ちょっとずつデータを足していきます。
<1>基礎知識
2000年~2009年の日本の財政収支は、政府の税収が約50兆円で歳出が約80兆円で国債を30兆円発行し、 GDPに対する累積財政赤字は160%という状態である。その傾向が継続すれば、財政破綻は時間の問題なので、財政健全化を主張する政党・政治家と経済・ 財政の専門家と国民は、財政健全化と政府歳出の主要な要素である医療と福祉と社会保障と教育予算を充実させるとともに、年度財政収支の黒字化と累積財政収 支の黒字化のためには、日本の税収構造をEU諸国型(特に北欧型)に転換することが必要不可欠と主張している。
現在の先進国では、国により程度の差はあっても、国家予算の主要な部分は医療+福祉+社会保障+教育であり、その割合は平均寿命の上昇により時代の経過とともに増加傾向であり、新自由主義政策が採用された国(イギリス、アメリカ合衆国、日本など)でも医療+福祉+社会保障+教育予算は削減されずに時代の経過とともに増加傾向である。
現在の大部分の先進国では、国により程度の差はあっても、政府の収入の主要な財源は所得税と消費税と社会保険料であり、法人税と財産税はマイナーな財源である。日本は他の先進国と比較して消費税率が低く5%なので、消費税収入と法人税収入が同程度である。
日本の社会民主党と共産党は、消費税は貧困層・低所得層・中間層に重い逆累進性の強い税金であることから、消費税の採用や税率増加に反対を主張して きた。社会党・社民党は村山首相時代に消費税率を3%から5%に増税した事実がある。当時は自民党と社会党の連立政権であり、国会の最大党派である自民党 の主張を受け入れないと政権を維持できないので、連立政策上消費税増税を受け入れた。連立解消後は消費税の増税に反対し、消費税廃止の主張を復活させてい る。日本の社会民主党、共産党は、消費税反対・廃止と、貧困層・低所得層・中間層に対する所得税減税と、自衛隊と軍事費の廃止と、高所得層・富裕層・大規 模法人の所得と財産に対する累進性の強化により、社会保障政策の財源を確保すべきと主張している。日 本の軍事費は税収の10%を超えていて、著しく重い比率となっている。
欧米では、品目により消費税が減免または非課税にして、低所得者層の負担に配慮している国も多い(俗に二段階税率方式と呼ばれている)が、日本で は、食料品などの生活必需品にも一律に課税されており、低所得者層には重い負担になっているとの議論がある。とはいえ、これら批判は単純には当てはまらな いといえる。なぜなら日本では医療・福祉・公教育・住居用不動産賃貸などは非課税とされているし、所得税の扶養控除等で負担軽減を図っている事から、総合 的に考慮することが重要といえる。
二段階税率方式では、生活必需品の線引きが難しいという問題がある。物品税(消 費税法制定により廃止)は、いわゆる嗜好品や贅沢品に課されていたが、当時も課税対象品の選定を巡って幾度となく議論が起きた。同様に、例えば食品への税 率を軽減するとして、大衆食堂やフードコートをどう扱うか等という議論が起きている。経理・申告においても、仕入税額控除が多段階となるため逐次確認が必 要となり煩雑化する。逆に税額控除・還付方式に比べて行政コストは軽減する。
税額控除・還付方式では、二段階税率方式で批判があるような、生活必需品の線引きが難しいという問題を回避することができるという利点がある。しか し、還付実務等において行政コストがアップする(所得税で税額控除する事でコスト軽減する案が主流だが、所得税がそもそも掛からない課税最低限の人には還 付実務が生じる事や、不正防止の監視・措置を講じる必要が出てくる)。また算定方法にも議論は生じるだろうし、算定額が政局に利用されやすくなる(支持率 が下がった時に算定方法を変更して軽減するなど)という批判もある。
消費税増税により可処分所得(手取り収入)が減少することを根拠に、個人消費支出が減少し消費財の市場が縮小し、経済成長率の低下やマイナス成長をもたらすとの仮説があるが、 EU諸国では(特に消費税率が高い北欧諸国でも)経済成長率の低下やマイナス成長にはならず、先進国の標準かそれ以上の成長率を実現している(ただしEU 諸国の消費税は、食料品など生活必需品については他の製品よりも低い消費税が適用されているのが一般的であり、日本のように食料品も含めて一律の税率とい う税体系とは異なる)。 その理由として、保健・医療、保育・育児、学校教育、失業者給付、職業訓練、就職支援、生活保護、介護、年金などの行政サービスを、その全てか大部分を政 府予算で受給できるので、国民・市民は日常生活や病気や失業時や老後の生活に関して、費用の心配が無いので、非常時や老後のために貯蓄し消費を抑制する必 要が無いので、結果として消費意欲・購買意欲が増し、消費支出が増えるので、消費税率や社会保険料率が低い国と比較しても、経済成長に不利にはならず有利 になると推測されている。
下請業者等は価格転嫁が進まなかったり、脱税である収益隠しが行われた場合に税収被害額が増えるという問題がある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E
区分 | 日本 | EC指令(注1) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
フランス | ドイツ | イギリス | スウェーデン | ||||
施行 | 1989年 | 1977年 | 1968年 | 1968年 | 1973年 | 1969年 | |
納税義務者 |
資産の譲渡等を行う事業者及び輸入者 |
経済活動をいかなる場所であれ独立して行う者及び輸入者 |
有償により財貨の引渡又はサービスの提供を独立して行う者及び輸入者 |
営業又は職業活動を独立して行う者及び輸入者 |
事業活動として財貨又はサービスの供給を行う者で登録を義務づけられている者及び輸入者 |
利益を得るために経済活動を独立して行う者及び輸入者 |
|
非課税 |
土地の譲渡・賃貸、住宅の賃貸、金融・保険、医療、教育、福祉等 |
土地の譲渡(建築用地を除く)・賃貸、中古建物の譲渡、建物の賃貸、金融・保険、医療、教育、郵便、福祉等 |
不動産取引、不動産賃貸、金融・保険、医療、教育、郵便等 |
不動産取引、不動産賃貸、金融・保険、医療、教育、郵便等 |
土地の譲渡・賃貸、建物の譲渡・賃貸、金融・保険、医療、教育、郵便、福祉等 |
不動産取引、不動産賃貸、金融・保険、医療、教育等 |
|
税 率 |
標準税率 |
5% |
15%以上 | 19.6% | 19% | 15%(注2) | 25% |
ゼロ税率 | なし |
ゼロ税率及び5%未満の超軽減税率は、否定する考え方を採っている |
なし | なし |
食料品、水道水、新聞、雑誌、書籍、国内旅客輸送、医薬品、居住用建物の建築、障害者用機器等 |
医薬品(医療機関による処方)等 |
|
輸出免税 |
輸出及び輸出類似取引 |
輸出及び輸出類似取引 |
輸出及び輸出類似取引 |
輸出及び輸出類似取引 |
輸出及び輸出類似取引 |
輸出及び輸出類似取引 |
|
軽減税率 | なし |
食料品、水道水、新聞、雑誌、書籍、医薬品、旅客輸送等 5%以上(2本以下) |
食料品、書籍、旅客輸送肥料等 5.5% 新聞、雑誌、医薬品等 2.1% |
食料品、水道水、新聞、雑誌、書籍、旅客輸送等 7% |
家庭用燃料及び電力等 5% |
食料品、宿泊施設の利用等 12% 新聞、書籍、雑誌、スポーツ観戦、映画、旅客輸送等 6% |
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/108.htm
日本 | イギリス | ドイツ | フランス | アメリカ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
消費課税 | 4.9 | 10.9 | 10.2 | 11.1 | 4.7 | |
内 付加価値税等 |
2.5 | 6.7 | 6.3 | 7.2 |
2.2 |
<2>case設定
definitionが難しいです。何に課税するか、しないか、いっそのこと全部の税率を上げるか・・・。
いくつか候補と利点を挙げときます。
(a)全部の税率を上げる・・・産業別に不平等は生まれない、多くの税収を得られる
(b)食料品・医療・日用品以外の税率を上げる・・・貧困層が困らない、最低限の生活ができる
(c)輸入品だけに消費税をかける・・・自国の産業の発展
他にもパターンはあるかと思われます。
使い道は医療・福祉・教育のどれかかなと思われます。
<3>Argument
Gov ・税収up→福祉面の充実
・平等な課税(みんな同じように払う)
・あとは、case設定で挙げた利点ですかね
Opp ・企業への打撃
・貧困層への打撃
・政府への不信(どんな福祉が受けられるかも分からないし、自分でお金を貯めたほうがいい)