裁判員制度

THBT the introduction of citizen-judge system will do more harms than goods.


裁判員制度とは

 国民が裁判員として刑事裁判に参加し、被告人が有罪かどうか、有罪の場合どのような刑にするかを裁判官と一緒に決める制度。平成21年5月21日から開始。これまでの裁判は裁判官3人だったが、裁判員制度導入後は裁判官3人+裁判員6人となる。

裁判員制度の対象となる事件

○殺人(人を殺した場合)
○強盗致死傷(強盗が人にけがをさせ、あるいは死亡させてしまった場合)
○傷害致死(人にけがをさせ、死亡させてしまった場合)
○危険運転致死(泥酔した状態で、自動車を運転して人をひき、死亡させてしまった場合)
○現住建造物放火(人の住む家に放火した場合)
○身代金目的誘拐(身代金を取る目的で、人を誘拐した場合)
○保護責任者遺棄致死(子供に食事を与えず、放置したため死亡してしまった場合)

裁判員の仕事・役割

①公判に立ち会う
 裁判官と一緒に刑事事件の法廷(公判)に立ち会い、判決まで関与する。公判は連続して開かれる。公判では、証拠書類を取り調べ るほか、証人や被告人に対する質問が行われる。裁判員から証人等に質問することもできる。
②評議、評決
 証拠をすべて調べたら、事実を認定し、被告人が有罪か無罪か、有罪だとしたらどんな刑にするべきかを裁判官と一緒に議論し(評 議)、決定する(評決)ことになる。
 評議を尽くしても意見の全会一致が得られなかった場合、評決は多数決によって行われる。ただし、裁判員だけによる意見では、 被告人に不利な判断(たとえば被告人が有罪無罪かの評決に関する場面では有罪の判断)をすることはできず、裁判員1人以上が多数 意見に賛成していることが必要である。
 有罪か無罪か、有罪の場合の刑に関する裁判員の意見は裁判官と同じ重みを持つ。
③判決宣告・裁判員の任務終了
 評決内容が決まると、法廷で裁判長が判決宣告する。裁判員としての役割は、判決の宣告により終了する。
http://www.saibanin.courts.go.jp/


定義・ケース

Motionに”will”が使われているので、これは裁判員制度開始前にやるべきものだった気がしますが…普通に場所は日本でいいと思います。

裁判員制度のメリット

○裁判への親近感
 導入前…裁判に関与できるのは法曹三者のみ
 導入後…裁判員(国民)が裁判に参加→国民が関心を持つ・選ばれていない人にも、いつ選ばれるかわからないことから当事者意識が生まれる
○世論の反映
 導入前…法律に則った手続きを重視した判決→世論と合わないことがある(世論が思っていたより刑罰が軽かったなど)→不信感
 導入後…国民が裁判に参加することで、判決に民意を取り入れることができる
○裁判の日程短縮
 導入前…心理の対象となる範囲が非常に広いため裁判が長期化→関係者に負担
 導入後…公判前整理手続(公判前に裁判の争点を明確にする、証拠についても争点に関係する物のみに取り調べが行われる)が新設→ 公判のスピードアップ、裁判員に分かりやすい
 導入後…裁判員の負担を考え、裁判は連日開廷が基本→結果的に裁判機関は短くなる
http://www.saibanin-seido.net/merit/

裁判員制度のデメリット

○冤罪の可能性
マスコミの情報には確実性がないものも含まれる→裁判員がマスコミの報道に影響される→本当は無罪なのに有罪判決を出す
○裁判員の安全
 被告人やその関係者から逆恨みされて裁判員が報復等にあう危険性がある
○刑罰のブレ
 裁判員は法律の知識をあまり持っていない→自分の価値観等で量刑を判断→内容的には同じような事件でも関わった裁判員によって 量刑が異なってくる可能性→罪刑法定主義や法の下の平等に反する
○裁判に選ばれた人の欠勤
 裁判員に選ばれたら仕事を休まなければならない→仕事上責任ある人や、中小企業に勤める人などにとって深刻な問題
http://www.saibanin-seido.net/demerit/

以下は以前荒木さんが調べていた分です。偶然見つけましたwww
こちらも参照してください。

09/09/14 haruKa

裁判員制度について調べましたが、情報量が膨大すぎてうまくまとまりませんでした。まだまだ調べればいろいろ出てくると思いますが、とまらなくなるのでこのあたりで勘弁してください。


裁判員制度について
1.裁判員制度の基本知識

裁判員制度の対象となる事件は,代表的なものをあげると,次のようなものがあります。
• 人を殺した場合(殺人)
• 強盗が,人にけがをさせ,あるいは,死亡させてしまった場合(強盗致死傷)
• 人にけがをさせ,死亡させてしまった場合(傷害致死)
• 泥酔した状態で,自動車を運転して人をひき,死亡させてしまった場合(危険運転致死)
• 人の住む家に放火した場合(現住建造物等放火)
• 身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐)
• 子供に食事を与えず,放置したため死亡してしまった場合(保護責任者遺棄致死)

法律を知らなくても判断することはできるのですか。
 裁判員は,法廷で聞いた証人の証言などの証拠に基づいて,他の裁判員や裁判官とともに行う評議を通じ,被告人が有罪か無罪か,有罪だとしたらどのような刑にするべきかを判断します。例えば目撃者の証言などに基づいて,被告人が被害者をナイフで刺したかどうかを判断することは,みなさんが,日常生活におけるいろいろな情報に基づいて,ある事実があったかなかったかを判断していることと基本的に同じですので,事前に法律知識を得ていただく必要ありません。なお,有罪か無罪かの判断の前提として法律知識が必要な場合は,その都度裁判官から分かりやすく説明されますので,心配ありません。

陪審制や参審制とは違うのですか。
諸外国においても,国民が刑事裁判に参加する制度を導入している国は多数あります。国民が裁判に関与する形態等はそれぞれの国によって様々ですが,おおむね陪審制と参審制に分けることができます(詳しくは, 裁判員制度ナビゲーションの資料編(データ集)(409KB) を参照してください。)。 陪審制とは,基本的に,犯罪事実の認定(有罪かどうか)は陪審員のみが行い,裁判官は法律問題(法解釈)と量刑を行う制度です。陪審員は,事件ごとに選任される点に特色があります。陪審制は,アメリカやイギリスなどで採用されています。 参審制とは,基本的に,裁判官と参審員が一つの合議体を形成して,犯罪事実の認定や量刑のほか法律問題についても判断を行う制度です。参審員は,任期制で選ばれる点に特色があります。参審制は,ドイツ,フランス,イタリアなどで採用されています。 裁判員制度は,裁判員と裁判官が合議体を形成するという点では参審制と同様です。ただし,裁判員は事実認定と量刑を行い,法律問題は裁判官のみで行う点で参審制とは異なります。他方,裁判員が事件ごとに選任される点では陪審制と同じです。 このように,裁判員制度は,参審制・陪審制のいずれとも異なる日本独自の制度だと言うことができます。


同じ被告人がたくさんの事件を起こしたとして起訴された場合も,全て同じ裁判員が担当するのですか。
同じ被告人に対して複数の事件が起訴され,全ての事件を併せて審理した場合,事件の内容によっては,審理期間が著しく長くなるなど,裁判員の方の負担が著しく大きくなることがあり得ます。
そこで,このような場合の裁判員の負担を軽減するために,事件をいくつかに区分し,区分した事件ごとに審理を担当する裁判員を選任して審理し,裁判員と裁判官で有罪・無罪のみを判断する判決を行うことができます(この有罪・無罪を判断する判決を「部分判決」と言います。)。この部分判決を踏まえた上で,最後に審理を行う裁判員と裁判官が,担当する事件の有罪・無罪の判断に加えて,全体の事件についてどのような刑にするかを判断し,判決を言い渡すことになります。
なお,このように,事件をいくつかに区分し,区分した事件ごとに審理を行う場合,後の事件の審理を担当する裁判員になる人を裁判員候補者の中からあらかじめ選ぶことができます。このあらかじめ選ばれた人のことを選任予定裁判員といいます。

日本国籍がなくても裁判員に選ばれるのですか。
裁判員は,衆議院議員の選挙権を有する方の中から選任されることになっていますので,日本国籍を持っていない人が裁判員に選ばれることはありません。
裁判員には,年齢の上限はないのですか。
裁判員法では,70歳以上の方は裁判員となることについて辞退の申立てをすることができますが,辞退の申立てをされない限り,年齢の上限はありません。

障害があるのですが裁判員になれるのですか。
 障害のある方であっても,裁判員としての職務遂行に著しい支障がなければ,裁判員になることができます。
 裁判員としての職務遂行に著しい支障があるかどうかは,事案の内容や障害の程度に応じて個別に判断されることになります。
 例えば,聴覚に障害がある方であれば,証拠として録音テープが提出されており,録音された音がどのように聞こえるかを直接聴いてみなければ十分に心証を形成することができないような事件,また,視覚に障害のある方であれば,写真や図面(現場の状況,傷口の形状等)を巡る判断が重要な争点になっているような事件では,障害の程度によっては裁判員になることができない場合に当たることがあり得ます。

裁判員になることは辞退できないのですか。
裁判員制度は,特定の職業や立場の人に偏らず,広く国民の皆さんに参加してもらう制度ですので,原則として辞退できません。
ただし,国民の皆さんの負担が過重なものとならないようにとの配慮などから,法律や政令で次のような辞退事由を定めており,裁判所からそのような事情にあたると認められれば辞退することができます。
• 70歳以上の人
• 地方公共団体の議会の議員(ただし会期中に限ります。)
• 学生,生徒
• 5年以内に裁判員や検察審査員などの職務に従事した人,3年以内に選任予定裁判員(「同じ被告人がたくさんの事件を起こしたとして起訴された場合も,全て同じ裁判員が担当するのですか。」のQ&Aを参照してください。)に選ばれた人及び1年以内に裁判員候補者として裁判員選任手続の期日に出頭した人
• 一定のやむを得ない理由があって,裁判員の職務を行うことや裁判所に行くことが困難な人
やむを得ない理由としては,例えば,以下のようなものがあります。
o 重い病気又はケガ
o 親族・同居人の介護・養育
o 事業上の重要な用務を自分で処理しないと著しい損害が生じるおそれがある。
o 父母の葬式への出席など社会生活上の重要な用務がある。
o 妊娠中又は出産の日から8週間を経過していない。
o 重い病気又はケガの治療を受ける親族・同居人の通院・入退院に付き添う必要がある。
o 妻・娘の出産に立ち会い,又はこれに伴う入退院に付き添う必要がある。
o 住所・居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり,裁判所に行くことが困難である。

一度裁判員に選ばれても,再び選ばれることがあるのですか。
 類似 一度も裁判員をやったことがない人が優先的に選ばれることはないのですか。
裁判員候補者として,裁判員の選任手続を行う期日に裁判所に来られた人は,裁判員に選任されなかった場合でも,同じ年に再度別の事件の裁判員候補者に選ばれることはありません(ただし,辞退が認められて選任されなかった場合には,同じ年でも,再度裁判員候補者に選ばれる可能性があります。)。これに対し,年が変われば,裁判員候補者として裁判所に来たことのある人でも,裁判員候補者に選ばれる可能性がありますが,過去5年以内に裁判員や検察審査員を務めたことのある人や,過去3年以内に選任予定裁判員に選ばれた人,過去1年以内に裁判員候補者として裁判所に来たことのある人(辞退が認められた人を除きます。)は,辞退の申立てをすることができます。

現在,海外に居住しているのですが,裁判員候補者に選ばれることはありますか。
 裁判員候補者名簿は衆議院議員選挙の選挙人名簿(在外選挙人名簿はこれに含まれません。)を基に作成されますから,渡航前に,お住まいの地の市町村役場等に海外転出届を出し,選挙人名簿の登録がなくなった場合,その後に作成される裁判員候補者名簿に登録されることはなく,裁判員候補者として裁判所にお越しいただくことはありません。もっとも,海外転出届を出さず,住民票を日本国内の元の住所地に置いたままである場合などには,裁判員候補者名簿に登録され,裁判所からお送りする書類が,元の住所地に届けられることになります。ただし,海外に住んでいる場合は,通常,裁判所にお越しいただくのは困難でしょうから,辞退の申立てをすることができます。裁判員候補者名簿に登録された後に,海外に居住することとなった場合も同様です。

裁判員候補者として呼出しを受けたにもかかわらず,裁判所に行かないと,罰せられるのですか。
正当な理由もなく裁判所に来られない場合には,10万円以下の過料に処せられることがあります。

死体の写真なども見なければいけないのですか。
審理においてどのような証拠が取り調べられるかはケースバイケースですが,判断のために必要がある場合には,死体の写真のような証拠を見てもらうこともあります。このような証拠も,どのような事実があったのか(なかったのか)を判断する上で,必要と認められて取り調べられるものですが,取調べの仕方については,できる限り裁判員の負担の少ない方法になるよう配慮したいと考えています。

裁判員になったら必ず意見を言わなければならないのですか。
法律上,裁判員は,事件について裁判官と一緒に議論(評議)する際に意見を述べなければならないとされています。評議において一つの結論を出すためには,そのメンバーである裁判員と裁判官が,それぞれの意見を述べることが不可欠だからです。もっとも,評議においては,すべての問題点について一度にまとまった意見を述べなければならないわけではなく,自由に自分の気付いたところから意見を述べていただいて議論に参加していただければよいのです。もちろん,意見を変えることも自由です。裁判長も,必要な法令に関する説明を丁寧に行い,分かりやすく評議を整理し,裁判員が発言する機会を十分に確保するなどして,裁判員の方が意見を十分に言えるように配慮しますので,安心して評議に参加してください。

意見が一致しなかったら評決はどうなるのですか。
評議を尽くしても,全員の意見が一致しなかったときは,多数決により評決します。この場合,被告人が有罪か無罪か,有罪の場合にどのような刑にするかについての裁判員の意見は,裁判官と同じ重みを持つことになります。ただし,裁判員だけによる意見では,被告人に不利な判断(被告人が有罪か無罪かの評決の場面では,有罪の判断)をすることはできず,裁判官1人以上が多数意見に賛成していることが必要です。
例えば,被告人が犯人かどうかについて,裁判員5人が「犯人である」という意見を述べたのに対し,裁判員1人と裁判官3人が「犯人ではない」という意見を述べた場合には,「犯人である」というのが多数意見ですが,この意見には裁判官が1人も賛成していませんので,裁判官1人以上が多数意見に賛成していることが必要という要件を満たしていないことになります。したがって,この場合は,被告人が「犯人である」とすることはできず,無罪ということになります。

日当は,いくら支払われるのですか。
 日当の具体的な額は,選任手続や審理・評議などの時間に応じて,裁判員候補者・選任予定裁判員については1日当たり8000円以内,裁判員・補充裁判員については1日当たり1万円以内で,決められます(裁判員の参加する刑事裁判に関する規則7条)。
 たとえば,裁判員候補者の方については,選任手続が午前中だけで終わり,裁判員に選任されなかった場合は,最高額の半額程度が支払われるものと思われます。

裁判員や裁判員候補者等として裁判所に行った場合に,交通費等は支払われるのですか。
 裁判員や裁判員候補者等になって裁判所に来られた方には,旅費(交通費)と日当が支払われます。
 また,裁判所が自宅から遠いなどの理由で宿泊しなければならない方には,宿泊料も支払われます。
 なお,旅費,日当,宿泊料の額は,最高裁判所規則で定められた方法で計算されますので(裁判員の参加する刑事裁判に関する規則6条~9条),実際にかかった交通費,宿泊費と一致しないこともあります。
裁判員や補充裁判員であることを公にすることは法律上禁止されていますので,ご注意ください(2009.8)
 裁判員または補充裁判員(以下「裁判員等」といいます。)になられた方への接触や働きかけを防ぎ,裁判員等自身のプライバシーや生活の平穏を保護するため,裁判員等であることを公にすることは,法律上禁止されていますので,ご注意ください。
 「公にする」とは,インターネット上のホームページやブログ等で公表するなど,裁判員等であることを不特定多数の人が知ることのできる状態にすることをいいます。
 一方,裁判員等としての任務を終えた後に,裁判員等であったことを公にすることは,本人の同意があれば,禁止されていません。例えば,裁判員等であった方が,ご自身の意思で判決宣告後に記者会見に参加することは,問題ありません。
 なお,裁判員候補者であることを公にすることも法律上禁止されています。詳しくは「裁判員候補者であることを公にすることは法律上禁止されていますので,ご注意ください」をご覧ください。
http://www.saibanin.courts.go.jp/   最高裁判所ホームページ

2.メリット
ネット上で挙げられていたメリット
興味深い貴重な経験ができる
一般人の考えが裁判の判決に反映される
今までは刑事裁判が身近なものとなる
法律的な考えだけに偏らずに人としての倫理が反映される判決ができる
裁判員制度の導入による効果を知る事ができ、現行の司法制度だけでは見えない問題点や効能が明らかになる。
裁判時間を短縮できる(既に実施されている「公判前整理手続」。これは、事件の争点をあらかじめまとめておく事で迅速な公判が期待できるというものです。この制度に裁判員制度を併せる事によって、迅速な公判を実現しつつ、分かりやすい裁判が実現していく事でしょう。 )
法曹に対する国民の意識改革が期待できる
司法が民主的基盤を得る第一歩の可能性
被告人に対して自分が聞きたいことが聞ける
現代の日本人に欠けている客観力やディスカッション力を鍛えられる
義務を果たすことや社会参加への国民意識を高められる
一般人だからこそ見れる面もある
普段知ることのできないことが知れたり、裁判の大切さなどがわかったりする
一般の人も裁判が身近になる。
国民と司法の関係が深まる
既にロールモデルとして陪審制や参審制などがある
法にとらわれない私たちが納得いく判決がだせる。
国民の意見、考えなどを反映できる
本当に非常識なデタラメ裁判官が担当だった場合は正常な判決の可能性が期待できる。
日当1万円なのでちょっとしたバイトになる
被害者やその家族が刑量に満足いく結果になる
自分の意志判決にかかわり、日本人としての自覚がわく!!

3.デメリット
  • 裁判員になることの強制が問題なら、辞退の自由を認めれば問題ないの?
 裁判員になることを強制することは、憲法18条の苦役の禁止や憲法19条の思想良心の自由を侵害するものとして憲法違反です。
 そうであれば、辞退の自由を認めれば、裁判員制度の問題はなくなるのでしょうか。
 現在、国民の80%は、裁判員になりたくないという世論調査結果が出ています。その理由では、人を裁く自身がないという理由があげられています。このような人たちの辞退を認めるべきことは憲法上当然のことです。
 しかし、そうなると、残りの20%の「やりたい、やりたい。」という人たちだけで裁判員が構成されることになります。
 人を裁くことに慎重な人が裁判員にはならず、それ以外の人たちで裁かれるということです。それでは恐ろしいものを感じないでしょうか。
 もっといえば、辞退する人たちの中には、死刑制度には賛成でも自ら関与することに抵抗ある人たちもあります。そうなると、「死刑だ、死刑だ。」という人たちばかりとなり、偏った裁判員だけで構成されかねません。
 これでは、到底、公正な裁判とはいえません。
 この点、日弁連裁判員制度実現本部や裁判員制度推進派の弁護士たちは、思想信条による辞退を認めるべきでないとまで言っていました。それは上記のような事態を危惧していたからに他なりません。
 もともと、目的もはっきりしないままに導入された裁判員制度ですが、「健全な市民感覚」の反映ということであれば、無作為抽出によって裁判員を選ぶことによって「平均的」な構成であるとして正当化しようとしていたのですから、「辞退の自由」を認めてしまっては、この正当化の根拠が失われてしまいます。
 従って、裁判員制度の「理念」からするならば、すべて等しく平等に無策抽出で選出し、しかも義務化することは必然なのですが、それが憲法上の制約によって、そもそも実現不可能な「理念」だったのです。
 このように、やりたくない人の辞退の自由を認めればよいというだけでは済まない問題があります。
 その結果、重要なものとして、上記のように、公正でない裁判員によって裁かれることになりますが、これでは被告人の適正手続きによる刑事裁判を受ける被告人の権利を侵害することになります。この侵害は甚だしいと言わなければなりません。
裁判員になったら、勤務先から解雇などの不利益を受けないか心配です。
 裁判員法100条では、裁判員として仕事を休んだ場合に、解雇や減給などの不利益な取扱いをしてはならないと規定しています。
 最高裁や多くの解説書には、裁判員法によって不利益処分は禁止されているから大丈夫かのように説明しています。
 だから、安心と言えるのでしょうか。このような解説には、実際に解雇された場合のことについては全く触れられていないのが特徴です。
 雇用者が「お前は裁判員として仕事を休んだから、クビだ。」などと言えば、裁判員としての不利益であることは明白ですから、裁判員法100条に違反するということになります。
 しかし、実際上、そのようなことを露骨に言う雇用者は、あまりいないでしょう。法規に違反することが明らかだからです。
 別の口実を設けて解雇することは目に見えています。

<裁判員法に規定された義務・罰則一覧>

※非常に細かいと思われる規定は省略していますので、ここに記載されているものがすべてではないことにご注意ください。

裁判員、補充裁判員の義務とされているもの 罰則
 裁判員は、法令に従い公平誠実にその職務を行わなければならない。(9条1項) なし
 裁判員は、裁判の公正さに対する信頼を損なうおそれのある行為をしてはならない。(9条3項) なし
 裁判員は、その品位を害するような行為をしてはならない。(9条4項) なし
 裁判員及び補充裁判員は、公平誠実にその職務を行うことを誓う旨の宣誓をしなければならない。(39条2項) 正当な理由なく宣誓を拒んだとき、10万円以下の科料。(112条3号)
 裁判員及び補充裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理をすべき公判期日並びに公判準備において裁判所がする証人その他の者の尋問及び検証の日時及び場所に出頭しなければならない。(52条) 正当な理由がなく出頭しないとき、10万円以下の科料。(112条4号)
 刑の言渡しの判決などの期日には、裁判員は出頭しなければならない。(63条1項) 正当な理由がなく、出頭しないとき、10万円以下の科料。(112条5号)
 裁判員は、前項の評議に出席し、意見を述べなければならない。(66条2項) なし
 裁判員又は補充裁判員が、評議の秘密その他の職務上知り得た秘密を漏らしたとき。(70条1項) 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。(108条1項)
 裁判員又は補充裁判員が、構成裁判官又は現にその被告事件の審判に係る職務を行う他の裁判員若しくは補充裁判員以外の者に対し、当該被告事件において認定すべきであると考える事実若しくは量定すべきであると考える刑を述べたとき、又は当該被告事件において裁判所により認定されると考える事実若しくは量定されると考える刑を述べたとき 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。(108条5項)
裁判員候補者の義務とされているもの 罰則
呼出しを受けた裁判員候補者は、裁判員等選任手続の期日に出頭しなければならない。(29条1項) 正当な理由がなく出頭しないとき、10万円以下の科料。(112条1号)
 裁判員候補者は、裁判員等選任手続の期日の日前に質問票の送付を受けたときは、裁判所の指定に従い、当該質問票を返送し又は持参しなければならない。(30条2項) なし
 裁判員候補者は、質問票に虚偽の記載をしてはならない。(30条3項) 50万円以下の罰金。(110条)
 裁判員候補者は、裁判長等の質問に対して正当な理由なく陳述を拒み、又は虚偽の陳述をしてはならない。(34条3項) 50万円以下の罰金。(110条)
裁判員、補充裁判員であった者の義務とされているもの 罰則
 職務上知り得た秘密(評議の秘密を除く)を漏らしたとき。 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。(108条2項1号)
 評議の秘密のうち構成裁判官及び裁判員が行う評議又は構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたもののそれぞれの裁判官若しくは裁判員の意見又はその多少の数を漏らしたとき。 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。(108条2項2号)
 財産上の利益その他の利益を得る目的で、評議の秘密(前号に規定するものを除く)を漏らしたとき。 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。(108条2項3号)
 ①財産上の利益その他の利益を得る目的ではなく、また、②評議の秘密のうち構成裁判官及び裁判員が行う評議又は構成裁判官のみが行う評議であって裁判員の傍聴が許されたもののそれぞれの裁判官若しくは裁判員の意見又はその多少の数を漏らしたときを除く評議の秘密を(108条2項2号を除く)漏らしたとき。 50万円以下の罰金。(108条3項)
 裁判員又は補充裁判員の職にあった者が、その職務に係る被告事件の審判における判決に関与した構成裁判官であった者又は他の裁判員若しくは補充裁判員の職にあった者以外の者に対し、当該判決において示された事実の認定又は刑の量定の当否を述べたとき。 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金。(108条6項)
すべての国民の義務とされているもの 罰則
 何人も、裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者若しくはその予定者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならない。
 これらであった者の氏名住所その他の個人を特定するに足りる情報についても本人がこれを公にすることに同意している場合を除き、同様とする。 なし
 裁判員又は補充裁判員に対し、その職務に関し、請託をした者。 2年以下の懲役又は20万円以下の罰金。(106条1項)
 被告事件の審判に影響を及ぼす目的で、裁判員又は補充裁判員に対し、事実の認定、刑の量定その他の裁判員として行う判断について意見を述べ又はこれについての情報提供をした者。 2年以下の懲役又は20万円以下の罰金。(106条2項)
 選任予定裁判員に対し、裁判員又は補充裁判員として行うべき職務に関し、請託をした者。 2年以下の懲役又は20万円以下の罰金。(106条3項)
 被告事件の審判に影響を及ぼす目的で、選任予定裁判員に対し、事実の認定その他の裁判員として行うべき判断について意見を述べ又はこれについての情報提供をした者。 2年以下の懲役又は20万円以下の罰金。(106条4項)
 被告事件に関し、当該被告事件の審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員若しくはこれらの職にあった者又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他いかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者。 2年以下の懲役又は20万円以下の罰金。(107条1項)
 被告事件に関し、当該被告事件の審判に係る職務を行う裁判員若しくは補充裁判員の選任のために選定された裁判員候補者若しくは当該裁判員若しくは補充裁判員の職務を行うべき選任予定裁判員又はその親族に対し、面会、文書の送付、電話をかけることその他いかなる方法をもってするかを問わず、威迫の行為をした者。 2年以下の懲役又は20万円以下の罰金。(107条2項)

  • 私は、法律を知らない素人です。そんな私でも裁判員として判断できるのでしょうか。
 最高裁は、法律を知らなくても大丈夫と大宣伝をしています。
 「裁判員は,法廷で聞いた証人の証言などの証拠に基づいて,他の裁判員や裁判官とともに行う評議を通じ,被告人が有罪か無罪か,有罪だとしたらどのような刑にするべきかを判断します。例えば目撃者の証言などに基づいて,被告人が被害者をナイフで刺したかどうかを判断することは,みなさんが,日常生活におけるいろいろな情報に基づいて,ある事実があったかなかったかを判断していることと基本的に同じですので,事前に法律知識を得ていただく必要ありません。なお,有罪か無罪かの判断の前提として法律知識が必要な場合は,その都度裁判官から分かりやすく説明されますので,心配ありません。」(最高裁ホームページより09.5.17)

 しかし、本当にそうでしょうか。裁判官は誰でもできるようなことしか、してこなかったのでしょうか。
 裁判は、以下の過程を経て判決(結論)にいたります。
  ①事実認定、②法の適用、③量刑判断ですが、裁判員はこのすべての過程に関与します。
 法律の解釈は裁判官だけができます。訴訟指揮は、裁判長が行います。
 もちろん、法律を知らない人が法の適用ができるかといえば、困難でしょう。では、①の事実認定、③の量刑判断は誰でもできるのでしょうか。
  以前の最高裁のホームページでは、「例えば、壁にらくがきを見つけたお母さんが、このいたずらは兄と弟のどちらがやったのかと考える場合、「こんなに高いところには弟は背が届かないな。」とか、「このらくがきの字は弟の字だな。」とか、らくがきを見てどちらがやったのかを考えると思います。」とありました。
 殺人事件と子どもの落書きを一緒くたにすること自体、無神経だと思いますが(批判があったのか現在は最初に記載したものに変更されています。)、殺人事件は非日常的なことであって、誰でも判断できることではありません。
 殺害行為と死因との間に因果関係があるかどうか、因果関係がなければ殺人未遂として処罰されますが、医学的見地から判断をすることが誰でもできるとは思えません。目撃者のいない事件、死体のない事件ですらあります。これを感覚だけで判断してしまうのでしょうか。
 さらに、裁判官が説明するから大丈夫、というのも問題です。結局、裁判官が判断していることと何ら変わらないということです。
 これでどうして、誰でもできるということになるのでしょうか。
 原則として評決は、裁判官も裁判員も平等です。そうであるならば、裁判官と対等に議論できるということが求められて然るべきです。
 もっとも、このように述べると、「裁判員制度の目的は市民感覚の反映だから評議の過程で、裁判官に聞かれたことについて意見を述べれば十分ではないか。」という疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。
 しかし、前述したとおり、裁判員も裁判官と対等の評決権を持っています。それならば、それに対応した責任もあるのではないでしょうか。
 世論調査において、8割もの国民が裁判員になりたくないと回答していることは、むしろ健全な社会常識に沿ったものだといえます。
 また、市民感覚の反映ということですが、建前としては「無作為」で選ばれた6名の「市民感覚」が反映されるということになりますが、その6名が国民の「市民感覚」を代表することになるかが疑問です。偶然の要素が強すぎるからです。裁判官が是正するのであれば、それでは何のための裁判員かわからなくなります。
 そのような意味でも、刑事重大事件において誰も判断できるということは明らかな誤りですが、実は、裁判員制度は、そもそも目的もはっきりしないままに導入されたことが一番の問題なのです。
 このように見てくれば、裁判員制度の目的について、日弁連などが主張しているような「冤罪の防止」というものが全くのデタラメであることは、明らかでしょう。

  • 国家財政の無駄遣い!
 裁判員への旅費日当で年間32億円だそうです。福祉関連予算を削りながら、何故32億円もの巨額な費用をつぎ込まなければならないのでしょう。
 これまでの広報費、裁判所の改築で300億円以上を既に無駄遣い。
 広告宣伝費も20億円以上。

  • 私は、性犯罪の被害者です。私のプライバシーは守られるの?
 守られないと考えた方がよいです。
 まず問題になるのが選任段階です。被害者と一定の関係のある人は、裁判の公正のために裁判員候補者から排除されます。これ自体は必要なことですが、しかし、その段階で、誰が被害者なのかということが、候補者として集まった50名から100名の人たちに公開されることになります。この候補者には守秘義務はありません。
 東京のような大都会であればまだしも、地方にいけば顔見知りということだってありうることです。この顔見知り程度では、候補者から外れることもありません。そうなると、顔見知りの前で裁判が進行することも十分にありえるわけです。
 その次に公判段階での問題です。
 性犯罪の場合、一定の要件のもと、被告人や傍聴人に見えない形で証言することが認められています。
 しかし、裁判員から見えない形で証言することは認められていません。そうなると、裁判官や検察官、弁護人以外の人が6名もいる中で証言をしなければならなくなります。補充裁判員もいれれば、少なくとも裁判官3名、検察官1名、弁護人1名、書記官1名、裁判員6名、補充裁判員3名、計15名にもなります。
 しかも、裁判員は、裁判長に告げて自ら質問することができることになっています。その裁判員が性犯罪の被害者に対して趣味的な質問をしないという保障がどこにあるでしょうか。悪意でする場合だけでなくても、審理のポイントからずれたような質問をされることだってありうるわけです。そのような質問が発せられた場合には裁判長が止めるでしょうが、一度、受けた侮辱による心の傷は消えるものではありません。
 それだけではありません。証拠として出された性被害の状況、写真などまで裁判員に見られることになります。
 裁判員は無作為抽出で選ばれるので、どこの誰が裁判員になるのか全くわかりません。全く無責任な人だって裁判員になることもあるのです。すべての国民が善人ではないことは当然でしょう。このような人たちが好奇の目で見ているのです。
 あなただって、いつ性被害に遭うかもわかりません。あなたは、このような状況に耐えられますか。
 それとも、性被害には、興味関心があるから、そのような事件こそ裁判員になりたいですか。
※09年5月30日付報道によると、最高裁は、裁判員候補者選定にあたっては、被害者名を告げずに「30代のSさん」などとするようです。しかし、それで一体、何がわかるのでしょうか。「30代のSさん」というだけで心当たりがあるかどうか聞かれても、あるともないとも何とも答えようがありません。しかも、被害者本人は、当然のことながら、自ら性犯罪の被害を受けたことを知人にだって言っていないでしょうから、全く特定困難な「30代のSさん」にしかならず、そうなると、ほとんどの人は、「30代の女性」に知り合い、関与はあるわけですから、全員が辞退しなければならなくなります。
 もともとの裁判員制度に無理があることを認めるべきでしょう。
 さらに、実際に選任された裁判員に関する問題点は、何ら改善されていません。
※09年6月14日付報道によると、最高裁は、被害者に対して候補者名簿を開示することにしたようです。候補者の中に関係者がいる場合に予め排除しようというものです。
 それ自体は、理解できなくもありませんが、結局、対応策としてはその程度でしかないということです。
http://www.ac.auone-net.jp/~inolaw/saibannin-mondai.html

4.裁判員制度における刑事裁判への参加意識

  裁判員制度における刑事裁判への参加意識
 裁判員は,20歳以上の国民の中から,くじ等の方法で,原則として無作為に選ばれ,裁判員に選ばれた場合,その役目を果たすことは,義務とされているが,裁判員として刑事裁判に参加したいと思うか聞いたところ,「参加したい」とする者の割合が25.6%(「参加したい」4.4%+「参加してもよい」21.2%),「参加したくない」とする者の割合が70.0%(「あまり参加したくない」34.9%+「参加したくない」35.1%)となっている。
 都市規模別に見ると,「参加したい」とする者の割合は大都市で高くなっている。
 性別に見ると,「参加したい」とする者の割合は男性で,「参加したくない」とする者の割合は女性で,それぞれ高くなっている。
 年齢別に見ると,「参加したい」とする者の割合は20歳代,30歳代で,「参加したくない」とする者の割合は60歳代で,それぞれ高くなっている。
 職業別に見ると,「参加したい」とする者の割合は自営業主,管理・専門技術・事務職で高くなっている。
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-saiban/2-5.html

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年04月02日 02:52
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。