場合のほうが多いと見られる。もちろん、子供にマインドコントロールを施すことになるのであるから、長期的に見てこのような場合は被害者は行為に参加した自責の念に苦しめられることが多いと見られる。

 日本では刑期が軽いと非難され、アメリカでも児童性虐待は軽蔑の目で見られている。だがその一方で、アメリカでは社会的偏見が激しすぎるために罪をいくら償っても償った可能性を認めない傾向もあるため、一部の矯正官やカウンセラーらは更正可能なのにその道を閉ざしてしまうとして問題視している。
このような問題の出る背景には次のような要因が考えられている。

 児童性虐待者の実際の数は報告される数をはるかに上回る可能性が高く、もしそれらを検挙するとなると現行のシステムでは国家の処理能力を簡単に超えてしまう可能性が高い。

 アメリカでは情報公開が進んでおり、加害者は周辺住民に警戒されるが、あまりにもそれが激しすぎるために加害者はたとえ化学的去勢を受けていても居場所がなくなっている。

 この問題は文化的・社会的問題が大きいと見られており、ただ単に加害者を殺せばそれで済むというものではない。
児童性虐待のタイプにかかわらず性犯罪として認知されるために、残虐な加害者と比較的温厚な加害者が同様に扱われる。
性犯罪が突発的なものとみなされているために、その人の過去が存在しないようなものとみなされており、その人間の人格が単純に否定されてしまう。

 多くの加害者は児童性虐待さえしなければ普通の人間である。加害者を生涯監視するとなると高額の費用がかかり、現実的ではない。児童性虐待者は刑務所内でも著しい偏見をもって見られており、暴行などの犠牲になってしまっている。

 だが、大衆ヒステリーのような状況は今日のアメリカでも認められており、これらの問題が解決できるのはまだまだ先のことであると見られている。(そもそもこういった問題がうまく議論できるのは被害者の声が反映されてこそである)
加害者にも治療プログラムは施されているが、現在のプログラムではほとんど効果はないとされる。性犯罪者の調査では2004年3月のカナダの研究結果では1980年代の性犯罪者のうち治療プログラムを行った人の再犯率は約21.1%で、参加していない場合は21.8%であった。だが、再犯率自体は突出して高いわけではなく1994年にアメリカの15の州の調査によると、3年以内における性犯罪以外の再犯率は69%なのに対し、性犯罪者は43%であった(しかし、同一罪ならば約4倍)。うち児童性虐待者が再び児童性虐待で逮捕された例は3年以内で約3.3%である。

 ●司法の形式における議論

 これに関しては司法の形式に関係した議論もある。この犯罪に対しては従来のごとく「応報的司法」によって対処しようとし、犯罪を国家に対する違反行為とみなし懲罰に重点が置かれる傾向が強い。だが、これでは「被害者は被害者でしかなく、加害者は加害者でしかない」という概念を助長することにもなりかねず、被害者・加害者双方にとって重要なものが一切無視されることにもなりかねず、問題の抑圧作用はそのまま残る。
これに対して「修復的司法」の立場が提唱された。この考え方では、犯罪は人間関係における違反とみなされ、コミュニティの間との関係修復と和解に重点が置かれる。この立場ならば、被害者・加害者双方の心理学的・情緒的影響が考えられ、文化内部における力の働きと支配を児童性虐待はどのように反映しているかを映し出すことになり、問題はより一般的になり真の理解度が上がる可能性があるという指摘が一部の矯正官やカウンセラーを中心に出た。ただし、これに関しても問題を相対化しすぎると加害者の責任が問われなくなるという意見も存在する。

 *関連情報 http://ja.wikipedia.org/wiki/去勢
      http://ja.wikipedia.org/wiki/チャイルド・マレスター
      http://ja.wikipedia.org/wiki/性犯罪

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2009年10月02日 13:48
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。