レコード会社の契約

Motion2: This house believes that record companies should make contract renewal of pop stars contingent on
訳:レコード会社は大物歌手との契約を状況次第で更新すべきです

○前提知識
 1 慣例として、アーティストは、レコード会社(以下レーベル)と契約を結ぶことになっています。レコード会社はアーティストの売り出しから、音楽ソフトの販売、ライブの企画・実現までを手掛けてくれる、アーティストにとっては必要不可欠なマネジメント組織なのです。

 ・仲たがい
2 日本ではあまり話題になることはないですが、海外ではしばしばレーベルとアーティストの間でのもめごとが記事になります。大概が、アーティストが契約に不満を持って、契約の変更を迫るというもの。今はiTunesなどを使って、レーベルを通さずに自身の楽曲をネットで販売できる時代です。レーベルと契約を結ばないまま、ヒットチャートに顔を出すアーティストというのも、登場するようになりました。

  • レーベルの役割
1,2 売り込みやライブツアーとなると、さすがに個人では難しいですが、昔と違って今はレーベルも、スポンサーからの投資だけは自社で獲得して、その他は別の専門企業に委託してるところも多いので、アーティストがその委託先に直接申請すれば、間の手数料は節約できるわけです。実際、名の売れている大物アーティストには、自分用の個人レーベルを立ち上げ、普段はそちらを使って音楽活動を行い、全国ツアーなどをするときだけ、大手レーベルと契約を結ぶといった契約の形も増えてきています。

  • 搾取
やはり問題は中間手数料の多さです。

3 たとえば新人のアーティストの場合、
大まかにCDの内訳を説明すると…全体の30%がCDショップ、10%がパッケージなどの製作費、10%が原盤印税(レコーディングなどの費用を負担したところの取り分)、6%が著作権印税(音楽出版社、実際の権利者、JASRAC等で分配)、1%が歌唱及び演奏印税(ランクが上がると割合が増える)、残りがレコード会社(宣伝、流通、営業、人件費が含まれる)です。
つまりあなたがもらえる可能性がある取り分は7%未満ということです。
※実際は音楽出版社が3%近く持って行くので4%程度

例えば2000円のCDを1万枚作って完売したとすれば、80万円があなたの取り分になるわけです。(作詞、作曲、編曲、歌唱、演奏までやった場合)

 4 また、資料はブログですが、最近の日本では「東方神起」のメンバーが所属事務所「SMエンターテイメント」を相手に起こした訴訟がありました。CD1枚2円未満の印税だったとか。上の相場の1/50です。しかも13年契約。これは極端な例ですが、アーティストの立場なら、こんな契約、絶対御免ですね。

 ・最近のレーベル
 たくさん抜いている、とはいってもそれで大手レーベルがもうかっているかというと、あながちそうでもないみたいです。そもそも最近はCDの売り上げが恐ろしく落ち込んでますから。アーティストと契約する時も、ネットコンテンツでの販売や、CM出演などに関しても一定の割合で報酬を納めるよう契約を結ぶようです。ひどい話のように思えますが、これはいわばCD(音楽販売)だけで食べていくことが難しいことの裏付けであり、そうなると、アーティストがレーベルと契約を結ばずに成功することも、非現実的であると解釈することもできます。

※5 オリコンシングルチャート、20位が初の3000枚割れ 59位からは1000枚未満
 これは9/22の記事。94年の年間チャートでは、28位までが100万枚を超えるという売上でした。(50週で割っても、週2万枚の計算) 4月にも、30位が2000枚を割るという記事が出ており、中、長期的な現象であることがうかがえます。

○方向性
 ・組立
 これは結構ディフィニションが難しいです。「状況次第でって、売れたらってこと?」みたいな。また、ポップスターも、どれくらいの大物を想定してるのかも考えもの。すごい大物と新人込みでは、かなり状況が変わります。大物すぎると否定側に不利にはなる気もしますが、大物ほどレーベルの世話になっている事例は多いはずです。景気や市場の動向は流動的ですし、日本の流行り廃りは本当に速いので、否定側にも切り込む余地はあります。

  • 肯定側
 まずアーティストの惨状を伝えましょう。そして、時代の流れでもはや大手は搾取を続けていられる状況じゃないと。実際、レーベルの評判が落ちてつぶれたとかいう話は見つかりませんでしたが、大物歌手の契約打ち切りの事例は(海外ソースでは)確かにあります。現在はiTunesなどでのネットワーク販売でかなり低コストに流通が実現可能である一方で、レーベルの搾取はあまりに大きく、歌手のためにも、ファンのためにもなっていないと主張することになるでしょう。自己ブランドの確立した大物歌手(レーベルにとっての一番の財産)ほど、レーベルの力を必要としていないことも、このモーションにおいては重要です。逆に、レーベルを悪く言いすぎないことも重要で、レーベルとの良好な関係は保っていきたいわけなので、共存の道を模索するために、レーベルには誠実な対応が求められているといった切り口がよいでしょう。

 ・否定側
 アーティストの成功には絶対にレーベルが必要であることを主張します。それまで培ったノウハウや、業者との信頼関係などが一つ。そして、CD売上低迷、不況を乗り切るためには、ネットであっても、売り込みのためのノウハウや資金力が要ります。それがないと、音楽という娯楽自体の求心力が減ってしまい、音楽産業自体が縮小し、最終的には未来のアーティストが成功する土台が失われます。そうなると、大物歌手が自らの利益のために未来の芽を摘む構図になり、本人ら自身が育ててもらった恩にも仇なすことになります。

○展望
 正直、現状(経済・音楽市場)はどう転ぶか分かりません。争点は、ネットを中心とした個人レーベルでの音楽活動に安定性・将来性があるか否かと、それが将来の音楽市場にもたらす影響も含めて、地面から足の浮いたディベートになりそうです。有効なものは、どんな具体例も特殊なケースとして捉え得るので、そこをつぶさせずに、踏ん張れるかになる気がします。

○資料(ブログ記事ばっかりで申し訳ない…)
 1.Wikipedia レコード会社 のページ
2.メジャーレーベルは必要? http://anno69.blog16.fc2.com/blog-entry-267.html
 3. 印税について まさかの質問箱 http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa4324056.html
 4.個人ブログ 東方神起について http://blog.goo.ne.jp/rainydays-june
   上のサイトの上の検索バーで対象を「このブログ内」にして、「契約問題」で検索
 5.オリコンの売上もろもろ。 http://blog.livedoor.jp/ustan777/archives/51587674.html

その他の資料
 ☆ネット配信がCD売上を超えるという予測
http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20367725,00.htm
 ☆ネットラジオでの音楽配信の利害 「レコード会社よさようなら」で検索
http://jp.techcrunch.com/

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最終更新:2009年10月01日 05:11
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